賢者の孫with超宇宙刑事ギャバンインフィニティ 作:弩城怜慈推し
カートが魔人化し、カートが持っていたネガエモルギアから、エモンズや魔空空間が現れた。
魔人化したカートをシンが、エモンズや魔空空間をレイジが対処して、事態は収集したのだった。
オーグはカートの遺体を見ながら、口を開く。
「魔人の遺体の処理を頼めるか?」
「お任せ下さい、殿下。今後の処置につきましては、追ってご報告致します」
オーグが兵士の1人にそう言うと、兵士はそう答える。
難しい表情を浮かべているシンとレイジを見て、オーグはSクラスの面々に呼びかける。
「シン……レイジ……皆。一度、教室へ戻ろう」
「……殿下。僕も同行しても構わないかい?少し、話しておきたい事がある」
「……分かった。お前も来い」
「はっ!」
オーグはシンとレイジを気遣ったのか、そう呼びかける。
そして、リアムがそう聞くと、オーグは了承する。
そうして、皆は一度、教室に戻る事になった。
「シン君……レイジ君……大丈夫ですか?」
「……(無理もない。魔人化したとはいえ……同級生をその手にかけ、至近距離でそれを見ていたからな)」
シシリーがそう話しかけるが、シンとレイジは何も答えなかった。
それを見ていたオーグは、そんな風に思っていた。
すると。
「っ!おお!お前達……心配したぞ!ウォルフォード!ウォーカー!怪我はないか⁉︎」
「大丈夫です……先生」
「心配かけた」
「そうか……よかった」
アルフレッド先生はシン達に気付くと、そんな風に話しかける。
シンとレイジがそう答えると、アルフレッド先生は安堵の表情を浮かべていた。
自分が受け持っている生徒達が無事なことに。
すると。
「どうした?いきなり英雄に祭り上げられて気疲れしたか?」
「それもあるけど……」
「気になる事があってな。皆、話を聞いてほしい」
オーグは気を使ったのか、わざと揶揄うようにそう問いかける。
それに対して、シンとレイジはそんな風に答えつつ、レイジはそう呼びかける。
一方、Sクラスの面々の様子を外から見ていた存在がいた。
「……ふむ。カートは魔人化しましたか」
「確かに魔人化したが……所詮は素の実力が低い奴だ。エモンズや魔空空間を発生させる程度にしか役に立たん」
「まあ、それぞれの実験は成功したと言う事で良しとしますか。それよりも……」
「シン=ウォルフォードに、レイジ=ウォーカー……我々の目的の邪魔となりそうだな」
それは、シュトロームとデス・ギャバンだった。
カートが魔人化したりした物の、2人の評価は低い様だった。
それよりも、シンとレイジが目的の障害になり得るかもしれないと判断していた。
そんな中、シンとレイジはSクラスの面々とアルフレッド先生に話しかけていた。
「今回の騒動……最初から最後まで違和感を感じるんだ」
「確かにな。カートの行動が、オーグ達から聞いた過去の様子と照らし合わせても、違和感しかない。学院での権力行使は禁止されているのは周知の事実のはずだ」
「……なのに、未遂に終わったとはいえ、二度もそんな行動を見せている。オーグから警告を受けたのにも関わらず………だ」
「そもそも、あそこまで身分にこだわる奴が、身分の頂点にいるオーグの言葉をなぜ聞けないかだ」
「そこはどうなんですか?殿下」
「………」
シンとレイジはそう話す。
カートの行動には、違和感が多くあったのだ。
王家が定めた法律で、高等魔法学院での権力行使が禁じられている中、未遂とはいえ二度も抵触したこと。
身分の頂点にいるオーグの言葉を聞けなかった事が違和感として挙げられた。
リアムがそう聞くと、オーグは肩をすくめて、首を横に振る。
そして、シンとレイジが口を開く。
「……で、ここからが俺たちが今日感じた違和感だ。謹慎中だったカートがあそこに現れた事も謎だけど………それよりも」
「あんなに簡単に魔人化する物なのか?」
シンとレイジはそんな風に言う。
謹慎処分を受けていたはずのカートがあの場にいた事や、簡単に魔人化する事への違和感を口にした。
すると。
「確かに……」
「えっ?どういう事?」
「っ!確かにおかしいぞ……!過去に魔人化した人間は……長年鍛錬を積んだ高位の魔法使いだった……!その魔法使いが、超高難度の魔法の行使に失敗し、魔人化したと伝えられている……!」
オーグがそんな風に納得し、アリスは首を傾げる。
すると、アルフレッド先生はそんな風に語る。
かつて、アールスハイド王国に出現した魔人は、長年鍛錬を積んだ高位の魔法使いであり、その魔法使いが超高難度の魔法の行使に失敗した結果、魔人化したのだ。
すると。
「っ!カートは高等魔法学院に入学したばかりの人間……!」
「そうだな。たとえ、魔力の制御に失敗しても、暴走するだけだ。それで魔人化するなんてな……」
「けど、実際に魔人になってたし……」
トールはそんな風に叫び、その続きをオーグが引き継いでそう言う。
マリアがそう呟く中。
「その通りだ。魔力の制御に失敗しただけで魔人化するなら、そこら中で魔人が溢れている光景になるからな」
「確かに、魔法の暴発くらいならよく見る。私もした事がある」
「危ねーな、おい!周りも吹っ飛ばす危険があるから、気をつけろよ!」
「うん。これから気をつける」
レイジはそう言う。
そもそも、魔力の制御に失敗しただけで魔人化するなら、魔人だらけになってもおかしくないのだから。
リンがそう言うと、シンはそう突っ込む。
リンが頷く中。
「……では、何故、あんな不自然な形で魔人化したのか……か」
「何故でござる?」
「さぁ……?」
「分かんないわねぇ……」
「あたしも〜っ」
オーグがそんな風に言うと、ユリウス、フルール、ユーリ、アリスの4人はそう話す。
オーグも考えていたが、ある結論に辿り着く。
「……………まさか……そんな事が……⁉︎」
「オーグ。多分、その発想は俺らと同じだよ」
「カートが魔人化したのはたまたまなんかじゃない」
「「「人為的に……魔人化させられた……‼︎」」」
オーグがそう呟く中、シンとレイジはそう話しかけ、三人同時にそう言う。
カートはたまたま魔人化したのではなく、何者か……悪意を持つ第三者の手によって、魔人化させられたのだと。
「なっ……⁉︎魔人を……人が作ったと言うのか⁉︎」
「確証はないですが……可能性はあると思います。俺は爺ちゃんから、『魔人は完全に理性を無くし、吠える事しか出来なかった。』って聞いてる」
「それに比べてカートは、魔人化したにも関わらず、言葉を発していた。俺もシンも確認しているから、間違いないな」
「それも、実際戦ってみたら案外弱くて……」
(魔人が弱いって……)
それを聞いて、アルフレッド先生がそう言う中、シンとレイジはそう言う。
シンの発言に、皆が呆れていると。
「それについては、間違いないと思うよ」
「リアム」
「どういう意味だ?」
「彼は、このネガエモルギアを持っていた。これはそう簡単に手に入る代物じゃないからね。第三者が渡した可能性が高い」
「それらを踏まえて考えると……カートは人体実験に利用されたんじゃないかと思ってる」
『っ⁉︎』
リアムはそんな風に言う。
レイジとオーグがそう反応すると、リアムはレイジから預かったハズーイのネガエモルギアを見せながら、そう言う。
それを聞いたレイジはそんな風に言う。
Sクラスの面々がそれを聞いて、驚いていると。
「あのさ……一つ聞きたいんだけど……そのギャバンインフィニティとか、エモルギアって何なの?」
「確かにな。レイジにリアムは、エモンズという魔物や、魔空空間という単語を知っていた。何なんだ?一体」
「あぁ〜……リアム、話した方がいいか?」
「話した方がいいと思うよ」
「だな」
フルールはそう問いかける。
ギャバンインフィニティや、エモルギアが何なのかを。
オーグもエモンズや、魔空空間の事を知っているレイジとリアムに対してそう聞くと、レイジとリアムはそう話す。
そこから、レイジとリアムの2人は、ギャバンインフィニティやエモルギア、エモンズに魔空空間の事についてを説明していく。
かつて、この世界に存在していた前文明に生きていたハルト=アークライトが、ギャバンシステムを制作した。
前文明が滅んだ経緯を端折りつつ、レイジがギャバンシステムを受け継いだ事。
ギャバンインフィニティは、ギャバリオントリガーにゲキドーのエモルギアを装填して、蒸着する戦士である事。
エモルギアは、人間の感情に反応するエネルギー生命体であるエモルギーが込められているアイテムである事。
エモンズは、ネガエモルギアと所有者のネガティブ感情が共鳴する事で誕生するモンスターである事。
魔空空間は、無数の次元が複雑に絡まり、時間も空間も乱れている不条理世界である事などを説明していった。
「……と、これがギャバンシステムなどの説明だ」
「な……何が何だかさっぱり……⁉︎」
「というより、前文明は存在していたんだね!」
「お、おお……なんか、食いつきが凄いな……」
「いや、こういう都市伝説、女の子が喜んで聞いてくれるから」
リアムはそう言って、話を締めくくる。
マリアがそう言って頭を抱える中、トニーはレイジにそう食いついていた。
レイジがそう聞くと、トニーはそう答える。
女の子との話のネタとして、その手の都市伝説の話を集めていたのだ。
すると。
「………ひとまず、前文明とやらについては置いておくとしよう。それで、そのネガエモルギアとやらを第三者がカートに渡したという根拠は……」
「ええ。本来、エモルギアはアークライト家に繋がる血筋のウィギレム家か、彼が訪れた遺跡で管理している筈です。それが、ネガエモルギアとしてカートが持っていたという事は……」
「何者かが、ウィギレム家から強奪したか、あるいは、レイジと同様の方法で手に入れた物……という事か」
「ええ」
オーグはリアムにそう問いかける。
それに対して、リアムはそう答える。
エモルギアはアークライト家に繋がる血筋のウィギレム家や、レイジが訪れた遺跡で管理されていた。
それがあるという事は、第三者が何らかの方法で手に入れた可能性が高く、それをカートに渡したのだと。
「……確かにな。カートの強さだったり、エモンズや魔空空間が現れたタイミングを考えると、実験の途中段階という印象がある。あり得るかもな。それに……ネガエモルギアには制御装置がないから、不安定かつ危険な力を発生させるからな」
「……いずれにせよ、面倒な事になったな……」
レイジはそう説明する。
ネガエモルギアは、負のエモルギーに侵食されており、制御装置も外されている為、安定かつ危険な力を発生させるのだ。
その結果、エモンズを発生させたり、魔空空間が開いてしまう事態に繋がってしまうと。
それを聞いて、オーグがそう呟く中、外にいたはずのシュトロームとデス・ギャバンは姿を消していた。
その後、シン、レイジ、オーグ、シシリー、マリア、ユリウス、リアム、フルールはウォルフォード邸に向かった。
すると、屋敷の中に入ると、マーリン、メリダ、ディセウム、カレルの姿があった。
「あれ?ディスおじさん。」
「おお、シン君、レイジ君」
「戻ってきたか」
「陛下にカレル?どうしてここに?」
「それで、どうしたの?」
「私が訪れたのには、理由があるんだ。事が事だけに、私自らが、シン君、レイジ君、マーリン殿とメリダ師に話をしておきたくてな。おい」
ディセウムとカレルがそう話しかける中、シンとレイジはそう反応する。
ディセウムがいる事に2人がそう反応すると、ディセウムはそう言って、近くにいた官僚に頷く。
すると、官僚は口を開く。
「はっ!シン=ウォルフォード殿!レイジ=ウォーカー殿!貴殿らは、魔人の出現という国難に際し、自らの危険を顧みずこれを討伐するに至りました!就きましては、アールスハイド王国よりその行為に対し、感謝の意を表し、勲一頭の勲章を授与する事になりました‼︎」
「く………勲章⁉︎」
「俺も⁉︎」
官僚はそう言う。
アールスハイド王国に魔人がまた現れたという国難に対して、討伐した2人に、勲一頭の勲章を授与する事を伝えた。
それを聞いたシンとレイジがそんな風に反応する中、マーリンとメリダが話に割って入ってくる。
「ディセウム……以前にお主は言ったな?シンとレイジ君を政治利用するつもりはないと。なのにこの扱いは何じゃ?」
「私も聞きたいねえ……どういう事だい?」
マーリンとメリダはディセウムにそう問いかける。
シンとレイジを政治利用しないと本人が言っていたのに、勲章を授与する事は2人にとって、寝耳に水だったのだ。
2人の怒気が滲んだ問いによって、周りは緊張感に満ちていた。
すると、ディセウムは口を開く。
「そう言われると思ったからこそ、私が来たのです。今回数十年振りに魔人が出現しました。過去に1度魔人が現れた時、王国は滅亡の危機に瀕しました。その脅威をこの国の人間は決して忘れません。その脅威がまた現れた。この事は既に多くの国民の耳に入っております。そして、それが直ぐ様討伐された事も。この国にとって、魔人の出現と討伐は隠しておけない事柄なのです」
「そんな事は分かっておる!勲章の授与とはどう言う事かと聞いておるんじゃ‼︎」
ディセウムはそう説明する。
この国にとって、魔人の出現というのは、隠して置けない事柄なのだと。
ディセウムの弁解に対して、マーリンが怒鳴りながら柱に拳をぶつける。
それを見て、シシリーとマリアが驚く中、今度はカレルが口を開く。
「落ち着いて下さい。マーリン殿とメリダ師のお二人の魔人討伐の際に授与した勲章を、同じ功績を残した彼らに授与しない訳にはいかないのです」
(そりゃやった事は爺さん達と同じだけど……同じ功績かって言われるとなぁ……)
「それはそうだけども……」
「勿論、それを利用しようと言う輩が居るでしょうが、それは私が全力を持って阻止します。何なら授与式で宣言しても良い。ですから何卒お許し願えませんか?私の為ではなく、国民の為に。お願い致します!!」
カレルはそう説明する。
かつて、魔人を討伐した際、マーリンとメリダに勲章が与えられた。
同じ功績を残したシンとレイジにも与えないといけないのだと。
それを聞いたシンがそう思う中、メリダはそう呟く。
すると、ディセウムはそう言って、マーリンとメリダに向かって頭を下げる。
国王がマーリンとメリダに向かって頭を下げる光景を見て、全員は呆気に取られる。
すると、それを見たマーリンがため息を吐きながら声を出す。
「分かった。お主の言葉を信じよう。もし、その言葉を違えたら、我々はこの国を出る。それで良いな?」
「分かりました。肝に銘じます」
「それと、一国の王が簡単に頭を下げるでない」
マーリンはそう言うと、ディセウムはそう答える。
国の為とはいえ、王が頭を下げた事に対して、マーリンはそう苦言を呈する。
すると、メリダは呆れ気味にシンに話しかける。
「それにしても次から次へと……よくもまあトラブルを起こすもんだよ。」
「俺のせいじゃないし!」
「良ければ詳しく話を聞かせてくれるかい?」
メリダがそう言うと、シンは反論する。
そして、話をする。
カートが人為的に魔人化された事、その裏には、何者かが関わっている可能性がある事を。
「人為的に魔人化させられ、何者かによって利用された⁉︎それは確かなのかい⁉︎」
「いや、あくまで推測だけどね……」
「何者かによって利用されたのは間違い無いと思うぜ。ネガエモルギアがその証拠だ」
「まさか………」
それを聞いたディセウムがそう驚愕してそう聞くと、シンとレイジはそう言う。
カレルが何かを考える中、ディセウムは先日のドミニクの言葉を思い出していた。
『個人的な意見を述べますが……私はこれが人為的に行われている印象を受けます』
それを思い出したディセウムは、カートが魔人となり、ネガエモルギアを持っていた事でエモンズと魔空空間が発生した件と、魔物の出現件数が増加した事が繋がっていると悟った。
すぐに口を開く。
「シン君、レイジ君、アウグスト、トール、ユリウス、シシリー、マリア、フルール。君たちに命じる。この件に関して、箝口令を敷く!決して口外無用だ!分かったね?」
「Sクラスのクラスメイトと担任の先生には話したよ?」
「それはこちらで対処しよう。至急、各人に使者を派遣、通達を」
「はっ!」
「では私は、これで失礼させてもらうよ」
ディセウムは箝口令を敷く事を決め、シン達にそう伝える。
シンがそう言うと、ディセウムはそう指示を出して、屋敷を後にする。
すると。
「リアム。そのネガエモルギアは、こちらで預かり、浄化作業を行なっておこう」
「分かりました」
「……確かに預かった。では、私も失礼するよ」
カレルはそう言うと、リアムはハズーイのネガエモルギアをカレルに渡す。
ハズーイのネガエモルギアを受け取ったカレルもまた、ウォルフォード邸から去っていく。
その後、レイジ達は外に出ていた。
「オーグ。カートの家族はどうなるんだ?」
「カートの父親の処遇はまだ決まっていないそうだ。内容だけ見れば、カート自身の暴走だが、責任を負わない訳にはいかないだろうな。財務局を辞任するのは……間違いないだろう」
「そうか……」
「……」
レイジがそう聞くと、オーグはそう答える。
カートの父親であるラッセルに関しては、カート自身の暴走による責任をとって、財務局を辞任する可能性が高いのだと。
それを聞いたシンがそう呟く中、周りの面々はシンを心配する表情を浮かべる。
すると。
「話は変わるが、シン、レイジ。どちらにしろクロード達とは通学を続けた方が良さそうだな」
「え?」
「どういう事だ?」
「箝口令が敷かれたのは、あくまでカートの件。お前達が功労者である事は、世間では周知の事実だ。言い方は悪いが、露払いでもいなければ……まともに街も歩けないぞ」
オーグはそう話しかける。
2人がそう聞くと、オーグはそう説明する。
ディセウムによる箝口令が敷かれたのは、あくまでカートの一件のみ。
その為、露払いでもいないと、まともに街を歩けないのだと。
「マジか……」
「そうなるか……」
「そりゃそうよねぇ」
「魔人と魔物を倒したんですから!」
「そうだよ!私も魔空空間に吸い込まれそうになったのを助けてもらったし!」
「しかもそれが英雄の孫とその親友にして、赤い戦士となれば尚更だ。近付いて来る者は際限ないだろう」
シンとレイジがそう呟く中、マリア、シシリー、フルールはそう言う。
三人に続いて、オーグがそう言うと。
「ま……また面倒な事に……」
「マジか……」
「くっくっ。覚悟を決めろよ?新英雄殿方」
シンとレイジがそんな風に呟くと、オーグはニヤニヤしながらそう言う。
そんな中。
(フルールちゃんのあの表情……まさかとは思うけど……間違いなさそうだね)
リアムはそんな風に思っていた。
すると。
「それにしても……マーリン様とメリダ様の2人に出会えたなんて……こんな状況で言うのもなんだけど、すっごく嬉しい!」
「そっか。なんか、悪いな。こんな形で出会わせちゃって」
「ううん。話をする時は、また来てもいい?」
「ああ。構わねぇよ」
フルールはそんな風に言う。
こんな形になってしまったとはいえ、マーリンとメリダの2人に出会えた事を喜んでいた。
レイジがそう謝る中、フルールはそう答える。
それを見て。
「おやおや……」
「もしかして……」
「ほう……」
マリア、シシリー、オーグの三人は、レイジとフルールの空気を見て、何かを察したのか、微笑ましそうに見ていた。
そして。
「……ふむ。あの娘……もしかして……」
それを見ていたメリダも、そう呟いていた。
その夜、シンは自室でボーッとしていた。
すると。
「シン、入るぞ」
「おう」
シンの自室の扉がノックされて、部屋の中にレイジが入ってくる。
レイジはシンに話しかける。
「……シン、大丈夫か?」
「……大丈夫……ではないかな」
「………」
レイジがシンにそう聞くと、シンはそう答える。
レイジが無言でシンを見ている中。
「俺……魔人になったとはいえ、同級生を斬ったんだ……。救えなかった……それどころか、自分の手で……」
シンは右手を見つめながら、そう呟いた。
前世では、人殺しをした事がないが故に、自分が人を殺してしまったという事実が重くのしかかっていた。
魔人になったとはいえ、元々は人間で、シシリーを狙っていたとはいえ。
すると、レイジは口を開く。
「……後悔してるか、シン」
「……後悔、なのかな。あいつが魔人になって暴れて、みんなを殺そうとしてた。止めなきゃいけなかったのは分かってる。でも……本当にあの方法しかなかったのかって……」
レイジがそう聞くと、シンはそう呟いた。
すると。
「……やってしまった事、奪った命の重さは、どう足掻いても変わらない。それに葛藤するのは、お前が人間として正しい証拠だ。……だがな」
レイジはそんな風に言うと、シンを真剣な表情で見つめる。
「過去を変えることは出来ないが……カートを魔人化させ、ネガエモルギアを渡して実験台にした『黒幕』を突き止める事は出来る」
「黒幕……カートにあの危険な代物を渡した奴か……」
「そうだ。カートは歪んでいたかもしれないが、何者かに利用された被害者でもある。なら、俺たちが次にやるべきことは一つだ。二度とカートのような犠牲者を出さないために、陰謀の裏にいる奴らを必ず引きずり出す。……そのためには、お前の力が必要だ」
レイジはそう告げる。
過去は変えられないが、その事を悔い続けるのではなく、これ以上、犠牲者を増やさない為に、黒幕を突き止めるのだと。
レイジがそう言うと。
「……そうだな。悩んで立ち止まってても、何も解決しないもんな。……ありがとう、レイジ。俺、逃げないよ」
「おう」
シンはそんな風に答えて、レイジはそう頷く。
一方その頃、リアムの方はというと。
「お二人とも、夜分遅くにありがとうございます」
「それは別に構わんが……」
「どうしたんだい?ネガエモルギアとやらの相談については、アンタらの方が詳しく知っている筈だろう?」
リアムはマーリンとメリダの2人と向き合っており、そう言う。
それに対して、マーリンとメリダの2人はそんな風に言う。
すると。
「いえ。お二人に相談したい事は、レイジについてです」
「レイジ君じゃと?」
「ええ。実は……彼の事を好きになったかもしれない子が居まして」
リアムはそんな風に言う。
マーリンが首を傾げる中、リアムはそう言う。
すると。
「……もしかして、あのフルールという娘の事かい?」
「……その通りです。流石ですね」
「そりゃあねぇ。あのフルールって娘がレイジの事を見て、顔を赤くしていたから、まさかとは思ったけどね」
メリダはそれを聞いて、フルールの事を指しているのではと思い、そう聞くと、リアムは肯定する。
先ほど、メリダはフルールの事を見ていたのもあって、察していたのだ。
「それにしても、あの2人に何があったんじゃ?」
「実はですね……」
マーリンは気になったのか、そう聞くと、リアムは説明をする。
魔空空間が現れた際、レイジはフルールをお姫様抱っこするように救った事を。
リアムはそれを見て、フルールがレイジに一目惚れしたのだと察したという。
「ほう……そんな事が」
「なるほど、それで一目惚れかい。なかなかに甘酸っぱいねぇ……。それで、あの2人はもう付き合っているのかい?」
「それなんですが……あの2人は付き合っていないですね」
「まあ、出会ったばかりじゃし、無理もないんじゃ……」
マーリンとメリダがそれを聞いて、そんな風に反応する。
メリダの問いに対して、リアムがそう答えると、マーリンはそう呟く。
すると。
「いえ。出会ったばかりというのもありますが……前に、シシリーの恋心を煽る作戦をした際に、それとなく聞いてみたんですが……『ギャバンとしての使命があるわけだし、そんなに考えてねぇよ。自分の恋なんて、全然分かんねぇし』………と言ってました」
「やっぱりかい……まさか、シシリー以上の鈍感が居るとは……」
リアムはそんな風に答える。
レイジに恋についてを聞いた際、レイジはそう答えた事を告げる。
それを聞いたメリダは、そんな風に反応する。
まさか、シシリー以上の鈍感がいた事に驚いていたのだ。
「そこで、相談というのは……どうにかして、レイジとフルールの2人をくっつけたいなと思いまして……。レイジには、ギャバンの使命だけでなく、レイジ個人の幸せを掴み取って欲しくて……ご協力のほど、お願いしてもよろしいでしょうか?」
「そういう事なら……私に任せな!」
「いや……2人には2人のペースがあるじゃろうて」
リアムはそう頼み込む。
ギャバンの使命に縛られているように見えるレイジに、レイジ個人の幸せを掴み取って欲しいと。
メリダがそう言い、マーリンは消極的な態度を見せると。
「それで、どうやってレイジに気づかせるかだねぇ……」
「やはり、まずはフルールちゃんから恋心を自覚させるのが手っ取り早いのでは?」
「そうさねぇ……悪くない案だね」
「……わしの意見は聞いてくれんのか……」
メリダとリアムは、マーリンを無視してそんな風に話し合う。
それを見て、マーリンは涙をほろりと流したのだった。
そんな出来事があった翌日。
シン達は登校をすることにした。
だが、その周囲は凄まじかった。
「ほらほら見て!シン様とレイジ様よ!」
「あれが魔人を討伐した新しい英雄!」
「はぁ……格好良いなぁ……」
「一緒に居るのは誰なのかしら?」
「やっぱり、シン様とレイジ様程の方になると、既に決まった人が居るのよ」
「羨ましいわぁ……」
街の人たちは、シンやレイジを見て、そんな風に話していた。
オーグの言葉が的中し、歩くだけで国民達から注目されるばかりだった。
主に女性達に。
それを聞いていたレイジとシンは。
「おいおい、完全に注目の的だな……」
「もう思いっきり広まってるじゃん……」
「何言ってんのよ。シンとレイジが魔人を倒した事は隠しておけないって陛下が仰っていたじゃない」
「それはそうなんだけどよ……」
「けど、それ以上の詳細については他言無用って事でしたね」
「そりゃあな。下手に実験に利用されたなんて、とてもじゃないが言えねぇよ」
レイジとシンがそんな風に辟易していた。
それに対して、マリアとシシリーはそう言う。
シンとレイジが魔人を倒した事に関しては伏せる事が出来ないが、カートが人為的な魔人化やネガエモルギアの実験台に使われた事は伏せられている。
カートの名誉を守る為に。
それを見ていた一般人は。
「一緒に居るのは誰なのかしら……?」
「やっぱり、シン様やレイジ様程の方となると、既に決まった方がおるのよ!」
「じゃあ、もしかして婚約者⁉︎」
「……!」
そんな風に話をしていた。
シシリーとマリアが、シンとレイジの婚約者なのではと。
それに対して、婚約者と言われたシシリーが赤面し、マリアは笑いながらも顔が少々赤くなっていた。
「シシリー、何かごめん……」
「いえ、気にしないで下さい」
「でも……」
「シン君と一緒に居るのは私の意思なんです!私の意思を無視しないで下さい!」
「あっ!それを言うか……」
「フフ、言いますよ?」
シンとシシリーはそんな風に話す。
シシリーは、かつてシンやレイジがカートに対して言った事を引っ張ってきた。
そんな風に朗らかに会話をしていた。
それを見ていたマリアとレイジは。
「何この除け者感……」
「隙あらばこれか……」
「私外れて良い?」
「何言ってんだ!」
「そうよ。除け者になんてしてないよ♡」
(こいつら……!)
「お前ら……」
シンとシシリーのそれを見て、レイジとマリアの2人は呆れたようにそう言う。
それに対して、シンとシシリーがそう言うと、マリアは青筋を浮かべ、レイジは呆れていた。
そんな風に話していると、高等魔法学院に到着する。
「あ!ねえあれ……!」
生徒達がシンとレイジに気がつくと、そんな風にヒソヒソと話していた。
街の人ほど、盛り上がっていたという訳ではなかった。
そんな中、Sクラスに到着した。
「やっと着いたぜ……」
「ん?」
「昨日、うちに国の使者の人が来たんだけど……」
「私の家にも来た」
「僕の所もだねぇ」
「街の様子見てたんだけどね、皆浮かれてたよ?新しい英雄が生まれたって。」
「それは僕も見たね。でも昨日の話を聞いてしまうとねぇ……」
「素直に喜べない」
「私も家族に訊かれたわぁ。話せる範囲で話したら皆凄く興奮しちゃった」
レイジ達が到着すると、トニー達はそんな風に話していた。
街の人たちが浮かれている中、トニー達はあまり浮ついていなかった。
やはり、カートが人体実験に利用されたというのを聞いていた影響もあってか。
「あっ、おはよう!レイジ君!」
「おはよう、フルール」
「ほら皆、席着けー」
(ほっ……この教室だけは何時も通りだな……)
レイジが入ってきた事に気づいたのか、フルールがそう挨拶をすると、レイジも挨拶を返す。
すると、アルフレッド先生が入ってきて、シンはそんな風に思った。
そして、ホームルームが始まった。
「昨日の騒ぎで、学院中が浮ついてる。ウォルフォードとウォーカーはなるべく1人になるな。出来れば女性陣の誰かと一緒に居ろ。男だけで居ると女に囲まれるぞ」
「よく知りもしない女に囲まれてみろ。面倒臭いぞ」
(そんな事言われてもな……)
「(やたら実感籠もってるな……。)困ったな……」
「諦めろ。今度叙勲を受けると更に騒ぎが大きくなるぞ」
((まだそんなのもあった……‼︎))
アルフレッド先生はそう呼びかける。
昨日の魔人騒動で、学院中も浮ついており、2人だけで出てしまうと、女に囲まれると忠告する。
それを聞いたオーグは、そんな風に2人に話しかける。
やたら実感が籠っているオーグの発言に2人がそう反応する中、オーグはそう言う。
叙勲されれば、騒ぎがさらに大きくなると。
その後、研究会説明があった。
ちなみに、本来は昨日やる予定だったが、魔人騒動によって、1日延期となったのだ。
それが終わると。
「ウォルフォード君!ウォーカー君!是非!是非とも我が『攻撃魔法研究会』へ!」
「何言ってんのよ!メリダ様から直々に付与魔法を教えて貰ってるのよ⁉︎彼は『生活向上研究会』が相応しいわ!」
「いいや!彼らの身体強化魔法は『肉体言語研究会』でこそ生かされるものだ!」
「英雄様のお孫さんは『英雄研究会』に入るに決まってるでしょ⁉︎」
2人だけで外に出てしまった結果、多くの研究会の勧誘を受けていた。
新たな英雄を取り込もうと躍起になっているのか。
2人は逃げるようにSクラスに戻った。
「ぜー……はー……マジで出歩けない……」
「やっぱりかぁ……」
「今度は我々『究極魔法研究会』に入りたいって1年が殺到してますけど……」
シンとレイジは疲れたようにそう言う。
すると、今度は廊下から一年の生徒達が押し寄せていた。
究極魔法研究会に入りたいという一年生が。
それを見ていたアルフレッド先生は。
「参ったなぁ、全員入れる訳にもいかんしな。………『異空間収納』の魔法が使える事を最低基準とするか」
それを見ていたアルフレッド先生はそう言う。
『異空間収納』とは、魔法で作り出した異空間に道具・武器等を出し入れする魔法だ。
Sクラスのメンバーは全員使用可能である。
因みに授業等で使用する道具もここに収納されており、彼等は手ブラで登下校出来る訳である。
「黙れ!審査するから全員並べ!」
「やっぱり騒ぎになったな……」
「実感した……」
「まあ、これが落ち着けばら取り敢えず叙勲まで騒ぎにはならないだろう。明日からは通常の授業のみになるしな。後は、お前達が気を付ければ良い」
「だと良いけどな」
アルフレッド先生は入会審査を行う為に、いつまでも騒いでいる一年生を見て、そう叫んだ。
それを見ていたオーグ、シン、レイジはそう話す。
これさえ落ち着けば、叙勲までは落ち着くと。
一方その頃、王城では。
「何ですと⁉︎魔人が人為的に発生させられた可能性があると言う事ですか⁉︎」
「ウム。直接魔人とエモンズとやらと戦ったシン君とレイジ君の感想だからな。それまでの経緯を考えると、強ち間違いではない様に思える。カートがネガエモルギアとやらを持っていたのも加味するとな」
「ではもしや、最近急増した魔物も……⁉︎」
「……うむ」
「これは、大変な事態になるやも知れませんな……」
ディセウムの言葉を聞いて、ドミニクはそう叫ぶ。
ドミニクの言葉に対して、ディセウムはそう返す。
それを聞いた警備局長のデニス=ウィラーもそう呟く。
大変な事になりかねないのだと。
すると。
「そうはさせてなるものか!ドミニク!デニス!軍務局と警備局は連携して、今回の件を徹底的に調査せよ!何1つ見落とすなよ!」
「「御意!」」
ディセウムはこれ以上の被害者を出さない為に、ドミニクとデニスの2人にそう命じる。
2人がそう返して、ディセウムのいる会議室から出て、軍務局と警備局へと移動すると。
「カート=フォン=リッツバーグの周辺を捜査すれば何か出るだろう!」
「絶対にその悪事を暴いてやる!」
ドミニクとデニスは、そんな風に叫んだ。
カートの周りを捜査して、必ず悪事の証拠を見つけ出すと。
そうして、軍務局と警備局は合同で捜査を開始したのだった。
その翌日の放課後。
研究室にある棟究極魔法研究会の研究会室に、Sクラスの面々が集まっていた。
「今更だけどさぁ、俺達の『究極魔法研究会』って何を研究すんの?」
「ノリで決まった感じだからな。何をするかまでは知らん」
「ノリかよ!」
「リンはどうなんだ?お前、究極魔法研究会の発案者だろ?」
「私もノリで言った。後悔はしてない!」
「アンタもかい」
シンは何気なくオーグにそう聞くと、オーグはそう答える。
ノリで提案したのもあって、何を研究するのかは全く決まっていないのだ。
レイジもリンにそう聞くと、オーグと同じ事を返す。
それに対して、レイジが突っ込む中、リンが口を開く。
「ウォルフォード君なら、色んな魔法を極めそう。私もそれに協力したいし、極めたい」
「んじゃ、皆で魔法を極めましょうって事で良いのか?」
「それで良い。」
リンがそう言うと、シンとオーグはそう言う。
こうして、究極魔法研究会の活動内容が大雑把だが、決まったのだった。
すると、2人ほど中に入ってくる。
「失礼します!お疲れ様っス‼︎」
「お、お疲れ様です」
「君らがAクラスから研究会に入る事になった2人だね。どうぞ中へ」
その2人はそう言いながら中に入る。
この2人が、アルフレッド先生の審査を通って、究極魔法研究会に入る事を許された2人だ。
そして、シンは口を開く。
「えーと……何時の間にかこの『究極魔法研究会』の会長になってた……シン=ウォルフォードです。宜しくね」
シンは2人にそう名乗る。
すると、それを聞いた2人は顔を見合わせる。
「き…………究極魔法研究会?」
「そんな名前だったの?」
(知らずに入ったのかよ‼︎)
その2人はそう話す。
この2人は、究極魔法研究会という名前を知らなかった様だ。
シンが心の中で突っ込む中、レイジが口を開く。
「それじゃあ、自己紹介を頼むぜ」
「自分はマーク=ビーンです!!家は鍛冶屋をやってます!『ビーン工房』って御存知ないっスか⁉︎」
「へぇ!『ビーン工房』と言えば有名な所じゃないか!」
レイジがそう促すと、マークはそう自己紹介を行う。
すると、ビーン工房と聞いて、トニーが反応する。
「知ってるのか?トニー」
「ウチは騎士の家系だって言ったろ?僕はあの男女比に耐えられずに
「へぇ……」
「入り用の物があれば言って下さい!サービスするっス!」
「それは嬉しいねぇ!」
(トニーって、ただのチャラ男じゃなかったんだ……!)
それを見たシンがそう聞くと、トニーはそう答える。
トニーは騎士の家系であるが、騎士学院の男女比に耐えられずに、魔法学院に来たのだ。
それを聞いたマークがそう言うと、マークの言葉にトニーは嬉しそうに反応する。
それを聞いたシンがそう思う中、レイジは口を開く。
「次は君だ」
「あ、はい!えと……オリビア=ストーンです。マークとクリアとは幼馴染みです。家は『石窯亭』って言う食堂をしてまして、店の手伝いの為に魔法を覚えました」
レイジがそう言うと、その女の子……オリビアはそう自己紹介をする。
それを聞いた人たちは、反応する。
「石窯亭⁉︎超有名店じゃん!あそこの石窯グラタンが最高なんだよねぇ!」
「学院の合格祝いを『石窯亭』にしてたんだけど、凄く美味しかったんだから!」
「それは羨ましいね。僕の家は予約が取れなかったんだよ」
「私も、石窯亭で食べたよ!あそこのグラタン、すっごく美味しくて!」
「あ、あの良かったら皆で来て下さい。おもてなしします。」
「本当に⁉︎やったねシン君!レイジ君!これは凄い人材だよ!」
「失礼な誉め方すんな!」
「本当だよ!」
アリス、マリア、トニー、フルールはそう話す。
オリビアのお店である石釜亭は、アールスハイドでも人気店であり、予約はそう簡単には取れないのだ。
それを聞いたオリビアはそう言う。
オリビアの言葉を聞いたアリスがそう叫ぶと、シンとレイジはそう突っ込む。
すると、シンはマークに質問をする。
「マークは鍛冶屋の息子って事だけど、何か作れたりするの?」
「あぁ……多少は……でも1番下っ端なので、最近ようやくナイフを作れたくらいッス」
「そっかぁ、何か作れるなら俺の武器の新調しようと思ってるんだけど、頼めない?」
「ええ⁉︎イヤイヤ!ウォルフォード君の剣って魔人を倒した剣ッスよね⁉︎それに代わる剣なんてそうそうないッスよ⁉︎」
「……っ!じゃあ俺の剣ちょっと見てくれる?」
シンがそう聞くと、マークはそう答える。
マークも鍛治は出来るが、ナイフを作れるしか出来ないと。
シンがそう頼むと、マークはそんな風に叫んだ。
それを聞いたシンは、異空間収納からカートを斬った剣を取り出した。
それを見たマークは驚く。
「……っ!普通の……鉄製の剣じゃないっスか……‼︎しかも薄くて耐久性もあまり……本当にこれで魔人を斬ったんスか……⁉︎」
「見せてくれ」
それを見たマークが驚いた。
ぱっと見は、普通の鉄製の剣で、薄くて耐久性がそんなに高くないように見えるのだ。
それを聞いたオーグはそう言いながら、マークからシンの剣を受け取り、シンの剣を見る。
「確かにこれは……」
り剣は普通だけど、魔法を付与してあるんだ。魔力を通してみろよ」
オーグがそう呟く中、シンはそんな風に言う。
それを聞いたオーグが魔力を通すと、超音波振動が発動し、剣の刃が微細に振動していく。
それを見たオーグは驚く。
「っ!これは……刃が微細に振動している……⁉︎」
「んじゃ、これ切ってみろ」
「何で丸太が収納されてんの⁉︎」
オーグはそれを見て驚いていた。
すると、レイジが異空間収納から丸太を投げて、それを見たマリアはそう突っ込む。
オーグが剣を振ると、いとも簡単に丸太が綺麗に斬れた。
「な……何だこれは……⁉︎全く力を加えずに……」
「バイブレーションソード。刃に超高速な振動を加えるとそう言う風に物が斬れる様になるんだ」
「はぁ……」
オーグが驚く中、シンはそう説明する。
シンの使っている剣は、バイブレーションソードであり、刃に超高速振動を付与する事で、物をいとも簡単に切断できるようになるのだ。
それを聞いたオーグ達がそう反応する中、それを聞いたマークが口を開く。
「薄い刃……そういう条件だけで良いなら自分でも打てます……。後はウォルフォード君と相談しながらになるっスけど……」
「助かるよ!今までは人伝に頼んでたから細かい調整とか出来なくてさぁ」
「こんな物まで作っていたんだねぇ……」
「凄いわよねぇ。私も付与魔法得意なつもりだったけど、これ見ちゃうと自信無くしちゃうなぁ……」
マークは考えながらそう言う。
薄い刃という条件なら自分でも打てるが、シンと相談する必要があると。
それを聞いたシンはそう言い、トニーはバイブレーションソードを見る。
ユーリは自信をなくしてしまうような発言をする。
すると、シンが口を開く。
「ユーリだってその内出来る様になるよ。何なら、婆ちゃんに付与魔法を教えてくれるように頼んどこうか?」
「ええ⁉︎メリダ様にぃ⁉︎やぁん!超嬉しい!」
シンはそんな風にフォローする。
そう言われたユーリは、嬉しくなってシンの手を握った。
シンはユーリの豊富な胸にドキッとした。
「むぅ……」
(おやおや)
(天然か?)
それを見たシシリーは嫉妬したのか、頬を膨らませる。
それを見たマリアとレイジはそう反応する。
「私の家、ホテル経営してるの〜。お泊まりしたい時は何時でも言ってねぇ。お礼にサービスするからぁ」
(ホ……ホテル⁉︎……で、サービス……⁉︎)
「「ぷぷ……!」」
(変な誤解を招きそうだな……)
ユーリがそう言う。
シンはそう思い、マリアとシシリーは笑いそうになるのを堪えて、レイジはそう思う。
すると、シンが口を開く。
「……それにしても叙勲が終わったら益々気軽に外を出歩けなくなりそうだ……」
「じゃあ姿を消して歩くのか?」
「……姿を消すって何ですか?」
「いやこうやって」
シンはそんな風に呟いた。
実際、叙勲が行われたら、シンもレイジも、気軽に街を歩けなくなるのだ。
それを聞いたレイジはそう聞く。
トールが困惑しながらそう聞くと、突然シンが消えた。
「っ⁉︎」
シンが突然消えた事で、レイジを除いた全員が驚いた反応をする。
「え⁉︎シン君、何処ですか⁉︎」
「嘘⁉︎急に消えた……⁉︎」
「いや、そんなに驚かなくても……」
シシリーとマリアがそう言う中、シンはそう呟く。
すると、一瞬でシンが出て来た。
「な……何今の⁉︎どうやったの⁉︎」
「俺のは光学迷彩の魔法を使ったんだよ。人間の目って、光が反射したものを見てるだろ?だから俺の周囲に魔法で干渉して光を歪めてやると、俺の周りの風景に反射した光が、俺を迂回して前に居る人間に見える。結果、俺が消えた様に見えるって訳」
マリアがそう言う中、シンはそう言う。
シンが使ったのは、光学迷彩の魔法であり、前世にある光学迷彩の原理を魔法に落とし込んだのだ。
シンはそう説明したが、レイジ以外は理解出来てないのか、首を傾げていた。
それを見たシンは。
「(あ……これ……誰も分かってねぇ……。)ここは『究極魔法研究会』なんだから、これくらい驚いてどうする?」
『いきなり究極過ぎる!』
シンはそんな風に思っていた。
レイジ以外の面々が、光学迷彩を理解していない事に。
それを見て、シンがそう言うと、全員からそう突っ込まれる。
「これはあれね……シンが究極の魔法を開発していくの生温かく見守る会になりそう……」
「そんな事ない。私は少しでもウォルフォード君から学び取る」
「陛下が仰っていたシン君が魔法の固定観念を壊してくれるって……こういう事ですね」
ユリウス「ちょっと壊し過ぎな気がするで御座る……………。」
「でも、私も頑張る!」
それを見たマリア、リン、シシリー、ユリウス、フルールがそう言う。
そして、皆で話し始める。
それを見たシンは。
(感想はそれぞれだけど……ま、初めての研究会の活動としてはこんな感じで良いか)
それを見たシンは、そんな風に思っていた。
初めての研究会の活動としては、悪くない感じだと。
すると、レイジが話しかける。
「シン。あの2人を見ろ」
「ん?」
「む……無詠唱っスか……⁉︎」
「流石Sクラスね……」
(ああ!付いて来れてない!)
レイジにそう言われ、シンはマークとオリビアの方を見る。
すると、マークとオリビアは無詠唱で魔法を行使したのを見て驚愕しており、シンはそう思っていた。
一方、リッツバーグ邸。
リッツバーグ邸に警備局捜査官のオルト=リッカーマンが訪れていた。
カートに関する聞き込みを行う為に。
オルトは、カートの父親であるラッセル=フォン=リッツバーグ伯爵に尋ねる。
「息子さんの事、心中お察しします。リッツバーグ伯爵。奥様は?」
「心労から寝込んでいる。私も寝込めるものなら寝込みたいが、そうもいくまい。事情徴収だろう?始めてくれ」
オルトがそう言うと、ラッセル伯爵はそう答える。
実際、リッツバーグ伯爵の目にはくまがあり、相当眠れていない事が伺える。
ラッセル伯爵がそう促すと、オルトは質問をする。
「失礼を承知しでお尋ねしますが……息子さんは昔から横柄な性格だったのですか?」
「バカを言うな!多少気位は高かったが、『民は守るもの』と言う意識は持っていたはずだ!あの様な態度、先日が初めてだった」
「(中等学院時代の評判とは一致する………が、そこまで唐突に考えが一変するものか?まるで別人………。高等魔法学院に入ってからの言動はまるで………っ!)帝国貴族」
オルトがそう聞くと、ラッセル伯爵はそう答える。
ラッセルとしても、息子の変貌には困惑していたのだ。
ラッセル伯爵の証言を聞いたオルトはそう考えた直後、思い当たる節があるのか、呟く。
「何?」
「いえ、失礼。最近の息子さんに対し、私が受けた印象です」
「確かに帝国貴族にとって国民は搾取の対象……。貴族でない者は人間ではないと言い張る様な輩だからな……」
それを聞いたラッセルはそう反応するが、オルトはそう言う。
帝国貴族とは、そういう人物の集まりなのだ。
レイジが目撃したのは、氷山の一角に過ぎなかった。
ラッセルの言葉を聞いたオルトは考えていた。
「(そう……まるでカートの変化は帝国貴族の洗脳を受けたかの様な……。)息子さんが、帝国の者と接触した事は?」
「カートが通っていた中等学院の教師が元帝国の人間だったな。カートはその教師の研究会に参加していたはずだ。受験の為、一時家庭教師に来て貰った事がもあった」
「……」
「そういえば、妻に聞いたが……カートが死んだ日にも、その教師がカートを尋ねて来ていたらしいが……」
「っ!伯爵、その教師の名は?」
「オリバー=シュトロームだ」
オルトは、カートが帝国貴族の洗脳を受けたかのような印象を受けて、カートが帝国の人物と接触していないかを尋ねる。
すると、ラッセル伯爵はそう証言する。
それを聞いたオルトとカルロスは、中等学院へと向かって行った。
「シュトローム先生ですか?今なら多分、自室に居られるかと……」
オルトとカルロスがシュトロームの所在を聞くと、中等学院の校長はそう答える。
二人は、シュトロームの部屋へと入る。
「警備局捜査官のオルト=リッカーマンです」
「同じく、カルロス=ベイルです」
「初めまして。オリバー=シュトロームです」
「お忙しい所、すみません」
「いえ良いですよ。紅茶でも?」
「いや、お構いなく」
オルトとカルロスはそう名乗ると、シュトロームもそう名乗る。
オルトがそう謝罪する中、シュトロームはそう聞き、オルトはそう答えた。
シュトロームはカップに紅茶を入れていく。
それを見たオルトは口を開いた。
「感知系の魔法ですか?」
「ん?」
「いえ、両目を眼帯で覆っているのに、動きに迷いがないので、視覚の代わりとなる魔法を使われているのかと」
「まぁ、そんな所です」
オルトがそう聞くと、シュトロームはそう答える。
シュトロームが両眼を眼帯で覆っているのにも関わらず、問題なく紅茶をカップに注げていたのは、感知系の魔法を使っているのだ。
オルトは、シュトロームに質問をする。
「不躾な質問ですが、その目は?」
「恥ずかしい話ですよ。私は帝国貴族の家に生まれたのですが……」
「っ⁉︎」
「ですが、実家の跡目争いに敗れましてね。私を亡き者にしようとする親族から、命からがら逃げ出したのですよ。この目もその時の襲撃によって」
「そうでしたか。失礼な事を聞いてしまってすみません」
「いえ、よく聞かれる事ですから。所で、今日はどう言った御用件で?まさか私の目の事を聞きに来られた訳ではないでしょう?」
オルトがそう聞くと、シュトロームはそう答える。
シュトロームは帝国の元貴族であるが、跡目争いに敗れ、親族から命からがら逃げ出す際に、両眼を負傷したのだと説明した。
シュトロームの気分を害してしまったのではと思い、オルトが謝ると、シュトロームはそう答えつつ、用件を尋ねた。
シュトロームの質問に対して、オルトは答える。
「えぇ、シュトローム先生はこの学院の研究会で優秀な魔法使いを育成されているようですね」
「それが、何か?」
「多くの生徒を研究会に誘い、随分熱を入れておられると聞きましたが」
「私は元帝国貴族ですからね。この国では風当たりは結構強いんですよ。私を学院内で認めさせるには目に見える功績が必要だったんです」
「なるほど。それで……」
オルトがそう質問すると、シュトロームはそう答えていく。
シュトロームの答えを聞いて、オルトは納得する。
帝国の者に対する風当たりが強いのは、よく聞く話なのだ。
特に、帝国貴族の。
「私の生徒の中には高等魔法学院に合格した子も居たんです」
「そうなると、先生にとっても……。今回の事は残念でしたね」
「そうですね。カートがまさか……こんな事になるとは……」
「っ?」
シュトロームがそう言う中、オルトがそう尋ねると、シュトロームはそんな風に答える。
その言葉を聞いたオルトとカルロスは、疑問に感じた。
すると、オルトは口を開く。
「シュトローム先生」
「何でしょう?」
「実は今魔人化した彼の遺体を、各所の専門家が検分している最中なんです。出来れば先生にも是非、意見を聞かせて頂きたい」
「………教え子の遺体を検分するのは気が進みませんね……」
「どうか、そこをお願いします」
「分かりました。伺いましょう。有益な話が聞ける事を期待していますよ」
オルトはシュトロームにそう頼み込む。
カートの遺体の検分をシュトロームにも協力してほしいと。
それを聞いて、シュトロームは乗り気ではない反応をするが、オルトはそう言う。
それを聞いて、シュトロームも了承する。
果たして、オルトの疑問点とは……。
今回はここまでです。
今回は、シュトロームの検分が始まるまでです。
シンとレイジが友情を深める中、リアムはフルールがレイジに堕ちたことを察して、メリダとの協力関係を結びました。
そして、シュトロームの検分が始まる。
次回は、シュトロームとの戦闘になります。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
今日、オメガホーンの新しいおもちゃとして、機炎角が発表されましたね。
そして、機炎角は炎角や五角聖だけでなく、コスモギャバリオンとも合体するという。
この小説で、機炎角を出すかどうかは、考え中です。
もし、意見があれば受け付けています。