水着までやるか悩んだけど次回に持ち越しです。
まあDクラスじゃないしそこまで盛り上がらないとは思うが
堀北生徒会長。
さっき一言も発さずに体育館の空気を掌握した、おそらく坂柳以上の傑物。
「⋯たしか、Bクラスの水無瀬だったか⋯ここで何をしている?ただ迷った訳ではないようだが」
(何で初対面なのに名前知ってるのこの人⋯怖)
そんな疑問が湧くが、一旦置いておく。ここに来た目的を考えるなら、ここで先輩に聞くべきなのは間違いない。ただ、さっきの部活動紹介の場で生徒会は学校の規律を変えられるだけの権利があると言っていた。そして、先生は質問に
つまり、ここで会長に質問をした所で、同じ答えしか返ってこない可能性は極めて高い。
「少し、気になることがあって」
「⋯ほう」
僕の言葉に会長の雰囲気が変わる。
「気になることとは何だ?」
「えっと⋯」
今さっき疑問が増えたことで何から聞くべきか言い淀むと、会長が少し考えるように顎に手を当てる。
「なるほど⋯なら、君の質問に一つだけ答えよう」
「⋯え?」
突然の生徒会長の提案に頭に疑問符が浮かぶ。
「気になる事柄が複数あるのだろう?ただ、俺も忙しくてな。答えられるのは一つだけだ」
(なんで急に?というか、さっき少し考えてたけどあれだけで僕の状況が把握出来たの?色々突っ込みたい事はあるけど、おそらく⋯)
今、自分は
(まあ問題は、僕が情報をまだ整理出来てないことだけど⋯)
「どうした?質問をしないなら俺はもう行くぞ」
「っ、少しだけ待ってください」
時間は無い。なら⋯
今要らない思考は切り捨てて、今ある情報を分析する事にだけ思考を重ねる。そうして思考を切り分けていくと、意識がクリアになっていく。
(ポイントの件は今回は考えない。今欲しいのは上級生のクラスについての情報だ。そして、まず確定出来る情報。それは、机の数の違いから見て間違いなく
まずここまでが絶対条件だ。そうでなければ、ここまでクラス毎の人数が変わるわけがない。問題は⋯
(唯一その情報と矛盾するのが、3年Aクラスだけ人数が1年と比較しても多いって事。つまり、逆に人が増える条件が何かしら存在する⋯人数が増える可能性で、考えられるのは現状2択。1つ目は転入生が入ってくる事。でもこれは同じクラスに2人も来る可能性はまず無いし、この学校に転入なんて出来るかそもそも不明だから一旦除外。そしてもう1つ⋯
そう、他のクラスから移籍するのであれば、人数が増える理由に説明がつけられる。後の問題は1つ⋯
(他のクラスから移ってくるメリットとは何か⋯ここだけまだ情報がハッキリしない。まだ何か抜け落ちてる事があるんだろうけど⋯こういう時は某弁護士の様に発想を逆転させてみよう。他クラスから移る事で得られるメリットについてではなく⋯
そう考えて、意識を現実に戻す。少し頭痛はするが、特に問題は無い。
「⋯考えはまとまったか?」
「はい。Aクラスに移籍するメリットを教えてください」
「⋯ほう」
僕の質問に会長が少し表情を変える。
「悪いが、その質問には
「⋯そうですか。分かりました」
「俺はもう行くが、下校時刻も近い。早めに帰ることだな」
「はい。ありがとうございました」
会長が下の階に降りていった後、これ以上調べることも無いので自分も帰宅する。なお⋯
(さっきの表情から考えて、結構正解には近そう⋯?っていうか今更だけど、これBクラス以下の人間に関しては移籍しないとメリットが無いみたいな聞き方になっちゃったな⋯流石に最初のクラス分けだけでそんな格差を作ってるなんて事無いだろうけど)
(入学2日目でここまで考える生徒がいるとはな。だが、Aクラスに移籍するメリットについて聞くという事は、この学校が成績順でクラスを分けている事には気付いているのだろう。中々見所がありそうだな)
そんな某芸人のようなすれ違いがあったのだが、お互いに気付くことはなかった。
翌日、昼休みに放課後の話を一之瀬達とは共有したが、結局同じところで行き詰まってしまった。
「⋯でも、この話って、他のクラスにも教えた方がいいよね。クラス毎で貰えるポイントが変わるのは合ってそうだし⋯」
「そうだね。早めに教えておかないと、結構ポイント無くなっちゃうかも」
「う、うん⋯⋯私もいいと思う」
「俺は反対だな」
女子3人の空気が賛成側に傾いていた所に、神崎が待ったをかける。
「え、なんで?他のクラスもポイントが減ったら間違いなく困るし、助けた方が⋯」
「学校側がわざわざ『答えられない』なんて言い方をしているという事は、おそらく箝口令が敷かれている。下手に誰かに教えれば、以前言った問題行動に該当してしまう可能性がある」
「あーそっか。たしかに、それでうちのポイントが減ったら今度はこっちが困っちゃうか」
「⋯そうだね。じゃあ、後で皆にも言っておかないとね」
神崎の言葉に一之瀬達も納得し、ひとまずクラス外の人には教えないでおくという事で結論が出た。と言っても⋯
「Aクラスはどの道気付いてるだろうけど」
僕の言葉に全員が僕の方を向く。
「Aクラスが?どうしてそう思ったの?」
「
僕でも思いつく事を坂柳が分かっていないわけがない。間違いなく、あいつは答えまで辿り着いているだろうと思う。
「坂柳か⋯」
「坂柳⋯って、たしか理事長の苗字も坂柳じゃなかった?」
「あ、そういえば気になってたけど水無瀬くんに聞けてなかった。坂柳さんって、坂柳理事長の子供なの?」
「いや、知らないけど」
僕の返答に質問した一之瀬がズッコケる。坂柳の両親とは関わる機会は無かったし、正直入学式の時の理事長の話も適当に聞いていたから今初めて理事長の苗字が坂柳と知ったくらいである。
「えぇ⋯」
「いや、もしその坂柳が俺の知っている坂柳なら、理事長の娘で間違いない」
僕への質問に代わりにそう答えたのは神崎。全員の目が神崎に向いた。
「神崎くん、坂柳さんと知り合いなの?」
「親の関係で、少し会った事がある程度だ」
「へぇ〜。でも、それじゃあその坂柳さん?は理事長から情報を貰えてるかもって事?」
「いや、理事長の子供とか関係無く本人の地頭で普通に気付くと思う。なんなら、僕らが行き詰まってる所も、あいつならもう分かってるんじゃない?」
「坂柳さんって、そんなに頭がいいんだ⋯」
「自分で天才って言ってるくらいだし、実際天才で間違いないからね」
正直、頭脳で勝負しようと思ったら今の自分では100回やって100回負けるだろう。そのくらいには格差がある。
「まあこれ以上話しても進まないし、学校側から説明が来るまでは普通にしてよう」
「うん。でも、ポイントが減りそうな行動だけは気をつけようね」
そうして話し合いは解散し、しばらくは普通に学校生活を送るのだった。
現時点だと、学校は『隠し事は多いけど嘘はついてない』って思ってる上に、クラス丸ごと入れ替わりとか常識から言って起こらない事だから答えにたどり着けない⋯
次で5月1日までいけるかな?