中忍試験を全員合格という最速の結果で終えてから数日。第七班の面々は、それぞれに支給されたばかりの「中忍ベスト」に身を包んでいた。
木ノ葉隠れの里の演習場の一角。
第七班の四人が集まっていた
扉間が話しだす
「さてお前たちは中忍へと昇格した、前線での任務も増えるだろう。そこでお前たちに課す修行も段階をあげよう。とは言っても訓練の量を増やすわけではない、内容が変わるということだ」
ソウマが質問する
「内容ですか、つまり今までより難しいことをするということですね?」
「そうだ、ではソウマお前から行こう。お前はやることは単純、これまでの成長と中忍試験をみてようやく飛雷神の術を伝授する段階に至ったと判断した。任務の合間に飛雷神を教えるから使えるようになれ、というだけだ」
その言葉に、ソウマは思わず息を呑んだ。
時空間を跳び、相手の隙を絶無にする最強の術。それをついに教わるというのだ。
「飛雷神も段階があるから順番に教えていく、マーキングからだな」
「分かりました、よろしくお願いします」
「それからこれはソウマだけではく全員だが影分身も教える。これからは敵地での任務も増えるだろうからな、偵察に影分身は有用だ。ただソウマは飛雷神の術の応用としても影分身は非常に有用なので同時に覚えること」
扉間がキキョウに目を移して話を続ける
「次はキキョウだが、当然写輪眼の習熟訓練だ」
「はい、昨日は家で中忍昇格のお祝いの席があったんですが、13歳での開眼は木ノ葉が出来てからは相当早いと皆が言ってくれまして」
「そうだな、隠れ里システムができる以前の戦国時代は若いうちに開眼した者しか生き残れなかったので自然とな、木ノ葉が出来て幼いうちに実戦に出ることが減ってからは逆に大人になっても開眼しない者も少なくない、うちは一族だからチャクラには恵まれるからそれなりの忍にはなれるがな」
「(そっか写輪眼が無いと生き残れなかったのか…)先生は写輪眼に詳しいんですね?」
「アカデミーで歴史は学んだだろう、ワシら千手とうちははずっと争っていた仲だ、対策のために研究はずっとしていた、実は影分身も飛雷神も写輪眼対策で生まれた術だぞ。写輪眼の使い方自体は一族の者から教えてもらえ、その方が良い、そしてワシが教えるのは写輪眼"対策"だ」
「私が写輪眼使う側なのに対策を覚えるんですか?」
「相手がどんな写輪眼対策をしてきてそれをどう潜り抜けるのかというのを覚えてもらうのだ。『目を見るな』『一対一なら必ず逃げろ』『二体一なら後ろを取れ』この辺りは知っているだろう?」
「ええ、聞いたことがあります」
「だがそんなものは当たり前に考え付くこと、うちは一族は当然それを見越した戦い方をする。だがワシの写輪眼対策はもっといろいろある、今やうちは一族は木ノ葉の仲間、戦う事こそないが相手がどのような対処をしてくるかを知っていればその対応も容易だろう」
「流石扉間先生…、わかりましたよろしくお願いします」
「さて最後はトキマだが、柔拳と白眼の練度向上はこれまで通りだが、これは実戦の中で自然と磨かれていくだろう。お前に新しく与える課題は医療忍術だ」
「医療忍術…ついにですか最初の頃は難易度が高いから後回しと言われていましたが」
「中忍試験の際にユウリの医療忍術を見ていたと聞いたぞ、言われるのを見越していたのだろう?」
「そうですねやはり班に医療忍者がいるのと居ないのとでは全く違ってくるでしょうから知識だけでもと思って体を動かした後は本を読んだりしていました」
「良い心がけだ、他の班員は医療忍術のような細かい作業は無理だからな。白眼もあるしやはりトキマお前が適任だ」
ソウマとキキョウはお互いを指差し
「言われてんぞキキョウ」
「あんたのことでしょソウマ」
扉間はあきれたように
「二人ともだ、医療忍術も飛雷神ほどではないが独特のセンスが必要だからな、お前たちには適性が無いというだけだ。里にいるときは木ノ葉病院でユウリに教わり、前線にいるときは前線の医療忍者と合流できたときは実戦で練習だ、ユウリには話はつけてあるので時間が出来た時に向かえばよい」
「ユウリさんですか!それはすごい…ありがとうございます」
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そして、一週間後。
木ノ葉隠れの里・火影室。
三代目火影・ヒルゼン、その側近である志村ダンゾウ、そして第二代火影・扉間の三人が、大きな地図を囲んで深刻な表情で話し合っていた。
「……ついに、霧隠れと岩隠れの小競り合いが全面的な衝突に発展した。砂隠れも便乗し雨隠れで木ノ葉と戦闘が活発化している。大戦が始まった初期の大規模な戦闘以来小競り合いが10年以上つづいたがついに本格的な戦闘が再開した」
ヒルゼンの重々しい言葉に、ダンゾウが険しい顔つきで頷く。
「里の戦力を順次前線へ投入せねばならん。特に、雨の国の国境付近は補給線を巡るゲリラ戦が多発している。敵の暗部や熟練の上忍どもが暗躍し、木ノ葉の小隊がいくつも奇襲を受けている状態だ」
そこに、扉間が腕を組んだまま冷徹に言い放った。
「ならば、実戦経験を積ませるのにちょうどいい。温室で育てたところで、本当の修羅場をくぐらねば意味がない。――第七班を、雨の国国境の前線基地へ投入する」
「ソウマ達はまだ中忍になったばかりですがもうそんなことを言っている戦況では無いですな…いきなり本格的な戦争の最前線とは、少し荷が重すぎやしないか心配ですがそこは扉間様の支援を期待しましょう」
ダンゾウも、不敵な笑みを浮かべながら同意した。
「その通りだ、ヒルゼン、我が息子ソウマを含め、あの第七班はこれからの木ノ葉を背負う者とならねばならん。戦争の泥水に浸からせ、本物の忍として叩き上げる絶好の機会だ」
こうして、最高幹部たちの決定により、第七班への最前線任務が下されることとなった。
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翌朝。
木ノ葉隠れの裏門には、どんよりとした鉛色の雨雲が立ち込めていた。
里のゲート前で、第七班の三人はすでに戦闘態勢を整え、中忍ベストのジッパーをしっかりと締め直していた。
そこへ見送りにやってきたのは、ソウマの母・ユウリと妹のカエデ、そしてキョウカだった。
「ソウマ、キキョウちゃん、トキマくん。……くれぐれも、無茶はしないことよ」
心配そうな母・ユウリの顔を見て、ソウマはいつもの調子でニカッと笑ってみせた。
「心配しないでください母上! 扉間先生の地獄の特訓に比べれば……何でもないです、冗談ですって! すぐに手柄を立てて帰ってきます」
「もう、そういう軽口を叩くのはお仕置きですね……」
ユウリは呆れたようにため息をつきつつも、愛息子の頭を優しく撫でた。そして、三人それぞれに特製の携帯用医療嚢(薬や止血剤の詰まったポーチ)を手渡す。
「医療忍術の心得はある程度叩き込んであるけれど、前線では何が起きるか分からない。自分の命を最優先に守りなさい」
カエデがソウマの服の裾をぎゅっと握りしめる。
「兄さん……絶対無事で帰ってきてね!」
「ああ、約束するよカエデ」
少し離れたところで立っていたキョウカが、頬を少し赤くしながらも気丈にソウマを見つめた。
「ソウマさん……無茶はしないでくださいね。一か月も外に行って無事に戻ってきたんだから、前線でも……ちゃんと帰ってきてくださいね、お姉様もお体に気をつけて…」
「おう、キョウカも心配してくれてありがとな。任せとけって!」
ソウマが爽やかに答えると、キョウカは少し安心したように笑みを浮かべた。
「行くわよ、二人とも。……私たちの本当の戦いが始まるんだから」
「「おう!」」
三人は一斉に背筋を伸ばし、木ノ葉の門をくぐり抜けた。
雨が激しく降り注ぐ泥濘んだ街道を駆け抜け、彼らは第二次忍界大戦という名の、血塗られた修羅場へと足を踏み入れていく。
下忍となって半年。最速で中忍へと駆け上がった第七班は、それぞれの進化させた刃と仲間への誓いを胸に、静かに、しかし確かな足取りで前線へと向かって進んでいった。
次回は時間が飛びます、細かい描写してたら一生終わらない自信がある