「ッ!?」
大剣を振るうが、手で防がれる
だが、首元から口が離れた
ハジメはすぐに後ろに下がる
「おい!アポリ!」
「ああ…空いた…お腹が!空いた!」
一応呼びかけてみるが全然反応してこない
それどころか涎を垂らしてこちらに襲いかかってきた
「ああクソ!なんでこうなるんだよ!」
大剣で伸ばされた口を受ける
牙が剣を噛み砕こうと犇めいている
そのまま何度か打ち合い、隙が見える
だが、ハジメはその隙に攻撃できなかった
(クソッ!ここでアポリを殺したら幻造種達が!)
本来のストーリーならアポリを殺したあと、願力が不足して消滅しかけた幻造種をライトハウスが救うという1幕があるのだが…ハジメは今同じことが再現出来るとは考えていなかった
この世界ではマーカス・アンチアリは死告魔にならずにライトハウスとなっており、千星シティで活躍している
今もどこかで誰かを助けているだろう
だが、死告魔事件の時期が空白になっているということはその部分の願力が不足している可能性があるのだ
(殺すのはいつでもできるが…それじゃ…)
最悪、朽葉が千星シティに残り、カンパニーの連中に色々弄られる最悪の世界線に入ってしまう
「食べさせて!」
そう言いながら容赦なく襲いかかってくるアポリ
こんな攻撃されたら魔剣の力も解放できない
そのまま腹に強烈な一撃を貰い、壁に叩きつけられる
「ごほっ…ごほっ…」
全身の衝撃に体が動かない
前からアポリがゆっくりと近づいてくる
そのままカナメの体を持ち上げ、再度首筋に噛み付く
「っ!?がァ!?アアアアアアアアアアッ!?」
ゴクッゴクッ…
肉が貪られ、血を啜られる
首筋を食われたまま力強く抱き締められ、だんだんハジメの体から力が抜けていく
藻掻いていた足が、ピクピクと力なく震えるだけになる
アポリの服が、まるで花弁のようにパックリと開く
裸体が、中央から割れ、中から牙と舌が出てくる
舌が、ハジメの体を絡め取り、口の方へと引っ張っていく
もう力も入らず、されるがままのハジメ
だが、その寸前、舌が誰かに断ち切られる
舌から解放され、地面に落下するハジメを誰かが受け止める
「大丈夫かしら?」
「…朽…葉」
ハジメをお姫様抱っこしているのは朽葉
「朽葉さん!?急に走り出したと思ったらなんだいあれは!?」
後ろから不死途や星、虚照が駆け寄ってくる
「ハジメ!?何があったの!?」
「……嫌な予感がして来たらこれだ。お前らこそなんでここに?」
「議決の時に、部署の数と投票数が合わないことに気づいたんだ。誰もそれまで気づかなくてね…何かが可笑しいと思って色々探ったら…ここに誘導されてたんだ」
不死途が言うには空白の1票の行方を探しているうちにここへと辿り着いていたらしい
(やっぱり…ストーリー通りにするつもりか…)
「ここで休んでいて。すぐに終わらせるから」
朽葉は部屋の隅にハジメを下ろし、腹を抑えているアポリに向き合う
その時の彼女の背中はいつもとは違う、イラつきを感じた
「私は今、ものすごくお腹が減っていて、ものすごく…」
星と不死途も戦闘体勢になる
朽葉は目の前に人差し指と親指で丸を作り、アポリを捉える
そのまま拳を握ると、アポリの半身が消し飛んだ
「腹が立ってるの」
すいません!お待たせしました!