「……何をするつもり?」
「簡単だ。本来俺がしくじらなければこうなることはなかった。なら、その責任は取らないとな」
星と満願を背に、倏忽の血肉へと進んでいく
倏忽はハジメの体内の血肉に気がついたのか、触手を伸ばしてくるがその触手を掴み、まとめ、さらに近づく
距離が近づいていくほどに触手の数は増え、遂にはハジメの身体に突き刺さる
だがハジメは止まらない
そのまま血肉の間近まで近づく
「……ハジメ?何を…」
ハジメは手に持っている大剣の能力を再度解放する「拆卸和重剣」…その能力は分解・理解・再構築
その能力を最大限使用することで倏忽の血肉を理解していく
(誰かが吸収してる?)
チラリと下を見ると地面に茨が張り巡らされ、その真ん中で背中に触手の刺さっている顔見知りがいた
(そうか…さっきから勢いが弱いと思ったが…2手で抑えてたのか)
たしかに脚本との矛盾もこれなら生じない
1つ悩みが減り、これで全力で対応出来る
倏忽の血肉、自身の体を分解、1つに再構築する
段々と倏忽の勢いが落ちていく
「………あれは…」
星は遠くから見て気がついた
段々と倏忽の血肉が萎んでいることを
触手がポンプのように脈動し、まるでハジメに吸われているようだ
「フフッ…もう何千年も生きてるんだろ?早く死ねよ」
そして、満願の血肉が完全に灰になり消えた
その場に残ったのは倏忽の血肉を完全に吸い込んだハジメだけだった
「ふぅ…ほんとに気分が悪い」
ハジメは何もないように星の元へと歩いてくる
何も無い様子に星は少しほっとする
「もう終わったの?」
「いや…まだだな」
ハジメは空を見上げる
何も無い晴れやかな空
「どうしたの?」
「いや…これからやらなきゃいけないことが…」
プルルッ
その時、星のスマホが震える
スマホを見ると爻光からの連絡だった
「もしもし爻光?もうこっちは終わっ…「大変よ!帝弓の司命が二相楽園に目を向けたわ!」…なんて?」
「嵐が矢を番えたみたいだな」
冷静なハジメ
まるでそれが起こることを知っていたかのような
「嵐って…星神が?」
「ああ。14年前も狙われたんだよ。俺のせいでな」
ハジメが静かに語り始める
14年前、ハジメは死告魔に対応するために戦ったが、所詮はただの凡人
元々事態が起こらないようにと色々動いていたわけで、戦うことは想定していなかった
「まぁ、その時死告魔から肉を食いちぎって飲み込んだら俺もあら不思議豊穣の忌み物に…ってわけだ」
死告魔を倒した後、血肉が使われないように、全てを吸収した
なんとか自我を保っている時、倏忽の血肉が本能で感じた恐怖…嵐の視線をハジメは感じ取った
「それから逃げるために色んな星を転々とし、豊穣を鎮める方法を探してたんだよ」
「じゃ、じゃあ今回も…」
「無理だ。さっき吸収した時にわかったが、もはや倏忽が100%俺に入ってる。自我は保ててるが俺が死んだら乗っ取られるだろうな」
「そんな…」
「大丈夫か!」
そんな時、屋上にドタドタと大勢が駆け込んでくる
丹恒に刃、銀狼に緋英、爻光…勢揃いだ
「……お前か」
「ご無沙汰ですね」
刃と目が合い、互いにアイコンタクトをする
刃や銀狼とはホタル繋がりで面識がある
銀狼とも片手で挨拶を済ませると次はずっと見てくる爻光の方を見る
「……お久しぶりですね」
「ええ。随分と溜め込んでるみたいね」
彼女の顔は険しい
普通に千舟で魔剣盗んでるしまずまずハジメは豊穣の忌み物だし
「……あの人は居ないよな?」
「今日は私一人よ」
どうやら今日は天敵が居ないらしくホッとする
「それよりもどうするの?倏忽の血肉を飲み込んだ2人がもう二相楽園にいる…これだけで帝弓の司命が弓を引くのに十分だわ」
「……なら、俺が穿たれよう」
「ダメだ。アンタはまだやるべきことがあるだろ?」
我先にと出てきた刃を止める
まだ彼には請謁者としてやることがあるはずだ
「ここは俺が行くべきだ」