「はよ〜ございま〜す」
「ふん。やっと来たか」
「あんたみたいに職場にずっといるわけじゃないし…てかちゃんと5分前に来てますけど?」
「減らず口は良い。早く働きにいけ」
「はいはい」
憂鬱な朝、ハジメが向かったのは生研院
その地下で脳みそだけになった気狂い女ことアポリとその助手である無数のマスタカ達と彼は働いている
辞表?異動届け?出したわ!…なんかすぐマスタカに破られるけど
自分のロッカーに荷物を置いて、白衣を羽織る
別にアポリの部下だからって非人道的な実験をしているわけではない
というより逆だ
「マスタカ、今回はこれか?」
「はい。今回は特別な力を持たない一般人でも使える遠距離兵器…兵器という言葉は的確ではありませんね。これは護身用の道具です」
ハジメの手に持たれているのは少し大きめのアサルトライフルのような銃器
金の縁取りがなされ、少し高級感が感じられる
「実験を開始します。今から出てくる的をすべて撃ちぬいてください」
今、ハジメとマスタカがいるのは射撃訓練場
本来ならカンパニーの戦闘用社員が射撃を練習する場所だが、今回は実験のために貸切っている
ハジメは銃を構え、トリガーを引く
「おお…反動少ないのは良いな」
まずはタップ撃ち
火薬を使い弾頭を発射する従来の銃とは違い、跳ね上がることもなく、狙った場所に弾丸が撃ち込まれる
すぐにモードを連射に変更し、次々と的の頭部を撃ちぬいていく
「訓練終了…スコア…30/30…全的頭部命中…では、次の実験に移ります。ハジメ、そちらの銃をこちらに」
「はい」
マスタカに促されるまま銃を手渡す
次に渡されたのはスナイパーライフルのようなもの
結果から言うと特にこれも問題なかった
それからもサブマシンガン、ショットガン、リボルバー…ロケットランチャーまで
様々な銃器を試したが、理論通り何も問題なく実験は進んでいった
「これで最後の実験です。ハジメ、こちらに来てください」
「分かった」
マスタカの隣に並ぶ
マスタカの前には先ほど実験した銃器が並べられていた
「これで全部なんだろ?ほかにやることあるのか?」
「一度、ジャケットを脱いでいただけますか」
「?…分かったけど…」
ハジメは来ていたジャケットを脱ぐと手を出していたマスタカに渡す
マスタカはそれを綺麗に畳むとそれをアサルトライフルのような銃器の前に置き、何かをタブレットに打ち込む
そうすると銃器がまるで金色の針金のように分解され、スーツに染み込んでいった
「ちょっ!?それ貰いもんなんですけど!?」
「別に破損させるわけではありません。完了しましたよ」
マスタカは床に置いていたスーツを持ち上げ、一通り埃を落とした後に着させてくれる
スーツは黒がメインで赤が差し色だった頃から赤の差し色は変わらないがその差し色を金色が少しだけ縁どっている
「えっと…これは?」
「物質分解圧縮技術を応用して衣服やアクセサリーに武器を仕込む技術です。アポリ様は実験が成功したら好きにしていいと申しておりましたので、そちらはご自由に」
「は、はぁ…」
他にもイヤリングや指輪、ネックレスに加工していくマスタカ
それを渡されたので一応付ける
…意外と様になっている
「では、今日は早上がりしていいとのことなのでここで解散しましょう」
「うっす。お疲れ様です」
そそくさと荷物を纏めて帰宅する
久しぶりに定時前に帰れているのだ、今日は今まで貯めていたゲームやら漫画やらを全部進めよう
そうウキウキ気分で千星シティに買ったマイホームに向かう
もう目の前の路地を曲がれば俺のマイホーム…が…
「へ?」
眼前に広がっていたのは周囲にあったはずの建物がなくなり、代わりにマイホームが拡張されている
もはや豪邸
ただの一軒家だったはずなのに…
「あ!おかえり!」
家の前で呆然と立っていると、後ろから今朝聞いていた声がした
確かに…彼女の資産ならこれは不可能ではない
「………エレーナ?……これは…君が?」
「ええそうよ!最初は私の家に引っ越させようかなって思ってたんだけど…君が頑張って買った家を無下にするのもなって思ってね」
そう言いながら腕を組んで引っ張るトパーズ
こちらを向いてウインクするトパーズは不覚にも美人だった
ちなみに家はめちゃくちゃ広くなってて中にメイドさんまでいた