魔法少女まどか☆マギカ 廻天の残響   作:ATARU 2025

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かつて、ひとだったもの。
魔法少女だったもの。
魔女だったもの。
そして円環に導かれたもの。
ありえない異常事態に、ついにあの子が立ち上がる。







第五話 シャルロッテの探索

ガラスのテーブルを前にして、人形は考え込んでいる。

一見、あまり可愛くはない。

手の袖が長く垂れている。

その手を組み合わせて、俯いている。

 

ただの人形ではない証拠に、ときどきその周りに文字が浮かび上がってへ消える。

アルファベットにも、似ているがよく分からない文字だ。

 

部屋の主の少女が入ってきた。

手にしたトレイにパスタと紅茶、それにシュークリームがおいてある。

2人分あった。

 

「なぎさ。ごはんにしましょう?」

 

人形は答えない。もちろん人形だからだ。

 

「なぎさっ! なぎさちゃん!!」

 

ドンと、音を立ててパスタのお皿をテーブルに置いた。

「べべッ!!」

 

人形がくるりと宙返りした。

 

もう一度座った時にはそれは少女の姿になっている。

この部屋のあるじ。巴マミよりはだいぶ年下だ。

小学校の低学年くらいにみえた。

 

「ちょっと、考え事をしてたのです。」

百江なぎさは言い返した。

 

「それはわかるけど、なんでべべの姿になってたの?」

 

「考え事をするのには、その方がいいのです。」

なぎさは、パスタをみてうれしそうに笑った。

パスタのなかに色とりどりの野菜か入っている。

トマトソースベースで、たっぷりと粉チーズがかかっていた。

 

「なにをなさ考えてたの?」

 

そう問われて、なぎさはちょっと困ったようだった。

 

「それは……」

 

「言いたくないならいいわよ。でも心配ごとがあるなら聞かせて欲しいな。」

 

うーん。

なぎさは困ったように顔をしかめた。

そのまま、パスタをフォークにまいて、口に運ぶ。

「お、おいしいのです!」

 

「よかったわ。」

マミも笑った。

自分もパスタをひとくち食べる。

 

 

そのまま、ふたりは黙々とバスタを平らげた。もう夕食には遅い時間だったし、今日は大きなバトルがあって、ふたりともお腹がペコペコだったから。

 

マミが入れてくれた紅茶とシュークリームを食べるなぎさに、マミが問いかけた。

 

「あの、魔女についてなにか知ってるの?」

 

「ううう。」

なぎさは、また悩んだ。

しばらく考え込んでから、意を決したように顔をあげた。

 

「マミ! あれは魔女じゃないのです。」

 

「ええっ?」

あるじは目を白黒させた。

「でも魔獣とは明らかに違う敵よ。

噂だけだけど、ソウルジェムが濁りきったわたしたち魔法少女が、円環に迎えられないとあんな怪物になるって」

 

「魔女はそうなのです。」

なぎさは、懸命に言葉を探しているようだった。その頭のなかには、見かけの年齢よりはるかに叡智がつまっていたが、語彙力は小学校低学年女子でしかない。

「でもあれは違うのです。

ニセモノなのです。」

 

「なんでわかるの?」

 

「インキュベーターが言ってたのです。

魔女の記憶と記録からあれを作ったって。

魔女の発生原因は、インキュベーターなのですが、作ろうと思ったって作れるものではないのです。」

 

「そういえば、キュウべえがそんなことを言ってたわ。」

マミも考え込むような表情になった。

「どこかから、回収した魔女の記憶と記録を試したって。

じゃあ、あれは偽物の魔女?

インキュベーターが、エネルギーの回収のためにわたしたちを利用してることは知ってるけど、そんなことをして意味があるの?」

 

「さっぱりなのです。」

なぎさは、お手上げというように両手を広げて見せた。

「インキュベーターにとって最大のエネルギーが得られるのは、魔法少女が絶望して魔女にかわるときなのです!

いきなり、魔女をつくってもなんの意味もないのです、バカなセルマ!」

 

セルマ、がなんのことなのかは、マミの記憶からは消えていた。

だが、言いたいことはわかった。

 

「まして……まがい物の魔女じゃねえ……

キュウべえたちは無駄なことは一切しない生き物よ。

そういえば“実験”て言葉を使ったけど、好奇心から何かするということもないはず。

いったいその『魔女の記憶』や『魔女の記録』をどこから拾ってきて、なんのために魔女もどきを作っているのかしら。

でも魔女もどきでも、わたしたちにとっては強敵で、ほっておくわけにもいかないわ。」

 

マミは心配そうになぎさの手を握った。

 

「ひとりで無理をしようとしてはダメよ?」

 

「もちろん!なのです。」

なぎさは満面の笑顔でそう答えた。

 

 

―――まあ、マミはいっつもわたしに優しくしてくれてればいいのです。

インキュベーターがらみのトラブルはこのわたしに任せるとよいのです!!

 

 

 

 

 

翌日。

マミが出かけたあと、なぎさは街に出かけた。

フードのついたコートを、羽織る。

 

見滝原は場所を間違えなければ治安はいい。

 

公園で変なとりに餌をやってから、しばらく噴水をながめる。

 

お昼近くになって、立ち上がった。

ふんふんと鼻歌を歌いながら、商店街を歩く。

 

定休日。

と札がかかったブティックの扉が開いていた。

だれかに手招きされて、中をのぞく。

 

アンティークな電話が一台だけおいてある。

 

ジリリリリリリ

 

耳障りな音を立てて、電話が鳴った。

 

ふんふんふん。

 

鼻歌を歌いながら、受話器を持ち上げた。

 

「あなたは危険と責任を引き受けられる?

この世の呪いと戦える?」

 

「こちらに拒否する権利はないくせに、いやらしい聞き方をするのです。」

なぎさは、唇をゆがめた。

「おい!円環! 聞きたいことがあるのです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いまトカゲさん電話は、円環がワンオぺで回してます。
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