魔法少女まどか☆マギカ 廻天の残響   作:ATARU 2025

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失踪した百江なぎさ。
彼女の行方を追って、魔法少女たちの追跡がはじまる。
謎多き、キュウべえははたして、敵か味方か!






第七話 インキュベーターの誘い

インキュベーター。

その異世界の生き物が信用出来ないことは、全員がわかっていた。

だが、「利用」しなければならない。

 

人間のもつ感情のエネルギーは、さまざまな争いや悲劇を産むと同時に人類を進歩させてきた。

そのユガミが生み出す魔獣。

魔獣を退治し、一定数以下に抑え込む「魔法少女」を生み出すことができるのは、インキュベーターだけだ。

彼らはその代償として、人類から「感情」のエネルギーを得るのだという。それによって、う、ち、ゆ、うが? 死ぬ、のをえんめ、いできる、と。か?

 

「ああ!もう難しい! なぎさを助けるんだろ?

どこにいけばいいんだよ!」

 

杏子は叫んだ。

 

キュゥべえは、芝生の上でぺたんと座った。

 

「旧水族館だよ。君たちも知ってるはずだ。去年閉館した、あそこ。壊れたプールがある。」

 

「そこになぎさと、その……『円環』がいるのか?」

 

「それはわからない。でも手がかりはあるはずなんだ。」

 

「インキュベーター。」

暁美ほむらが静かに言った。

「あなたはウソは言わない。でも大事なことをわさと喋らないことはあるわ。

……なぜ、なぎさが円環の理に囚われたとわかったの?」

 

その一言で、巴マミの肩がびくっと跳ねた。

 

「そう言えば、昨日の夜、ご飯をたべてたとき……」

マミは、スカートの裾についた芝を払いもせずに言った。声が少し震えている。

「なぎさは、わたしたちが戦ってる“魔女”は本当の魔女ではないって言い出したわ!」

 

「え、魔女が魔女じゃない?」

まどかが慌てる。

「それってどういう……」

 

「キュウべえが言ってたのよ。

『記憶と記録でここまで作れれば実験は成功』って。あれはわたしたちの戦った魔女……いえ、魔女まがいのことよね!?

そして、本来魔女という存在を消し去るはずの円環の理があるこの世界で、紛い物とはいえ、魔女を作れたということは、たしかにあなたの言うとおり、円環の理になにか不具合が生じたということでしょう?」

 

「困った」

ルビーのような目がキラリと輝いた。

「きみたちは1人残らずイレギュラーな存在なんだけど、マミ、きみは本当に厄介だ。

そしてシャルロッテはさらに酷い。

そうだ、こうしよう。

もし、水族館に調査に行ってくれれば、いまの問いに答えよう。これは正当な取り引きだと思わないかい?」

 

ほむらがバサリと長い髪をかきあげた。

冷たい口調で言う。

「わたしとまどかは下ろさせてもらうわ。」

 

まどかが慌てた。

「ほむらちゃん、それって……だってなぎさちゃんが」

 

「いい手かもしれないわ。そうなさい、暁美さん。」

マミがきっぱりと言った。

「罠の可能性が高いところに全員で飛び込むことはないわ。ここはわたしと佐倉さん、美樹さんだけで、行きましょう。

良いわね、インキュベーター?」

 

この答えは想定外だったようで、白い生き物は少し慌てたように見えた。

「そ、それは……たぶん、マミたちだけじゃあ、力が足りないよ。」

 

「へーえ?」

さやかが嘲るように、インキュベーターの顔を覗き込んだ。

「むこうの強さもわかってんだ?」

 

「あなたは、誰と誰がいけば、とは指定しなかったわ。」

マミが強い口調で言った。

「わたしたちが行けば、少なくとも、円環の理がこの件にどう関わっているかは教えてくれるのよね?」

 

インキュベーターは、はあとため息をついた。

 

「わかったよ。でも本当に、きみたち三人だけでは不安なんだ。」

 

「ほむらちゃん、やっぱりわたしたちも」

 

「いえ、大丈夫よ、鹿目さん。」

マミがキッパリと言った。

「なぎさが本当に囚われているのか。確認さえ出来ればいったん引き返してくるわ。

もし、ホントに円環の理が関係してるなら、わたしたち、絶対に戦っていはいけない相手よ。」

 

 

「……まったく、きみたちときたら……」

キュウべえはゴロゴロと、芝生の上を転がった。

仕草そのものはかわいらしいが、それはたぶんそう見えるようにそう作られた姿なのだろう、と杏子は思う。こいつとも長い付き合いなんだ、それくらい。

また目の前が揺らいだ。

長い―――いつから?

 

「では、その注意深さに免じてもうひとつ教えておくよ。

いま、水族館は魔女の結界で封鎖している。

なかのものが逃げられないようにね。

そう―――きみたち流に言うなら“まがいもの”の魔女だよ。でも魔女の結界というのは、それはそれは強力なんだ。ときとして、神が神であることを忘れ、悪魔が悪魔であることを忘却させてしまうくらいにね。

シャルロッテがそこにいるかは、保証できない。でも円環の力の名残りはあった。なにかヒントがあるはずだ。」

 

「おい、待てよ!」

杏子はキュウべえを睨んだ。

「その魔女“もどき”とも戦わなくちゃいけないってことなのか?」

 

「それは心配しなくていいよ。」

白いけものは、キラキラと目を輝かせながら言った。

「キトリはべつにもう、きみたちのこと恨んでいないから。」

 

「キトリ……」

 

「ああ、ついぼくは魔女としての名前で呼んでしまうんだ。そっちがきみたちの本性のような気がしててね。

人間としての名前はもちろん、あるんだけど、ループしてしまったときに、欠落がおきているだろう?

だから、キトリのことは難しく考えなくていいよ。そういう名前の魔女がいて、いまはもうきみたちにも、人間にも害意はないって覚えておけばいい。」

 

「聞けば聞くほど不安感しかねえな!」

杏子はポケットから、チョコパイを出して口に放り込んだ。

やばそうな案件ほどまず腹ごしらえだ!

 

「ようし! 決まりだぜ、キュウべえ。」

ニヤっと杏子は犬歯をむきだして笑った。

「グリーフキューブは多めに用意しておけよ!!」

 

 

 

 

 

 




ちょっと短めです。
ストックなし、プロットなしで書いて出しです。設定など気になるところがあったらご意見お待ちしております。
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