翌朝――朝靄がまだ残る演習場。
第七班の三人――ソウマ、キキョウ、トキマは、昨日の疲労を微かに残しながらも、隙のない立ち姿で立ち並んでいた。
その正面に、腕を組んだ千手扉間が静かに佇んでいる。
「……遅刻もせず、良い面構えだ」
扉間は三人の顔を一人ずつ見据えると、淡々と本題に入った。
「今日から任務を受けるが、新人下忍のお前たちには前線の仕事など割り振られんぞ、里から遠く離れるような任務もない、まずは班として行動になれるための簡単な任務からだ、しかし合間に修行も行うからな。
まず方針を話そう、全員に共通して叩き込むのは、実際の戦闘を想定したチャクラコントロールと基礎体術だ。
忍術の威力も速度も、すべてはチャクラの精密な制御と足腰の体幹から始まる。これについては毎日こなしてもらう、ただ任務や翌日に影響する疲労は残さない、練習量はワシがお前たちの力量に合わせて調整するからな、勝手に自主練するなよ。
お前たちはそれぞれ実家で親や親族から教わることもあるだろうからその場合は事前に申告すること、練習量を調整する」
三人が緊張感を持って頷くのを確認し、扉間はまずソウマへと視線を向けた。
「それから各個人向けの内容だ、まずソウマ」
「はい」
「数年前からわかっていたが、お前には時空間忍術の適性があるようだ、たまに飛雷神を見せていただろう、あれはその確認だ」
扉間はわずかに目を細め、静かな、しかし衝撃的な言葉を告げた。
「つまり、お前には……ワシの『飛雷神の術』を修得できる見込みがある」
「「「え……っ!?」」」
その場に衝撃が走った。
キキョウとトキマが驚愕の表情でソウマを見る。二代目火影の代名詞であり、忍界最速の術と称される時空間忍術――それを修得できる可能性があると告げられたのだ。当のソウマ自身も目を見開き、扉間を見返して固まっている。
「……ただし、いきなり飛雷神を教えるわけではない。空間を認識し、チャクラを異空間へと通す基礎の感覚を養うため、まずは『口寄せの術』から始める。手裏剣などの忍具の口寄せからだな、その後は口寄せ動物だが、契約が必要だから普通なら簡単にはいかんのだが、当てがあるのではないか?」
「まさか、猿魔…?ご存じだったのですか?口寄せか…わかりました、精一杯やってみます!」
驚きを飲み込み、ソウマは強く頷いた。
扉間は続いて、隣に立つキキョウへと視線を移す。
「次はキキョウだ」
「……はい」
キキョウは無意識に背筋を伸ばし、扉間を直視した。その瞳の奥には、未だ写輪眼を開眼できていないことへの焦りと苛立ちが透けて見えていた。扉間はそれを見逃さない。
「……焦っておるな。『うちは』の名を背負いながら、まだ写輪眼が開眼していないことを気に病んでいるのだろう」
図星を突かれ、キキョウは息を呑んで唇を噛み締めた。
「だがな、写輪眼だけに執着するのは愚の骨頂だ。瞳術がなくとも、幻術はかけられる。ワシがお前に叩き込むのは瞳術に頼らない幻術だ。相手の五感にチャクラを送り込み、実戦で呼吸を乱す技術を授ける」
「幻術……! でも、アタシはうちはの……」
「うちはは写輪眼だけではあるまい?さらに、お前はうちは一族らしく火遁が得意だな。うちはの火遁は確かに強力だが、形にとらわれすぎだ。ワシも火遁は一通り扱える。一族に伝わる型だけでなく、目的に合わせた術の形や発生速度、精度を意識したアレンジ、つまりは火遁の『バリエーション』を増やしてもらう」
扉間がサッと印を結ぶと、次の瞬間には完璧な火遁が扉間の口から火が吐かれ、地面を焦がした。二代目火影といえば飛雷神と水遁が有名だが実際はあらゆる属性に精通する扉間の底知れなさに、キキョウは圧倒されつつも、その瞳に熱い闘志を宿させた。
「……わかりました! 徹底的に盗ませてもらいます!」
「ふん、威勢だけは良いな。――最後はトキマだ」
扉間はトキマに向き直った。
「トキマ。お前は日向の分家でありながら、白眼の精度も柔拳の基礎もアカデミーでは頭一つ抜けている。お前の課題はさらなる格闘能力の底上げと、白眼を用いた広範囲の状況把握だ」
「……はい。ひたすら組手とチャクラ制御の訓練……精進いたします」
トキマが恭しく礼を執ると、扉間は顎をさすりながら言葉を足した。
「ただそんな訓練は日向の家でいくらでもできるだろう、だから組手の相手もするがそれよりもお前に教えるのはチャクラの『形態変化』だ」
「形態変化……ですか?」
「そうだ。お前はもう『空掌』で放出はできているだろう、柔拳で触れた時にチャクラを放出して相手の経絡系を破壊するのも同じだな。
例えば、放出したチャクラの密度を高めて刃にすればいわゆる『チャクラメス』という物になる、数が少ないが医療忍術の授業で見ただろう?
日向には白眼があるからな、チャクラが目に見えるという関係上日向はチャクラコントロールに優れる一族だ、手や指先からの放出にも慣れているから医療忍術にも向いている。まあ医療忍術はかなり高度だからな一気に色々やっても身につかんから医療忍術のことは一旦忘れろ。
『形態変化』に話を戻すぞ、例えば放出したチャクラを体にまとわせれば盾になるし、チャクラの形を変形すれば、間合いや威力は劇的に跳ね上がるはずだ。一族の伝統だけに縛られず、『放出させたチャクラをどう変化させるか』を己の頭で考えてみろ」
(流石に日向の秘伝である『回天』や『柔歩双獅拳』の完成形をワシが勝手に教え込めば、宗家から余計な文句が出るからな……。だが、ヒントを与えて勝手に至らせる分には文句はあるまい)
扉間の真意を知る由もないトキマだったが、その言葉は雷に打たれたような衝撃を彼に与えていた。
「放出させたチャクラの……形態変化……! ただ押し出すのではなく、形を変える……!」
白眼の可能性、そして柔拳の未来が開けたような感覚に、トキマの瞳が歓喜で輝く。
「よし、方針は伝わったな。まずはソウマの口寄せの巻物の引き渡しと、全員での基礎体術・チャクラコントロールから始める。……ついて来い」
「「「はいッ!!」」」
二代目火影直々の言葉と指導を受け、自らの進むべき道筋を見出した三人の返事は、朝空に力強く響き渡るのだった。
BORUTOで木ノ葉丸が猿魔の息子を口寄せするの好き
黒暗行の術、読み返したら発動してたの柱間だったんだけどどう考えても扉間が写輪眼対策に作った術だと思う。
ネジが勝手に回天習得してたから自力で覚える分にはええやろの精神、日向はもっと形態変化研究して螺旋丸みたいなの作ってても不思議じゃないけど、かするだけでも確実に効いてくる柔拳がチートすぎるので派手な技は要らんのかなあ
てか遠距離も空掌あるから性質変化も使わないし、やっぱ日向は木の葉にて最強かもしれない。