Q.超かぐや姫に男主を突っ込んだ罪の数を証明しましょう。 作:夢城
「ちょっと先行かせて!」
かぐやがアパートの扉が開いた瞬間に飛び出したかのように中に入っていった。
多分、先程仕込んでいたかぐや特製の料理を彩葉さんに提供するためだろう。
「じゃーん!」
明るい効果音を聞かせたあとに机に広がるのは見た目も華やかな、料理の皿。
彩葉さんがゴクリと喉を鳴らした音がした。
そして、プレゼンを続けるかぐや。
「まーずは、生のトウモコロシからつくったポタージュ。こっちは新ゴボウとアスパラのカリカリサラダ温玉つき。メインはトマト煮込みハンバーグ、ズッキーニのソテーをそ・え・て♡」
「何.....これ?もしかして作ったの?」
「そだよ〜〜」
おちゃらけてに言うかぐやとは逆に彩葉さんは信じられないという顔をしていた。
そうだよな、こんなに料理が上手いとは思わないよね、僕も信じれなかったから。
「この...材料は?、、お金は?」
「ん?僕が出した」
彩葉さんが自分のスマホで僕に送金しそうとする姿を見て、僕は焦って止めた。
いやいやいや、タダでさえ金欠な癖になんで送ろうとするんだ馬鹿か!?
「あ...あんた、ホントに....ほんとうに!!馬鹿!!」
「へいへい、馬鹿でもいいですよぉー、なんとでも言ってくれ。もう終わったことだし。」
頭に両手を組みながら彩葉さんを見る。すっごい睨めつけてくるが、気にしなかった。
「はい、食べて」
かぐやがポタージュのスプーンを無理やり、彩葉さんの口に突っ込む。
相当美味しいのか、涙を流しながら机の上で悔しそうに悶えていた。
うむ。美味しいならよかった、ちゃんと食え
「なんなのよ....旨いじゃないのよ....なんなのよ、あんたたち...久しぶりの美味しいご飯で、身体が喜びに満ちていくじゃないのよ....」
「良かったね、かぐや。嬉しそうだよ」
「うん!また作りたい!!料理楽しかったし!材料また買ってくれる!?!?」
「それくらいなら全然お安いごよーだよ」
むしろこんなに毎日、美味しそうなご飯が出てくると考えたらメリットしかないだろう。
彩葉さんがまだ美味しさで悶えてるけど、大丈夫か。
「....悪魔」
「悪魔じゃないよ、かぐやだよ〜〜♪」
「ちょっとスマホ貸して」
「あちょ...」
パシっと無理やりスマホをぶん取られた、『めちゃくちゃプライバシーじゃん!』と言ったら『私はアンタのプライバシーなんて存在しないの!』とか訳が分からないこと言い始めて来た。かなしい。
「じゅ、14万4070円.....」
「わぁ、こんなに使ってたのかぁ、すっごいねぇー!」
「なぁぁあにが!!『わぁ』だ!!金銭感覚バグってるわけ!?洒落にならないってこと理解してるの!?あんたは!!」
ん、なこと言われても仕方ないよね。かぐやが楽しそうに買い物してるから欲しいもの買ってあげたくなっちゃったんだもん。
あ、もしかして彩葉さんも何か欲しいのかな?
「彩葉さんも、何か欲しいの?新品のPC買ってあげよ────痛っ!?!?」
「いらないに決まってるでしょーが!!!!」
僕の頭蓋骨にクレーターが出来る程のゲンコツが飛んできた。
彩葉さんがお母さんに見えてきたよ。ダメ兄妹を叱りつけるお母さんに。
「いい!?今日から船のお金管理するからわかった!?!?」
「......はい」
なんで、こうなるわけ??僕は悪いことしたつもりは微塵も無いわけだが...。
まぁ、色々あってかぐやが作った料理をたらふく僕たちは食べた。
「あのさぁ...」
身体をフローリングの床に横たえている、彩葉さんが少し真剣そうに言った。
「マジでここでは匿えないよ、ただでさえ親に無理言って一人暮らししてるんだし、仮に船が居るって言っても、コイツは2ヶ月経ったら自分の家に戻らないといけないわけだし」
「じゃあ、適度に送金してあげようか?」
「アンタは黙って」
なんか、僕の扱いだんだん雑になっていないか?絶対なってるよね??
てか、助けて欲しいから僕のこと呼んだんではないのか?
「面倒事はごめんなの。何かあったら速攻で実家に送還されちゃうからさ....ねぇ、聞いてるの?」
「はい、ここでこう!タカタカタカタッ、ターンッ!」
まぁ聞いてるはずがなかった。かぐやは彩葉さんのノートPCで怪しげなコードが縦横無尽に埋め尽くしていた。
え、プログラミングしてんの?マジでかぐやって天才なのでは?
チラっと覗くと高速でタイピングをしていて、何よりも楽しそうに作業をしていたのだ。
「出来たあ!」
「何が出来たの?」
「まさか、サイバー犯罪者とかじゃないですよね?」
「んな、恐ろしいことやるわけ。....やらないよね?」
「見て、彩葉。船。携帯ゲーム見つけたから弄ってみた!」
かぐやが見せてきたのはレトロなたまご形の携帯ゲーム機。
『犬DOGE』と言ってかぐやが見せてきた、柴犬のようなキャラクターがこちらを見ていた。なるほど、この子を作ってたのね。
「これでいつも一緒だって〜!ふっふぅ〜〜!!」
「ご機嫌ですね....てか、一生住む気満々かよ」
「まぁ良いんじゃない?彩葉さんも毎日美味しいご飯が食べられるって考えたら、メリットしかないでしょ。」
「そうだよ〜?他にどこに行けばいいの?もし捕まっちゃったらかぐやちゃん解剖されちゃうかも〜」
「そーいう問題じゃないの。月に帰ればいいでしょうが?頑張って帰り方思い出しなよ」
わんちゃん、僕の家に行けば良くねぇか?と言い出そうとしたが大犯罪になりかねないから潔く諦めた。
僕が捕まったなりしたら、北海道という広い北の大地で一人ぼっち。バッドエンドまっしぐら。
「がんばってるけどむずかしい〜〜ぐぬぬ」
携帯ゲーム機を弄りながら、返事をする。
.....彩葉さんに対しての返事じゃなくて、今やってるゲームに対してだなきっと。
「じゃあ、迎えが来るまでね」
「彩葉さんも甘いじゃん。かぐやに」
「うるさい。冷静に考えれば放り出す訳にもいかないでしょ?」
「いいの!?」
かぐやが信じられないという顔をした後に、嬉しそうにキラキラ目を輝かせた。
第二項を言われるまでは。
「一、目立たない!二、私の許可なく外に出ない!三、私の邪魔しない!このルールが守れるならここにいていいよ」
「......え、じゃあお友達作ったりは?」
「そんなの、船がいるでしょ。」
「....カフェについていったりは」
「.....第2項により、ない」
「.....一緒に遊んだりは?」
「だから、船と遊んでればいいじゃない」
結局僕に丸投げかい!!まぁ、別にいいけどさぁ!!
ウルウルとかぐやが僕に抱きついてきた。
「....私、船が居なかったら。かぐやは楽しみもなく、ずっとずっと1人ぼっちでバッドエンドだった.....。でも!かぐやも外に出て遊びたい!!やだやだ、意地悪なしー!!」
「ハッピーエンドに自分でするんでしょ。この状況もハッピーに楽しみなよ」
こいつは鬼か。
「こんな、何もない場所で楽しいことなんて出来るわけないじゃーん」
「.....ちょっと表に出なさい、船。教育してあげるから」
うそうそうそー!冗談ですやーーん!!
もう、殴られるのも雁字搦めも懲り懲りなんですからっ、、!!
そして、彩葉さんが腕まくりをした瞬間、アラームが鳴り響いた。
「なに?どこ行くの?またかぐやを置いていくの?」
不安を感じたのか、かぐやが彩葉さんにタックルしてしがみついてた。
「もしかしてライブ?」
「そう、だから離して。どこにも行かないよ。ただツクヨミに行くだけだから」
「行くじゃん!かぐやも連れてって!」
「無理だって、スマコンがないと.....」
言葉が詰まり、彩葉さんの視線が僕に向いた。なんだ、その目はまるで『そう言えばこいつが自腹で....買ったんだった』という目は。
「良かったじゃん、かぐや。買っといて正解だったね。」
「うん!!ありがとう!!」
彩葉さんは大きなため息をついた後に、自身のスマコンを装着する。
スマコンを装着する時はコンタクトレンズな感じで自分の目に入れるのだが、僕は未だに慣れてはいなかった。
「なに?もしかして、怖いんだ〜?」
「は?怖くないし、決して目に異物が入るって感じちゃって少し抵抗力があるだけだし、」
「強がんなって」
「船、怖いの〜?ほら、かぐやも着けれたから大丈夫だよ!!」
そんな、かぐやの優しい声掛けの元、スマコンを何とかつけて3人で隣り合わせに座る。
果たして、隣り合わせになる必要性があったのかという無駄な考えをした。
「じゃあ行くよ、せーの!」
☆
目を閉じたと同時にモーショングラフィックスが広がった。
次に視界に入ったのは地面だった、何故かうつ伏せ状態になっていて、身体を起こし立ち上がる。水面にうつ伏せ状態だったため、開始時いきなりズブ濡れで憂鬱な気持ちになりながら、服で顔を拭いた。
大きな赤い鳥居が現れ、数多の灯篭と真っ赤な夕焼けが広がっていた。
「──太陽が沈んで、夜がやってきます」
目の前に月見ヤチヨが現れた。
ヤチヨさんが現れると、笑顔を浮かべてこちらへと歩いて来た。
海洋生物をモチーフにした和の装いと、ウミウシ形のマスコットのFUSHIを従えている。
電子の歌姫であり、ツクヨミの母でもある。多くのファンを落としてきたAiライバーだ。
「....今日も来てくれたんだね」
「こんばんは、ヤチヨさん」
声をかけるとヤチヨさんは僕の手を優しく取って噛み締めるようにゆっくりと僕の手を握った。なぜか僕がツクヨミにログインをする度にしてくるのだ。
超絶怒涛の月見ヤチヨファンの彩葉さんにこのことを昔に伝えてみたのだか。
『はぁ!?!?チュートリアル以外でヤチヨと手を握れる!?そんなことないんだけど!!変わって!今すぐに!!しかも軽く雑談も.....?』と豹変、斬りかかってくる激ヤバな状態になったのだ。
てっきり、みんなも同じことをやってるのかなと思って伝えて見たのだが、どうやら違ったらしい。
「沢山楽しんでね!行ってらっしゃい!」
そのまま手を握られたまま、ツクヨミの入り口へと連れて行かれ世界へと入っていった。
周りが光に包まれ、空間にキラリと波紋が走り、光の中心が切り裂いて僕が出現した。
「あ、ship。来たね」
「え?誰ー?この人〜?」
目の前に居たのは、青を基調としたストリート風の着物にパーカーとベルトとブーツを履いていて狐のモチーフの尻尾と耳も付いているツクヨミ内での彩葉さんと、朱色と若草色のコーデ、金キラの月の髪飾りや背中の巨大な水引がおめでたい感じ。足元のスポーティかつポップなスニーカー。モチーフはうさぎのようで、ストレートのロングヘアに沿って、長い兎耳が垂れている。
多分、これはかぐやだろうなと予想はついた
「えぇー!?船!?!?全然違うじゃん!!髪色も!!侍さんじゃんか!!」
「.....私も最初はビックリしたよ、今でも慣れてないけどね」
僕の姿は水色の髪に青い瞳。片耳には小さなイヤリングを着けている。服装は新撰組を思わせる水色の隊服風の和装で、白い襟や青い差し色が入っている。額には水色のハチマキを巻き、腰には帯を締めている。足元は動きやすい黒いブーツ。
腰には一振りの日本刀を携えており、刀身は淡い水色の光を放っている。抜刀すると幻想的な輝きが刃を包み、凛々しくもどこか幻想的な雰囲気を漂わせる姿となる。
「ねぇー!船〜!この刀貸してぇー!!カッコイイ!!綺麗!!」
「はい。別にいいけど振り回しちゃダメだよ?」
「2人とも遊んでないで行くよ。」
これからツクヨミの世界へと僕たち3人は夜に溶け込んで行った。
みんなは動物モチーフなのに船は侍という逆張り。
いや、獣耳と尻尾生やせよ。