賢者の孫with超宇宙刑事ギャバンインフィニティ 作:弩城怜慈推し
これは、シンがシシリーの護衛を引き受けた数日後の話である。
「ただいま、爺ちゃん、婆ちゃん」
「おお、おかえり、シン。レイジ君」
「おや、もうそんな時間かい」
「おかえり、レイジ」
「おう」
「お邪魔します。賢者様、導師様」
「お、お邪魔します」
ある日、高等魔法学院から帰ってきたシン達。
マーリンとメリダとリアムがそう反応する中、レイジ、マリア、シシリーはそんな風に言う。
レイジとマリアが用を足す中、シンとシシリーはお茶を飲んでいた。
すると。
「ふふ」
「どうした?シシリー」
「いえ。お父様の事を思い出してしまって……お父様ったら、私が毎日マーリン様やメリダ様にお会いしているのが羨ましいんだそうです」
シシリーが何かを思い出したかのようにそう笑うと、シンはそう聞く。
シンの問いに対して、シシリーはそう答える。
「そうなの?俺にとっては、ただの爺ちゃんと婆ちゃんなんだけど……」
「それはそうですよ。だって、シン君は家族じゃないですか」
「そりゃそうか。はは……」
シンが首を傾げながらそう言うと、シシリーはそう指摘する。
そんな風に和やかに会話が弾む中、扉の影からメリダが2人を見つめていた。
すると。
「ふぅ〜、やっぱりこの家の洗浄機付きトイレは最高ねぇ〜。文化の極みだわぁ〜」
「だな」
「ちょいとマリア、レイジ。こっちに来な」
別々のお手洗いから、マリアとレイジが手を拭きながら出てくる。
すると、2人にメリダが話しかける。
「はい?何でしょうか導師様」
「その導師様ってのは止めとくれ。メリダで良いよ。それより、アンタ達に聞きたい事がある」
「あ、トイレなら素晴らしいですよ!ここのトイレを知ってから家のトイレが物足りなくって……」
「それには完全に同意するけど、そんな事じゃないよ。あの2人……特にシシリーの方はどんな様子だい?」
メリダは、マリアにそう聞く。
部屋で話し合ってるシンとシシリーをこっそり見ていたのだ。
ちなみに、ウォルフォード邸にあるトイレは、シンが前世の記憶を元に製作したものだ。
それを見たマリアは答える。
「様子…………あっ!そう言う事ですか。一目も憚らずにイチャイチャしてますよ」
「そうかい!じゃあもう付き合ってるんだね⁉︎」「それが……そう言う訳でもないぞ」
「っ⁉︎どう言う事だい?」
マリアはそれを見て察し、そう答える。
それを聞いたメリダがそう反応すると、レイジは否定して、メリダはそう聞く。
すると、マリアが口を開く。
「何て言うか…………お互い好意を持っているのは間違いないんですよ。でもシンの方はシシリーが優しいからそう言う態度を取ってると思ってますし、シシリーに至っては自分の気持ちが恋心だと気付いてないですね」
「何だいそれは?」
「シシリーってあの容姿にあの性格ですからね。昔から男子にモテたんです。告白もたくさんされてたんですけど、受けた事がないんです。その感情が解らないって……」
「って事は……」
「これが、初恋でしょうね」
マリアは、そんな風に答える。
幼馴染で、シシリーの事を見てきたマリアには分かるのだ。
シシリーは恋に自覚が無く、これが彼女にとって、初恋なのだと。
「へぇ〜……随分と遅い初恋だね」
「うおっ⁉︎リアム、いつの間に⁉︎」
「なんか……面白そうな話をしていたから」
すると、リアムはそんな風に言う。
いつの間に現れたリアムを見て、レイジが驚く中、リアムはそう言う。
「まあ……話を戻して……シシリーは、恋を知らずにここまで来ちゃったから……余計に自分の感情が分かっていないんだと思います。シンが告白でもしてくれたら、また違うんでしょうけどね……」
「全く!毎度、とんでも無い事やらかす癖に、肝心な所でヘタレだね!」
「エッキシ!……?」
マリアは話を修正しつつ、そう語る。
シシリーは恋を知らずに生きてきたのもあってか、自分の感情が分からないのだと。
それを聞いたメリダがそう毒づくと、シンはくしゃみをする。
シンが首を傾げる中、メリダは口を開く。
「ヘタレのシンは置いといて……まず、シシリーに自分の恋心を気づかせる必要があるね。……マリア、ちょっと耳貸しな」
「はい……?」
メリダは、シシリーに自分の恋心を気づかせる必要があると判断した。
すると、何かを思いついたのか、マリアに耳打ちをする。
それを見ていたレイジとリアムは。
「……どうする?介入する?」
「そうだな……まあ、女性の恋心については、あの2人に任せておけば大丈夫だろ」
「そうだね。それで、色々と相談があって……」
「おう」
レイジとリアムは、関わらない方針にした。
そうして、相談を話し合いながら、レイジの自室へと向かっていった。
それからしばらくすると。
「……シシリー、そろそろ帰ろっか」
「あ、マリア。メリダ様と何をお話ししてたの?」
「シンの魔法は参考にならないから、メリダ様にコツを教わってたの」
「え〜〜?」
「悪かったな……」
マリアがそう話しかけると、シシリーはそう聞く。
マリアの答えにシシリーがそう反応する中、シンはそう呟いた。
「じゃあ、シン。ゲートお願いできる?」
「おう」
マリアがそう言うと、シンはゲートの魔法を発動する。
それを見ていたマーリンは。
「……ワシにはコツを聞いてくれんのかの……。自信無くすわい……」
「あははは……」
「どんまい」
「……」
マーリンがそんな風につぶやく中、メリダは黙っていて、リアムは苦笑し、レイジはマーリンの肩に手を置く。
一方、シンはシシリーとマリアを送り届けていた。
「じゃあ、2人とも。また明日な」
「はい。また明日」
「あ、シン。ちょっといい?」
シンがそう言い、シシリーがそう答える中、マリアはそう話しかける。
「あのさ。明日、学院が終わってからちょっと付き合ってくれない?」
「……え?」
「買い物付き合って欲しいのよ。シシリーを連れてくのは、まだ危ないし」
マリアがそんな風に言うと、シシリーは呆気に取られる。
マリアがそう言うと、シンに楽しそうに話しかける。
それを見たシシリーは。
「そ……そんな事ないよ、マリア!私も一緒に行くよ!」
「メリダ様もまだ止めといた方がいいって言ってたし……シシリーはシンの家で待ってね。マーリン様やメリダ様、レイジとかがいるから大丈夫だろうし」
「……そ……そんな……『シン君……が……マリアと……2人で……』」
シシリーはそんな風に言うと、マリアはそう指摘する。
またいつカートが現れるのかが分からない以上、気軽に買い物ができない事をメリダも考えている事を伝えられ、シシリーは何も言えなくなってしまう。
シシリーが沈んだ表情を浮かべる中。
「じゃあ、シン!明日、よろしくね」
「……え?あ……ああ……」
「またね、シシリー。『ごめんね……シシリー……』」
マリアがシンをゲートに押し込む中、シンは困惑していた。
そして、落ち込んでいる様子のシシリーをチラリと見て、マリアは心の中でそう謝っていた。
その翌日、授業が始まった。
「……では、この問題……クロード。……クロード?おい?」
アルフレッド先生が教鞭を取る中、シシリーに呼びかける。
だが、シシリーはどこか上の空だった。
「シシリー殿!」
「え?あ……はい!ごめんなさい!」
トールが話しかけると、自分が指されたことに気づいて、シシリーはそう謝る。
問題に答えた後も、シシリーは落ち込んでいた。
「どしたの?シシリー」
「?」
それを見て、アリスとリンは首を傾げていた。
すると。
「ねぇ、レイジ君。シシリー、何かあったの?」
「いや……俺にも分かんねぇ」
フルールはレイジにそう話しかけると、レイジはそう答える。
事実、メリダとマリアが何かを考えての行動をしたと分かってはいるが、何をしたのかは分かっていないからだ。
放課後、シン、シシリー、マリア、レイジはウォルフォード邸に戻った。
だが、シシリーは落ち込んだままだった。
「……大丈夫か?シシリー?」
「……はい……気をつけて行ってきて下さいね……」
「婆ちゃん、レイジ。シシリーの事、頼んだよ」
「任せときな」
「ああ」
シンがシシリーを気遣ったのか、そう話しかける。
シシリーがそう答える中、シンがそう話しかけると、メリダとレイジはそう答える。
シンとマリアが買い物に出かける中、シシリーは客間で落ち込んでいた。
そんな中。
「……それで、メリダさん。一体何を企んでいるんだ?」
「アンタは口出しするんじゃないよ。私に任せな」
「……そうだな」
レイジはさりげなく、メリダにそう聞く。
シシリーの落ち込み様から、何かを実行したのかは分かっていたのだ。
それに対して、メリダがそう言うと、レイジはあっさり引き下がった。
すると。
「……なんだい。そんなに暗い顔して。シンがマリアと出かけるのが嫌なら、はっきりそう言えばよかったじゃないか」
「っ!そっ……そんなんじゃ……」
「分からないとでも思ってるのかい?シンが自分以外の女と一緒にいる事が嫌でしょうがないって顔してるよ」
メリダはそう話しかける。
シシリーがそう反論しようとすると、メリダはそう指摘する。
シシリーがハッとする中、シシリーの目から涙が溢れていく。
「……なんで泣くんだい?」
「だ……だって……マリアは生まれた時からの親友なのに……シン君と2人でお買い物行って欲しくないって……私が一緒に行きたかったって……そ……そんな事ばかり浮かんで……」
メリダがそう聞くと、シシリーは涙を流しながらそう語る。
マリアとは、生まれた時からの親友なのだが、シンと2人で買い物に行って欲しくないという感情が浮かんできたのだ。
すると。
「……それが……独占欲ってもんだろ」
「独占欲……」
「レイジの言う通りさ。特に異性に対してはそうだね。好きな異性には」
「好き……」
「なるほど……シシリーちゃん。酷な事を言うかもしれないけど……想像してみてほしい。もし、マリアちゃんがこのままシンと仲良くなって……付き合う事になったら……君に耐えられるかい?」
レイジはそう呟いた。
シシリーのその感情が、独占欲なのだと。
シシリーがそう呟く中、メリダがそう言うと、意図を察したリアムはそう問いかける。
もし、マリアがシンと付き合う事になったらと。
それを聞いたシシリーは大粒の涙を流す。
「ちょっ……ちょっと!大丈夫かい⁉︎」
「リアム、ちょっとやり過ぎたんじゃねぇか?」
「恋心を自覚させるのには、これが手っ取り早いかなと思ったんだけど……」
それを見たメリダが慌てる中、レイジがそう指摘すると、リアムは少し反省した表情でそう言う。
すると。
「……シン君がマリアと……他の女の子と仲良くしてるのを想像したら……」
「……それだけ、シンを他の女に取られたくないと思ってるって事さね」
「……はい……取られたくないです……」
「それだけ分かれば十分さ。どうだい?自分の気持ちを理解したかい?」
シシリーがそう呟くと、メリダはそんな風に言う。
メリダの問いに、シシリーは口を開く。
「私は……シン君のことが……す……好き……です」
シシリーはそう言う。
シシリーは、自分の恋心に気付いたのだ。
そう言うと、恥ずかしくなったのか、顔を両手で覆う。
メリダが笑みを浮かべる中。
「……じゃあ、部外者は立ち去るか」
「そうだね。あとは、メリダ様に任せておけば大丈夫だと思うし」
レイジとリアムは、空気を読んだのか、レイジの自室へと向かっていく。
その後、シシリーとメリダは話をする。
「で……でも……メリダ様。シン君が私をす……好きになってくれるかどうかは……」
「そうだねぇ……。『シンにその気があるのは分かっちゃいるんだけど……どうしたもんかねぇ……』」
シシリーはそんな風に言う。
自分がシンの事を好きでも、シンがシシリーの事を好きになってくれるかが不安なのだと。
それを聞いたメリダは、シンがとっくにシシリーの事を好きになっている事を察しつつも、そう考え込む。
結局のところ、自信をつけさせないといけないと思ったのか。
すると。
「あの子は山奥で育って、女の子に免疫が無いから……積極的にスキンシップしてみたらどうだい?」
「スキンシップ……ですか……?」
メリダはそう言う。
シンは山奥で育っている為、女の子に免疫がないので、積極的にスキンシップをする事を提案する。
シシリーがそう聞くと。
「アタシをシンだと思ってやってみな。こう……腕を掴んで……そうじゃない。……こう、胸を当てるんだよ」
「む……胸!」
「それから……シンを心配する時に、体を調べるフリして、色々触るのもいいね……」
「さ……さわっ!」
「怪我はしてないか?大丈夫か?……って、こうペタペタと……」
「ひゃあん!」
メリダはそんな風に言う。
かなり激しめのスキンシップをシシリーに教えていたのだ。
お尻を触られたシシリーがそんな声を出すと。
「変な声出すんじゃないよ!その後、上目遣いでこう言うのさ。ちょっと涙目でね」
「………」
「ほれ。しっかりシンをイメージして」
「……」
メリダはそう突っ込みつつ、シシリーにあるセリフを教えていく。
すると、シシリーは顔を赤くしつつも、口を開く。
「し……心配させないで下さい……」
シシリーはそう言って、イメージのシンに自分の胸を触らせる。
それを聞いたメリダは。
「その調子だよ!もう一回!」
「は……はい!」
メリダはそんな風に言うと、シシリーはそう答える。
それを見ていたマーリンは。
「……女の子は怖いのぉ……」
マーリンはドン引きしながら、そう呟いていた。
その頃、レイジとリアムは。
「それにしても……恋か……」
「リアムは好きな人とかはいるのか?」
「う〜ん……特に居ないかな。でも、いずれは見つける予定だよ。それで、レイジは?好きな人とかはいるのかい?」
リアムがそう呟く中、レイジはそう聞く。
それに対して、リアムは今のところはいないが、いずれは見つける予定だと言う。
リアムがそう聞くと。
「う〜ん……俺もいねぇかな。まっ、ギャバンとしての使命があるわけだし、そんなに考えてねぇよ。自分の恋なんて、全然分かんねぇし。俺、トイレ行ってくる」
レイジはそんな風に答える。
レイジに好きな人とかはいなくて、ギャバンとしての使命があるのもあって、恋は全く考えていないのだと。
レイジがトイレに行く中。
「……君も重症だね……少し、心配になるよ」
リアムはそんな風に呟いた。
相棒とも言える立ち位置のレイジは、シシリー以上に恋の事を分かっていない可能性が高いと見たのか。
その後、シンとマリアがウォルフォード邸に帰ってくる。
「ただいま〜」
「おう、おかえり〜」
シンがそう言うと、レイジはそう答える。
すると。
「じゃあ、もう遅いし、2人とも家まで送ってくよ。……シシリー、大丈夫?」
「はい。もう大丈夫です。……心配かけて、ごめんなさい」
『よかった……落ち込んでる様子だったけど……すっかり元気になったみたいだ……』
シンがシシリーにそう聞くと、シシリーはそう答える。
落ち込んでいる様子がないシシリーを見て、シンはそう思った。
そうして、家の近くに送られて、シンがウォルフォード邸に戻ると。
「……ねぇ、マリア」
「何?」
「マリアって……その……シン君のこと……す……好き……なの?」
「…………何で?」
シシリーはマリアにそう問いかける。
それを聞いたマリアは、そんな風に首を傾げると。
「わっ……私の方が好きだから!マリアにだって、シン君は渡さないから!」
シシリーはそんな風に叫んだ。
シシリーにとって、マリアは恋のライバルとなったと見たのか、ある意味での宣戦布告だった。
それを聞いたマリアは。
「………はぁ。やぁ〜〜〜っと自覚したか。この鈍チンめ」
「え?」
「今日の事は気にしなくていいよ。これはメリダ様が企んだ事だから」
「え?え?」
「アンタが自分の恋心を自覚してないからさ。ちょっと嫉妬心を煽ってやろうって、メリダ様がおっしゃったの。だから……ごめんね?」
マリアはため息を吐きながらそう言う。
それを聞いて、シシリーが困惑する中、マリアはネタバラシを行う。
今回の一件は、シシリーの恋心を自覚するために、メリダとマリアの2人が仕組んだ事なのだと。
それを聞いたシシリーは。
「み、皆してもう!」
「あはははっ!大〜成〜功〜っ!」
「待ちなさい、マリアーっ!」
シシリーは顔を赤くしながらそう叫ぶと、マリアは揶揄うようにそう言う。
その2人の顔には笑顔が浮かんでおり、気まずさは一切なかった。
こうして、シシリーの恋心を自覚させる事に成功したのだった。
ちなみに………。
「女は皆怖いのう……」
「ん?」
「どうしたんだ?」
「さぁ……?」
マーリンはそんな風に呟いており、シン、レイジ、リアムの三人は首を傾げていたのだった。
今回はここまでです。
今回は、第3話と第4話の間の話になります。
アニメ版では冒頭でしか触れられていないシシリーの恋心の自覚についての話を行いました。
レイジについては、恋心を全く自覚していないという。
それを見て、リアムは不安げな表情を浮かべるという。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
こんな感じに、ギャバンインフィニティで、『ギャバンの非番』として、短い話をやっていたので、こちらでもやろうかなと思いまして。