魔法少女まどか☆マギカ 廻天の残響   作:ATARU 2025

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絶望のなか、カウントダウンが迫る!
魔法少女たちは、どうやって、侵略者たちと戦うのか!?








第二十四話 奇蹟も魔法もあるんだよ!

どうも杏子は、絶望する、ということを知らないらしい。

杏子は自分でもそれをヘンに思った。

 

強がって生きてるけど、実際には自分が弱い人間なのはわかっていた。

 

家族が幸せになるように、と願って魔法少女になり、その願いのために家族を失い、ただただ狩場をもとめて、見滝原にやってきた。

住むところもなく、金もない。食べたいものがあれがかっぱらい、ときには魔法少女の力を使って叩きのめして、何時だってひとりで生きてきた。

 

うーん。

それはいったいいつの記憶なんだろう。

 

いまの杏子には友だちが、仲間がいる。

一応、雨露をしのげる住処があり、学校に通い、仲間とメシを食べて。

 

 

「まずはアレと、どう戦うだな。」

杏子は言った。

 

さすがに食欲をなくした魔法少女たちは、そのまま帰る気にもなれず、ほむらのアパートに立ち寄っている。

 

ブラックコーヒーとゼリーしかないが、ケーキブッフェのあとではちょうどいい。

はじめて、友人を自宅に招いたほむらは、冷静に慌てていた。

 

「かわったインテリアだよな、暁美ほむら。」

杏子が言うと、ほむらはキリッと杏子を睨んだ。

「だまりなさい!」

 

いちばん、ショックをうけているのはマミだった。

 

まどかとさやかが懸命に励ましているが、完全に心が折れている。

ずっとべそべそと泣き続けているのだ。

 

「なんか案はあるのか?」

 

「ないわ!」

きっぱりとほむらが答えた。

 

マミが、もうみんな死ぬしかないじゃない……とかブツブツ言っている。

 

「じゃあ、なんだ。もう絶望しかないってか?」

 

「残念ね、佐倉杏子。わたしはもう絶望することさえ出来ないのよ。

わたしは、悪魔なんだから!」

 

「じゃあ、悪あがきでもなんでもいいから戦おうぜ!」

杏子は言ってみた。

 

「戦うわよ。でも」

 

まあそれはそうだ。

と杏子は思った。

兵器の知識なんてまるでない。

 

それでも月よりも大きい母艦に、無数の艦隊。

どうやったら戦えるのか……

 

「なんかないか!いままで何回もやり直してきたんだろ!」

 

ほむらの細い肩を掴んで揺さぶる。

 

「……こんな事態になったのは初めてよ……」

 

はじめて……?

杏子はその言葉に響くものを感じた。

 

「そう……なのか?

初めてのことが起きてるってことは、この世界は単なる繰り返しじゃないってことにならないか!?」

 

「毎回……少しづつ違うわ。

佐倉杏子。あなたにしても、まったく見滝原に来ない時もある。死ぬ時も自爆とか、巴マミにうちころされるとかいろいろとバリエーションがあって」

 

「わ、笑えねえな……」

 

杏子の顔がひきつる。

 

「でもあの、ウサギみたいなのが出てきたのは初めてなんだろ?」

 

「そうね。インキュベーターたちが、エネルギー回収を諦めてわたしたちを処分しようとするのも初めてよ。」

 

「なら、これは新しい世界なんだ!」

根拠もなく、杏子は叫んだ。

「グレーダーとワルプルギスの夜をなんとかできれば、あたしたちは開放されるかもしれねえっ!」

 

「けど、どうやって」

ほむらはまったく表情をかえない。それが彼女の絶望の表情であることに杏子は気がついた。

 

「姿を見せないワルプルギスは置いといて、まずはあのグレーダーってやつだ。

インキュベーターは、『戦争』でこっちを破滅させるって言ってんだ。同じ方法で戦ってやる!」

 

「あのね、佐倉杏子。あんな艦隊に抵抗できる武器なんて世界中どこを探してもないのよ……」

 

「なかったら作るだけだ!」

 

「そういうことなのです。」

聞き耳をたてていたなぎさが、こちらを振り返った。

「なぎさもあなたたちも魔法少女なのです。魔法が使えるのですよ?」

 

「でもなにをつくるの……」

 

「ええっ……と。」

 

杏子は答えに窮した。

なんとなく……イメージはあったのだが、口にするのが憚られたのだ。

 

「暁美ほむら。このうちにテレビはありませんか?」

 

「え、ええと……タブレットしかないわ。ネットしか繋がらないけど」

 

なぎさはとことこと寄ってきてタブレットを受け取ると画面を操作した。

 

「このお気に入り登録を一通り観るのです!

なぎさはなんだって作れるのです。あとはみんなのイメージの力だけなのです。」

 

「い、イメージ?」

 

 

********

 

 

「ブリュヤ」

 

黄色いウサギが言った。

白い生き物は、しっぽを振った。

 

「そうだね。わけのわからないメッセージは沢山来たけど、意味のあるものはにとつもなかった。

ぼくたちは神でも悪魔でもない。

そう呼ぶにふさわしいものたちは、自分たちの中にこそいるというのに。

高位存在とのファーストコンタクトは、まだ人類には無理だったようだ。

どうやら最終的に彼らは、これを『集団幻覚』だと思い込むことに決めたらしい。」

 

衛星軌道上。

真空の宇宙空間だったが、彼らは平気なようだった。

 

「ウッラーッ!」

 

「そうだよ。ぼくも残念だ。この星の人口を減らさなければならないことはね。

魔法少女……彼女たちのことをぼくは好きだったよ。彼女たちはあまりにも似すぎていた。」

 

グレーダーの耳がピコピコと動いた。

 

母艦の全面に展開した先遣艦隊が移動を始める。

 

まずは大都市を中心に破壊する。

主だったインフラも、だ。

 

だが、彼らのもつ旧式な原子炉や核兵器、いくつもの研究所で保管されている致命的なウィルスや化学物質はたんに施設を破壊するだけではなく、そっくり消滅させる必要があった。

 

なんて煩わしい。

 

なんて面倒な仕事なのだろう。

 

 

先遣艦隊は比較的小型の艦船……それでも全長は300メートルはある。それが前面にたつ。

 

兵器のモデルにしたのは、人類たちの作ったコンテンツだった。

彼らがなにが起こったのかわからないまま、滅びるのではなく。

彼らにとって分かりやすい滅びの形を与えるために。

 

インキュベーターはため息をついた。

 

感じるはずのない疲労感が、心を、身体を蝕んでいく。

おそらく、この個体は数万年をかけたこのプロジェクトの失敗の責を負うことになるのだろう。

 

完全な消滅。

あるいはもっと悪いこと。

 

 

 

そのとき。

目の前の宇宙が割れた。

 

まるで海底から浮かび上がるかのように。

1隻の戦艦が現れた。

 

「ワープ、完了!!

なのです!」

 

 

 

 

 

 




たぶん、これから起こるのはもっと悪いこと……
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