原作で丸ごと6月飛んでるから何書くか色々考えてしまった。
中間テストが終わり、6月になった。
クラスポイントは先月から20ポイントほど減ったが、無事に中間テストは全員が高得点を取ることが出来て、先生も喜んでいた。
「無事に皆が中間テストを乗り越えてくれて良かったわー。来月の期末テストも乗り越えたら、夏休みにはバカンスもあるから頑張ってね!」
そんな話をしていた。半分程のクラスの人達は素直に喜んでいたが、残り半数はこの学校に慣れたと言うべきか、先生の発言を怪しむのだった。
そしてその放課後、Bクラスは⋯
「それじゃあ、中間テストを全員で乗り越えたのを祝して、かんぱーい!」
「「「かんぱーい!」」」
打ち上げをしていた。一之瀬が中間テストを返却された後に予約していたらしく、来れるメンバー全員で店を貸切にしていた。
「いやー、ほんとよく気付けたよな。水無瀬流石だぜ」
「いや、一之瀬達と一緒に考えてなかったら、まず見つけられなかったよ」
「謙遜すんなって」
柴田は謙遜と言うが、これは本当の事だ。一之瀬が呟いた毎年恒例というワードが無ければ、本番まで気付けなかった可能性が高い。
「でも中間テストは乗り越えたけど、今月もポイントは減っちゃったね」
「うん。授業態度も気をつけてたけど、中々0に出来ないね〜」
「勿体無いよな、やっぱ」
ただポジティブな話だけでは無く、Sシステムの中身が全て分かった後でもポイントが減ってしまっている現状についての声も出てきた。
「⋯ねぇ、これは提案なんだけど、私達のクラス内で風紀委員みたいな、授業態度とかを見て注意してくれる人を決めるのはどう?」
一之瀬がそんな提案をするが、網倉が疑問を投げかける。
「でも、それならクラス皆でお互いにやった方が確実なんじゃない?」
「たしかにそうだけど、それだと誰かがやってくれるって意識が出て誰もやらなくなるかもしれないし、授業中に皆で周囲を見回してたらそれこそ減点になるからね。私としては、席が1番後ろだししっかりしてる神崎君が適任じゃないかって思うんだけど」
そう一之瀬が疑問に答えながら神崎にお願いをした。
「⋯まあ構わないが、俺一人で全員を見るのは厳しいぞ」
神崎の席は廊下側の一番後ろの席だ。廊下側の席の監視は問題ないだろうが、窓側の席まで見るのは厳しいだろう。
「うーん⋯じゃあ、もう1人は姫野さんにお願いしたいかな」
「⋯え?いや⋯」
自分に話が飛ぶとは思わなかったであろう姫野さんは断ろうとする。が、
「お願い!姫野さんならしっかりしてるし、任せられるかなって思って⋯」
「⋯⋯まあ、いいけど」
一之瀬のお願いに顔を背けながらも承諾した。どうやら押しには弱いらしい。
「じゃあ風紀委員だけだとあれだし、他にもいろいろ委員会みたいなの作っちゃおう!」
という提案により、委員長を始め体育委員や保健委員など次々と決められていった。ちなみに言い出しっぺの一之瀬は委員長、僕は副委員長にされた。抗議しようとしたが誰も反対してこない上、一之瀬から上目遣いでお願いされてしまって思わず首を縦に振ってしまった。あの顔は反則だと思う。
そんな打ち上げからさらに2週間程が経過した。僕の鍵がクラス中に配られてから毎日のように誰かが遊びに来ていたが、今日は誰からもその話はなく、久しぶりに1人で休める。そう思って放課後になってすぐ部屋に帰り玄関を開ける。
「おかえりなさい、水無瀬くん」
即座に玄関の扉を閉じて部屋の番号を確認する。502、間違いなく僕の部屋だ⋯入学から色々あったし疲れてるのかもしれない。あれは幻覚、きっと幻覚に違いない。
1度現実逃避をして、確認の為にもう一度扉を開ける。
「⋯なんで閉めたんでしょうか?」
「⋯なんで家の中にいるんだ?」
何故か部屋に坂柳が座っていた。マジでなんで?
「何故と言われれば⋯ポイントで合鍵を作れる事は知っているでしょう?」
「いやそういう問題じゃなくて⋯なんで僕の部屋の鍵を作ってるんだ?」
「必要になると思ったので」
「なんで?」
必要になる理由何処にもないって。Aクラスにも側近居るでしょうがパシリならそっち使えって。
「それにしても、随分物が増えましたね」
もうこっちのツッコミには答えてくれないのか、坂柳が話を逸らす。
「⋯一応、クラスのほぼ全員が鍵を持ってるから。遊びに来た時用に色々買っといてくれって言われた結果だよ」
ちなみに言い出しっぺは柴田で、クラス中から少しずつポイントを集めて渡してきたのだ。12万いきなり渡された時は流石にビビったが、お陰で家の中はまさしく遊び人という言葉がピッタリになるような部屋に様変わりしていた。
「⋯で、何の用?」
「久しぶりにチェスでもと思いまして。心配いりませんよ、今回は賭けは無しで構いませんから」
「⋯分かった」
断ってもいいが、そうした所で相手をするまで毎日のように押しかけてきそうなので承諾する。
「⋯それで、本題は何なの?」
チェスを打ちながら彼女に問いかける。坂柳がただチェスの相手をしてもらう為にわざわざ部屋に乗り込んでくるとは思えない。
「水無瀬くん、私のクラスに来てください」
「断る。僕がクラス移動するメリットが無い」
即座に断る。そもそも2000万ポイント必要なの分かって言っているのだろうか。
「そんな事はありませんよ。Aクラスになるんですから、水無瀬くんにも利がある話だと思いますが」
「別に僕はそこまでAクラスに固執してる訳じゃないし」
Aクラスにならなければいけないような大層な夢がある訳でもないし、なにより今のクラスを気に入っている。もっと言うなら坂柳と同じクラスになったら、ろくな目に遭わない気がする。
「それにそもそも坂柳が僕を入れたい理由なんて、葛城派に対抗する為の人集めが理由でしょ」
学校で過ごせば少しくらい噂は耳に入ってくる。今Aクラスは葛城派と坂柳派で派閥争いをしているらしく、今は葛城派の人間の方が多いとか。
「たしかに、彼とはそのような関係にはなっていますが、貴方を入れる理由はまた別ですよ」
「別?」
「以前も言いましたが、私は貴方を気に入っている。それだけの話です」
ジトっと(絶対本気で言ってねえよコイツ⋯)という疑いの目を向けるが、彼女の表情は変わらない。相変わらずの暗黒微笑である。
「⋯どの道、僕の答えは変わらない。そっちのクラスに移籍するつもりは無いよ」
「⋯そうですか。では今回は諦めましょう」
そう言うとあっさり下がった。意外にあっさり引くなと少し拍子抜けしたが、今回
「そうそう、夏休み期間にバカンスがあるという話は聞きましたか?」
「聞いた。坂柳なら、何があるかもう分かってるんじゃないの?」
「水無瀬くんは私をエスパーか何かと勘違いしてませんか?まだそこまでは知りません。ただ1つ分かっている事は、私がバカンスには行けない、と教師に言われてしまったという事です」
「⋯なるほどね」
つまり間違いなく体を動かすタイプの何かがあるという事だ。
「⋯で、その夏休みにある何かで葛城を負かしてくれと?」
「そうしてくださるなら、私としては有難いですね。まあ彼に勝つだけならそこまで難しい話では無いでしょうが」
「でも、Bクラスが勝ったらそっちがBに落ちるんじゃないか?」
わざわざさっきAクラスの権利を餌に引き抜こうとしてたのに矛盾してないかと感じる。
「あら、心配してくれるんですか?ならこう言わせて貰いましょう。私抜きでも負ける程度なら、私に勝つなんて不可能ですよ」
ごもっともである。一番ヤバい相手抜きで勝てない様では、この先も勝つなんてまず無理だろう。
「それに、そちらのクラス程度の相手でしたら、すぐに追い抜けますし」
何か言い返したい所だが、これも正直否定出来ない。少なくとも、学力で言えばクラス全体で考えても相手が一段上になる。4月の小テストが平均90以上と聞いた時は流石に馬鹿じゃねえの2,3年で習う問題平均で1問以上解くなよ、と思ったものだ。
「⋯夏に出来るだけ離さないと、か」
「その場合は全力で潰しますから、覚悟しておいて下さいね」
そう言うと彼女がチェスの駒を移動させた。チェックメイト。また僕の負けである。
「⋯これで190勝0敗
なんで全部の結果覚えてるの怖いって。というか⋯
「⋯あれは引き分けとは言わないよ。最後まで打てなかったんだし、僕の負けでしょ」
「少なくとも、あの時の貴方は
坂柳はそう言うが、結局自身の実力不足が結果に出ただけだ。少なくとも、まだ僕が坂柳に勝つにはまるで足りない。
「⋯では、私は帰りますね」
と彼女が杖を持って立ち上がる。
「部屋まで送るよ。1人じゃ危ないし」
寮内での移動とはいえ、途中で転んだりされると後で少し後悔しそうなので部屋まで送り届ける事にするが、そんな様子に彼女が笑った。
「ふふっ、一之瀬さんに会って少し昔に戻ったみたいですね。3年前の貴方もそんな風に助けてくれていましたよ」
「⋯坂柳以外にはいつもこんなもんだけど」
「おや、またお仕置が必要でしたか?」
「いえ結構です⋯」
そんなやり取りをしながら彼女を部屋まで送り届ける。その後、自分の部屋に戻りながら今後の動きについて考えていた。
「⋯あ、坂柳から鍵回収してない」
坂柳との会話の中身ばかり考えてすっかりその事を忘れていた。Bクラスだけでもいっぱいだというのに、もう僕にはプライベートのプの字も残っていないのかもしれない。
ひとまず坂柳の鍵は次来た時に回収するとして、夏に何があるのかは分からないが、少なくとも坂柳の居ない間にAクラスに勝っておかなければと考えるのだった。
なお坂柳にはのらりくらりと躱される上、杖でシバかれるので鍵は回収出来ない模様。
次回、須藤事件入ります。