「誰かっ!助けて!」
走る走る走る
後ろから追ってくる幻造種から逃げる
もうどれくらい走っているか分からない
「あっ……」
つまづいて転んでしまう
急いで立ち上がろうとするが、鈍い痛みが走る
捻ってしまったようだ
「いや……こっち来ないで……」
後ろからゆっくりと歩いてくる
手に持った武器を地面につけて、ガリガリと地面を削りながら
何とか後ずさるが、速度が違いすぎる
あっという間に追いつかれてしまう
「いや…いや…やめて!」
瓦礫を投げる
しかし、ビクともしない
そのまま武器が振り上げられる
(私…ここで死ぬんだ……)
一瞬のうちに走馬灯が流れては消えてく
そして、現実に引き戻される
視界がゆっくりになる
(死ぬ瞬間をゆっくり味わえって?ホントに……嫌な人生……)
ゆっくり、武器が振り下ろされる
人生の最後だと諦めてただそれを見つめるだけだった
だが、幻造種の後ろで紫色の光が瞬いた
そして、幻造種が崩れ去っていく
「大丈夫ですか?」
膝をついて、こちらに手を差し伸べてくる男性
背中から翅が生えている
明らかに普通の人間ではない
だが、その時は……彼女の目には……
「妖精……さん?」__________________________________________________
ハジメside
「妖精……さん?」
(うーんやっぱトラウマって怖いな)
幻造種に襲われている女性を助けた時、女性の一言目が「妖精さん」
どこをどう見たらハジメが妖精に見えるのか
後ろから生えている翅だって妖精と言うより蟲の方だし…
「大丈夫ですか?」
「は、はい!ありがとうございます!」
「歩け……無さそうですね。避難所まで運びますので少し失礼しますよ」
ハジメは女性の膝裏と背中に手を回し、お姫様抱っこの姿勢で飛び立つ
あっという間に避難所に到着する
「も、もう大丈夫です。こっからは歩いていきます」
「本当に大丈夫ですか?」
「はい!」
女性を下ろす
彼女はびっこを引きながらだったが、歩いていけそうだ
「あ、あの!」
飛び去ろうとした時、後ろから声をかけられる
振り返ると女性が頭を下げていた
「ありがとうございました!」
「お気をつけて」
ハジメは手を振ってから空に飛び立つ
その日、二相楽園には紫の光が煌めいていた
ある人は蟲、ある人は鳥、ある人はそれを妖精と言った
二相楽園の隅から隅まで飛び回り、人を助ける姿はいつしか伝説として語られるようになった
これが後に二相楽園で語り継がれる「紫紺の妖精」である
因みにハジメくんの今の見た目は繁殖と豊穣の力を解放しているため頭に樹の冠を被り、背中には紫色の翅、耳はエルフ耳みたいに尖ってます
妖精さんかな?