「頭…痛い…」
窓から差してくる朝日で目が覚める
昨日酒を飲み過ぎたのか頭が痛む
「ハハッ…俺昨日そんだけ飲んでたのかよ…」
いつもは節度を保って飲んでいるはずだが…記憶が飛ぶほど飲んでしまったようだ
今日も仕事だし…準備しなければ…
ムニュッ…
「ん?」
ベッドから起き上がろうとしたとき、支えにした右手に何か柔らかい感触が
そちらを見ると、灰色の髪の少女
「っ!?トパーズさん!?」
その顔は見覚えのある顔
この世界…崩壊:スターレイルでスターピースカンパニー戦略投資部のトパーズだ
すやすやと寝ている彼女を他所に、ベッドから飛び降りて右往左往する
「ちょっと待てちょっと待てちょっと待て…」
(昨日何があった!?覚えてないよ?)
ただ一夜を過ごしただけじゃない
まぁ確かに一夜の誤ち自体起こってはならないことだが、1番大変なのは
(なんでだよ!今まで頑張って来たのに!ようやく軌道に乗り始めたのに!)
豊穣やら繁殖やら貪欲やら厄ネタの多いこの世界で普通の人生を歩むためにできるだけ稼ぎの多いとこに入りたいと思い、スターピースカンパニーに入社した
戦略投資部を志望したが、ある女に目を付けられて兵器開発部になってしまったが、そこそこ上手く働けていると思う
なのに…
「んん…早起きなんだね…」
そんなことをしていると後ろから寝起きの声が聞こえる
振り返ると目を擦りながらトパーズさんが起きていた
下の階から何かものすごい物音が聞こえる
それはドアを勢いよく開け、トパーズの胸に飛び込んだ
「カブ〜おはよ〜」
カブを抱きしめ、顔を埋めるトパーズ
カブも嬉しそうにブヒブヒと鳴いている
トパーズはカブを満喫し尽くすとそのままベッドに下ろす
下ろされたカブはそのまま勢いをつけて俺の胸元に飛び込んできた
「おっと…」
ブヒブヒと鼻息荒くグリグリと顔を押し付けてくるカブ
てっきり嫌われているかと思ったが、カブからは好印象らしい
「カブもハジメのこと大好きだね〜」
ニヤニヤしながら甘い声でそういうトパーズ
どうやら噂に聞くカブバカとは本当のようだ
「えっと…その…トパーズさん…俺…」
「トパーズさんだなんて言わないでよ。昨日みたいにエレーナって呼んで?」
ベッドから立ち上がり、こちらに歩いてくるトパーズ
至近距離まで来ると俺の頬を撫でてくる
「あんなに誰かに身を許したのは初めて…だから、エレーナって呼んで?」
上目遣いで、少しドロっとした目でそう言われる
「………エレーナ…」
「うん!あ!まだ朝ごはん食べてないよね?なら私作っちゃうね!」
名前で呼ぶと嬉しそうに頷くトパーズ
たぱたぱと小走りで一階に降りていく
その後を着いていくとトパーズは鼻歌を歌いながらキッチンで何かを作っていた
「すぐ出来るからね~席座って待ってて!」
トパーズに言われるがまま席に着いてその後ろ姿を眺める
手際よく朝食が作られ、食卓に置かれる
トーストに目玉焼き、ベーコンにグリーンサラダ
朝にしてはかなり豪勢だ
「いただきます」
味はかなり良く、自然と口に運ぶ手が早まる
「もう〜そんなに美味しいの?」
「ッ…ええ。ほんとに美味しいです」
カブにご飯をあげてから向かいの席に座ったトパーズは朝食をもぐもぐと食べているハジメを見て微笑んだ
トパーズも朝食を食べ終え、ハジメは食器を集めてキッチンで洗う
「も〜私が洗うってば。この後仕事でしょ?」
「それはトパ…「ん?」エレーナも仕事でしょ」
「私はフレックス制度で好きな時に働けるからさ」
十の石心に選ばれるエリートは働き方もかなり自由らしい
「あ!どうせ同棲するだろうし、今日帰ってくる時荷物まとめて持ってきなよ!私使ってない部屋あるしちょうどいいじゃん!」
「ええ…」
もう彼女の中では同棲まで話が進んでいるらしい
時計を見るともう出発しなければ間に合わない時間だった
幸い昨日の夜は千星シティにいたからさすがにこの家も千星シティのはずだ
「あ、俺もう出なきゃ行けないんで…一旦家に帰らせて貰いますね」
そう言いながらリビングから出ようとした時、手首をとんでもない力で掴まれる
咄嗟に振り返ると恐怖すら感じる笑みを浮かべたトパーズが手首を掴んでいた
「そういえば、昨日の夜頼んだスーツがもう届いてるから今日はそれ着てきなよ」
やけに力強い彼女に引っ張られてドレスルームまで連れていかれる
そこでマネキンに着せられた全体は黒色が目立つがところどころ赤の差し色が施されているスーツ一式を見せられる
勧められるまま着てみると怖いほど服がピッタリだ
「これ…ホントに昨日の夜作ったんですよね?」
「そうよ!ハジメが寝た後にちょっと失礼して採寸させて貰ったの。ほら…やっぱり彼氏にはかっこいいスーツ着て欲しいじゃん」
頬を赤らめながらモジモジとそう言うトパーズ
完全にトパーズの頭はピンク色に染まってしまったらしい
「ま、まぁ…とにかくもう行ってきますね!」
逃げるように玄関まで行って革靴を履く
とても良い素材らしく初めて履くのに何も履いてないような軽さだ
「もう…そんな急がなくていいのに…ま、行ってらっしゃい!ほら、ちゅ〜」
そう言いながらトパーズはハジメの頬にキスする
キスし終わった後のトパーズの顔は紅潮していた