「……本当に来ちまったのか…」
本当なら関わるつもりは無かったのに…
満願は助けられたし、この後起こることは主人公たちだけでも対応可能なはずだ
だからもうハジメは関わるつもりは無かったのに…
何もない殺風景な景色
獣道と両隣に彼岸花
海に面している浜辺に辿り着いたのだ
「さぁ、行きましょう」
あまりにもハジメが嫌がりすぎて気絶させられて運ばれたのでついさっき挨拶したグラフィエさんが前を歩いていく
この道の先に貪欲の抜け殻があるらしい
そのまま崖まで歩いていく
その後は…ハジメが口を挟むまでもない
グラフィエから詳細を聞き、一度は銀狼が反発
だが、それをたしなめ、刃は行くことを決めたようだ
銀狼、星に別れの言葉を言っている
「……ハジメ…」
「ん?俺にもあるのか?」
「ああ。お前への餞別も…カフカに預けてある。いつか受け取りに行け」
「……俺が星核ハンターの世話になったのは1ヶ月くらいだったのにな…嬉しいよ。どうせならお前に使い方教えてもらわないと分かんねぇよ」
「そう難しいものでもない」
それだけ言うと、刃は崖に向かって歩き出す
「そうだ…あの合言葉を覚えているか…」
星と銀狼が走り出す
「近づかなくていい。胸のうちで唱えてくれ」
星と銀狼は止まる
銀狼が目を伏せる
(挙一明三…)
星は刃を見届ける
(君命無二…)
刃が崖の淵で立ち止まる
(一意…専心)
「…さらば」
刃はこちらに振り返り、別れの言葉を口にした
そして、背中から落ちていく
「…………」
誰もが黙る
星と銀狼は、刃が帰ってこないかもしれないと思い、不安を募らせている
ただそこで崖の先を見つめて、時間が過ぎ去っていった
「結果が出るまで、ずっとここにいるつもりかしら?」
ようやく、グラフィエが口を開いた
その言葉に銀狼が少し返した後、グラフィエは星の方を見つめ、要件を聞いた
だが、星はグラフィエが自分に会いに来るように言っていたと答える
「…船で迎えに行くまで…私たちは初対面だったでしょう?」
「じゃあ誰が…」
「もちろん、俺だ」
その場に、いなかったはずの男の声が響く
4人が声の出どころを見ると、そこにはスーツを着こなした手の頭をもった人物が立っていた
「帰寂…」
「おいおい!んな嫌な顔しないでくれよ!誰のおかげで14年前、あのとち狂った奴を殺せたと思ってるんだ?」
「そのせいで人生めちゃくちゃだ」
帰寂は、一通りグラフィエを煽り倒した後、今度はハジメに話しかけた
14年前、ただの凡人であるハジメがなぜ、死告魔を倒せたのか
それは一重に言って帰寂のアドバイスが発端だ
「ここでその恨み、果たさせてもらおう」
ハジメは掌から樹を生やす
その樹は絡み合い、剣の形を成す
星や銀狼、ハジメが猛攻を仕掛けるが、帰寂にはよけられてしまう
ハジメは剣を地面に突き刺す
そして、地面から無数の太い大樹の根が生えてくる
「ハハッ!随分と豊穣を使いこなしてるみたいだな!」
軽やかなステップで避ける帰寂
だが、ハジメに一瞬の気を取られているうちに、銀狼の拘束が通る
「なっ!?」
その間にグラフィエの描いた創造物が帰寂を囲んで爆発する
「やった!?」
「あ!おい星!」
「いい…一撃だった」
「危ない!」
異変に気づいた銀狼が飛び出し、帰寂のサイコロに手を伸ばす
だが、遅かった
その瞬間、風景がうつりかわる
周知の光景が変わり、そこにいるのも星、なのか、丹恒と変わっていく
「だが…無意味だ」
「ッ!?」
銀狼、ハジメが吹き飛ばされる
「1万分の1の確率でも…俺が賽を振れば…」
グラフィエに歩み寄る帰寂
グラフィエは創造物で攻撃するが、帰寂は謎の高速移動で回避
「…当たる」
グラフィエの胸に何かを埋め込む
苦しむグラフィエを前にして幕を閉じるエンドロールのようにポーズをとる帰寂
その後ろから星が襲いかかる
「仮面を取れ主人公…似合ってない」
だが、避けられ、デコピンされてしまう
その間にグラフィエは変異が始まっていた
背を向けて去っていく帰寂
だが、その背を追えない
無視できないほどにグラフィエに壊滅が混ざっている
「あんたの結末はもう決まってる」
「グラフィエ!?」
「あばよ」
「ごめんなさい」
そこにいるのは人間のグラフィエではなかった
「しくじった…みたい…」
筆を、星たちに向けるグラフィエ
壊滅の