猿獄山、仙猿たちが修行を積む火山の修練場。
ゴツゴツとした黒い針岩がそびえ立つその場所で、空気の振動とともに激しい打撃音が轟いていた。
ドンッ!! ドカァァンッ!!
「ハァッ!!」
ソウマが一閃させた蹴りが大気を激しく削り取り、巨大な岩塊を一瞬で粉砕する。
その目の周りには、仙人の証である黒い隈取りがクッキリと浮かび上がり、瞳孔には二重の円が漆黒の光を放っていた。
「よしっ……ソウマ! 次のチャクラ受け渡しもバッチリだぜ!」
ソウマの腕の中で如意棒になっていた猿空が飛び出して元の姿へと戻った、ガッツポーズを作りながら嬉しそうに吠える。
「ああ、サンキュー猿空! 融合状態からのチャクラ移行スピード、最初の頃より三倍は速くなったな。これなら飛雷神で跳んだ直後でも息切れせずに仙術チャクラを維持できるぞ!」
ソウマは全身から溢れ出る圧倒的な身体能力とチャクラの全能感に酔いしれながら、ニカッと笑った。
温泉を使った自然エネルギーの知覚に始まり、岩の上での静止、そして猿空との「如意棒(融合)受け渡し」による実戦運用の確立――。二人は寝る間も惜しんで仙術の鍛錬に没頭していた。
そこへ、ゆったりとした足取りで猿魔がやってきた。
「フム……相変わらずやっておるなソウマ、猿空。仙術チャクラの受け渡しに無駄がなくなっておる」
「猿魔見てた? 今の切り替えなら、実戦で強襲仕掛けられても即座に仙人モードで迎え撃てるよ」
目を輝かせて報告するソウマに、猿魔はやれやれといった風に苦笑いを浮かべた。
「ところでソウマよ……おぬし、ここに来てからどれくらいの月日が流れたか覚えておるか?」
「え? 月日?」
ソウマは汗を拭いながら首をひねった。
「えっと……目安と言われていた二ヶ月くらいは経った? 感覚的にはそれくらいなんだけど」
「バカ者が」猿魔は呆れたように鼻を鳴らした。
「二ヶ月などとっくに過ぎておるわ。今日でちょうど三ヶ月じゃ」
「……えっ!?」
ソウマと猿空の動きがピタッと止まった。
「さ、三ヶ月!!? マジで!!? え、もうそんなに経ってたの!?」
「そうだ、集中しすぎて日取りの計算すら忘れておったろう。おぬしが修行に没頭している間、木ノ葉の親父殿たちがどうなっているか想像してみい」
「げ……父上と三代目……!」
ソウマの顔から一瞬にして余裕が消え去り、サーッと血の気が引いていくのだった。
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同じ頃。木ノ葉隠れの里、火影室。
卓上にうずたかく積まれた書類の山を前に、三代目火影・猿飛ヒルゼンが深く煙管の煙を吐き出していた。
「……もう限界じゃ、ダンゾウ。さすがに三ヶ月は引っぱりすぎた」
対面に座る志村ダンゾウも、普段の厳格な表情に微かな疲れの色を削ぎ落とせないでいた。
「フン……ソウマの留守を誤魔化すため、あいつの能力に頼っていた『根』の特命任務を分散させて処理してきたが、国境付近の不穏分子が再び妙な蠢きを見せ始めている。『フウガ』がどうやら最近活動していないというのも裏社会の奴らにバレ始めたようだ、少々後手に回る案件が増えてきた」
「それに……」
ヒルゼンが冷や汗を流しながら、声を潜めて呟いた。
「ユウリからの無言のプレッシャーがな……。『ソウマはいつ帰ってくるのですか?』と笑顔で尋ねられるたび、ワシの命が削られる思いじゃったぞ……」
「……うむ。それに関してはワシも同じだ。カエデも最近は大人になったからあまり顔には出さんが寂しがっているし、これ以上の引き延ばしは志村家の家庭崩壊を招く」
ヒルゼンは手元で印を結び、静かに猿魔を口寄せする。
ボフッと猿魔が現れた
「ガハハ! 要件はわかっておるぞ猿飛、そろそろソウマを戻せという話だろ? ちょうど本人にも三ヶ月経ったことを突きつけたところじゃ。すぐに向かわせる」
「話がはやいの、まあ今日はもう遅い、明日の朝に戻るように頼む」
「分かった分かった、ではまた明日の朝だな」
猿魔がまた姿を消す
ダンゾウも
「やっとソウマが帰ってくるか…しかし仙術を身に着けた以上もうワシは教えてやれる事もなさそうだな…最近は現場にも出ておらんし」
「ワシらもそろそろ年だ、次世代に席をゆずってのんびりしたいのう…」
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翌日
火影室の空間がボフッと揺れ、白煙とともに二頭の影――ソウマと猿魔が姿を現した。
「た、ただいま戻りました! 三代目様、父上!」
平伏せんばかりの勢いで頭を下げるソウマの姿に、ヒルゼンとダンゾウは顔を見合わせ、思わずクスッと笑いを漏らした。
「顔を上げよ、ソウマ。無事に怪我もなく、修行を遂行できたようだな」
ソウマが恐る恐る顔を上げると、ヒルゼンとダンゾウの鋭い目線がソウマの身に纏う雰囲気に向けられた。
「……ほう」
ダンゾウの目が細められる。
「ただでさえ隙のなかったお前のチャクラが、内側から溢れ出るような圧倒的な静寂と力強さを秘めている。……首尾は良かったようだな」
「はい、猿魔と猿空のおかげで仙術の基礎から、実戦での運用可能段階までに仕上げることができました」
猿魔が腕を組み、誇らしげに胸を張る。
「うむ、ワシの想定の遥か上をゆく出来栄えじゃ。ソウマと猿空は、我が一族の歴史の中でも屈指の仙人・仙猿となったぞ」
「よくやった、ソウマ」ヒルゼンが心から嬉しそうに頷いた。
「第二次忍界大戦の停戦協定から、ちょうど一年が経過したところでの。里の雰囲気も一段落し、平和が定着しつつある。だが、平和な時代だからこそ、お前の力も必要だ『フウガ』も最近活動していないことが裏社会にバレていてな、お灸をすえてやらねばならん」
「停戦から一年……」
ソウマは改めてその月日の重みを噛み締めた。
修羅の戦場を駆け抜け、終戦後の不穏分子を狩り、そして三ヶ月間の仙術修行。
19歳となった自分自身が、確実に次のステージへと登り詰めていることを実感していた。
「よし、挨拶も済んだことだ。ソウマ、今日はもう家に帰って休むが良い。……ユウリが首を長くして待っておるぞ」
「う……はい! ありがとうございます!」
(……母上の説教だけは、仙人モードでも防げそうにないな……)
ソウマは内心で冷や汗をかきながら、火影室を後にしたのだった。
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夕暮れ時。終戦から一年が経過した木ノ葉の里は、戦時中の緊迫感が完全に拭い去られ、温かい日常の活気に満ちあふれていた。
新しく開店した店舗、賑やかな子供たちの歓声、夕飯の香ばしい匂い。
志村家の門をくぐり、「ただいま」と声をかけると、奥から母・ユウリが静かに出てきた。
「おかえりなさい、ソウマ。……随分と長い『修行』でしたこと」
和やかな笑顔。しかし、その瞳の奥にある絶対的な威圧感に、ソウマはピシッと背筋を伸ばした。
「あ、ハハ……すみません母上、ちょっと集中しすぎて時間の感覚が飛んじゃってて……」
「ふふ、良いのですよ。無事に帰ったのですから。兄上やダンゾウさんをあまり困らせては駄目ですよ?」
「は、はい……!」
無事に母の雷を回避したソウマは、清々しい天気の中、第三演習場へと向かった。
演習場では、変わらず汗を流す若者たちの姿があった。
「そこだっ、クシナ!」
「任せてってばね!!」
ドガンッ!!
クシナの手から解き放たれた金色のチャクラの鎖が、演習場の地面を豪快に穿ち、仕掛けられた標的を一瞬にして縛り上げる。その傍らでは、ミナトが飛雷神の超高速移動でクシナの背後を完璧にカバーしていた。
「金剛封鎖、だいぶ早くなったねクシナ」
「ふふん! ミナトとカエデがいつも付き合ってくれるおかげだってばね!」
二人の成長ぶりを遠目から見ていたソウマは、思わず笑みをこぼした。
「よお、三人とも。元気にやってるか?」
ソウマが声をかけると、ミナト、クシナ、そしてカエデが一斉に振り向いた。
「「「ソウマさん(兄さん)!!」」」
「いつ帰ってきたんですか?」「急にいなくなるから心配しましたよ!」「お帰りなさい、兄さん!」
三人がわっと駆け寄ってくる。ソウマは手を振って答えた
「みんな、留守の間も頑張ってたみたいだな。クシナは金剛封鎖がだいぶ上手くなったな、九尾のチャクラは流石にまだまだ使える段階じゃないみたいだが、かなり筋が良くなってるじゃないか」
「流石に九尾は一応自分の意識の中で話すようにはしてるんだけどやっぱ封印の鎖越しだと難しいです、いつも抜け出そうと私を攻撃しようとするから…いつか鎖もなしで話せたらいいけど」
「ソウマさん……なんだか、雰囲気が変わりましたね?」
ミナトの鋭い観察眼が、ソウマの変貌を見抜いていた。
「分かるか、ミナト。……実はな、猿獄山っていう猿魔や猿空の故郷で『仙術』の修行をしてきたんだ」
「「「仙術……!?」」」
ソウマはスッと息を整えると、目を閉じた。
数秒の静寂。次の瞬間、ソウマの目の周りに黒い隈取りが浮かび上がった。
自然と一体化したかのように静かなのに圧倒的存在感を放つソウマ
「な……なにこれ……!? チャクラの量が……次元が違うってばね……!」
感知に優れるクシナが肌で感じ取った圧倒的なチャクラに息を呑む。
「印も結ばずに、一瞬でこれほどのチャクラを練り上げるなんて……!」
ミナトの瞳が輝きと驚愕で見開かれた。
「こ、これが兄さん!?」
「ふぅ……」ソウマが息を吐くと、瞬時に仙人モードが解除され、元の穏やかな雰囲気に戻った。
「これが仙術だ。自然エネルギーを取り込んで、自分の技を何倍にも跳ね上げる。体術も忍術も感知能力も、文字通り桁違いになるぞ」
ソウマはミナトの肩にぽんと手を置いた。
「ミナト。お前も自来也さんが帰ってきたら、妙木山のガマの仙術を教えてもらった方がいい」
「えっ……僕が、ですか?」
「ああ、お前はもうガマと口寄せ契約はしてるんだろう?それにお前のセンスなら、絶対にものにできる。お前の『飛雷神』や『螺旋丸』に仙術が合わさったら、マジで手がつけられなくなる」
ミナトは己の手のひらを見つめ、それから力強い目でソウマを見つめ返した。
「……はい! 自来也先生が帰ってきたら、ぜひ頼んでみます! ソウマさんに少しでも追いつきたいですから!」
「頼もしいねぇ。よし、久しぶりに俺が稽古をつけてやる! 三人まとめてかかってこい!」
「「「おー!!」」」
秋晴れの演習場に、若き忍たちの元気な声が響き渡った。
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稽古を終え、夕暮れの木ノ葉の街並みを見渡す高台。
ソウマは一人、吹き抜ける心地よい風を感じながら佇んでいた。
第二次忍界大戦の停戦から一年。
平和を取り戻した木ノ葉隠れの里は、着実に次の時代へと歩みを進めている。
クシナは恐怖を克服し、九尾の力を己の糧とする一歩を踏み出した。
ミナトは次世代のエースとして着実にその才能を開花させ、新たな高みへと視線を向けた。
そして自分自身もまた、「仙術」という究極のカードを手にし、暗部の『フウガ』として、そして志村ソウマという一人の忍として、揺るぎない絶対的な力を手に入れた。
(平和な時代……だけど、忍の世界がこれで終わるわけじゃない)
(どんな未来が来ようと……この平和と大切なみんなを守り抜いてみせる)
瞳に宿る覚悟とともに、ソウマは静かに木ノ葉の街並みへと踏み出していくのだった。
仙術修行編は終わり
仙術をマスターしたので戦力的には自来也(仙人モード)、ヒルゼン(まだギリ全力で戦える)と並び里のトップスリーに入りました、ヒルゼンとダンゾウは今50歳ぐらい
仙術なしでも基礎体力やチャクラコントロールが超伸びたのでサクモ、自来也(通常時)、大蛇丸あたりと同じ
なお綱手はトラウマで里から居なくなった時期が色んな描写と矛盾していて謎なんだよね、第二次の後なの?第三次の後なの?NARUTOあるあるです
その下にダンゾウ(最近は現場に出なくなったので衰え気味)とかうちはや日向等の有名一族のトップ層がいて、ミナトもそこに15歳にして食い込んでいる、そんな感じの戦力ですねミナト天才だからね
多分大蛇丸が原作以上に大変なことになってそう
評価、お気に入り、しおり、感想ありがとうございます
誤字修正も感謝