仲裁屋が行く‼ 実力至上主義の教室へ   作:みがわりの軍隊

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見返してみたら綾小路くん働きすぎやね"(-""-)"



勝利

特別棟で生徒会長・堀北学と鉢合わせしたあの肝の冷える夕方から、週末を挟んで数日が過ぎた。 その間、俺たちの水面下での準備は着々と進んでいた。

 

まず、Dクラスの目撃者である佐倉愛里の説得チームだが、そこでもちょっとした一悶着があったらしい。なんでも、佐倉が実はネット上でちょっとした人気のグラビアアイドル(『雫』という名前だとか)をやっていて、カメラを買いに行った電気屋の店員にストーカーされかけていたところを、綾小路と一之瀬が間に入って見事に救い出したのだという。 その甲斐あって佐倉はDクラスのために証言台に立つことを決意してくれたらしい。

そして、俺と姫野さん、綾小路の三人が仕掛けた『もうひとつの罠』も、すでに完了していた。

 

迎えた火曜日の放課後。 本館三階の生徒会室に隣接する特別会議室の前には、異様な緊張感が漂っていた。

 

「……おい相良、マジでお前の言った通りにすりゃあ、あいつら自白すんのかよ? もしこれで俺が停学になったら、ただじゃおかねえからな!」

 

「まあまあ須藤くん、そう怖い顔しないで! 大丈夫、今日の須藤くんの仕事は『何が起きても黙って腕を組んで、余裕そうにニヤニヤしてるだけ』だからさ。それができたら、俺たちの勝ちは100パーセント揺るがないよ」

 

会議室の前の廊下で、俺はイライラと貧乏ゆすりをしている須藤の背中をバンバンと叩いてなだめた。 Dクラス側の出席者は、当事者の須藤、弁護役の堀北鈴音、証人の佐倉愛里、そして補助人として綾小路と櫛田。さらに中立の立会人・参考人として、俺たちBクラスから一之瀬と俺、そして記録係の名目で姫野さんが同席することを生徒会から特別に許可されていた。

 

――しかし、審議開始の五分前。 俺と姫野さんは、まだ会議室には入らず、一階の昇降口近くの柱の陰で、ある人物たちがやってくるのを待ち構えていた。

 

「……来たわよ、相良君。Cクラスの連中だわ」

 

姫野さんが俺の袖をツンと引く。 見れば、廊下の向こうからCクラスの担任である坂上先生に引率されて、石崎、小宮、近藤の三人がやってくるところだった。龍園の姿はない。あくまで「被害生徒三名と担任」という体裁を守っているのだろう。

だが、俺の狙いは石崎ではなかった。 石崎の後ろを、どこか落ち着かない様子でキョロキョロと歩きながらついてきている二人――『小宮と近藤』だ。

 

(よし、作戦通りだ。昨日の夜、俺は匿名のフリーアドレスを使って、小宮と近藤の二人だけに『特別棟の西側階段に先月から増設されていた隠しカメラに、お前たちが須藤を呼び出して先に殴りかかる映像が鮮明に記録されていた。今からでも階段の天井を確認してみろ』という短い警告メールを送りつけておいたんだ)

 

しかも、そのメールには石崎の名前を一切出さず、『最初に自白して謝罪した一人だけは、情状酌量で停学を免除し、ポイントの減点も最小限にする方向で生徒会と調整中』という、典型的な『囚人のジレンマ』を誘発する一文を添えておいた。 今朝、小宮と近藤の二人が青い顔をして特別棟の階段へ走り、俺たちが天井の隅に精巧に取り付けておいた『赤いLEDランプが点滅するダミーカメラ』を見て絶望していたのを、俺と綾小路は遠くからしっかり確認している。

 

「……おーい、小宮くん、近藤くん! 奇遇だね、今から三階の会議室?」

坂上先生と石崎が少し先を歩いて角を曲がった一瞬の隙を突いて、俺は姫野さんと一緒に二人の前へとひょっこり飛び出した。

 

「っ!? Bクラスの、相良……!」

 

小宮と近藤の肩がビクッと跳ねる。二人の目の下にはクマができ、顔色は土気色だった。どうやら昨日の夜から、龍園に相談するのも怖くて(相談したら『なんでカメラに気づかなかったんだ』とまたボコられると思ったのだろう)、二人だけでパニックになっていたらしい。

 

「いやー、実は俺、今日の中立の立会人として呼ばれててさ。……で、ここだけの話なんだけどね」

 

俺は周囲を気にする素振りを見せながら、二人の耳元に顔を近づけて、深刻そうな小声で囁いた。

 

「さっき、生徒会長の堀北先輩が『特別棟の隠しカメラのSDカード、もう回収して映像を確認した』って怒っててさ……。なんでも、Cクラス側から一人だけ『実は石崎に無理やり命令されてやったんです』って裏で生徒会に泣きついてきた奴がいるらしいんだよ。……あれ、もしかしてそれって、小宮くんか近藤くんのどっちかだったりする?」

 

「「なっ……!?」」

 

その瞬間、小宮と近藤が、信じられないものを見るような目で互いの顔をバッと睨み合った。

 

「お、おい近藤てめえ……! 抜け駆けして生徒会にチクりやがったのか!?」

 

「は、はあ!? 俺じゃねえよ! そういうお前こそ、今朝ひとりでどっか行ってたじゃねえか、てめえが俺と石崎を売ったんだろ!!」

 

「っと、ごめんごめん! まだ誰が言ったのかは俺も知らないんだ。じゃあ、上で待ってるからね!」

 

俺は二人の間に疑心暗鬼の爆弾をポンと投げ込むと、姫野さんの手を取って、足早に階段を駆け上がった。

 

「……ちょっと相良君、あんた今の、全部ハッタリでしょ!? 誰も生徒会になんか泣きついてないじゃない!」

 

「うん、真っ赤な嘘だよ。でも、人間って『映像の証拠がある』って思い込んだ状態で『仲間の一人がすでに裏切った』って聞かされると、自分が一番のババを引くのが怖くなって、勝手に自白の競争を始める生き物なんだよね。……あ、ごめん姫野さん、咄嗟に手、引っ張っちゃった」

 

二階の踊り場まで上がったところで、俺は自分が姫野さんの細い手首をギュッと握ったまま走っていたことに気づき、慌てて手を離した。 さっきまであんなにスラスラと嘘八百を並べていた口が、急に熱を持ったみたいに回らなくなる。

 

「……べ、別にいいわよ、急いでたんだし。それより早く行こ、もうすぐ始まる」

 

姫野さんも少しだけ頬を染めて視線を逸らし、俺より一歩先に階段を上がっていく。俺は自分の熱くなった頬をペチペチと叩いて気合を入れ直すと、三階の特別会議室へと滑り込んだ。

 

「――これより、Cクラス生徒三名と、Dクラス・須藤健による傷害事件の審議を開始する」

 

特別会議室の最奥に座る生徒会長・堀北学の冷厳な声が響き、審判の幕が上がった。 コの字型に並べられた長机の片側には、Dクラスの担任・茶柱先生と須藤、堀北鈴音、綾小路たち。向かい側には、Cクラスの担任・坂上先生と、石崎、小宮、近藤の三人。そして中央の参考人席には、俺と一之瀬、姫野さんが座っている。

まず、Cクラスの坂上先生が立ち上がり、自信満々に主張を展開した。

 

「生徒会長。事実関係は明白です。ここにいる石崎、小宮、近藤の三名が怪我を負い、Dクラスの須藤は無傷。どれほどDクラス側が『呼び出された』『正当防衛だ』と主張しようとも、それを裏付ける客観的な証拠が存在しない以上、結果の重大性から見て須藤への停学処分およびDクラスのポイント剥奪が妥当と考えます」

 

「ふざけんな! だから先に手を出してきたのはそっちの三人だって言ってんだろうが!」

 

「須藤君、黙っていなさい」

 

堀北鈴音が須藤を制して立ち上がると、冷静によく通る声で反論を開始した。

 

「Cクラス側は『目撃者も証拠もない』と主張していますが、それは誤りです。ここに出席しているDクラスの佐倉愛里さんが、事件の瞬間を目撃していました。佐倉さん、お願い」

 

堀北に促され、眼鏡をかけた大人しそうな少女――佐倉が、震える手で一枚のレシートを机の上に出しながら、必死に声を振り絞った。

 

「わ、私……あの日の放課後、特別棟の階段の近くにいました。そこで、Cクラスの三人が須藤君を取り囲んで、『バスケ部のレギュラーを諦めろ』って言いながら、先に殴りかかるのを見ました……!」

 

佐倉の勇気ある証言に、一之瀬もすかさず立ち上がって援護射撃を行う。

 

「生徒会長! 私もBクラスの代表として、佐倉さんの証言の信憑性を保証します。彼女がその時間に特別棟の近くにいたことは、デジタルカメラの写真からも間違いありません!」

 

しかし、Cクラスの坂上先生は眼鏡を光らせて、冷ややかな笑みを浮かべた。

 

「……やれやれ、Bクラスの一之瀬さんまで出てきて何を言うかと思えば、同じDクラスの生徒の証言ですか。いくらデジカメの写真があろうとそれは『その場にいた証明』にしかならない。同じクラスの須藤くんを庇うための偽証である可能性を排除できないでしょう。ですよね、石崎くん?」

 

「お、おう! そんな女、俺たちは見てねえし、全部デタラメだ!」

 

石崎が強気に吠える。 だが、俺の目は、石崎の隣に座っている小宮と近藤の二人が、さっきから机の下で小刻みに膝を震わせ、チラチラと生徒会長の手元にある黒いバインダー(ただの議事録なのだが、彼らには『カメラの解析データ』に見えているはずだ)を盗み見ているのを捉えていた。

綾小路が、Dクラスの席から俺の方へと、ほんのわずかだけ視線を送ってきた。 『今だ、相良』という合図。 俺は大きく頷き、参考人席から「はーい、生徒会長、ちょっとよろしいですか?」と、場の緊張感をぶち壊すような明るい声で手を挙げて立ち上がった。

 

「……なんだ、Bクラスの相良。発言は簡潔にしろ」

 

堀北会長が、数日前の特別棟でのやり取りを思い出したのか、わずかに目を細めて発言を許可する。 俺はCクラスの席へと向き直り、石崎ではなく、震えている小宮と近藤の目をまっすぐに見つめて、にっこりと微笑んだ。

 

「いやあ、実はですね、俺たちも独自にあの特別棟の階段を調査してまして。そこで、すごーく面白いものを見つけちゃったんですよね。……ねえ、綾小路くん?」

 

「ああ。特別棟での不正や喫煙を取り締まるために、先月から階段の踊り場の死角に『増設されていた小型の監視カメラ』だ」

 

綾小路が淡々と言葉を継いだ瞬間、小宮と近藤の顔から、完全に血の気が引いた。 石崎だけは「はあ? カメラ? あそこにカメラなんかなかったはずだろ!」と間の抜けた声を上げたが、俺は構わず、最後のトドメとなるハッタリを畳みかけた。

 

「それがさあ、石崎くん。最新の小型カメラだったから気づかなかったみたいだけど、赤いランプがピカピカ光ってて、バッチリ録画されてたんだよねえ。しかも、生徒会長の手元にはもうその映像データが渡ってるし……さっき廊下で聞いた話だと、ここにいる三人のうちの『誰か一人』が、映像が公開される前に罪を軽くしてもらおうとして、すでに裏

で『石崎くんに命令されて嘘をつきました』って自白しちゃってるみたいなんだよ」

 

俺はそこで、わざとらしく小宮の方を見て「ねえ、小宮くん?」と小首を傾げてみせた。

 

「なっ……!? ち、ちげえよ石崎! 俺じゃねえ、チクったのは近藤だ!!」

 

「ふざけんな小宮てめえ!! 俺をハメる気か!! せ、生徒会長、違います、俺と小宮はやりたくなかったんです! 全部、龍園さんと石崎に『須藤を挑発して殴らせろ』って命令されて、断ったら俺たちが殴られるから仕方なくやったんですぅっ!!」

 

近藤が椅子を蹴り倒すような勢いで立ち上がり、涙目で生徒会長に向かってすべてをぶちまけた。 一秒遅れて、小宮も「お、俺もです! カメラの映像見れば分かると思いますけど、先に手を出したのは石崎で、俺たちは見張りをしてただけです! 停学だけは勘弁してください!!」と頭を机に擦り付けた。

会議室の中が、水を打ったように静まり返った。 坂上先生は口をパクパクさせて絶句し、石崎は「お、おい、てめえら何言ってんだよ……!?」と呆然と立ち尽くしている。 Dクラスの須藤は「お、おお……マジで自白しやがった……!」と目を丸くし、堀北鈴音も信じられないという顔で俺と綾小路を交互に見た。

 

「……ふむ。どうやら、カメラの映像をわざわざ再生するまでもなく、真相は明らかになったようだな」

 

生徒会長・堀北学が、手元のバインダーをパタンと閉じた。 その眼鏡の奥の瞳が、一瞬だけ俺の方を見て、『稚拙な茶番ではなかったな』とでも言うように微かに細められたのを、俺は見逃さなかった。

 

「当事者二名の自白、および佐倉愛里の目撃証言により、本件はCクラス側による計画的な挑発および虚偽申告であると断定する! Dクラス・須藤健は無罪! 逆に、Cクラスの石崎、小宮、近藤の三名には停学処分、およびCクラスのクラスポイントから相当数の減点処分を下すこととする。……以上だ、解散!」

 

堀北会長の宣告とともに、Dクラスの席から「やったー!」という櫛田さんの歓声と、須藤のガッツポーズが飛び出した。一之瀬も「よかったね、佐倉さん、須藤君!」と満面の笑みを咲かせている。

 

会議室を出て、夕暮れの廊下を歩きながら、俺は「……ふぅーっ、今日もいい仕事したなあ!」と大きく伸びをした。 堀北鈴音と須藤、佐倉たちは茶柱先生と一緒に職員室へ手続きに向かい、今この廊下にいるのは、俺と姫野さん、一之瀬、そして綾小路の四人だけだ。

 

「相良君、本当にすごかったよ! 最後のあの誘導、まるでドラマの探偵みたいだったね!」

 

「いやいや、一之瀬さんと佐倉さんが最初にしっかり証言で揺さぶってくれたおかげだよ。あと、ダミーカメラを発案したそこの綾小路くんもね」

 

俺が綾小路に水を向けると、一之瀬も「うん! 綾小路君、ストーカーの件も今回のことも、本当にありがとう!」とキラキラした笑顔を綾小路へと向けた。 だが、綾小路は「俺は何もしてないさ。全部、堀北と一之瀬、それに相良の手柄だ」と、いつものように一歩後ろへと下がった。

 

(……こいつ、ここまで完璧な舞台装置を作っておいて、最後の手柄は全部俺と一之瀬、堀北になすりつけやがったな。本当に底が知れない奴だ)

 

俺が内心で苦笑いしていると、向こうの廊下の角から、ひとりの男がゆっくりと歩いてくるのが見えた。 ポケットに両手を突っ込み、赤紫色の長髪を揺らして歩く男――Cクラスの独裁者、龍園翔だ。

龍園は、うなだれて歩いてきた石崎たちとすれ違いざまに舌打ちをすると、そのまま俺たち四人の前でピタリと足を止めた。

 

「……ククッ、見事な茶番劇だったそうじゃねえか。一之瀬、それにDクラスの堀北の金魚のフンども」

 

龍園の蛇のような視線が、一之瀬と綾小路を撫で回し――そして、俺の顔で止まった。

 

「だがよ、小宮と近藤に『すでに仲間が裏切った』なんて嘘のメールを吹き込んで仲間割れさせたのは、てめえだな? Bクラスのパフェ奢り野郎……いや、相良縁、だったか」

 

ドクン、と心臓が嫌な音を立てる。 隣にいた姫野さんが、俺の制服の裾をギュッと掴んだのが分かった。 たった数分で、石崎たちの報告から『誰がどんな手口でハメたか』を正確に割り出してきやがった。綾小路がすっと気配を消してモブに徹しているせいで、龍園の敵意の矛先は、審議の場で派手に喋った俺と一之瀬へと完全に向いている。

 

「いやあ、何のことやら! 俺はただ、友達の須藤くんの疑いが晴れてよかったなーって思ってるだけだよ、龍園くん」

 

俺は冷や汗を背中に流しながらも、一歩も引かずに百点満点の営業スマイルで笑い返した。 龍園は俺の顔を数秒間じっと睨みつけ、やがて獰猛に口角を吊り上げた。

 

「ククク……いい面構えだ。一之瀬の後ろに隠れてるだけの雑魚かと思えば、なかなか面白い牙を持ってやがる。覚えておけよ、相良。俺の駒に泥を塗ったツケは、次の機会に何倍にもしてきっちり払わせてやるからな」

 

龍園はそれだけ言い残すと、不敵な笑い声を響かせながら廊下の奥へと去っていった。

 

「……はぁ。あーあ、完全に目つけられちゃったね、俺」

 

「大丈夫だよ、相良君! もし龍園君が何かしてきたら、私がクラス全員で絶対に相良君を守るからね!」

 

一之瀬が力強く胸を叩いてくれる。そして綾小路も、「……悪いな、相良。俺の分までヘイトを集めさせてしまったみたいだ」と申し訳なさそうに言った(絶対にわざとだろう、こいつ)。

一之瀬と綾小路がそれぞれのクラスへと戻っていったあと、俺と姫野さんは二人並んで、夕焼けに染まる寮への帰り道を歩いていた。

 

「……ねえ、相良君。あんた、ほんとに大丈夫なの? あの龍園って奴、絶対に根に持つタイプよ」

 

「まあね。正直、さっきも怖くて膝がガクガクしてたよ。でもさ、姫野さん」

 

俺は立ち止まり、隣を歩く姫野さんの方を向いて、素の笑顔で言った。

 

「さっき龍園に睨まれた時、姫野さんが後ろで俺の服の裾、ギュッて引っ張っててくれただろ? あれのおかげで、『あ、俺の後ろには相棒がいるんだから、カッコ悪いところ見せられないな』って踏ん張れたんだよね。ありがと」

 

俺が正直にお礼を言うと、姫野さんは目を見開き、夕焼けのせいだけとは思えないほど顔を真っ赤にして、ぷいっとそっぽを向いた。

 

「な、なによそれ……! 私はただ、あんたが挑発に乗って殴りかかったりしないか心配で引っ張っただけよ! 誰が相棒よ、バカ!」

 

「はは、照れてる照れてる! よし、じゃあ今日の勝利の祝杯に、いつもの自販機で一番高い百五十円のジュース、奢らせてよ!」

 

「……百五十円なんて言わず、モールのカフェで新作のフラペチーノにしなさいよね。今日、私だって怖い思いしたんだから!」

 

「おっ、要求水準が上がってきたねえ! いいよ、交渉成立だ!」

 

軽口を叩き合いながら、俺たちは並んでケヤキモールの方へと歩き出した。

こうして、五月の『須藤事件』は幕を閉じた。Cクラスはペナルティでポイントを大きく減らし、俺たちBクラスとの差はさらに開いた。 だが、龍園翔からの明確な敵意と、綾小路清隆という底知れない存在との因縁。そしてもうすぐやってくる、一学期最大の山場――夏の『無人島特別試験』。

俺と姫野さんの本当の戦いは、まだ始まったばかりだった。

 




相良くんいっつも冷や汗かいてるな( ;∀;)
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