「よく来てくれたねっ! ウェルカムウェルカーム!」
ぱんっ、ぱんっ! と。
二つ響いたのは、この部屋が持つ厳かな雰囲気に全く似つかわしくない、軽快な破裂音。
それと同時に、カラフルなメタルテープと微かな火薬の匂いが宙を舞った。
「あ、あの……これは…………?」
いきなりの事で完全に思考が停止したバニシングゲイザーが、一体何が起きたのかと生徒会室の中を確認する。
そこにいたのは、入学式で生徒会執行部として壇上に立っていた、三人のウマ娘。
そのうちの二人が手にしたパーティークラッカーを見て、それが鳴らされたことをバニシングゲイザーはようやく飲み込んだ。
「驚かせちゃってゴメンね? 実は中等部の新入生でこの部屋に来てくれたの、キミが初めてなんだ! だからお祝い! おめでとー!」
「は、はあ……どう、も……?」
快活さを感じさせる高いトーンの声で、バニシングゲイザーに祝福の言葉をかけるその人物───生徒会長が、クラッカーを小さなラッパに持ち替えて鳴らし始める。
その隣にいる副会長の一人が手に取ったのは、片手サイズの小太鼓だ。
どんどんぱふぱふーという愉快な音が、一体何がおめでたいのかさっぱり分かっていないバニシングゲイザーの右耳から左耳を通り抜けていく。
「…………ちょっと、やっぱり完全に反応に困ってるじゃありませんの! ああもう、ここはスピカのチームルームではないというのに……」
「ま、まあまあ……歓迎したかったのは本当ですから。私はこういうのもアリかなー、なんて……」
三人の中で唯一何も手にせず、額に手を当てていたのはもう一人の副会長。
彼女が会長に詰め寄り、小太鼓を持っているほうの副会長が苦笑いしながらやんわりとフォローを入れている。
その様子から、この「お祝い」がどうやら会長のアイデアで実行されたのであろうことが伺えた。
「…………さてさて、ジョーダンはさておき」
そして少しの間だけ気まずそうな表情を浮かべていた会長が、これまでの事をジョーダンの一言でぱぱっと片付けた。
……どうやら彼女自身、ちょっと無理をしていたらしい。
そして跳ねるように軽快なステップで、会長が一歩距離を詰めてくる。
「キミのことはキタちゃんやルドルフ
「……あ、はい。そうです」
フリーズからようやく立ち直りつつあるバニシングゲイザーが、それに肯定の言葉を返す。
ドリームトロフィーリーグの選手会長であるシンボリルドルフを、「ルドルフ会長」と呼ぶこと自体は全く間違っていない。
けれどトレセン学園で「会長」という単語は、生徒会長であるこの人自身を指すことのほうが圧倒的に多いのも確かだ。
だからちょっとややこしいな、とバニシングゲイザーは思った。
「入学式で私のこと、見えていらっしゃったんですか?」
「うん、バッチリね! ああいう壇上やステージって、けっこーみんなの顔がよく見えるんだ。ウイニングライブでキミにも分かるよ!」
軽い調子でそう言われたバニシングゲイザーだが、これが簡単な話ではないことはすぐに分かった。
中央トレセン学園はマンモス校という表現がふさわしい生徒数を誇っており、毎年の新入生も当然かなりの人数になるからだ。
入学式にあれだけいた新入生の位置をそれぞれ把握するのも、誰がどこにいたかを思い出すのも、間違いなく難しいだろう。
(この人も、シンボリルドルフ先輩と同じなんだろうか)
一度見た者のことを忘れないという、シンボリルドルフが言っていた「特技」。
それを思い出し、バニシングゲイザーはそう予感したのだが。
「……まあ、人の顔とか名前を覚えるの、実はあんまり得意じゃないんだけどね。だから学園のみんなを覚えられるように、頑張ってるんだ!」
てへへ、と笑いながら、会長が自らそう白状する。
彼女は見た目と口調、そして纏う雰囲気まで、多くの面が前会長のシンボリルドルフとは違っている。
けれど、バニシングゲイザーがそんな彼女から感じ取ったのは───やはりシンボリルドルフに近い、覇気のようなもの。
そして彼女が『皇帝』の後任として、凄まじいほどの努力を重ねていることだった。
「それじゃあまずは……入学式のときに挨拶はしてるけど、せっかくだからもう一度、みんなで自己紹介しよっか!」
会長が視線を移し、副会長たちにそう提案する。
二人ともそれに同意して、まずは副会長の一人がバニシングゲイザーに名乗り出た。
「この度はうちの者が大変失礼いたしました、バニシングゲイザーさん。生徒会副会長、メジロマックイーンと申します。お越しいただき、心より感謝いたしますわ」
右手を胸に当て優雅にお辞儀をする彼女は、薄紫の葦毛をストレートロングにした、しとやかな佇まいのウマ娘。
彼女こそが主演であると誰もに思わせる圧倒的な強さで、血統の誓いを果たしたステイヤー。
華麗な走りでターフを支配する、チームスピカの『名優』。
メジロマックイーン。
「すみません、ついはしゃいじゃいましたね。私、副会長のスペシャルウィークです! 仲良くしてもらえたら嬉しいです、バニシングゲイザーさん!」
続いて元気よく名乗り出たのは、大きな白い流星がある黒鹿毛のボブヘアーに、三つ編みハーフアップの髪飾りを着けたもう一人の副会長。
トゥインクル・シリーズ史に燦然と輝く黄金世代で、最強格に君臨するダービーウマ娘。
歩み続けた王道の先で、みんなの夢を背負った『日本総大将』。
同じくチームスピカ所属、スペシャルウィーク。
そして。
彼女がさらに一歩前へと進み出たことで揺れる、ロングヘアーで鹿毛のポニーテール。
前髪に
三女神から賜りし天賦の才能と、その身に宿した折れない心。
魂を燃やす不死鳥のような走りで奇跡を起こした、不撓不屈の『帝王』。
そう、彼女の名は───
「───生徒会長、トウカイテイオー。よろしくねっ!」
☆ ☆ ☆
中央トレセン学園で永らくトップを走り続けている古豪、チームリギル。
その最強チームの対抗バとして、真っ先に名前が挙がる者たち───それが、チームスピカだ。
リギルと比較すると歴史こそ浅いものの、特に近年での快進撃が目覚ましいチーム。
現在の生徒会となった三人の他にも、頂点を競う実力を誇るウマ娘たちを擁し、『お祭り娘』キタサンブラックが所属するチームでもある。
担当トレーナーの方針は、リギルとは真逆といえるもの。
必要に応じて厳しい指示や激しいトレーニングを課すこともあるが、基本的にはウマ娘たちの自主性に任せている。
その自由な気質が肌に合わずスピカへの加入を断念したウマ娘もいる一方で、リギルからスピカに移籍して才能を開花させた『異次元の逃亡者』サイレンススズカのような者もいる。
全く異なる方針を掲げた二つのチームが、どちらもトップであるという事実。
それが、競走ウマ娘の育成に正解が存在しないということをよく表している。
……そして、その自由さに影響されるのだろうか。
スピカのウマ娘やトレーナーが、騒動を起こすことも多かったりもする。
公衆の面前で取っ組み合いを始めたり、怪しげな変装で学園を徘徊するのが目撃されたりするのは序の口。
トレーナーが歌とダンスのレッスンを完全にすっぽかした結果、ウイニングライブで見事な棒立ちを披露したスペシャルウィーク。
宝塚記念のスタート直前、なぜかゲート側面に乗り上げてとんでもなく出遅れたゴールドシップ……などは、今や伝説として語り継がれている。
そうした事情もあり、これまでリギル所属のウマ娘たちが立派に勤め上げてきた生徒会が、スピカ一色に変わることを不安視する声も確かにあった。
名前の割に朝食がパン派な某ウマ娘など、心配そうに「スピカさんかぁ……」と呟きを漏らしていたという。
そんなチームスピカのメンバーが学園のウマ娘たちから敬愛されていて、生徒会選挙で多くの票を集めたのは、その高い実力とレースでの実績だけが理由ではない。
それぞれがレースに向ける真摯な姿勢と、他者の手助けを厭わない人品は確かなもの。
過去の騒動も悪気や無気力さがあって引き起こした訳ではなく、最終的には何だかんだで許されている。
だから生徒会のメンバーがスピカの三人となったことも、心配こそされつつも十分な信頼と共に受け入れられていた。
そして今は緩いところは緩く、締めるべきところはきっちり締める、良い意味でスピカらしい生徒会になっている。
先代とはまた違った形で、最適化された方針だといえるだろう。
……だから、「新入生を歓迎しようとしてスベる」くらいは些事として流したほうがいいんだろう。
たぶん。
☆ ☆ ☆
大きなソファーに挟まれたテーブルに置かれているのは、トレーニング前ということを考慮された、ペットボトル入りの水とスポーツドリンク。
そしてそれだけでは味気ないということで、「はちみー無料券」と書かれた、はちみつドリンクの商品券も贈呈されている。
(せっかくだから今度、会長オススメのオプションで注文してみようかな)
そのドリンクをこれまで飲んだことはなかったので、どんなものなのかちょっと楽しみなバニシングゲイザーだった。
「───おぉー、ルドルフ
バニシングゲイザーが入学した経緯を聞き、生徒会長───トウカイテイオーが大きく反応する。
どうやら彼女も、シンボリルドルフに会ってこの学園への入学を決意したらしい。
「えーと、今の生徒会長さんはテイオーさんですから……」
……そして途中から、「ルドルフ会長」がただの「カイチョー」へと短縮されている。
これにはスペシャルウィークが緩くツッコミを入れ、メジロマックイーンはまたしても呆れたように額に手を当てていた。
対面に座った生徒会の三人から、バニシングゲイザーが質問されていたこと。
それは入学するまでのことや趣味のこと、なにか困ったことはないか……といった、ちょっとした内容が中心だった。
一体どんな話になるのだろうかと最初は身構えていたバニシングゲイザーだが、ここに訪れる前にシンボリルドルフが言っていた通り、雑談の範疇に収まっている。
彼女たち三人はとても和やかなムードで、バニシングゲイザーもここが生徒会室であるということをつい忘れてしまうほどリラックスすることができていた。
「───うん、よかった。キミは大丈夫そうだね」
そして話が一段落つき、落ち着いたタイミングで。
それまでニコニコしていたトウカイテイオーの笑みが、安心したような、ふっと穏やかなものに変わった。
「大丈夫、というのは……?」
その言葉の真意を掴みかねるバニシングゲイザー。
それに対してトウカイテイオーが、バニシングゲイザーを呼び寄せた理由を語り始める。
「キミにこうして来てもらったのは、新入生や編入生のみんなのことをちゃんと知りたかったからなんだ。顔と名前だけ覚えても、どんな子なのかは実際に話してみないと分からないからね! だから一度みんなと会って、もし助けが必要そうな子がいたら力になろうって三人で決めたんだ」
メジロマックイーンとスペシャルウィークも頷き、その説明を肯定する。
生徒会になった彼女たちが始めたのは、入学して間もないウマ娘たちと直に話し、不安や悩みを和らげる助けとなることだった。
バニシングゲイザーが新入生の中で最初に呼ばれたのは、リギルの選抜テストで目立っていたのに加えて、デビューが一番早そうだったからとのこと。
トレセン外部からの編入生については既に幾人かがここに訪れており、その中にはガチガチに緊張してしまった者もいた。
そこで何とかリラックスしてもらおうと思いついたのが、あの「お祝い」だったのだという。
「なるほど、そういうことだったんですね。でもこれだけの人数にこうやってしっかり話を聞くのも、一人ひとりサポートするのも、かなり大変だと思うのですが大丈夫なんでしょうか……?」
名前を覚えるだけでも大変な人数がいる、トレセン学園の生徒たち。
今年度に入学した者だけに絞っても、相当な時間と根気が必要になることは間違いない。
バニシングゲイザーのその質問に、メジロマックイーンとスペシャルウィークが、強い決意を示すように答える。
「ご心配いただきありがとうございますわ。おっしゃる通り、こうして三人で同時に一人ずつお話を伺うのは難しいかもしれません。ですからこの先、三人で分担して皆さんとお会いすると決めておりますの」
「はい! 皆さんに来てもらうだけじゃなくて、私たちから会いに行くことも多くなると思います。もちろん他にもやらなきゃいけないことは色々ありますけど、それでも三人で力を合わせれば大丈夫です!」
生徒たちのために一丸となって進もうとしている彼女たちの姿は、頼もしい輝きを宿している。
そして二人に続いてトウカイテイオーも、その思いを静かに口にした。
「───これまでボクたちは、みんなに助けられてきた。全てを諦めようって一度は決めたボクが今ここに立っていられるのは、みんながいてくれたからなんだ。だから今度はボクが、そしてボクたちが、誰かの力になりたい」
───バニシングゲイザーが彼女を目にしたときに感じ取った、覇気の正体。
それはひとつの頂点に立つものとして、誰かのために力を尽くそうとする強い思いだった。
今はまだ助けられてばかりいるバニシングゲイザーには、それが何よりも眩しく映る。
「もし行き詰まるようなことがあったら、どうか遠慮なく相談してほしい。生徒会として、そして先輩として、できる限り力になるよ!」
───かつて奇跡を起こしたトウカイテイオーと、その先にあるもの。
さっぱりとした笑顔で話す彼女の姿は、やはりシンボリルドルフとは同じじゃないけれど。
自分たちのやり方で皆を導こうとする「生徒会長」としての姿を、バニシングゲイザーは確かに見た。
「まったくテイオーったら、以前はクラスメイトの名前すらろくに覚えていなかったというのに、今やこんなに立派になって……」
……そして、メジロマックイーンが芝居がかった所作でハンカチを目元に持っていく。
すがすがしいほどに完全な嘘泣きである。
顔と名前を覚えるのが不得手だとトウカイテイオーは自己申告していたけれど、かつてそんなレベルだったというのは予想外である。
表には出さなかったものの、バニシングゲイザーは内心でかなり驚いていた。
「……ちょっと、マックイーン! せっかくカイチョーっぽいことが言えたのに、急にそんな昔のことバラさないでってば!」
「あらあら。そんなに昔でもないですし、あの方の名前は今でも言い間違えていますわよね?」
「今はワザとやってるからいーのっ! うがーっ!!」
「わわわ、テイオーさん落ち着いてください〜っ!」
メジロマックイーンによる、あまりにも唐突な暴露を受けたトウカイテイオー。
それまでとは一転した猛烈な勢いで食ってかかり、そんな彼女をメジロマックイーンが楽しそうにからかっている。
そしてスペシャルウィークは、完全にわたわたとしていた。
……色々と台無しだったけれど。
きっと彼女たちはこれでいいんだろうな、とバニシングゲイザーは思った。
☆ ☆ ☆
騒がしい声で満ちる生徒会室。
この部屋には、まるで生徒たちを見つめるかのように高く掲げられている、大きな額縁がある。
───
それに収められた標語は、この中央トレセン学園の校訓だ。
はるか昔。
2着以下に目を向ける意味をなくすほどに、抜きん出る力を持ったウマ娘がいた。
当時のルールでは、1着のゴールから一定の距離を離されていた者はすべて失格となり、順位すら与えられない。
そして行われたレースの結果は、1着に立った彼女を除く、全員の失格。
彼女の走りは、他のウマ娘の存在をレースから消し去った。
この言葉は、そんな彼女に対する畏怖にも似た敬意から生まれたのだ。
夢と希望に満ちた、若きウマ娘たちで溢れる中央トレセン学園。
けれど、戦いは非情だ。
どれだけ高潔であろうと、そして切実な願いがあろうとも。
強者でなければ、容赦なく敗れ去る世界。
───だからこそ。
この学園に集ったウマ娘たちの精神を表す校訓として、これ以上にふさわしいものはない。
なぜなら彼女たちは、戦うためにここへと来たのだから。
そしてその戦いの先にあるものを、バニシングゲイザーはまだ知らない。
☆ ☆ ☆
「───あっ! バニちゃんバニちゃーん!」
生徒会室を去る際にしっかりお礼を三人に言って、リギルのチームルームへと向かっていたバニシングゲイザー。
その途中、廊下でブンブンと腕を振ってこちらの名前を呼ぶコパノリッキーと鉢合わせた。
どうやら彼女はクラスで風水のレクチャーをしていたようで、それで普段より少し遅くなった結果、このタイミングになったらしい。
同じ目的地へと一緒に向かいながら、バニシングゲイザーはつい先ほどまでのことをコパノリッキーに話すことにした。
「へー、生徒会の人に呼ばれてたんだ! 実は私も一度、生徒会室には行ったことがあるんだけど……」
「何かあったんですか?」
話を聞いたコパノリッキーが、珍しくややテンションを落としている。
どうやら、あの部屋には少し苦い思い出があるらしい。
それが気になったので、続きを促してみる。
「もう一年くらい前になるかな。生徒会の人に……その時はちょうどエアグルーヴさんがいたから、風水を学園のカリキュラムに取り入れてください! って直談判したの。全然分かってもらえなくて、さっさとつまみ出されちゃったけど……」
両耳をペタンとさせ、しゅんとしながらそう語るコパノリッキー。
その落ち込みようから、彼女にとって本気のお願いだったということが痛いほど伝わってくる。
(……なるほど。リッキー先輩がリギルで最初に自己紹介したとき、エアグルーヴ先輩がぎょっとしてたのはこれが理由だったのか)
……そして、かねてよりの謎が思わぬタイミングで一つ解けたバニシングゲイザーであった。
「せっかくなら、もう一回お願いしてみたらどうでしょう? 今の生徒会の人たちなら、話を聞いてくれるかもしれませんし」
「んー…………今はまだいいかな」
その提案をコパノリッキーが少し時間をかけて思案し、そう結論を出す。
彼女ならもう一度チャレンジするのではないかと思っていたので、バニシングゲイザーがちょっと意外に思っていると。
「───私がデビューして活躍できれば、風水に興味を持つ人が絶対にいっぱい増えてくれる。だから生徒会の人にまたお願いするのは、その後にするね!」
コパノリッキーが決心を言葉にして、ぐっと握った拳を突き上げる。
そう、彼女が諦めるわけがなかったのだ。
先ほどまでの落ち込みはすっかり消え失せており、今の彼女は燃えに燃えているようだ。
風水を広めるためであればいつだって全力な、馴染みある彼女の姿。
それを見て、バニシングゲイザーは安心感を覚えた。
コパノリッキーのデビューが近い。
彼女はリギルに加入して桐生院トレーナーの担当ウマ娘となり、実力をさらに高め続けている。
ハッピーミークだけでなくエルコンドルパサー、タイキシャトルといった者たちともダートコースでトレーニングを積み重ねており、その強さは既に計り知れぬ領域にまで達していた。
(もしかしたら将来、本当に風水がカリキュラムになるかもしれないな……)
そんなことを考えつつ、この先に起きるであろうことについてバニシングゲイザーは思いを巡らせる。
適性外のバ場でさえ、あれほどの強さを見せたコパノリッキー。
その彼女がダートレースで本領を発揮すれば間違いなく、ひとつの時代を築くであろうと。
───そして、デビューが近いのはコパノリッキーだけではない。
バニシングゲイザーのデビューもまた、もうすぐに迫っていた。
次話以降、レースの比率が一気に高くなっていきます。