毎日投稿途切れるの早いな(他人事)
先生が教室を去ってから、一之瀬が教壇に立つ。
「皆、ちょっといいかな?正直、さっきの先生の説明に納得出来ないって人も沢山いると思う。でも今はとにかく、中間テストとかも含めて、これからどうするかについて話し合いたいな」
そう言うと、クラスのメンバーは何か言いたそうにはするが、1度言葉を飲み込んだ。それを見て、一之瀬が言葉を続ける。
「まず最初に1つ、私達がAクラスを目指すのは当然なんだけど、それとは別に、私はこのクラスが誰一人欠けず、40人で卒業したいって思ってる。もし誰かが退学になりそうな時は、ポイントを使って助けたいって。だから、いざと言う時のポイントを貯金する、クラス貯金をしておきたいって思ってるの。その為に1つ聞きたいんだけど、皆は先月、どれくらいのポイントを使ったのか教えてくれないかな?」
その言葉を聞いて、全員が自身のポイント残高を確認し、先月消費したポイントを一之瀬に伝える。中にはほとんど使い切った人もいたが、だいたい平均すると5万円程が使われたらしい。
「⋯じゃあ、毎月ポイントが振り込まれたら、自分のポイントが5万円になるように残して、余ったポイントをクラス貯金にしたいと思ったんだけど、どうかな?」
そう聞くと、特に否定的な意見が出る事は無く、皆が賛同した。
「それじゃあ、クラス貯金を振込む人を決めたいんだけど⋯」
「それは一之瀬でいいだろう」
一之瀬の言葉に神崎が答える。
「少なくとも、今このクラスは一之瀬をリーダーに回っている。一之瀬が持っていれば、誰も不安には思わないだろう」
その言葉にクラスのほとんどの人は納得したように頷いた。
「そ、そうかな?⋯分かった。じゃあ私が管理するね」
そうしてまず1つ、クラス貯金の話は終わった。
「じゃあ次に、中間テストの対策として、皆で勉強会をしたいって思ってるんだけど、どうかな?」
そんな一之瀬の提案に、クラスの殆どの人が賛同した。
「小テストの点数が上位だった神崎くんと水無瀬くんの2人は、私と一緒に講師役として皆に教えて欲しいんだけど、2人はそれでも大丈夫かな?」
「俺は構わない」
「⋯僕も大丈夫だよ」
「じゃあ、勉強会は今日から放課後にこの教室でやろっか」
そうして中間テストまで勉強会を開く事が決定した。のだが⋯
(⋯どうにも引っかかるなぁ)
「水無瀬くん、どうかした?」
「いや、さっきの先生の言葉で気になることがあって」
そう言うと、一之瀬の頭に疑問符が浮かぶ。
「気になることって?」
「中間テストで100%赤点を回避する方法があるんじゃないかって」
クラスの全員が僕の言葉に静かになる。
「どうしてそう思ったの?」
「星之宮先生の最後の言葉⋯あの
信じてる、とか抽象的な表現ならまだしも、確信なんて言い回しはしない。この学校なら、尚更言葉の使い方は気をつけているはずだ。
「それは⋯確かに気になるけど、私達のクラスの小テストが平均80点も取れてたからそう言っただけじゃない?」
「最後の3問以外の難易度が低すぎるあのテストの結果で安心するなら、中間テストも同じくらい簡単な問題まみれにならないと、その考えは成り立たない」
正直、あのレベルの問題の中間テストなら、本当に義務教育時点の学習すら足りていない人くらいしか落とせないだろう。というか、そんな人がこの学校に受かるとは流石に思えないし。
「考えすぎの可能性もあるけど、4月の時点で説明不足どころか明確に情報を隠してた学校側の言葉なんて、とりあえず片っ端から疑った方がいいと思ってるよ」
「⋯すごい辛辣だね」
「だってやってる事普通に国を上げた詐欺じゃん」
実力主義と言って最低限を切った人間をガンガン退学にさせるだけならまだ理解は出来る。生徒に競争意識を持たせるのに有効なのもまあ教育方針の1つとしては間違いではないと思う。ただ、仮にも国が関わってる教育機関で、入学してから実は入学前の説明は嘘でした、と詐欺まがいの事をするのはただ純粋に信用と信頼を損ねるだけで意味が無いと思った。
「これで卒業1週間前とかに、実は全クラスちゃんと恩恵が受けられますって言い出すんならいいけど、そういう事も無さそうだし」
それならばまだ某先生の言ってた合理的虚偽、というやつになる。
ただ、それならクラス替えなどせずとも、元々優秀なAクラスを基準にして、それより能力が高いものを見せた人間に同じ恩恵を与える、という話にした方が実力主義として納得しやすいしやる気も出ると思う。なにより、自身の実力を磨かずに人任せにする事が出来なくなるから。
「⋯まあ、あくまで僕の想像であってそれこそ確信と言える話じゃないし、それこそ裏技があっても本当に最低限赤点は回避出来るだけって可能性もある。どの道地力を上げる為に勉強会はやった方がいいと思うよ」
「う、うん。じゃあ、放課後は講師役、お願いするね」
そうして中間テスト対策の話し合いも終わる。そして⋯
(⋯一応聞いてみるか)
確証は持てなくとも取れる手は取っておこうと、確認の為に1つの連絡先に質問をチャットで送った。
放課後、クラス全員が集まり勉強会が始まった。
講師役を引き受けはしたが、正直皆小テストで高得点を取れていただけあって、基礎でつまづいている人は殆どおらず、授業は問題無く理解出来ていそうだ。
「水無瀬、ここ教えてくれよ」
「えっとここは⋯」
そうして分からない人に教えていると、あっという間に下校時刻になった。
勉強会は解散になったが、寮に帰るところで一之瀬に声を掛けられた。
「水無瀬くん。この後、時間あるかな?」
「あるけど、何?」
「朝の話、もう少し詳しく聞きたくって⋯他のクラスに聞かれない方がいいと思うし、水無瀬くんの部屋で聞いてもいいかな?」
「⋯分かった」
という事で一之瀬を連れて部屋に帰る。
「へぇ〜、水無瀬くんの部屋、こんな感じなんだね」
「一之瀬の部屋はどんな感じなの?」
「うーん⋯水無瀬くんの部屋より物は多いかな」
そんな他愛も無い話をしつつ、彼女にお茶を用意する。
テーブルに座ると、一之瀬が話を切り出した。
「それで、朝言ってた話なんだけど⋯水無瀬くんは、実際どのくらいの可能性があるって思ってる?」
「100%」
ハッキリ言い切る。
「⋯え?でも、朝の時は確信とは言えないって」
「朝の時点だとね。確定した理由はこれ」
と、彼女にチャットを見せる。
「⋯これ、坂柳さんの?」
「うん。あいつならどうせ1人でも理解していただろうから聞いてみたんだ」
坂柳のチャットにはこう返信があった。
『どうでしょうね?私のクラスでもやけに確信されてましたよ』
「間違いなく、学校は確信って言葉を教師に使わせてる」
「それは分かったけど⋯坂柳さんの事、随分信頼してるんだね」
彼女がジト目を向けてくる。
「少なくとも僕が知る限りで1番頭がいいからね。後、中学の時に散々利用されたから、少しやり返してるだけだよ」
「ふぅん⋯⋯いいなぁ、頼られて」
「え?」
後半に何かボソッと言った気がするが、上手く聞き取れなかった。
「何でもないよ。でも⋯クラスに相談も無しに聞かないで欲しかったな」
「うっ⋯ごめん」
流石に罪悪感を感じる。次からはちゃんと報連相しようと思った。
「⋯よし!じゃあこの話はこれで終わり!もう遅いし、せっかくだからご飯作ってあげるよ」
「え、いいの?」
「1人で食べるより、誰かと食べる方が美味しいと思うから」
「⋯じゃあ、お言葉に甘えて。でも少しは手伝うよ」
「じゃあ野菜とか切るのは任せるね」
という訳で一之瀬と夕飯を作って食べる事になった。一緒にキッチンで料理するとか、まるで⋯とか思ったが、流石に一之瀬に申し訳ないのでそれ以上考えない事にした。
ちなみに作ったのは肉じゃがだった。とても美味しかった。
食事を終え、一息ついたところで明日以降の方向性を決める。
「とりあえず明日以降だけど、放課後の勉強会に支障を出したくはないし、また昼休みにいつものメンバーで集まって話し合って考えたいって思うんだけど、どうかな?」
「それでいいと思う。でも、何かしら行動する場合は放課後になるだろうから、その間は網倉さん達にも講師役をお願いして欲しい」
「分かった。それじゃあ私はそろそろ帰るね」
明日以降のやる事も決まったので、部屋に帰る彼女を見送る。
「じゃあおやすみ、一之瀬」
「うん。おやすみ、水無瀬くん。また明日ね」
それから自身も寝る準備を済ませて眠りにつく。明日はまた忙しくなりそうだ。
主人公は隠し事については気にしませんが、騙し騙されは嫌いなので学校側がそういう事してきた事に内心結構キレてる。
高育への信頼度は大体50→-50くらいに下がった。