いつの間にか彼女面が増えている件   作:怒飲焼

13 / 13
第13話

「満願!?起きたの!?気分は!?」

 

目の前に鮮烈な赤が広がっている

姫子先輩だ

 

「あ…先…輩…」

 

声が上手く出ない

周りを見回してもあの黒髪は見当たらない

目元が熱くなるのを感じた

 

「医者を呼んで!」

 

姫子先輩が誰かに医者を呼びに行かせている

その間も姫子先輩はずっと手を握ってくれている

 

「ごめんなさい。1人ぼっちにして…」

 

姫子先輩の目尻には涙が浮かんでいる

何を…今更…

 

『お前を一人ぼっちにしてしまった…本当にすまない…』

 

あの時、言われた言葉

朦朧とした意識の中で、それだけははっきりと聞こえていた

辛かった、怖かった、苦しかった、寂しかった

周りから賞賛される度に何かが壊れる音がした

泣かないでって言われる度に心が締め付けられた

いつしか涙は出ずに、引きつった笑みしかできなくなっていた

 

(そっか…もう泣いていいんだ…)

 

頬をつたる感覚

それは止まらずに、視界がボヤける

ただ泣いた

一日中

姫子先輩はずっと隣に寄り添ってくれた

でも、あの人は来なかった

_________________________________________________

 

「今日は帰るわね。満願もゆっくり休みなさい」

 

夜になり、姫子先輩は帰っていった

やっと泣けたからか、心は随分スッキリしていた

でも、まだ1つ心残りはある

 

(なんで来てくれないんですか…先輩…)

 

まだ寝ない

寝付けない

あんな気恥ずかしくなるようなことを言ってきた男がまだ来てないから

 

「………また…ですか…」

 

恨み節のような言葉が漏れてしまう

だが、許して欲しい

14年放ったらかしにされてて、もう1人にしないって言われたのにすぐこれだ

 

(まだあの話も終わってないのに…)

 

14年前、恋仲だったハジメに告げたある告白

まだ答えを貰う前に死告魔事件が起こり、なぁなぁになったままだ答えを貰ってない

 

「はぁ…先輩のバカ…」

 

布団を被り、窓に背を向ける

前みたいに窓から登ってくるなんて馬鹿なことを考えなければ良かった

 

(もう14年も経って…あの人には大切な人ができたんでしょうか…)

 

少し寂しい気持ちになる

もしかしたら忘れ去られたのかもしれない

枕に冷たい感触が落ちる

 

「ッ!」

 

その時、冷たい風が病室に吹いてきた

急いで起きて窓の方を見る

窓は開いたまま

窓辺に誰も立っていない

 

「気のせい…かしら…」

 

沈んだ気持ちで下を見る

だが、その時横からずっと聞きたかった声がかけられた

 

「勘違いじゃないかもな?」

 

窓とは反対側

ドアは誰も開けてないはずなのに

そこに彼はいた

 

「もう…なんでいつも人を驚かせるんですか…」

 

「もっと驚くと思ってたんだけど…」

 

毎回毎回、変なところから来て驚かし、笑わせてくる

今日も、笑わせてくれた

 

「ただいま満願」

 

彼は…先輩は…ハジメはそう言って微笑んだ

 

「はい。おかえりなさい」

 

久しぶりに心の底から笑えた




ここまで読んでいただきありがとうございます!
これで満願編終了です!
このあとも書いていく予定なのでお楽しみに!
次からは少し彼女面フレンズがごった返すと思うのでお楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ロノヴァが拗ねージナヤ(作者:怒飲焼)(原作:原神)

「っしゃ!できたァ!うっ…」▼日本から転移してきた大学生、「カナメ」は毎日毎日何かを作っては数時間気絶していた▼その手には赤紫の目の模様が…▼これは、日本から転移してきた「無いなら作ればいいじゃない」精神の大学生が、様々なものを作ろうとしてロノヴァに殺される話である!▼なお、ロノヴァの仕事量が2倍になることは考慮しないものとする▼


総合評価:1357/評価:7.97/連載:23話/更新日時:2026年10月18日(日) 00:00 小説情報

コロレフスキー劇団スタッフの物語(作者:桜紅月音)(原作:原神)

コロレフスキー劇団は、スネージナヤ・グラードの有名な劇団。コロレフスキー劇場でバレエや歌劇など様々な演目を上演する。▼そんな劇団で監督として働くアカツキ。▼幼馴染であるヴォジャニーツァ、トップバレリーナであるオデットら共に今日も、劇団運営に励み。いろんな人たちと結ぶそんな物語。


総合評価:278/評価:9/連載:4話/更新日時:2026年09月24日(木) 00:00 小説情報

コロッサル•バウンティ(作者:担々餅)(原作:崩壊:スターレイル)

▼スローライフを求めた男が星核ハンターのクソ高い懸賞金を貰うために頑張る話


総合評価:2042/評価:8.93/連載:9話/更新日時:2026年06月13日(土) 20:02 小説情報

開拓者を開拓者した夜について(作者:ひまなめこ)(原作:崩壊:スターレイル)

前世崩壊スターレイルと言うソシャゲを遊んでいた主人公はある日原因不明の死を遂げて崩壊スターレイルの世界へと転生してしまう。▼崩壊スターレイルの世界はかなり過酷であるが、運が良いことに彼は親にも環境にも、そしてそこそこの才覚にも恵まれて順風満帆な人生を送る事が出来た。▼そんな彼の人生が大きく変わる転換点となるのは大学の入学式直後、憧れの折り紙大学に首席で入学出…


総合評価:3802/評価:8.04/連載:20話/更新日時:2026年09月26日(土) 14:41 小説情報

貴方の事が好きすぎる鳴潮女子だなんてそんな。(作者:究極最終さむらい(2歳))(原作:鳴潮)

鳴潮女子に夜も眠れないぐらい愛されてしまうらしい……▼リクエストなどあればこちらに是非!!▼https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=342812&uid=398988


総合評価:481/評価:8.85/連載:2話/更新日時:2026年08月08日(土) 00:17 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>