【職業:性奴隷】て。 作:規約引っかからないかが不安
「ぅぶ、おげえぇぇえ……」
出ゲロにて失礼、ぼくである。
そう、ぼくだ。
牢屋で3人での共同生活を送るのにもいい加減慣れてきた。というところで、ぼくは胃の中身を全部ぶちまけてるわけだ。ううっ、惨め極まりねーぜ。
胃液はとっくにすっからかん、ぼくってばいわゆるゲロインだったらしい。死ぬほど不名誉です本当にありがとう。
いやね、これにはワケがあるんです。山よりも深く海よりも高い……逆だ、山より高くて海より深いワケがあんのよ。ぶっちゃけ混乱してる。そりゃそうだ、胃袋ひっくり返るくらい吐いてんだから。
つい3週間ほど前に脱獄を決意した、奴隷番号687,432番ことこのぼくが3歳であるということはもう説明したと思うんだけどさ。3歳なので消化器系とか未成熟なんすよ。
さてここで問題発生! 破綻してるエロゲーの舞台ことここ奴隷省は、一応国家公認の機関である以上、食堂とかあるのね。くっそまじぃけどないよりマシ! って感じのやつ。
今日の献立を発表します。
ゴムみたいっつーかゴムそのものな肉。その辺の庭から適当にかっぱらってきたんかってレベルの野菜。公衆トイレかな? と疑いたくなる臭いのスープ。ガラス食べてた方がマシってくらい硬いパン。出所分かんなくてめっちゃ怖い牛乳。
もっかい言うね、ぼく3歳なんです。こんなもん食ったらそりゃあ体調崩すワケよ。こちとらぴちぴちのガキなんだぞ、もっとこうやりようがあるだろ。慈悲とかそういうのねーのかな。ねーからこんな組織が成り立ってんだよな、クソボケが。
毎日毎日こんなもんばっか食ってたもんだから、元現代日本男児だったぼくとしてはもう本当にストレスマッハなわけで。胃腸はズタボロ、毎日毎日吐き通しですわ。胃酸がお友達。シェフを呼んでくれるか? 殺すから。
離乳食じゃなくても良くなってから毎日年上のみんなに混ざってそんなもん食っては吐いてたせいで、ぼくの乳歯はもうまるでダメ。エナメル質すら胃酸が溶かして、今となっちゃあギザ歯よギザ歯。こんな理由でギザ歯になりたくなかった。
……いやまあ、毎日吐いてたからってギザ歯になるのもよく分からんけどな。まあいいけど、ギザ歯になったのは。好きだから、ギザ歯。
いいか、覚えとけよ。
ギザ歯がいっちゃんエロいから。
異論は認めます。性癖は十人十色の千差万別だから。あくまでぼくがギザ歯めっちゃ好きってだけね。好きすぎて鏡見るたびに興奮して鼻血とか出してる。
ただ好きとはいえ、経緯が経緯なもんでね。胃腸が荒れてるから毎日寝不足だし目の下のクマとか酷いことになってる。栄養も足りてないから日に日に痩せていく始末。ガリッガリよ、もう木の枝。
あのね、このボディ性癖詰め込みすぎなんだわ。
だって今のぼく、ボサボサ白髪クマありタレ目ガリガリ不憫ギザ歯ぼくっ娘虚弱ロリ性奴隷なんだぞ。加減しろバカ、何事にも限度っつーもんがあんだよこの世界には。
いやエロいけどね? あくまで二次元ならエロいだろうよそりゃあ。こんなに色々詰め込んでたら何かしら刺さる部分はあるだろうから。でも、やりすぎなんだ。詰め込めるだけ詰め込めばいいってもんじゃないの。
うっ……ぷふぅ。
いやあ、今日も吐いた吐いた! この調子で吐き続けてるとそのうち体重が一桁前半に到達すんぞ。死ぬぞ、ぼく。えっ、この身体に内臓全部入ってんの? 本当に?
便器から顔を離して牢屋に備え付けの鏡で姿を確認してみる。うっひょ〜、今すぐ死んでもおかしくね〜。てか本当に内臓入ってんのかこれ。いやまあ、胃袋の主張激しいからあるんだろうけど。
肋骨周りとか本当にやばい。骨と皮しかないだろこれ、児童虐待だ児童虐待! いやまあ、ガチ児童虐待なんだけどさ。助けてください、児童相談所。
……うーん。しかしマジで顔面蒼白だな、幽霊みたいだ。一回死んでんだし幽霊みたいなもんなんだけどさ。あまりに酷い顔なので指で口の端をぐいっと押し上げて笑顔を作ってみる。あっギザ歯見える! ギザ歯最高です本当に──ああっ、またしても鼻血が。
毎日一回は出血してるせいで血管もクソ雑魚なのよね。些細なことでぶち破れるから多分他の奴隷のみんなには「鼻血の子だ……」みたいな感じで覚えられてると思う。食堂にいるお姉さんがたがぼくを見る目、雨でずぶ濡れの捨て猫を見る目と同じだから。
まあそんなことはどうでもいいとして。
日課となっている麗しのギザ歯確認を済ませたぼくは、これまた日課となっている鼻血拭き──拭くものはないので手の甲で擦って何とかする──に励んだが、しかし余計に出血して手のひらまで真っ赤っかに。
血管弱すぎるかもな。そんでくらくらしてきたぜ。身体が小さいとこういう時不便よね、すぐ死にかけっからさ。そんなことを考えている間にもぼたぼたと溢れる鼻血。あかんマジで死ぬ!
ぼくはそうして両手を真っ赤に染めながら、くらくらふらふらあたふたとしていたところで。突如としてぼくの鼻に当てられるぼろ布。差し伸べられている手の方を向いてみると、そこにはぼくと同じ牢屋で生活している奴隷の女の子がいた。
「もう。リッカ、また鼻血なんか出しちゃって──気をつけないとダメって言ってるわよね?」
「んぁ。いつもご
「いやまあ、何だかんだで私も助かってるからいいんだけど……ね?」
「……助けたっけ? 助けられて
「助かってんのよ、毎日」
「そっか」
「そうなのよ」
奴隷番号396,845番。ぼくは勝手にザクロちゃんって呼んでる。一応は3歳児であるところぼくを心配して面倒を見てくれているから、ぼくはマジでこの子を崇めてる。
ザクロちゃんだってまだ7歳とかなんだぜ? それなのに甲斐甲斐しくぼくの面倒を見てくれるし、鼻血だって毎回拭いてくれるし、歯磨きとかもしてくれる。
ちなみにぼくはリッカって呼ばれてる。いーだろあだ名、この世で唯一ぼく専用の呼ばれ方だぜ。
ちなみに由来は奴隷番号。687,432番だから、
いやーほんと、ザクロちゃんのおかげで毎日毎日助かってます。もしなんかヤなことされたらぼくに言ってね、全員何とかしてぶっ殺すから。こんないい子を曇らせるやつは全員死ねな──っと。助けてくれたんだからお礼を言わないといけないね。
「あ
「あら。……じゃあ折角だし、その……いいかしら?」
「うん、どーぞ。いつもお手数おかけします」
「いいのよ。それじゃ──
直後。ザクロちゃんは大きく口を開け──
何を隠そう、ザクロちゃんは吸血鬼なのね。そういうのいる世界らしーよ、
ちなみに、元は結構高貴な身分だったらしいよ。色々あって奴隷落ちしちゃったんだって。いつかこんなところぶっ壊して脱獄させてあげるからね。
んで、まあそういうワケなんで。定期的に他人の血を吸わないとマジにヤバいらしいので、出血しまくるぼくはこれまた定期的に献血しているっつーことだ。何度でも言うが、決して変態プレイをしているわけではない。
……とはいえよ、とはいえ。
目の前に鼻息荒くしながらぼくにすがってる美少女の顔面があるのはちょっと興奮抑えきれねーわ。
ほとんどキスだよこんなん。分かるか? 美少女が必死こいて鼻腔に舌入れて鼻血吸い出してる姿を見せつけられてるぼくの気持ちが。いやマジで、【性欲操作】がなかったらこの年にして変態性癖に目覚めるところだった。
……いや、まあ。うん。
目覚めてはいるよ。ぶっちゃけ鏡見て毎日鼻血出してるのも、ザクロちゃんに毎日これをやってもらうためだし。文句あるか?
でも待てよ、ぼくは悪くないと思うぜ。だってこの環境だぞ、こんな劣悪な環境だぞ? 潤いが欲しいんです、生活に。ご褒美をください。
そんなことを考えて必死に思考を逸らしたが──しかしそれにも限度がある。ぼくの視界には恍惚とした表情を浮かべながら、一心不乱に舌を繰るザクロちゃんの姿が広がっているのだから。
その肌はひと目見て分かるくらいにほんのりと薄紅色だし、しっとりと汗ばんでいる。甘ったるい息遣いがぼくの顔をくすぐる。信じられないことに、その香りはいっとう甘露だった。
生暖かい吐息に混じって、ちぅちぅと可愛らしい音が漏れる。言うまでもなく、ぼくの血潮がザクロちゃんによって吸い出される音である。
これまで何度も行われてきたそれが、しかし実のところ尋常ではない行為であるということに思い至った瞬間、ぼくの身体は意に反して──もしかすると、意のままなのかもしれないけれど──さながら蜘蛛の巣に囚われたたおやかな蝶のように、あるいはモズのはやにえのように
しかし、非力なぼくの頭はふわりと優しく──しかし一方では逃すまいとでも言わんばかりにがっしりと抱き止められ、もはや身じろぎを漏らすことすら満足には叶わない。そうしているうちにぼくの身体から一切の力は失われ、全身をだらりと弛緩させて、ザクロちゃんへとその身を預けた。
ザクロちゃんの口からは声にならない呻きと共に、血液と混ざって半透明の桃色になった唾液がこぼれ落ちていた。ぼくと彼女が混ざり合ったそれは、眼前の捕食者の口腔を経由し──そして被食者たるぼくにも、平等にもたらされる。
ぼくの鼻腔はなす術なくザクロちゃんの舌に蹂躙され、互いの体液を混ぜ合わせるための結合機関へと成り下がった。本来ならばお互いにとって不快でしかないはずの下劣な行為が──しかし今となっては、ほとんど唯一と言ってもいい至福の時となっている。
ザクロちゃんはその欲求に従ってぼくを貪らなければならない。であれば、きっとぼくは、この子に貪られるために存在しているのだ。溜まりに溜まり、煮えたぎった欲望をぶちまけるための受け皿。あるいは収まりきらぬ熱情をいっとき納めておくための鞘。それが、今のぼくだ。
その行為は留まるところを知らない。何故なら、留めておく必要がないからだ。貪り、貪られる。蹂躙し、蹂躙される。ただそれだけのことが、どうしようもなく心を安らかに保ってくれるからだ。
もちろんのこと、不快である。ぼくの尊厳はまるっきり踏み付けにされて、なかったものとして扱われているし、ザクロちゃんは吸血鬼としての高潔さを損ない、卑しい身分へと堕落する羽目になっている。
その、
ぼくたち2人を捉えて、離さない。
どうせ卑しい身分なんだ、貶められた身躯なんだ、辱められる身体なんだ。だったら、いっそのこと、
こんな環境だと言うのに、ザクロちゃんの持つ魅力は増される一方だ。将来は間違いなく煌々と輝く一番星のように、人の目を惹きつけて離さない存在と化すだろう。
ぼくもまた、いずれは燦然と輝く陽ざしのように、見たものの目を焦がしてしまうような存在へと成るはずだ。何故だか分からないけれどそういった確信が、しかし体内を蹂躙されているぼくには、はっきりとあるように思えてならなかった。
びりびりと、視界の端で何か電光のようなものが弾けるたび、ぼくはどうしようもない多幸感に襲われてしまって、もはやそれ以外のことなど眼中にはなくなってしまう。
それと同時に、ぼくの脳裏からは決まってじりじりと何かが焼け焦げているかのような音が響き、取り返しのつかない変化が発生していることもはっきりと理解できる。
間違いない。
ぼくは今、ザクロちゃんに犯されているのだ。
抵抗は、しない。出来るはずもない。だってぼくは被食者で、ザクロちゃんは捕食者だから。飢えた獣が首筋に牙を突き立てている状況を脱せる者など存在しない。だからあとはもう、好きなように召し上がられてしまうだけなのだ。
……先ほどまでぼくの鼻腔を蹂躙していたザクロちゃんの口は、既に狙いを変えていた。潤んだ瞳が、火照った表情が、熱のこもった吐息が、期待を秘めたまなざしが、何よりも雄弁にぼくの行く末をもの語っている。
で、あれば。ぼくに出来ることは、やはりたったの一つしかないのだ。あなたが望むのであれば、ぼくは喜んでこの貧相な身体を捧げ、ただあなたのためだけに、その燃え盛る欲望を受け止めよう。
そうして、ぼくは。
ザクロちゃんに身も心も明け渡し──
と。そうなってしまうと困るので【性欲操作】であらかじめ性欲を完全に遮断しておく必要があります。
ごめん。「そんなことを考えて思考を必死に思考を逸らしたが──」から今の今まで、全部妄想です。こうなったら困っちゃうよね、たはー。
そもそもね、そんな状況にこのぼくが陥ってみなさいよ。死因、覚えてるでしょ? エロ画像見た衝撃で脳幹ぶっこ抜けて死んでんだわ、こちとら。
とはいえ鼻血舐め取られてるのはマジだけどね。息が荒いのもマジ。だけどまあ、ザクロちゃんは吸血鬼であるが故に、マジで必死こいて血ぃ吸ってるからこんな事態に陥ることはないと思うけどさ。
念のためね、念のため。
つーか、ぼくの精神衛生上のため。
もうさ、初めての時とかは脳がぞわぞわ〜ってして、すっごい変な気分になったのよ。そのまま数日間ずーっとじわじわ変な気分だった。貧血かな? まあ貧血だろ。
つって。そんな風にしょーもねー妄想垂れ流しながら必死に耐えてたんだけど、ザクロちゃんの食事の時間がここでようやく終わりを迎え、その口がぼくの鼻から引き離された。
……唾液が吊り橋みたいに糸を引いてるけど、しかし性欲がなくなっている今のぼくにとっては何一つ問題にならない。「うおぉすっげーマジに唾液で橋って作れんだ!」とか、そんくらいの感想しか出てこねーから。いやマジで。冗談とかじゃなく。
性欲があったらどうなるか?
そりゃお前さん、野暮ってもんだろうよ。
爆発よ、爆発。全身の血管が爆発してザクロちゃん専用の血液サーバーになって終わるだけだっつーの。それもありだな、自分やれますよ。永久就職させてください。
「……うん。鼻、すっきりした。いつもありがと、ザクロちゃん」
「ふふ……いえ、こっちこそ助かってるわ、リッカ。ところで……その、明日は……?」
「もちろん。毎日助けてくれるから、助けてあげないと」
「そうよね、そうよね! 話が分かるじゃない、本当にお利口なんだから……3歳にしてはお利口すぎる気もするけど、まあいいわ!」
とか、そんなことを言いながらザクロちゃんはぼくの頭を撫でくりまわしてきた。うわお、上機嫌にも程があんだろ。エロ画像見て死んだ甲斐もあったっつーもんだよね。
性欲があったならぼくはここでも爆散をぶちかましていたんだろうが、しかし今のぼくは【性欲操作】のおかげでそれが皆無。
だからこそ「うん、いいよ」とかそんな軽ーい調子で、明日も血を啜らせてあげる約束が出来ちゃうんすよね〜。いいだろぉ、美少女に毎日顔面舐めてもらえ……る……。
ちょっとこれは、流石に変態すぎるか? だけどもう、なんか色々手遅れな気もする。 そんな風に撫でられながら思案に耽るぼくだった。