ソウマの帰還と第七班の演習の翌日、キキョウの病室にはソウマとトキマだけでなくカエデとキョウカとフガクという後輩の身内たちも集まっていた
ソウマが気まずそうに話しかける
「その…キキョウ、腕の具合はどうなんだ?」
「演習で怪我したぐらいで何そんな気にしてんのよ、お母上のユウリさんが医療忍術で手当してくれたからもうほとんどなおってるわよ?知ってるでしょ」
「いやそうなんだけどさ…母上が「女の子に怪我させるなんてちゃんと加減を考えなさい」なんて言うからさ、キキョウは加減して勝てるような相手じゃないのに」
カエデが会話に入る
「兄さんあれ気にしてたの?あれはお母様がからかって言ってるに決まってるじゃない、お母様だって忍として戦ってた時期だってあったんだよ?演習で怪我なんてしょっちゅうしてたんじゃないの?お母様自身が医療忍者なんだし自分で直したりしてそうじゃない?」
「え?そうなの?なんだ気にしすぎか~!」
そこに様子を見に来たユウリが入ってきた
「違いますよソウマ、演習で怪我するのも分かりますし、キキョウさんが手抜きできる相手ではないのも分かっています。ですがあなた昨日キキョウさんの怪我が大したことないと分かるとさっさと家に帰ったでしょうカエデに会いたいとか言って、付きっきりで看病しろとまでは言いませんが利き手を怪我して不便なキキョウさんに対しての気遣いだとか、あなたがお世話するわけにはいきませんから、身内の方が来るまでそばにいるとかそういう事は出来るでしょうに」
「うっ……は、はいその通りです……」
「あ、あの~ユウリさん私本当に気にしていないので大丈夫ですよ!それに私が弱かったのが悪いので次はソウマを病院送りにしてやりますよ!」
「そのフォローはどうなんです?お姉様」
「姉上、それは全く解決になっていないぞ」
最近姉が脳筋思考になっているのをちょっと気にしだしているキョウカとフガク
ユウリが少し困った顔で答えた
「キキョウさん、別にソウマを病院送りにはしなくていいですからね?問題ないと思いますが少し様子を見せてくださいね」
「ユウリさんすいません、また医療忍術を白眼で見ていてもいいでしょうか、医療忍術はなかなか見れないので」
「もちろんいいですよ、医者は多少いても医療忍者は貴重ですからね、綱手さんのように前線で自身も戦いつつ治療もできるような者はそれこそ片手で数えられるぐらいしかいないですからトキマくんも頑張ってください」
そうしてユウリがキキョウの治療に取り掛かり、じっとしているキキョウとそれを観察するトキマの横でソウマ達が雑談を続ける
フガクはソウマがキキョウとトキマを1対2で破ったと聞いてその実力に驚愕していた
「それにしてもソウマさんはすごいですね、姉上とトキマさんに勝てるなんて、姉上の新術は俺も見ていますがあれを正面から破って怪我を負わせたんですよね?どんな威力なのか想像もできません」
「まあ口寄せ動物とのコンビだから実際は2対2の演習だったんだけどね、俺から言わせてもらえば俺と口寄せ動物…猿空って言うんだけど、二人のコンビ技とほとんど同じ威力の新術を持ってるキキョウとトキマのほうがすごいよ」
カエデとキョウカは口寄せ動物に興味津々だった
「口寄せ動物か~!私見たことないんだよね、兄さん今度その猿空を呼んで見せてよ」
「私も見たいですソウマさん!」
「まあ今度一緒に修行するときにでも紹介するよ」
話しているうちにユウリがキキョウの手当を終えた
「はいおしまい、まあ特に問題は無いわね明日には退院していいと親御さんには説明しておくからね。ただ腕や体を動かして違和感があったらすぐに見せに来ること、いいわねキキョウさん」
「分かりました、ありがとうございます。ユウリさん」
「では私は他の患者さんのところに行かないといけないからこれで失礼するわね、皆はゆっくりしていってね」
そう言ってユウリが部屋から退室した、うちはの姫のキキョウは当然個室なので居座っても他の患者の迷惑にならないのである
キョウカはユウリの去った扉を眺めて
「やっぱユウリさんは綺麗でかっこいいな~!里にいる医療忍者では一番凄腕なんでしょ?」
「そうらしいよ、そのおかげでいつも忙しいってお母様言ってた、医療忍者は貴重だからほとんど前線に行っちゃってるけど里に全く医療忍者がいないのもまずいから実力者の一人としてお母様を残してるんだって、これはお父様から聞いたけどね」
トキマは
「理屈は分かるけどダンゾウ様夫妻の仲が良いのは有名だから愛する奥さんを前線に送らないための理由付けな気がするんだよな僕は」
「父上は母上にゾッコンだが流石にそこまではしないって、多分……仮にも綱手様の医療忍者としての師なんだぜ母上は、綱手様の素質がすさまじくてすぐに抜かれちゃったから師として扱われるのは困るっていつも言ってるがな、それに一応要人だからあんまり里の外に出したくないってのも本当のことだろう、火影の妹で側近の妻で医療忍者だから人質としての価値が滅茶苦茶あるからすげえ狙われるぞ母上は」
「それを言ったら私たちなんてうちはと日向と志村の子供なんだから恰好の得物じゃない?その割には最近は普通に前線の任務あるわよね」
「どう考えても俺達の担当上忍が扉間先生だからだと思うぞ、いざとなったら扉間先生が全部相手を片付けるだろうし、俺達を連れて飛雷神で逃げられるだろ?おまけに三代目や父上はあの人に頭が上がらんからな…」
ソウマの言い分を聞いたキキョウとトキマは
「「あ~、確かにね……」」
いつも自分は最低限しか動かず、ソウマ達に任務の経験を積ませる師の姿を思い浮かべていた
病室の扉が開き、思わぬ人物が入ってきた
「失礼するぞ、第七班は全員そろっているな」
「「「扉間先生?」」」
「「「(二代目様だ!)」」」
いつも話は聞いているが実際は雲の上の人物である扉間の登場にカエデたち年下組は固まっていた
キキョウが問いかける
「あの扉間先生、どうしたんでしょうか?私の怪我の状態は後程家の者から報告が入る予定だったのですが」
「部下の負傷状態ぐらい自分で確認するわ、まあさっきユウリとすれ違ったから明日退院できると聞いたのでそこは良い。本題は別だ」
「本題?つまりは任務ですね?僕たちも成長したあと三人で任務を受けて連携を再確認したいですし」
「いや任務ではない、三人の連携を確認する、というのは合っているがな。お前たちには来月の『中忍試験』を受けてもらう」
部屋にいた子供たち全員が驚き
ソウマも
「中忍試験ですか!?半年に一回の、俺達が下忍になってから約半年、つまり最速の中忍試験ということですよ!?」
「そうだ、そもそもお主の猿獄山修行を一か月と決めていたのは中忍試験に間に合わせるための日程だ、猿獄山の修行での成長も見越してな。昨日の演習でお前たちの実力を見て問題ないと判断した、三人で受験し、中忍になってくるのだ。受けられる任務も幅広くなるしな」
こうして第七班の中忍試験参加が決まるのだった
綱手だって最初は誰かに医療忍術教わったんだよな?と思ってちょうどいいところ(師であるヒルゼンの妹)にあんまり活躍予定のない女性がいたので医療忍者にしてしまいました
実はソウマの出産回(第四話)で地味にユウリは医療忍術が使える描写を入れたりしている