天使と悪魔のいる教室へ   作:白音澪

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 天使と悪魔両方同じクラスじゃないやんけ!というツッコミは聞かないものとします


天使と悪魔

 

 天使と悪魔、という言葉を知っているだろうか。

 

 葛藤する時に善の心と悪の心がそれぞれ囁きかけてくるアレだが、世の中にはどっちかしか持ち合わせてない人間がいると個人的には思う。

 

「あ、水無瀬くんちょうど良かった。ちょっと手伝って欲しくて…」

 

 今、僕(水無瀬 都葵(みなせ つき))に話しかけてきたのは幼なじみの一之瀬帆波で、彼女は間違いなく前者、つまり善の心に振り切っている人間だと思う。

 相談されると必ず力になろうとし、それを面倒くさいとも思わない。なによりそんな行動が打算も何もなく当たり前だと思ってやっているのだから凄いと思う。

 かく言う僕も帆波に助けられる事が多く、逆に彼女が困っている時には出来るだけ手を貸すようにしていたし、よくお互いの家で遊ぶ程度には仲も良かった。

 

 しかしそんな折、小学校を卒業する頃に親の転勤が決まり、彼女とは離れ離れになることに。

 

「グスッ…水無瀬くん行っちゃうの?」

 

「そんなに泣かないでよ…きっといつかまた会えるって」

 

「…本当に?約束だよ?」

 

「うん。約束する」

 

 実際に会えるかどうかは正直怪しいとは思ったが、ここで約束しなければ彼女は悲しむと思ったし、なにより自分もまた会いたいと思っていたから、そんな約束を交わした。

 

 

 

 一方、引越した先の中学で出会ったのが…

 

「水無瀬くん、遅いですよ」

 

 そう、悪に振り切ったような性格をした女、坂柳有栖である。

 

 彼女は先天性心疾患で運動が出来ず、普段も杖をついて歩いており、初めて会った時は躓いて倒れそうになったのを助けたのが始まりだった。

 それだけ聞けばどこのラブコメだよと思うが、残念ながらそんな事はなく気が付いた頃には彼女の付き人のような事をやらされるのが当たり前になってしまっていた。

 文句を言おうにも、

 

「あら、水無瀬くんは私を助けてくれないんですね。それではこれから先私が倒れそうになったら誰を杖の代わりにすればいいのでしょうか」

「もし私が倒れて怪我でもしてしまったら、今まで近くにいた貴方に責任を問われるかもしれませんね?」

 

 と、サラッと人を杖発言した上で脅しまでかけてくる始末。最終的には、

 

「では、私とチェスをして勝てたら、自由に過ごしてもいいですよ。ですが、もし負ければ卒業まで、水無瀬くんには私の杖になってもらいますから」

 

 と言われ、いやせめて人間扱いして欲しいとか元々自由じゃない前提やめてくれとか文句は幾らでも出てきたが、言ったところで意味が無いと悟り了承してしまった。

 

 結果は言うまでもなく完敗。というか、彼女が心疾患というハンデを持つ以上、勝負方式は頭脳を使うものに限られ、自他ともに認める天才に勝ち目などなかったのである。

 そしてそれから卒業まで、ずっと彼女の付き人状態になってしまったのだった。

 

 

 

 そんな天国と地獄のような小中学生だった自分も高校生になり、今は入学する高度育成高等学校へ向かうバスの中で揺られている。

 ちなみになぜこの高校に入ることになったかと言えば、これもまた坂柳の

 

「久しぶりに賭けをしませんか?ああ、断るという選択肢はありませんから、早速始めましょうか」

 

 という、強制的な勝負(もちろんチェス)に負けた結果ここに入学しろと言われ、しかも担任がこの学校をちょうど推薦してくるという明らかなマッチポンプに巻き込まれた結果である。いや進路が約束される高校なのは助かるけど相談というかまず自分の進路くらい自分で(以下、溜まりに溜まった坂柳等への文句)

 

 

 そんな回想をしていると、バスが目的地に到着する。バスを降りて周りを見渡すが、とにかく敷地が広い。全寮制、というか卒業までは校外での活動が無い限り出られないという話は聞いたが、それにしたってなんでもありすぎでは?と思う。

 まあその分特別困るような事も無さそうだし、中学がろくでもなかった分のんびり過ご…

 

「相変わらず遅いですね、水無瀬くん」

 

せそうに無いですね、うん。

 

 

「…なんでここに?」

 

「当然私もここに入学するからですが?」

 

「先に行くという選択肢は?」

 

「杖無しで歩けと言うつもりですか?」

 

「…とりあえず人を杖扱いするのやめてもらえる?というか今自分で使ってる杖があるんだからそれでいいだろ」

 

「前のように転ぶかもしれませんよ?」

 

「…頭はいいのに学習しな痛っ!」

 

 嫌味を言ってみたら杖で足をシバかれた。解せぬ。

 

「次同じ事を言ったら分かってますね?」

 

「はいはい…というかそんな杖の使い方するから転ぶんじゃ」

 

「今のは貴方が悪いです」

 

 とそんなやり取りをしていると、後ろから声がかかる。

 

 

「もしかして…水無瀬くん?」

 

「え?」

 

 

 振り返ると、ピンク色の長い髪をした女子が僕を見て目を丸くしていた。というか…

 

「…もしかして、一之瀬?」

 

「やっぱりそうだった!水無瀬くん久しぶり〜」

 

 会えるとしてもまだ数年後だろうと思っていた幼なじみがいた。

 

「まさかここで会えるなんてね〜」

 

「いやほんとに。ここで会えるとは思わなかったよ」

 

「水無瀬くんはどうして進路ここにしたの?」

 

「僕はそこのロリ痛っ!…じゃあ悪mへぶっ!」

 

 ロリも悪魔もダメらしい。幼女の皮をかぶった悪魔なんだし間違ってないだろと言ってやりたい。言えるものなら。

 

「お仕置が足りなかったみたいですね」

 

「えっと…」

 

「坂柳有栖です。よろしくお願いしますね、一之瀬さん」

 

「あ、うんよろしくね。って、私名乗ったっけ?」

 

「そこで蹲ってる馬鹿が呼んでましたからね」

 

「にゃはは…じゃあ改めて、一之瀬帆波です。よろしく、坂柳さん」

 

「ええ、よろしくお願いします」

 

 こうして一之瀬(天使)と坂柳(悪魔)が出会ってしまった。これから先の生活に色々と不安を覚えながらも、僕らの長い3年間が始まるのだった。

 

 





 主人公のクラスが何処がいいかアンケート取ります(一応作者的には決めてるけど念の為)

どのクラスがいい?

  • 坂柳(悪魔)がいるAクラス
  • 一之瀬(天使)のいるBクラス
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