賢者の孫with超宇宙刑事ギャバンインフィニティ   作:弩城怜慈推し

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第1話 世間知らずと宇宙刑事、王都に降り立つ

 この世界に転生して、ギャバンシステムを受け継ぎ、ギャバンインフィニティとなったレイジ。

 帝国で派手に立ち回り、アールスハイド王国に逃げたレイジは、レイジと近い年の青年と、お爺さんと出会った。

 

「あれ?君は………?」

「君。こんな所で何をやっておるんじゃ?」

「あ?」

 

 青年とお爺さんはそんな風に問いかけ、レイジはそう反応する。

 すると。

 

「………ちょっと、旅をしていてな」

「旅をしていたって……ボロボロじゃないか!」

「お前さん……一体どこから来たんじゃ?」

「俺は………」

 

 レイジはそんな風に答える。

 それに対して、レイジは髪がボサボサで、服もボロボロなのを見て、青年がそう言う中、お爺さんはそう問いかける。

 レイジが答えようとすると。

 

グ〜………

 

「………あっ」

「お腹が空いたのか?」

「ここでは何じゃ。近くにワシらの家があるから、来なさい」

「お、おう………」

 

 レイジのお腹から、腹の虫が暴れる音が響く。

 レイジがお腹を抑える中、青年がそう聞くと、お爺さんはそう提案する。

 それを聞いて、レイジは頷いて、2人についていく。

 しばらくすると、レイジは2人の家に到着して、リビングの中に案内される。

 

「ここが、俺たちの家だ!」

「待ってなさい。すぐにご飯を用意するから」

「おう………すまねぇな」

「気にすんなって!」

 

 青年がそう言うと、お爺さんはそう言って、料理を用意していく。

 レイジがそう謝る中、青年はそう答える。

 しばらくすると。

 

「……ほれ。簡単な物じゃが、冷めないうちに食べてくれ」

「……ありがとうな」

 

 お爺さんはそう言うと、シチューやパンを持ってくる。

 レイジはそうお礼を言うと、スプーンを手に取ろうとする。

 

「………っ!」

「ん?どうしたんだ?」

「いや………何でもない」

 

 だが、一瞬、手を止めてしまう。

 警戒心が出たのか。

 シンがそう聞くと、レイジはそう答えて、木のスプーンを手に取り、シチューを一口食べる。

 すると。

 

「っ!」

「お、おい……涙が出てるぞ?」

「えっ……?あっ………」

 

 レイジはシチューを食べると、衝撃が走る。

 青年がそう聞くと、レイジは顔に手を当てる。

 事実、涙が出ていたのだ。

 それを見て………。

 

『あぁ………そっか。俺、かなり気が張り詰めてたんだな………』

 

 レイジはそんな風に思っていた。

 実際、レイジは帝国軍を相手に派手に立ち回って以降、気が張り詰めていたのだから。

 平民のグループと別れて、孤独な旅をしていて、食事は干し肉と乾燥パンだったというのも影響したのか。

 

「………いや、久しぶりのまともな食事に、少し涙が出ただけだ」

「えっ? そんなに泣くほど美味しかったのかよ⁉︎」

「ふっ、若いってのはいいもんじゃのう」

 

 レイジはそう答える。

 それを聞いた青年とお爺さんは、そんな風に反応する。

 しばらくして、食べ終えると。

 

「ふぅ〜………ご馳走様。おいしかったよ」

「それはよかった。………それで、お前さんは何者なんじゃ?」

「そうだな。俺はレイジ=ウォーカー。旅をしてたんだ」

 

 レイジがそうお礼を言う中、お爺さんはそう問いかける。

 それに対して、レイジはそう名乗った。

 

「へぇ〜………!旅をしてたんだ!」

「ああ。まぁな」

「ほう……それで、何をやっておったんじゃ?」

「………すまねぇ。詳しいことは……言えねぇんだ。ただ、ちょっと厄介な連中に追われてて、流れ流れでこの国に行き着いた……ってところだ」

 

 青年がそう言うと、レイジはそう答える。

 お爺さんの質問に対して、レイジはスプーンを置いたまま、わずかに視線を落として言い淀む。

 実際、レイジとしては、ギャバンである事や、帝国の皇帝に喧嘩を売った事は伝えられないと思っていたのだ。

 

「なんだよそれ、歯切れ悪いなぁ……」

 

 それを聞いた青年はそんな風につぶやいた。

 すると。

 

「……そうか。まぁ、詮索は野暮というもんじゃな。世の中、人に言えない事情を抱えている奴なんていくらでもおる。ワシらの家に来たのも何かの縁じゃ。落ち着くまで、ここでゆっくりしていくといい」

「……おっさん、アンタ……」

 

 お爺さんは、レイジの鋭い目つきや、ただ者ではない身のこなしの残滓を見て、訳ありだと判断した。

 すると、そんな風に提案する。

 それを聞いて、レイジが目を見開くと。

 

「おっと、じいちゃん特製の特製ハーブティーでも淹れるか?」

「……ああ、ありがたくもらうよ」

 

 お爺さんは、明るい様子でそんな風に問いかける。

 それを聞いたレイジは、胸の奥がじんわりと熱くなるのを覚えつつ、そう答えるのだった。

 すると。

 

「そういや、2人の名前は聞いてなかったな」

「そうじゃったな。わしはマーリン=ウォルフォード。で、こっちがワシの孫のシンじゃ」

「シン=ウォルフォードだ!よろしくな!」

「おう。よろしくな」

 

 レイジは2人の名前を問いかける。

 それを聞いて、お爺さんはマーリン、青年はシンと名乗った。

 レイジはシンと握手をした。

 こうして、レイジはこの家でお世話になる事になった。

 


 

 レイジはシンとマーリンの2人のお世話になる事になった。

 その際、レイジはある人物と出会った。

 

「ふ〜ん……アンタがレイジだね」

「あ、ああ……」

 

 目の前にいるお婆ちゃんは、そんな風にレイジを睥睨しながら呟いた。

 彼女は、メリダ=ボーウェン。

 マーリンとは知り合いであり、度々マーリンの家に来るのだ。

 その為、メリダとも顔を合わせたのだ。

 すると。

 

「………まあ、アンタが訳ありだというのは分かったさね。ただし、お世話になるだけというのは許さないよ。家事とか、色々手伝ってもらうよ」

「ああ。勿論そのつもりだ。ただ世話になるだけのも、申し訳ないしな」

 

 メリダもまた、レイジが訳ありだと気づいたのか、そんな条件を出す。

 それに対して、レイジは了承する。

 流石に、ただでお世話になるのは申し訳なく感じたのか。

 

「ふっ!ふっ!」

「その調子じゃ」

 

 レイジは斧を手に取って、薪を割っていく。

 それを見て、マーリンはそんな風に言う。

 だが、マーリンはレイジの動きを見て、目を細めていた。

 しばらくすると。

 

「ほう!お前がレイジだな!」

「そうだが………アンタは?」

「俺はミッシェル=コーリング!マーリン殿とメリダ殿とは知り合いでな!」

 

 レイジの元に、1人の男性が現れる。

 彼は、ミッシェル=コーリング。

 マーリンとメリダとは知り合いの人物だ。

 

「お前さん、なかなかに戦闘経験を積んできたんだろう?」

「えっ?まあ………どうして分かったんだ?」

「分かるさ。体つきとかを見ていればな。だが、まだ荒削りなのが分かる。そこで、お前さんを鍛えようと思ってな!」

 

 ミッシェルは、レイジの体格や体の動かし方から、戦い慣れていると見抜いたのだ。

 荒削りなのを見て、鍛えようと思ったのだと。

 

「………いいのか?」

「ああ!」

「………なら、頼む。それと……マーリンさん、メリダさん。少し頼みがある」

「何じゃ?」

「私らもかい?」

 

 レイジがミッシェルにそう聞くと、ミッシェルは了承する。

 すると、ミッシェルと一緒にいたマーリンとメリダに話しかける。

 

「俺に……魔法を教えて欲しい」

「何?」

「アンタ……異空間収納を使えるんじゃないのかい?」

「確かに………異空間収納は使えるけど、それ以外の魔法はからっきしなんだ。少しでも魔法が使えた方がいいと思って………頼む」

 

 レイジは魔法を教えて欲しいと頼み込む。

 2人がそう聞くと、レイジはそう答える。

 実際、レイジは異空間収納は使えるが、他の魔法は使えないのだ。

 レイジがそう頼み込むと。

 

「………ふむ。ワシは構わんが………お前さんはどうじゃ?」

「そこまで真面目に頼まれると、断れないねぇ………だが、厳しく行くから覚悟しな!」

「ああ」

 

 マーリンはそう言うと、メリダはそう答える。

 そうして、レイジはマーリン達から色々教わる事になった。

 

「はぁ…………はぁ……………」

「どうした?こんな物か?」

「まだまだ…………!」

 

 レイジが息を切らす中、ミッシェルがそう聞くと、レイジはそう言って木刀を構える。

 レイジはミッシェルだけでなく、マーリンとは………。

 

「その調子じゃ。魔力の制御をもう少し出来るか?」

「こうですか?」

「その調子じゃ」

 

 マーリンは、魔力制御の事をレイジに教えていき、そこから魔法を教えていった。

 そして。

 

「そう。付与魔法はそんな感じにやるんだよ」

「はい!」

 

 メリダは、付与魔法をレイジに教えていた。

 レイジはマーリンとミッシェル、メリダから魔法や体術などを教わっていた。

 


 

 そんな日々を過ごして、しばらくが経ったある日。

 

「やぁ、来たぞ」

「ん?おお、ディセウムか」

「何だい?また来たのかい?」

「あ?」

 

 ある人物がやってくる。

 マーリンとメリダは、ディセウムという名前の人物にそう話しかける。

 レイジがそう反応する中。

 

「君がレイジ君だね」

「そうだが………アンタは?」

「私はディセウムだ。マーリン殿とメリダ師とは友人なんだ」

「はぁ………」

 

 ディセウムはレイジにそう話しかけ、レイジがそう聞くと、ディセウムはそう名乗った。

 そして、マーリン、メリダ、レイジ、ディセウムの4人はテーブルに座った。

 ちなみに、シンはミッシェルの稽古を受けていた。

 

「………それで、何の用で来たんじゃ?」

「それは………彼、レイジ=ウォーカー君に用があって来たんだ。我が国の諜報網に少々面白い………いや、放っておけない噂が入ってきてね。この目で直接確かめに来たのさ」

「レイジに?」

「ああ。単刀直入に聞こう。レイジ君。君は………ブルースフィア帝国の最高権力者であるヘラルド皇帝の顔に、消えない傷を刻みつけたそうだね?」

「っ⁉︎」

「ほう………」

「何だって?」

 

 マーリンがそう聞くと、ディセウムはそう問いかける。

 それを聞いて、レイジが驚く中、マーリンとメリダはそう反応する。

 レイジが身構えると。

 

「何、君をすぐに帝国の皇帝に突き出そうという訳ではない。何故、その様な事をしたのかを聞きたくてね。マーリン殿とメリダ師の話によると、君は真っ直ぐな性格だそうだからね」

「………別に、そこまでやるつもりは無かったんだ。穏便に済ませられれば、それでよかったんだけどな………」

 

 ディセウムはレイジを安心させる様にそう言う。

 ただ、何故そんな大それた事をしでかした理由を問いかけたのだ。

 それに対して、レイジはそう呟いた。

 そこから、レイジは帝国での動向を語った。

 レイジは、貴族と平民の格差に憤っていたが、自分に出来ることとして、平民のグループを密かに助けていた。

 だが、それがヘラルド皇帝にバレてしまい、レイジは平民のグループを助ける為に、囮となって逃した。

 その際、ヘラルド皇帝との問答の末、戦闘となり、ギャバンインフィニティに蒸着して、戦闘不能に追い込んで、皇帝の顔に傷をつけて、撤退したのだと。

 

「………そうか」

「なるほどのう………」

「それにしても………ギャバンだったかい?変な物を使っているだなんてね………」

「………流石に、こんな事を言えないと思ってな」

 

 それを聞いたディセウムとマーリンがそう呟く中、メリダはレイジが取り出したギャバリオントリガーとゲキドーエモルギアを見つめながらそう呟いた。

 実際、前文明については、メリダも過去に調べていた事があり、その産物が目の前にあるのだから。

 すると。

 

「………事情は分かった。だが、君のやった事は、帝国に喧嘩を売ったのと同義なのだぞ」

「………ああ。分かってる。もし、迷惑になるって言うのなら、ここから出ていくさ」

 

 ディセウムはそう語る。

 レイジのやった行動は理解出来るが、帝国に喧嘩を売ったのだと伝える。

 それを聞いて、レイジは場合によっては出ていく事を伝えると。

 

「………レイジ君。確かに、君の経歴は驚いたよ。じゃが………それは平民のグループを助けようと必死じゃったんじゃろ?」

「マーリンさん………」

「そうだねぇ………国のトップに攻撃したというのは流石に驚いたが………アンタは人を殺したりしてないんだろ?力を持ちながら、アンタは人を守る為に使った。そんな奴が………悪人とは思えないさ」

 

 マーリンとメリダの2人はそう告げる。

 帝国の皇帝に攻撃した事には驚いたが、それでも、人を殺していない事や、平民のグループを守ろうとして自らを犠牲にしようとする姿勢から、悪人とは思えないと感じていたのだ。

 すると。

 

「………レイジ君」

「ん?」

「我が国の立場としても、ブルースフィア帝国の覇権主義には頭を悩ませておってね。帝国に一泡吹かせ、皇帝の顔に傷まで残してきた若者が我が国の土を踏んでいる……これは、面白いくらいに状況証拠が揃っていると言えよう」

「………何が言いたい?まさか、俺を利用する気か?」

 

 ディセウムは穏やかな笑みを浮かべつつも、どこか含みのある視線をレイジに向けた。

 そんなディセウムの発言に、レイジが警戒心を出してそう聞くと。

 

「いやいや、利用などと大層なものじゃないさ。ただ、我が国としても帝国がこれ以上勢力を拡大するのは厄介なことでね。君が我が国にいること、そしてそこで平穏に暮らす分には、王として保護してやぶさかではないということだ」

「……保護、ねぇ」

「もっとも、帝国側もいつまでも指をくわえて見ているわけはあるまい。近いうちに、何らかの動きを見せるはずだ。……その時、君がどう動くかは君自身の自由だがね」

 

 ディセウムはそんな風に言う。

 つまりは、レイジがアールスハイド王国に居てもいいという発言だった。

 それを聞いたレイジは。

 

「……分かった。この国に厄介になる以上、迷惑は最小限に抑えるさ」

 

 レイジはそう答える。

 それを聞いて、ディセウムが満足そうに頷いていると。

 

「………というより、アンタ、何者だ?我が国とか言ってたが………」

「おっと。そういえば、言ってなかったな。我が名は………ディセウム=フォン=アールスハイド!アールスハイド王国の国王だ!」

 

 レイジはそんな風に話すディセウムを訝しんだのか、そう問いかける。

 それに対して、ディセウムはそう答えた。

 

「っ⁉︎アールスハイドの国王………⁉︎」

「驚かせたかね?私も、君が賢者マーリン殿と導師メリダ師に拾われていたとは思っても居なかったがね」

「賢者に………導師⁉︎それじゃあ………2人が………⁉︎」

「ほっほっほ。その通りじゃよ」

「まさか、気づいて居なかったのかい?」

「いや………同じ名前だなとは思って居たが………」

 

 レイジは、目の前の男がアールスハイド王国の国王であると知り、驚愕の表情を浮かべて居た。

 ディセウムもそんな風に呟くと、レイジは国を巡っている中で聞いた賢者マーリンと導師メリダがすぐそばにいた事に驚いて居た。

 レイジとしても、話には聞いて居た程度で、本人だとは思って居なかった様だ。

 すると。

 

「まあ、何。せっかくの紅茶が冷めてしまうぞ」

「あ、ああ………」

 

 ディセウムはそんな風にレイジに言う。

 レイジは困惑しながらも、紅茶を飲んだ。

 こうして、レイジは本当の意味で、マーリンとメリダの元で暮らす事になったのだった。

 


 

 ディセウムが帰った夜。

 レイジは自分の部屋で窓を開けて、風に当たって居た。

 

『あのディセウムって国王………ブルースフィアの皇帝と全然違うな………あの人なら、信用してもいいかもな』

 

 レイジはそう思っていた。

 ディセウム国王が、ブルースフィアのヘラルド皇帝と全く違う事を感じて、信用しようと思っていた。

 すると。

 

「よっ!」

「っ!シンか」

 

 レイジのいる部屋に、シンがやってきた。

 

「なんか、ディスおじさんが来てたけど、どうかしたの?」

「いや……ちょっと話をしてただけだ。そっちは?ミッシェルさんと稽古をしてたんだろ?」

「まぁね………」

 

 シンがそう聞くと、レイジはそんな風に答える。

 2人がそんな会話をする中、シンは口を開いた。

 

「なぁ、レイジさん……。あんた、時々すごく変なもの……この世界のものとは思えないような言葉や、知識を零すよな」

「……ん? まあな。色々としょっぱい旅をしてきたからさ」

「そうじゃなくてさ……例えば、頭の中で勝手に単位換算しそうになったり、電化製品とかプラスチックとか、そういうこの世界に存在しない言葉が自然に出てきたりさ」

 

 シンはそう聞くと、レイジはそう返すが、シンはそんな風に言う。

 シンのその言葉を聞いた瞬間、レイジはピクリと動きを止めた。

 そして、わずかに目を見開いて隣の少年を凝視する。

 

「……お前、今の……」

「やっぱり、そうなんだろ? レイジさんもさ」

 

 シンはクスリと笑いながら、レイジの方をまっすぐに向き直った。

 

「俺さ、前世の記憶があるんだよ。日本って国の、ごく普通のサラリーマンだった記憶がさ」

「……まじかよ」

 

 シンはそう明かす。

 レイジの口から、思わず素の驚きの声が漏れる。

 まさか、このファンタジー世界で、自分と同じように現代日本の記憶を持った「転生者」と出会うとは夢にも思っていなかったからだ。

 

「あぁ、本当だよ。だから、じいちゃんが教えてくれる魔法の理屈を聞いたときも、『これって物理の法則に似てるな』とか思って効率よくアレンジできたりしてさ。……あんたもだろ?その変な変身アイテム(ギャバリオントリガー)とか、超科学の武器とか、この世界の魔法じゃ説明がつかない技術を持ってるのは、そういうことだろ?」

 

 シンの問いかけに、レイジはしばらく呆気に取られたような顔をしたあと、やがてフッと力を抜いて大きく息を吐き出した。

 そして、どこかすっきりしたような笑みを浮かべる。

 

「……参ったな。完全に隠し通せてたと思ったんだが」

「隠すほどのことじゃないさ。同じ境遇の奴がこの世界にいるって分かっただけでも、なんだかちょっと安心したからさ」

「はっ、だな……」

 

 レイジは苦笑しながらそう呟くと、シンはそう言う。

 同じ「前世」を持つ者同士。

 どこか孤独を抱えてこの世界を渡ってきたレイジにとって、シンの存在は、想像以上に大きな救いとなったのだった。

 そして、レイジはシンに対して、ギャバンシステムについてや、前世での話で盛り上がったのだった。

 


 

 その頃、ディセウムの元に1人の男性が来ていた。

 

「……君の言う通りだったな。彼はギャバンシステムとやらを持っていたぞ」

「………やはりでしたか」

 

 ディセウムがそう言うと、その男性はそう答える。

 その男性は貴族のような服装を着ていた。

 すると。

 

「………それで、カレル。君は彼をどうするつもりなんだ?」

「………どうするも何も………彼に接触して、お願いをするつもりですよ。もちろん、私も協力する旨を伝えますが」

「………そうか。君の一族のご先祖が作った道具を彼が持っていたというのには、驚いたがな」

 

 ディセウムはカレルという名前の男性にそう問いかける。

 カレルはそんな風に答える。

 果たして、カレルは何者なのか。

 


 

 魔法などを教わりつつ、数年が経過した。

 色々な意味で肩の荷が降りたのか、レイジもだいぶ笑顔を見せるようになった。

 そして、この日はレイジとシンの成人祝いだ。

 レイジもまた、成人扱いとなったのだ。

 マーリンの家に、シン達が集まり、ディセウムが口を開く。

 

「この度、賢者マーリン殿のお孫さんであるシン君と、その友であるレイジ君が、めでたく成人した!それでは、シン君とレイジ君の15歳と成人を祝って、乾杯!」

「乾杯!」

 

 その乾杯の音頭とともに、食事が始まる。

 食事が進む中、メリダとマーリンが口を開く。

 

「あの赤ん坊だったシンが成人するとはねぇ………………」

「あっという間じゃったのぉ」

 

 その2人は、感慨深くそう言う。

 ディセウムは、シンとレイジの2人に話しかける。

 

「マーリン殿の魔法の卒業試験は無事にクリアか。おめでとう。シン君、レイジ君」

「ありがとう。ディスおじさん」

「2人とも立派な大人だ。何か、やりたい事はあるのか?」

「そうですね……。現状、何をやるのかは考え中ですね。魔物ハンターになるのもありだし、魔道具屋をやるのもありだし」

「俺は……どうしようかな」

 

 ディセウムは2人にお祝いの言葉をかけて、シンはそう答える。

 ディセウムの問いに、2人はそう答える。

 すると、ジークフリード=マルケスとクリスティーナ=ヘイデンが口を開く。

 

「そうだな。2人なら、魔物ハンターにもなれるだろうし、付与魔法で魔道具屋だって出来る。それに、それだけ男前なら、女の子と仲良くなって養って貰えるかもしれないだろ?」

「そんな考えを持っているのは、あなただけです」

「あぁん?」

「何か?」

 

 ジークフリードがそう言うと、クリスティーナはそう返して、お互いに睨む。

 それを見て、メリダは苦笑する。

 

「まあまあ。ジークもクリスもそう張り合わずに………………」

「この2人は相変わらずだな…………」

「そっか。これから、自分でお金を稼いでいくから、使い方も勉強しないとな」

 

 メリダとレイジがそう言うと、シンはそう呟く。

 すると、ジークフリードもクリスティーナも含めた周囲の人は、シンを見つめる。

 商人であるトム=ハーグが口を開く。

 

「まさかとは思いますが………シンさん、今まで買い物とかは……?」

「買い物はトムさんからしかした事ないですね。お金のやり取りは、爺ちゃんがしてたから、やった事ないです」

 

 トムの問いに、全員が驚く。

 メリダ、ミッシェル、レイジはマーリンの方を向く。

 

「マーリン……⁉︎アンタ……!」

「マーリン殿……これは……⁉︎」

「マーリン……⁉︎」

「そういえば、常識教えるの忘れとった!イッケネ!」

「何い〜〜〜〜〜〜〜っ⁉︎」

 

 メリダ達がそう聞くと、マーリンはそう言って、皆は驚いてシンを見る。

 どうやら、常識を教えるのを忘れていたようだ。

 全員が唖然となる中。

 

「そういえば……魔法ばっかで、その辺、何も教わってなかったわ……」

「……ま、何とかなるじゃろ」

 

 シンがそんな風に呟くと、マーリンは呑気にそう言う。

 ちなみに、レイジはメリダから常識を教わっているので、問題はなかった。

 


 

 その後、ある荒野へと移動する。

 その際、シンの転移魔法を使った。

 

「なっ⁉︎一瞬でこのような場所に…………⁉︎」

「まさか、転移?」

「シンのオリジナルじゃよ」

「これは、世界の流通を…………いや、常識そのものを覆しかねませんね」

「こんな魔法が使える時点で驚きだってのに……………」

「しかし、メリダ師。社会に出た後、シン君がどんなトラブルに巻き込まれるか分かりません」

 

 ディセウムとジークフリードが驚く中、マーリンはそう言う。

 これは、シンが開発した魔法であるゲートという魔法だ。

 それを聞いたトムは驚き、メリダは頭を抱えていた。

 ちなみに、レイジもそのシンが使った魔法は使用可能だ。

 すると、ミッシェルが口を開く。

 

「こんな場所に来るという事は、何か理由が?」

「まあ、周囲にこれくらい何も無いと危険じゃからのう」

「危険⁉︎」

「ほっほっほ。わしは知っておるからな。くれぐれも、驚かないように」

『なんか……凄い嫌な予感がするな……』

「シン。卒業試験の様に、あれをやるのじゃ」

「あれ?取り敢えず、火で良いかな?」

「ん?」

 

 ミッシェルがそう聞くと、マーリンはそう答えて、メリダが反応する。

 それを聞いたレイジはそんな風に思っていた。

 シンは、魔法を発動する。

 すると、周囲に青白い炎が現れる。

 

「青い炎なんて、初めて見たぞ⁉︎」

 

 それを見て、ジークフリードはそう叫ぶ中、レイジはどうなるのかを予想出来たのか、腕を組む。

 しばらくすると、シンは魔法を発射する。

 すると、とんでもない大爆発が起きて、全員が身構える。

 しばらくすると、煙が晴れて、とんでもない大きさの亀裂が出来上がっていた。

 

「今は、こんな感じかな」

「……⁉︎」

「あれ?どうしたの?皆」

 

 シンがそう言いながら振り向くと、レイジを除いた全員が唖然としていた。

 レイジは呆れたように頭を抱えていた。

 すると、メリダはマーリンに詰め寄る。

 

「マーリン!アンタ‼︎なんでこの子に自重ってもんを教えなかったのさ‼︎」

「確かにこれは……」

「ちょっと酷いですな……」

「ええ〜……皆して酷くね?」

「いや、そうなって当然だろ」

 

 メリダがマーリンに詰め寄る中、ディセウム達は小声でそう話す。

 シンがそう呟くと、レイジはそう返す。

 すると、メリダに体を揺さぶられているマーリンが口を開く。

 

「だって!教えた事は皆吸収しよるんじゃ!つい、どこまで出来るのか見たくなったんじゃもん!」

「何がじゃもんだい!気持ち悪いんだよ!」

 

 マーリンがそう言うと、メリダはそう叫ぶ。

 すると、ディセウム達が口を開く。

 

「これは、おいそれと世に出せなくなったな。これほどの破壊力を持った魔法に転移魔法。使い方次第では、世界征服すら可能なレベルだ」

「さらに、ミッシェル様に武術の稽古も付けて貰っています。近接戦も出来て遠距離の魔法はこの威力……………これが知れたら、各国がシンを取り込もうと躍起になりますね」

「そういえば、レイジもあんな魔法は使えるのか?」

「使えはするけど、あんな風にはやらねぇよ。流石に自重するって」

 

 ディセウムがそう言うと、クリスティーナはそう言う。

 ジークフリードは、レイジに質問して、レイジはそう答える。

 レイジもシンと同じ魔法を使えるが、流石に自重はする。

 そんな中、レイジの言葉を聞いていたディセウムがマーリンに言う。

 

「マーリン殿。少し話があるのですが……」

「ふぉ……ふぉ……その前に、この婆さんをなんとかしてくれんか……」

「誰のせいで締め上げられていると思ってるんだい!」

「婆ちゃん。そんなに興奮すると体に悪いよ」

「誰のせいだい!誰の‼︎」

 

 ディセウムがそう言う中、マーリンは顔を青くしながらそう呟く。

 メリダは叫び、シンがそう言うと、メリダがそう叫ぶ。

 メリダはマーリンを離して、ディセウムは口を開く。

 

「マーリン殿。シン君のチカラは正直異常……世の勢力分布を狂わせるほどです」

「加えて、シン君はこの森以外を知らない世間知らずです」

「このまま彼を社会に放り出したら、各国の思惑に踊らされかねない。特に軍事拡大を狙う帝国に知られれば、シン君を利用しようとするのは目に見えている」

「そうじゃのう……」

『……確かに、あの皇帝ならありえるかもな』

「そこで、考えがあります。シン君とレイジ君を、我が国にある高等魔法学院に入学させませんか?」

 

 ディセウムとトムはそう言う。 

 今のまま、シンを社会に放り出してしまっては、各国の思惑に巻き込まれたり、最悪は帝国に利用されかねないと。

 マーリンが何かを考える中、レイジはそう思っていた。

 ギャバンシステムの存在を知って、取り込もうとしていた事から。

 すると、ディセウムはそう提案する。

 それを聞いたマーリンは。

 

「……それは、お前の国にシンとレイジ君を取り込もうという考えか?」

 

 ディセウムの提案を聞いたマーリンは、言葉に怒気を含ませてそう聞く。

 その場には、一触即発の空気が満ちる。

 ディセウムはすぐに口を開く。

 

「シン君とレイジ君を軍事利用しない事は、この場で誓いましょう。私自身、甥っ子も当然の2人を戦いに巻き込みたくは無い。王都にある高等魔法学院は、中等教育が終わった者の中で、魔法が優秀だった者を更に鍛える為の高等教育機関。そこならシン君がいかに”一般の優秀な魔法使い”と比べて規格外か……知る事が出来るでしょう」

 

 ディセウムはそう言う。

 シンとレイジの2人を軍事利用しない事を伝えて、高等魔法学院に入れて、規格外っぷりを教えるのもありだと。

 それを聞いたシンは、レイジに聞く。

 

「なあ、俺、規格外だったの?」

「気づいていないのかよ……」

 

 シンがそう聞く中、レイジは呆れ気味にそう言う。

 そんな風にやり取りをする中、ディセウムはマーリンに言う。

 

「それに、シン君とレイジ君にとって、同世代の友人を得る良い機会になります。」

「なるほど……………確かに、一理あるが………。どうじゃ、シン、レイジ君?ディセウムの言う事は尤もじゃし、ワシらも良いと思うが」

「俺もそれで良いよ」

「俺も構わないぜ」

 

 ディセウムがそう言う中、マーリンはシンとタケルにそう聞く。

 それに対して、2人は了承する。

 すると、ディセウムが口を開く。

 

「入学後のク(・)ラ(・)ス(・)分(・)け(・)は、試験結果を元に決められるから、形式上、君たちにも入学試験を受けてもらう事になるだろう。我が国の魔法学院は、貴族の権威を一切受け付けない完全実力主義でね。私が便宜を図る事も出来んのだ」

「ちなみに、権威を利用した場合は?」

「厳罰に処する」

「恐っ!」

「優秀な魔法使いの芽を刈り取る行為だからな」

 

 ディセウムはそう説明する。

 シンとレイジの2人にも高等魔法学院の試験を受けてもらう事、便宜を図れない事を伝える。

 タケルがそう聞くと、ディセウムはそう答える。

 そんな中、シンはディセウムに聞く。

 

「……………ところで、さっきから便宜だとか厳罰とか………………ディスおじさんって、実は権威ある人なの?」

「おお。そういえば、言ってなかったな。私の本名は、ディセウム=フォン=アールスハイド。アールスハイド王国の国王だ」

 

 シンがそう聞くと、ディセウムはそう答える。

 ディセウムがアールスハイド王国の国王である事をカミングアウトした。

 それを聞いたシンは。

 

「まさかの王様⁉︎じ………じゃあ、クリスねーちゃんとジークにいちゃんは………⁉︎」

「私は近衛騎士団所属の騎士で、陛下の護衛としてここに居るの」

「俺は宮廷魔法師団所属の魔法使いさ。同じく、陛下の護衛だよ」

 

 シンが驚く中、クリスティーナとジークフリードも、身分を明かす。

 クリスティーナは近衛騎士団所属の騎士で、ジークフリードは宮廷魔法師団所属の魔法使いであり、2人とも、ディセウムの護衛としてここに来たのだ。

 それを聞いたシンは叫ぶ。

 

「えーーー!クリスねーちゃんは兎も角、ジークにいちゃんは嘘だぁ‼︎」

「待てコラ!嘘ってなんだ⁉︎」

「ふふ……………やはり、シンは見る目がありますね」

「なんだとコラ?」

「何ですか?あぁん?」

「落ち着いてくれって……………」

「じゃあ、ミッシェルおじさんは?」

「うん?もう引退したが、かつては騎士団総長をしていたよ」

 

 シンがそう叫ぶと、ジークフリードとクリスティーナはそんな風に反応する。

 そして、お決まりと言わんがばかりにお互いに睨み合う。

 レイジが落ち着かせようとする中、シンはミッシェルに聞くと、ミッシェルはそう答える。

 ミッシェルもまた、既に引退しているものの、騎士団総長をしていたのだと。

 それを聞いたシンは。

 

「なに……この王国の重鎮勢揃いな状況……ていうか、レイジは知ってたのかよ⁉︎」

「メリダさんとかが説明してくれたからな」

「本当に、何も話してないんだね」

「いやぁ……」

 

 シンが驚く中、レイジに聞いて、レイジはそう答える。

 それを聞いたメリダがマーリンを睨む中、シンはディセウムに聞く。

 

「でも、なんで王様がいつも爺ちゃんを訪ねてくるの?」

「マーリン殿が昔、魔物化した人、魔人を討伐した話は?」

「聞いてるよ」

「それは他でも無い、我が国での出来事だったんだ」

「え?」

 

 シンがそう聞くと、ディセウムはそう答える。

 レイジが驚く中、ディセウムは語っていく。

 かつて、アールスハイドに襲った国難の話を。

 魔物化した人である魔人が、アールスハイド王国に出現した。

 アールスハイド王国は、討伐隊を二度にわたって出したが、悉く返り討ちに遭い、一つの街が地図から消えた。

 この事態を受けて、王国は学徒出陣を決めた。

 

『聞いたかよ。再三送り込んだ部隊もほぼ全滅したって。高等魔法学院生にも討伐要請が来てるらしいぜ。…………ま、王太子にはカンケーない話か』

『……………』

 

 高等魔法学院の校舎から、負傷している兵士を見ながら、生徒の一人はそう言う。

 それを見て、ディセウムは黙り込んでいた。

 当時、王太子であったディセウムも、周囲の反対を無視して出陣する事にした。

 

『討伐隊に志願した⁉︎ディセウム!お前自分の立場を分かって…………⁉︎』

『友人達が死地に赴こうとしているのに学院のトップの私には安全な場所に居ろと⁉︎ここは実力主義の学院ではなかったのですか⁉︎』

 

 当時の国王はディセウムにそう言うと、ディセウムは総返した。

 だが、プライドだけがそう言わせたものの、彼には恐怖心があり、一人になると手が震えていた。

 そして、ディセウム達は魔人の討伐に赴いた。

 だが、返り討ちに遭い、ディセウムも死にかけた。

 そこに、マーリンとメリダがやって来て、メリダは魔道具で防御して、マーリンが攻撃した。

 その攻防の末、魔人は討伐された。

 

「……それがマーリン殿とメリダ師だ。その活躍ぶり……憧れすら覚えたものだよ」

「凄かったんだね!爺ちゃんも婆ちゃんも!」

「そうだな!」

「……まあ、若気の至りじゃ」

「アタシはまだ、捨てたもんじゃないだろ?」

 

 ディセウムはそんな風に言う。

 その表情は、憧れの色が浮かんでいた。

 シンとレイジがそう言う中、マーリンは照れて、メリダはそう言う。

 すると、ディセウムが口を開く。

 

「魔人を倒した上、王太子である私を救った事で、国から英雄として取り上げられてな。以来、マーリン殿とは立場を越えた友人として付き合いが続いている。今もちょくちょく政治の愚痴を聞いてもらっとるんだ」

「愚痴を言いに来てたのかよ…………」

「国の政治は私の仕事だ。マーリン殿にはその責任を負わせられんよ。…………そういう訳で、大恩ある人たちの孫とお孫さんの親友を利用する気などある訳がない。安心して、王都に来たまえ」

 

 ディセウムがそう言う中、レイジはそう突っ込む。

 国のトップが、英雄とはいえ一般人のマーリンの元に赴き、政治に関する愚痴をしている事に。

 ディセウムはそう言いつつ、シンに向かって口を開く。

 

「……にしても、私が王と分かっても、君達の態度は変わらんな」

「だって、昔から知ってるおじさんだし……」

「まあ、今更だしな」

「はっはっは!よいよい!気にするな!」

「ところで爺ちゃん達、昔一緒にパーティー組んでたんだね!」

 

 ディセウムがそう言うと、シンはそう言って、レイジは諦め気味にそう言う。

 レイジもまた、ディセウムが国王である事を知っていたのだが、もう慣れてしまったのだ。

 そんな風に言う二人に対して、ディセウムはそんな風に笑いながら言う。

 シンがマーリンとメリダにそう言うと、2人は視線を逸らす。

 

「え?何?」

「シン、知らなかったんだな」

「一緒のパーティーというか、お二人は元夫婦ですよ?」

「え?え?え⁉︎マジ⁉︎」

 

 気まずい雰囲気を浮かべながら視線を逸らすマーリンとメリダを見て、シンは首を傾げる。

 すると、レイジとクリスティーナはそう言うと、シンは叫ぶ。

 


 

 その夜、シンとレイジは話していた。

 

「おい、レイジ!色々と俺が知らなくて、お前が知ってる事が多すぎないか⁉︎」

「マーリン殿にメリダ師に聞かなかったじゃん。それよりも、魔法学院か。楽しみだな」

「誤魔化したな。………………まあ、俺も楽しみだよ。何せ、この世界に転生して、初めて王都の方に向かうんだからな」

「そうだな」

 

 夜の静けさの中、レイジはベッドの上で腕を組みながら、しみじみと息を吐き出した。

 まさか山奥でのんびり暮らしていたはずが、気づけばアールスハイド王国の国王を交えて一大国家プロジェクトのような話になり、さらに自分たちと同じ「転生者」であるシンと共に、王都の高等魔法学院へと進学することになるとは………。

 数年前の過酷な逃亡生活の最中には、夢にも思わなかった展開だった。

 

「……にしても、王都か」

 

 レイジが呟くと、シンは窓の外に広がる夜空を見上げながら、どこかワクワクした笑みを浮かべる。

 

「あぁ。同世代の奴らと会うのも初めてだし、どんな奴らがいるのか楽しみだしな。……まぁ、俺がうっかり加減を間違えて校舎を吹き飛ばさないように気をつけないとだけどな!」

「……頼むから、そこは死んでも自重してくれよ。せっかくの学院生活が初日でボコボコにされるのはごめんだぜ」

 

 呆れたように肩をすくめるレイジだが、その口元には自然と笑みが漏れていた。

 帝国での追っ手や、皇帝との因縁という重い影は今も消えたわけではない。

 だが、この温かい王国で、こうして新たな仲間や目的地を得られたことは、確実にレイジの心を軽くしていた。

 


 

 それから半月後、レイジ達は、アールスハイドの王都へと向かう事に。

 馬車には、レイジとシンだけでなく、マーリンとメリダも居た。

 ただ、マーリンとメリダに関しては、気まずそうにしていたが。

 

「ねえ、爺ちゃん。王都にある家って、どれくらいの大きさなの?」

「覚えておらんの。国から下賜されたもんじゃから、大きかったとは思うが」

「そうか。異空間収納があると、引っ越しが楽だよな」

「婆ちゃん。一緒に住んで欲しいなんて無理言ってごめん。でも、来てくれてすっごく嬉しいよ」

「まあ、この爺さんに任せるのは、心許ないからね」

 

 シン達は、そんな風に話す。

 ちなみに、荷物自体は異空間収納に入れており、身軽に動けていた。

 シンがメリダに対してそう言うと、メリダは照れくさそうにそう言い、マーリンは口を尖らせる。

 しばらくすると、王都に到着する。

 だが、まだ入り口付近に止められていた。

 入国審査待ちの列に入ったからだ。

 

「人が増えてきたね。」

「やれやれ……………入国審査待ちの列じゃ」

しばらくすれば、進むんじゃねぇか?」

 

 シン、マーリン、レイジの三人は、そんな風に話す。

 すると、係員がやってくる。

 

「失礼。身分証の提示をお願いします」

「これで良いかの?」

「はいよ」

「……っ⁉︎けっ……け、賢者マーリン殿と、導師メリダ殿でありますか⁉︎」

 

 係員は、身分証の提示を求めると、マーリン、メリダが提示する。

 すると、係員が大声で叫ぶ。

 

「導師ぃ⁉︎け、賢者ぁ⁉︎」

「そんな風に呼ばれてるんだな」

「若気の至りじゃ」

「若気の至りさね」

 

 シンとレイジがそう言うと、2人はそう言う。

 若気の至りだと。

 その係員の叫び声は周囲に広まり、周囲の人たちが騒ぎだす。

 

「賢者様がおられるの⁉︎」

「導師様もいらっしゃるって…………!」

「ぜひ、一目……………!」

 

 そんな風に騒ぎだし、マーリン達が乗っている馬車に人が迫りつつあった。

 それを見て、マーリンは係員に話しかける。

 

「すまんが、これ以上騒ぎを大きくしたく無い。通って良いかの?」

「はっ!もちろんです!ところで、こちらのお坊ちゃん達は……?」

((お坊ちゃん……………⁉︎))

「シン=ウォルフォードと、レイジ=ウォーカー。ワシらの孫と、その親友じゃ」

 

 マーリンがそう言うと、係員はそう聞いて、マーリンはそう答える。

 


 

 一方、時間はシン達が王都に到着する直前まで遡る。

 

「うーん…………どっちが似合うかなぁ…………」

 

 とある屋敷にいる青髪の女の子は、二つの服を持って鏡を見ながら悩んでいた。

 彼女は、アールスハイドにある貴族の家系の一つ、クロード子爵家の令嬢、シシリー=フォン=クロードだ。

 彼女は部屋で服を選んでいた。

 すると。

 

”コツン”

 

 そんな音と共に、窓に小石が当たった。

 

「シシリー!準備出来たー?」

 

 シシリーが外を見ると、赤髪の女の子が小石を持ちながらそう言う。

 彼女は、シシリーと同じく、アールスハイドにある貴族の家系の一つ、メッシーナ伯爵家令嬢のマリア=フォン=メッシーナ。

 シシリーとは幼馴染みなのだ。

 

「ち、ちょっと待って!すぐに行くから!」

 

”ドンガラガシャーン!”

 

 シシリーはそう叫ぶと、すぐに準備をする。

 凄まじい音が出ていて、マリアはなんとも言えない表情を浮かべる。

 シシリーは、服を着てマリアと合流した。

 

「お待たせー!」

「じゃあ行こっか。今日は久し振りのお買い物だからね!アチコチ回るわよー!」

 

 シシリーがそう言うと、マリアはそんな風に言う。

 ゴゴゴゴと燃えるマリアに、シシリーは少し引いてた。

 そこから、シシリーとマリアはショッピングを楽しんで行った。

 しばらくして、二人はカフェで一休みしていた。

 

「はーあ、何時か彼氏とこうやって買い物行きたいなぁ〜…………」

「そう?私はマリアと一緒に買い物するの楽しいよ?」

「そりゃ私だってそうよ。でも憧れるじゃない?買い物デートって…………」

「そうなの?」

 

 マリアはため息を吐きながらそう嘆くと、シシリーはそうフォローする。

 マリアがそう言うと、シシリーは首を傾げていた。

 それを聞いたマリアは。

 

「はぁ………これだからこの子は………。『初等学院の頃からこの子はこう言う話にはてんで関心が無いのよねぇ…………。好きな男子を聞いても…………』」

 

『好きってよく分からない…………』

 

「『だし………ま、そこが悪い所でもあり、良い所でもあるんだけど…………』そう言えば…………」

「?」

 

 マリアはそんな風に思っていた。

 自分の幼馴染は、色恋には全く興味がないのだと。

 マリアとしては、それがシシリーの良さでもあり、悪い所でもあると思っていた。

 すると、マリアは話題を変えた。

 

「最近、王都に戻っていらした賢者様と導師様に男の子のお孫さんと、そのお孫さんの友人が居るの知ってる?」

「そうらしいね」

「それが何と私達と同い年で、今度、アールスハイド高等魔法学院の入学試験を受けるらしいわよ!」

「へぇ…………そ、そうなんだ」

 

 マリアは、マーリンとメリダが、孫と孫の親友を連れて王都に戻ってきた事を伝える。

 そして、高等魔法学院の入学試験を受ける事も伝える。

 それを聞いて、シシリーは他人事の様に言う。

 それを聞いたマリアは。

 

「何よ、気にならないの?」

「だって、その人達知らないし…………」

「私だって知らないわよ。でも”あの”賢者様達のお孫さんなのよ?どんな人か気になるでしょ?」

「そうかなぁ…………?」

 

 マリアがそう聞くと、シシリーはそう答える。

 シシリーとしては、賢者の孫がどんな人物かはあまり気になっていない模様。

 知らないからという理由で。

 シシリーが首を傾げる中、マリアは呆れた様に口を開く。

 

「全く…………そんなんだから何時までたっても好きな男の1人も出来ないのよ…………っ!あ、これは…………」

「…………だって、好きってよく分からないよ………。お父様やお兄様に対する好きとは違うんだよね?」

「一緒だったら大問題よ…………」

「やっぱりよく分からないなぁ…………」

 

 マリアが呆れた様にそう言うと、シシリーはそんな風に口走る。

 それを聞いて、マリアが突っ伏す中、シシリーは首を傾げる。

 マリアはシシリーに質問をする。

 

「なら、シシリーの理想の人ってどんな人なのよ?」

「理想?」

「恋した事なくても、こんな人が良いなぁ〜ってのあるでしょうよ」

「うーん………優しい人が良いのかなぁ………?」

「何で疑問形なのよ」

 

 マリアは、シシリーの理想の人を聞いてみた。

 それに対して、シシリーは疑問形でそう言い、マリアはそう突っ込む。

 シシリーはほっぺを膨らませると、口を開く。

 

「むー。じゃあマリアの理想の人ってどんな人なのよぉ」

「私?そりゃやっぱり、見た目は格好良いに越した事は無いわね」

「あるんだ…………」

「それで剣か魔法の達人でー、しかもお金もすっごい持っててー、それでいて、私以外は眼中に無い男かな?」

 

 シシリーがそう聞くと、マリアは己の理想の男性のタイプを口にしていく。

 マリアの理想の男性のタイプというのは、なかなかに要求するステータスが多い物だった。

 それを聞いて、シシリーは口を開く。

 

「そんな人居るの…………?」

「だから理想なんじゃない!そんな男が沢山居たら、お姉様みたいな独身女なんて居なくなるっての!」

「それ聞かれたら殺されるよ?」

 

 シシリーがそう聞くと、マリアはそんな風に言う。

 すると、シシリーはそんな風に言う。

 マリアの姉も、婚期を逃しそうなのを気にしているのか、男を必死に探していた。

 姉の逆鱗に触れる事を想像したのか、即座にマリアは口を開いた。

 

「…………絶っっっっ対内緒だからね〜⁉︎」

「えー?どうしようかなー?」

「何でも言う事聞くからお願い〜!」

「じゃあ、今日のカフェ奢りねー?」

「ちぇー、余計な事言うんじゃなかったー!」

「得しちゃったかな?」

「はいはいそーですねー…………」

 

 マリアはシシリーに対して、口止めを頼んだ。

 シシリーがそう言う中、マリアは交渉して、奢る事になった物の、口止めには成功したのだった。

 満面な笑顔のシシリーを見て、マリアは微笑んだのだった。

 二人はカフェを後にした。

 

「あーあ、何時か運命の人が現れるのかしら?」

「そうだねぇ。現れるかなぁ?」

「あは。アンタはまず恋を知る所からでしょ?」

「むー…………」

 

 シシリーとマリアはそう話しながら移動していく。

 すると、二人の横を馬車が通り、シシリーはその馬車を見る。

 

「あっちが舞台やっててー…………」

 

 マリアがそう言う中、シシリーは馬車を見ていたが、すぐにマリアの元に向かう。

 その馬車には、シン達が乗っていた。

 

「凄いや。これが王都かぁ」

「賑やかだな」

 

 2人はそう呟く。

 向かっているのは、マーリン達のかつての家だった。

 ちなみに、街は王城を中心に区画分けされており、マーリン達のかつての家は、平民達の区画と、貴族や豪商達の区画の間らしい。

 しばらくすると、大きい家の前に着く。

 

「でかっ!俺たち、こんな所に住んで良いの⁉︎」

「住んで良いっていうか、もともとアタシらの家だよ、ここは」

「へぇ…………………」

 

 シンとレイジは、そう驚く。

 それに対して、メリダはそんな風に言う。

 かつて、アールスハイド王国に現れた魔人を倒した際に、報酬としてもらった家なのだ。

 中に入ると、多数の人が居た。

 

「お帰りなさいませ!」

「え⁉︎何これ⁉︎え⁉︎」

「ディセウムが派遣してくれた様じゃのう」

「これがあるから、ここは嫌なんさね」

「マジか……」

 

 使用人達はそんな風に言う。

 それを見て、シン達はそんな風に反応する。

 シンとレイジが驚く中、マーリンとメリダはなんとも言えない表情でそう呟く。

 

「メイド長のマリーカでございます」

「執事のスティーブと申します」

「料理長のコレルです」

「り……………料理人まで居るの!?俺、家の事何したら……………」

「これは……………」

「シ(・)ン(・)様(・)とレ(・)イ(・)ジ(・)様(・)は何もなさらなくて結構です。全て私どもにお任せください」

 

 使用人達の代表は自己紹介をする。

 それに対して、シンとレイジがそう言うと、マリーカはそう言う。

 それには、2人は驚く。

 

「シン……様ぁ⁉︎」

「俺もか………」

「皆が尊敬する英雄様のお孫さん方です。当然のお呼びの仕方かと」

「で、でも、今まで全部自分でやってたんだから……………」

「私どもも、陛下より御下命を受けて参っておりますので。ましてや、英雄様のご家族なのです。無下に扱う事など、我々に出来るはずもございません」

 

 シンとレイジがそう言うと、マリーカとスティーブはそう言う。

 英雄の家族なのだから、無下に扱う事はできないと。

 2人が唖然としている中、マーリンが話しかける。

 

「まあ、そういう事じゃ。後の事はワシらに任せて、シン達は街を見てきたらどうじゃ?」

「そうするよ」

「おう」

 

 マーリンがそう言うと、シンとレイジは、街へと向かう。

 ちなみに、シンはマーリンからお小遣いを貰ったが、レイジは以前、買い出しをした時の余りを貰っており、それを使う事に。

 

「この世界のお金って、硬貨のみなんだな……………」

「ああ」

 

 2人はそう話して、串焼きの肉を購入して、食べ歩く。

 しばらくすると、魔道具屋を見つける。

 

「ここは……………魔道具屋か」

「みたいだな」

 

 2人は中に入ると、店の品を見る。

 そんな中、シンは店主に話しかける。

 

「試して良い?」

「良いけど、大事に扱ってくれよ。一級品揃いなんだから。」

『吸引の魔法がついた手袋か。お値段は高めだな』

 

 シンが店主に話しかける中、レイジは手袋を見て、そう思う。

 シンが使うと、リンゴを一個だけ引き寄せた。

 それを見たシンは、即座に手袋を捨て、逃げ去っていく。

 

「あー!こらーっ!」

「ごめんなさい!ごめんなさい!」

 

 店主が怒鳴る中、レイジは店主に謝る。

 対処した後、シンの方へと向かう。

 

「シン!お前、何やってんだよ!」

「だって、思いのほかしょぼかったし……………」

「だからって、そのままにして逃げるバカが居るか!」

 

 レイジはシンに怒鳴っていた。

 いくらしょぼかったとは言え、そのままにして逃げる真似をしたシンに対して。

 すると、ある行列が目に入る。

 

「ん?あの……………これ、何の列ですか?」

「随分と並んでいるな」

「舞台さ!『賢者マーリンと導師メリダの物語』!」

「ええ〜〜〜〜〜っ⁉︎」

 

 シンとレイジが行列に並んでいる男性にそう聞くと、男性はそう答えて、シンは叫ぶ。

 2人はその場から去り、観光を再開する。

 すると。

 

「いや!やめて下さい!」

「アンタ達!良い加減にしなさいよ!」

「ん?」

 

 そんな叫び声がしてきて、レイジとシンが声のした方を向く。

 すると、2人の女の子が男3人に絡まれていた。

 

「おぉ、こわ。そんな怒んなよ。一緒に遊ぼうって言ってるだけじゃん」

「良い事教えてやっからさぁ。気持ち良〜いことをよ」

『おお……この世界にもこんなテンプレな展開が……』

『いかにもチンピラみたいな奴らだな』

「良いから来いっつってんだよ!」

「きゃあっ!誰か……………!」

 

 男達がそう言うのを見て、シンとレイジがそう思っていると、男達は女の子達を無理やり連れて行こうとする。

 周囲は、見て見ぬふりをしていた。

 関わらない様にする為に。

 レイジとシンは話す。

 

「どうする?」

「困ってるからな。助けるぞ」

「あいよ」

 

 2人はそう話して、口を開く。

 

「あー……そこのお嬢さん方。お困りですか?」

「はい!超お困りです‼︎』

『どんな返事の仕方だよ……』

 

 シンがそう言うと、片方の女の子がそう叫ぶ。

 レイジがそう思っていると、男達が2人に絡む。

 

「何だぁ?ガキ!なんか用か!正義の味方気取りかあぁ⁉︎」

「俺らはいつも魔物狩ってこいつらを守ってやってんだ!正義の味方は寧ろ俺らの方だろ!」

「ヒャッハッハッハッハ!」

「お兄さん達、魔物を狩るのは正義の味方かも知れないけど、女の子まで狩っちゃったら悪人だよ?」

「そんな事をしてる暇があるなら、さっさと魔物を狩ったらどうだ?」

 

 男達がそう言う中、シンとレイジはそう返す。

 ナンパしてる暇があるなら、魔物を倒してきたらと。

 それを聞いた男達は、ブチ切れた。

 

「んだと、ガキコラァ!」

「死ねやっ!」

 

 男達は、シンとレイジに攻撃しようとする。

 だが。

 

『えぇ〜〜〜何これ……!遅っ』

 

 殴り掛かろうとする男の腕をシンが掴んで、そのまま地面に叩き落とした。

 それを見たシンは、レイジに聞く。

 

「あれ⁉︎受け身とらないの⁉︎この人、死んで無いよね?」

「大丈夫だろ。片方は任せる」

「お、おう……」

「て……てめぇっ!」

 

 シンは受け身を取らない事に驚きつつ、レイジにそう聞くと、レイジはそう答える。

 2人がそう話す中、男の1人がシンに向かうが、あっさり投げ飛ばされ、ダウンする。

 もう1人は剣を抜いて、レイジの方に向かう。

 だが、レイジはあっさりと躱す。

 

「このっ!ちょこまかと……………!」

「ふっ!おらっ!」

 

 男が毒づく中、レイジは膝蹴りをして、剣を吹き飛ばし、ボレーキックを頭に叩き込んで、意識を刈り取る。

 シンとレイジはある事を思っていた。

 

『ミッシェルさんの修行に比べれば、遊びみてーなレベルだな…………』

『他愛ねぇな。まだ魔物の方が手応えがあったな』

 

 そんな風に思っていた。

 二人とも、ミッシェルによって鍛えられたのもあって、男達は相手にならなかったのだ。

 駆け寄ってきた2人の少女に話しかける。

 

「大丈夫?怪我してない?」

「あ、はい平気です!あなた達こそ大丈夫⁉︎」

「何が?」

「だってあいつら、剣まで抜いて……!」

「あんな遅い斬りかかり、当たるわけないよ」

「え……?結構鋭いと思ったんですけど……」

 

 シンがそう聞くと、赤髪の女の子がそう聞いてきて、レイジはそう答える。

 もう1人の青髪の女の子がそう言う中、シンはそちらを見ると、雷が落ちたような錯覚を感じる。

 何故なら、見惚れてしまったからだ。

 

「どうかしましたか?」

『か……………可愛すぎる……………!』

『あ。一目惚れしたな』

 

 シンがそう思う中、レイジはそう思うのだった。

 こうして、王都の街角で起きた小さなトラブルをきっかけに、運命の出会いを果たしたシンとレイジ。

 だが、この出会いが、のちにアールスハイド王国全体を揺るがす学院生活の幕開けになるとは、この時の彼らはまだ知る由もなかった




今回はここまでです。
今回は、王都に向かうまでの話です。
レイジにとっても、肩の荷が降りる出来事がいろいろとありました。
そして、王都でシンは運命の出会いを果たす。
レイジのヒロインについては、色々と考えています。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
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