この作品あと何回このタイトルあるんだろ⋯とりあえず次は(罪の)って付くだろうけども
「じゃあ、とりあえず佐倉が証言する為に色々考えないとね」
ひとまず話を戻し、これからどうするか話す事にする。
「色々って⋯人前で話しやすくなる方法みたいな?」
「いや、そこじゃなくて。数日経って自己申告しても、でっち上げの証言じゃないかって疑われるでしょ?オマケに、僕も佐倉の事話してなかったし」
「たしかに⋯なにか見てた証拠とかあったらいいんだけど⋯」
その一之瀬の言葉に、僕は事件当時の佐倉の行動を思い出す。
「そういえば佐倉、あの時カメラで写真撮ってなかったっけ?」
「ふぇっ!?」
「そうなの?愛里ちゃん」
「それは、その⋯撮ってたんだけど⋯」
「?」
なんか歯切れが悪い。何かあったのだろうか。
「⋯今日、デジカメ落としちゃって⋯それから電源が付かなくなっちゃって⋯」
「⋯え」
彼女のデジカメを借り電源を入れようとしてみるが、たしかにうんともすんとも言わない。完全に壊れているみたいだ。
「じゃあ、中のデータは⋯」
「⋯それは多分、修理すれば大丈夫だと思うけど⋯」
「もしかして、ポイントが足りないとか?」
「ううん、そうじゃないんだけど⋯」
また彼女の言葉の歯切れが悪くなる。
「⋯その、もし良かったら、カメラの修理に一緒に来てくれないかな?」
そう佐倉がお願いしてきた。彼女の性格的に、店員と話すのが怖いのかもしれない。
「私は大丈夫だよ。水無瀬くんは?」
「僕も予定は無いから、大丈夫」
そうして休日に2人と電気屋に行く事になったのだった。
「⋯じゃあ、私は帰るね」
「僕も、今日はもう帰るよ」
「あ、水無瀬くん」
佐倉が立ち上がったので、僕も帰ろうとすると、一之瀬に引き止められた。
「その、相談したい事があるから、もうちょっといて欲しいな」
「?⋯分かった」
「⋯私も残った方がいい⋯?」
「うーん⋯じゃあ愛里ちゃんも聞いて欲しいかな」
という事で、結局佐倉も残って一之瀬の相談を聞くことになった。
「⋯それで、相談って?」
「⋯昨日、下駄箱にこれが入ってて」
そう言って一之瀬が手紙を取り出した。ひとまず佐倉と読んでみるが⋯
「これは完全に⋯」
「⋯ラブレター、だね」
僕と佐倉がそう呟く。手紙には
「うん⋯でも私、告白なんてされた事ないし、どうしたらいいか分からなくて⋯」
意外なことに一之瀬は中学の間にも告白された事は無かったらしい。
「⋯でも僕も恋愛はあんまり分からないし」
「私も⋯人と関わらないようにしてたから⋯」
残念な事にここにいるのは恋愛未経験×3だった。三人寄らばとはいうが、何も分からん人間が3人いても意味がないのである。
「⋯それにこの相手、女の子だし⋯」
「⋯え?」
何かちょっと話の方向性が変わってきたぞ?
「水無瀬くんは気付かない?これを書いた人が誰か」
そう言われてもう一度文面を見てみる。たしかに可愛らしい文字ではあるが、これだけで女子とは確定出来ないような⋯
そう思っていたが、ふとクラスに同じような筆跡をしていた子がたしかに居たような気がする。
「この字って確か⋯」
「⋯うん。千尋ちゃん、だと思う」
そう言われると、たしかに白波さんの字は同じような筆跡をしていた気がする。
でもまさか初めて当事者として聞く告白の話が女子同士になろうとは⋯こういうのは百合って言うんだっけ。
「でも、私は千尋ちゃんの事は仲のいい友達だって思ってるから⋯どうやったら傷つけないで断れるかなって」
「なるほど⋯」
相手を傷つけない断り方。そんなもの、果たしてあるのだろうか。少し考えてみる。
「私じゃ、いい方法が浮かばなくって⋯昨日の夜調べたら、付き合ってる人がいるって言うのが1番傷つけないで済むってあったから、水無瀬くんに彼氏のフリをしてもらったらって⋯」
「⋯なるほど?」
たしかに断り方としてはベタだし、好きな人がいる、とかの理由よりはマシなような気もする。けど⋯
「⋯でも、同じクラスで過ごしてたんだし、僕達が付き合って無いことなんてすぐバレると思う。それに、嘘で断ったって気付いたら、白波さんは余計に傷つくんじゃないかな」
「っ⋯」
僕の言葉に一之瀬の息が詰まる。
たしかに一之瀬とはクラスで1番話す相手ではあるが、付き合っているとは言った事もないし、話した瞬間にバレてしまう気がする。そうなったら、白波さんは尚更悲しむだろう。
「⋯あの」
と、ここで佐倉が手を挙げる。
「⋯その、私は経験ある訳じゃないけど⋯きっと告白って、凄く勇気がいるんじゃないかって思って⋯だって、断られる事可能性も、きっとその人は考えてて⋯それで傷つくかもしれないけど、それでも自分の気持ちを伝えたいと思ったから、すると思うの。だから⋯帆波ちゃんも、正直に自分の気持ちを話すのが、1番なんじゃないかって⋯」
「愛里ちゃん⋯」
さっき一之瀬から勇気を貰った佐倉だからこそ、そう思ったのかもしれない。
「⋯なんて、私も告白なんてした事ないから、そう思うってだけなんだけど⋯」
「⋯ううん。ありがとう、愛里ちゃん。私、相手の気持ちを考えないで、逃げようとしてた。私も、正直に千尋ちゃんに話すよ」
こうして、佐倉のお陰で一之瀬の気持ちも固まった。それはそれとして⋯
「⋯結局、僕必要だった?」
一之瀬と佐倉でお互いに助け合っただけで、僕要らなかったのでは?と思った。
翌日、部屋から出てエレベーターで1階に降りると、一之瀬が偶々会ったのか綾小路と話していた。
「あ、水無瀬くんおはよう」
「一之瀬、おはよう。綾小路も」
「ああ」
一之瀬が僕に気付いて挨拶してきたので、それを返しながら綾小路にも返す。せっかくなのでそのまま3人で登校すると、歩いている途中に綾小路が質問をしてきた。
「昨日の放課後も一緒にいたが、2人はいつも一緒にいるのか?」
「そんな言うほどいつも一緒な訳じゃないよ」
「昨日は水無瀬くんが現場を見てたからついてきてもらっただけだしねー」
確かに一緒にいる機会は他の人より多いが、いつもと言う程では無い。というか、綾小路も人の事言えないだろと思い、こっちからも聞いてみる。
「それを言うならそっちこそいつも隣に居ない?あの⋯黒髪の⋯」
「ああ、堀北か。俺もいつも一緒にいる訳じゃないぞ」
名前が分からず言い淀んでいたが、誰を指しているか分かってくれたようで名前を言ってくれる。あの人堀北って言うのか⋯⋯⋯堀北!?
「え、堀北って生徒会長と同じ苗字⋯」
「妹らしいぞ。仲はあまり良くなさそうだったが」
あの人妹いたのか。でも確かに、妹に優しい姿が全く想像出来ないし仲が良くないのは何となくわかる。
「でも、図書館の時とかも一緒に勉強してなかった?」
「強制的に貸しを作らされて協力させられたからな」
一之瀬の疑問にサラッととんでもない答えが返ってきたけど、それなんてマッチポンプ?坂柳と同じタイプか?
「⋯それ、大丈夫なの?」
「流石にそんなやり方をしてきたのはあの時の1回だけだ。それ以降は断ろうとしたらコンパスを持ち出すくらいだぞ」
「いやもっと問題では?」
前言撤回、坂柳よりヤバかった。あの悪魔でも杖だぞ。なんで刺せる物を持ち出すんだよ怖えよ。
「⋯なにかあったら、話くらいは聞くからね」
「⋯助かる」
少し綾小路と仲良くなった気がした。主にヤバい人間に振り回される仲間として。
その後、昼休みの途中に先生から呼び出しをくらい、職員室に行く。
「失礼します」
「来たか」
僕を呼んだのはDクラスの担任の茶柱先生だった。隣には佐倉もいる。
「お前に確認したい事がある。須藤の暴行事件の際、佐倉を見たか?」
「はい。僕より先に、事件現場を目撃してました」
正直に話すと、茶柱先生が眉を顰める。
「なぜ言わなかった?」
「本人からの申告が無かったので」
「意図的に情報を隠していた、と」
「本人に話そうという意思があるなら、本人から申告されるべきですから」
わざわざ話して、当の本人が知らないなんて言い出したらややこしい事になるのだから普通は自己申告に任せるべきだ。
「情報の隠蔽がペナルティになる事は考えなかったのか?」
「学校側が4月に散々やってた事と同じでしょう。それを咎められる謂れはありませんよ」
茶柱先生のペナルティという言葉に確かに⋯と思ったが、そもそも情報の隠蔽なんて学校側の方が多かったのでそれを引き合いに出す。
「⋯まあいい。だが、事前に申告しなかった分、信憑性に欠ける証言だということは分かっているよな?」
「それについては、佐倉がカメラで写真を撮っていたので、証明は出来ます」
なお、修理が間に合う前提の話である。間に合わなかったら⋯その時はその時だ。
「⋯いいだろう。なら、佐倉は証言をするという事でいいな?」
「⋯は、はい!」
「分かった。ではDクラスからの証人として佐倉は当日の放課後に生徒会室に来てくれ。話は終わりだ」
そう言われ、佐倉と職員室を出た。
「⋯ありがとう、水無瀬くん」
「礼なんていいよ。⋯当日、頑張ってね」
「うん。2人から勇気を貰ったから⋯私、頑張る」
昨日勇気を出させたのは一之瀬1人の気もするが⋯まあいいか。
「あ、明日はよろしくね。それじゃ⋯」
「うん。じゃあまた」
そうして佐倉と別れて教室に戻り、午後の授業を受ける。
ふと一之瀬の方に目を向けてみると、少し考え事というか、心ここに在らずといった感じがした。きっと告白の返事の仕方について色々考えているのだろう。白波さんの方も、同じ事を考えているのかずっとそわそわしていた。
それから放課後になり、時間を空けて一之瀬と白波さんが教室を出ていく。
2人の告白がどんな結末になるのかは分からないが、野次馬をするつもりも無いのですぐに帰路についた。
─ 一之瀬Side ─
放課後、体育館裏に来た。
正直、今もどんな言葉で伝えるか悩んでる。でも、自分の気持ちをちゃんと伝えるんだ。
「⋯ありがとう、来てくれて⋯」
「⋯千尋ちゃん」
手紙に書かれていた通り、4時ちょうどに千尋ちゃんがやって来た。
「帆波ちゃん、私⋯帆波ちゃんが好きなの」
「っ⋯⋯ごめん、千尋ちゃん。私、千尋ちゃんの気持ちには答えられない」
千尋ちゃんをどう思っているか、あれから色々考えたけど、やっぱり妹みたいに思う事はあっても、それ以上の気持ちを持つことは無かった。
なにより、
だから、ちゃんと断る。
「⋯そう、だよね⋯」
「⋯でも、千尋ちゃんとはこれからも友達でいたい」
「⋯え?」
「千尋ちゃんの事は、大切な友達だと思ってるから⋯だからこれから先、もっと仲良くなりたいの」
「っ⋯帆波ちゃん⋯!」
私の気持ちを全部伝えると、千尋ちゃんは泣きながら私に抱きついてきた。それを受け止めて、彼女が落ち着くまで頭を撫でる。
この先の私達の関係がどうなるのかはまだ分からないけど、私の正直な気持ちは伝えられたから、きっと大丈夫だと思う。
(⋯ありがとう。水無瀬くん、愛里ちゃん)
相談に乗ってくれた2人に心の中で感謝しながら、しばらく千尋ちゃんを慰めた。
告白を書くのむじい⋯でも何とか書けた⋯
次回は電気屋だけど、綾小路達を出すか悩み中⋯あと主人公の性格を考えたらストーカー案件がちょっと面倒な事になる予感がしている⋯