「っ…こんにちは。スターピースカンパニーのハジメさん」
部屋に入った時、最初に目に入ったのはやはり満願の顔だ
彼女は1度目を見開くがすぐに笑顔を取り戻して声をかけてくる
スターピースカンパニーという言葉を強調しながら
「こんにちは満願社長。今日は面会して下さりありがとうございます」
「いいえ。1度スターピースカンパニーと喋るということは必要だと思っていましたので」
互いに和やかに話を進めていく
固く、丁寧に
まるで互いの地雷を踏まないようにゆっくりと喋っていく
スターピースカンパニーと二相楽園についてを互いに意見を織り交ぜながら話していく
だが、満願は1歩も引かず毅然とした態度で接してくるため、ハジメも引きどころを見極められず、話は平行線になっていた
そのまま無意味に時間が過ぎ去る
(そういえば…前もこんな感じだったな)
放課後、互いに話している内に引きどころが分からなくなった時
お互いムキになって引かないから話がまとまらない
「…ハジメさん?話を聞いてるんですか?」
怪訝な顔をしている満願
ハジメは手を前に出して謝罪の意を示す
「すまない。少し昔を思い出してて」
「………昔とは?」
「グラフィエ学院」
満願の顔が強ばる
だが、その中に少し悲しい感情が見えた気がした
「………久しぶりだな。満願」
「………ええ…本当に……本当に…」
下を俯いてギュッと拳を握る満願
「どこに行ってたんですか…先輩」
「悪い。あの後、すぐに仙舟羅浮から逃げなくちゃいけなくてな…」
「……豊穣の血肉ですか…」
何故、ハジメは二相楽園に帰ってなかったのか
最初は二相楽園に帰るつもりだった
自分の落ち度で起こった死告魔事件
満願や姫子のメンタルケアなどをするつもりだった
だが、出来なかった
「今の貴方は…先輩ですか?それとも…」
死告魔ですか?
満願の冷たい言葉が響き渡る
「……1981年、入学。1984年、卒業。好きな食べ物はお好み焼きとラーメン。在学中は幻造種と貪欲の互換性について研究。卒業論文は幻造種を存続させるための偽月についての論文」
「………」
少ないかもしれないが、彼女はこれで許してくれるだろうか
さすがに下の事情までは言いたくない
「はぁ…二相楽園であんなこと研究してるの先輩だけでしたね…本人で残念です」
本人だと信じてくれたようだが鋭い言葉が胸に刺さる
どうにも言葉に棘がまだある
「………置いていったのはすまないと思ってる…」
「ッ!!軽々しく言わないで下さい!」
満願は机を叩き、激情を露わにする
立ち上がり、怒りに顔を歪ませている
「不愉快です!出て行ってください!」
満願に書類を叩きつけられる
烈火の如く怒りに狂った満願にそのまま部屋の外まで追い出される
バンッ!と強く閉められたドア
その前で、ハジメは後悔で立ち尽くしていた