ソウマが仙術の修行から帰って数ヶ月、暗部の『フウガ』として仕事したり、休みの日にはいまだに帰ってこない自来也に変わり自来也班のミナト、クシナ、カエデに修行を付ける日々が続いていた。その間にミナトが上忍に昇格していたりしていたが特に大きな事件も起きることなく平和な日々が流れていた──今までは
いつものように団子屋に集まっていたソウマ、キキョウ、トキマだったが、談笑中にふとキキョウが言った
「ねえ、そういえば私、嫁入り相手決まったから」
ソウマはしばらく固まった後「……………えっ」
と声を出し
トキマは「うーん、ついにか…」
と喜んでいいのか、寂しがるべきなのか、悔しがるべきなのかわからない複雑な表情をしていた
ソウマはぎこちなく祝いの言葉を述べた
「そ、そうなのか、うちは一族の中か?おめでとう」
「そうよ、従兄弟のそのまた従姉妹とか?だったかしらね年上だけど5歳も離れていないしお父様が毎日他の一家と調整してようやく決まったの、ご近所さんだから顔見知りだしね」
トキマは
「はぁ…………まあ僕はちょっとヒアシ様とヒザシ様と修行する約束入っているから今日はもう失礼するよ、二人でゆっくり話しなよ」
「えっ!おい!トキマー!──行っちゃったよ、ちゃんと自分の分の金置いて行ってるし。二人で話って言われてもな…」
「そう、ね…」
二人の間に沈黙が流れる、アカデミーでは常にトップを争いあい、同じ班になってからは6年間共に戦場を駆け抜け、危うく死にかけるような場面もあった、それでもこんなに気まずい沈黙は初めてだった
「なあ、キキョウ、俺は──」「ダメ」
ソウマの言葉をキキョウが遮った
「私はうちはの本家の娘、こうなるのは最初からわかっていたこと、別に私が戦場で活躍するしないに関わらずね、誰かさんのおかげでとんでもなく厳しい先生の班に放り込まれたせいで必死にやったからいつの間にか現役うちはナンバーワンなんて立場になってしまったけどね?」
キキョウはあくまで笑いながら話す
「い、いやー確かに扉間先生は俺に飛雷神の修行付けるために俺の担当になってくれたって話だけど、うちはと日向も同じ班にすることで一族間と里とで融和が~とか最近になって話してくれたじゃないか」
「まあそういう面もあったみたいね、実際扉間先生の狙い通りに私とトキマの間にソウマが入り、そのつながりで閉鎖的だったうちは一族も特に若手は同期と普通に話せるようになった、分家のトキマが活躍しながらも本家の顔をつぶさないように立ち回ったから日向も風通しが多少良くなったみたいだし」
キキョウは「ふぅ、そんな話じゃなかったわね」
と区切ってまた真剣な顔で語りかける
「ねえソウマ、その気持ちはキョウカに向けてくれないかしら、あの子の気持ちも分かっているでしょ?実はずっとお父様とダンゾウ様、三代目様も交えて話しているのよ『そろそろうちはも他の一族と交流する時だ』ってね」
「!?キョウカか…」
うちはキョウカ、ヒルゼンやダンゾウと同じく扉間の部下であったうちはカガミの娘で母が産後まもなく亡くなったためキキョウのうちは本家が預かり、キキョウとは姉妹同然に育った女の子だ。当然ソウマとも付き合いは長く、カエデと同い年ということもあり妹のように見ていた子だ
「カガミさんも早くに亡くなってしまったでしょ、私も幼いときに少し見たぐらいでほとんど覚えていないわ」
「カガミさん、俺は赤ん坊のころに会ったらしいけど覚えてないんだ、三代目や父上や扉間先生からすごい奴だったって話はよく聞いたけど…」
「そのせいかしらね、あの子は父親というか兄というか…頼れる男の人を探している節があって、お父様はあくまで面倒見てるってだけで父親としては振舞わなかったわ、カガミさんへの義理もあったんでしょうね、フガクも居たけど年同じでしょ?女子からみたら同い年の男子なんてクソガキだわ、対象外ね」
「クソガキ…ひでえ…フガクは相当しっかり者の部類なのに…」
「ふふっまあそうなんだけどね、だからアンタは距離感もちょうどよくて、私よりも強いっていう力もあったし、自然な流れだったんでしょうね」
「で、でもそんなはいそうですかと決められるもんじゃ──」
「お姉様!ソウマさん!」
今まさに話していたキョウカが二人のもとにやってきた
キキョウが驚いた顔で答えた
「キョウカあんたどうしたの」
キョウカは今にも泣きだしそうな顔で叫んだ
「トキマさんにここにいると聞いて!どうしたもこうしたもありません!お姉様!ソウマさんのこと諦めましたね!?当主様を説得するからまだ分からないって言っていましたよね!」
「ちょ、ちょっと落ち着きなさいキョウカ、ここじゃお店に迷惑よ、ソウマ!お会計!」
「あ、ああ…すいませんねごちそうさまでした」
三人はそさくさをお店から移動した
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公園に移動した三人
キョウカは泣きながら怒っていた
「ちょっと!私まだ言いたいこと言ってませんからね!お姉様!」
「わ、わかったわよ言いなさい」
「じゃあ言いますけど!お姉様ずっとソウマさんの事気にしてたのにきっと無理だからって思ってずっと表に出さないし!いざ戦争が終わってお見合い話が持ち上がり始めたら私には『なんとかお父様と話してみる』とか言っていたくせにそんな事聞いてないってフゲン様(キキョウ、フガクの父、現うちは当主)から聞きましたよ!」
「うっそれは…あなたは自分もソウマの事好きなのにずっと私とソウマがくっつくのを見たがっていたから…でも私は無理だし何とかあなたとソウマをと思って時間稼ぎを…」
「そんな嘘でだまされるわけないじゃないですか!大体そんなやり方で私が喜ぶと思ってるんですか!」
まだ興奮しているキョウカをソウマがなだめようとする
「き、キョウカちょっと落ち着け…?」
キョウカは急にスッっと冷めた表情になり
「ソウマさんにも言いたいこと沢山あるんですけど?」
「ええ!?俺にもあんの!?」
「ありますよええ、大体なんでさっさとお姉様に告白しないんです、ソウマさんだってお姉様のこと好きなくせに、そのくせ私の好意もちゃんとわかっているのに妹扱いでごまかそうとするし、最低の男ですよ」
「す、すごい精神的ダメージなんだけどなにこれ、いや戦争中だぞ?毎日大変だったからそんな暇──」
「いや戦争終盤はともかく、激化する前は里と往復して里で休んでる時もあったじゃないですか?暇はありましたよ」
「い、いや里にいる間は修行で忙しくて…当時はまだ飛雷神もまだまだだったし…」
「修行が大事だったのもわかりますけどね、お姉様も里にいる間は修行してましたし、でもそうやって二人とも修行に逃げた結果が今なんですからね」
ソウマとキキョウはすっかり妹分のキョウカに言いくるめられて小さくなっていた
「「は、はいすいませんでした(キョウカ怒ると怖い)」」
キョウカは「ゴホンッ!」と一息入れてから
「とにかく…今さらお姉様の決まったお相手をどうこうはできません、うちは一族の混乱は私も望みませんから、でも!二人はここでお互いの気持ちにケリをつけてけてください、私とソウマさんの話はその後です」
ソウマとキキョウは小さくなったまま答える
「「わ、わかりました」」
「私は少し離れてみていますから二人でちゃんと話を付けてくださいね」
キョウカは少し下がって二人の方を見守る姿勢になった
二人はベンチに横に並んで座って話し始めた
「はは…なんか怒られたな」
「そうね…」
ソウマは意を決して口を開く
「さてここまで言われてキッチリ言わないのはダメだよな。
キキョウ、俺はずっと…いつからかな、わかんないけどお前のことが大切で…好きだよ」
「ソウマ…私も、私もずっと好きだったわ、いつからかしらねアカデミーの頃からアンタを負かしたくて頑張ってたけど勝てなくて、同じ班になってからは扉間先生に一緒にしごかれて…中忍試験の時ね、写輪眼が開眼してアンタと相打ちになってようやく並んだって嬉しかったの」
「そんな事もあったなあ、もう6年か7年前か…」
「写輪眼の開眼条件って、知ってる?」
「なんか戦闘のストレスとか死を覚悟したときの極限の精神状態みたいなものがきっかけになるって扉間先生は言ってたが」
「それはあくまで状況でしかないわ、私は扉間先生から本当の条件を聞いた、『うちはの者が大きな愛の喪失や自分自身の失意にもがき苦しむ時』ね」
「前半は分かりやすいな、家族とか親しい者を亡くした悲しみってことか、そうなると中忍試験のときのキキョウは…後半の『自分自身の失意』ってとこか」
「そうねあの時はアンタは猿獄山から帰ってきてすごく強くなってて、その間トキマと一緒に死ぬほど特訓したのにそれでも追いつけなくて悔しくて、体の中でチャクラが爆発して開眼したのよ、つまり私にとってソウマは家族と同じぐらい大きかったって事よ」
「お、おうなんか恥ずかしいな」
「でも!」と立ち上がって続けるキキョウ
「この気持ちにはちゃんと整理をつけなきゃ、きっとこれからはそんなに会えなくなるし、会わないほうが良いわ、どうしても意識しちゃうでしょ?それに私のお相手だって私が同じ班のソウマと噂があった事ぐらい知ってるわ、それでも良いって言ってくれた本当に良い人よ?」
いつの間にかキキョウは涙を流し眼が写輪眼に変化していた
ソウマを腕を引っ張るキキョウ
「ちょっと立ってソウマ」
「ああ」
二人が立ち上がって見つめあった瞬間
ギンッ!
「『幻術・写輪眼』」
「おい!キキョウ!なんのつも──」
キキョウは幻術の中でソウマを金縛りにして──口づけた
驚きに目を見開くソウマは次の瞬間には幻術は解けて目の前には幻術を食らう前より少し近くにキキョウが居た
「(今のは幻術?現実?あれ?なんかキキョウの眼の模様が写輪眼じゃないような…)」
キキョウはさっと振り返って早歩きで歩き出した
「じゃあねソウマ。元気でね、キョウカを幸せにしなかったら殴りに行ってやるからね!」
ソウマは何故か追いかけられず、その場から動かずキキョウを見送った
「お、おい!キキョウ!お前も!幸せにならなかったら許さないぞ!」
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キキョウが去ったあとまたベンチに座りこんだソウマにキョウカが近づいて横に腰掛けた
「お話は、済んだんですね?」
「ああ、多分な」
「ならもう私は何も言いません、私とソウマさんの話がどうなるかはダンゾウ様やフゲン様がお決めになります、私は両親が居ませんからフゲン様に決めていただくしかありませんし…」
「キョウカお前あんだけ俺達に言ったんだからここで言いたいこと言っていきなよ、傷心の俺はコロッといってしまうかもしれないぞ」
「ふふっそうですね、まあ先程興奮していた時にいろいろ言ってしまったので恥ずかしいのですが、ソウマさんを初めて見たのは小さい事アカデミーに通い始めてからですね、お姉様が勝てない同い年の男子がいると聞いて驚いたものです、フガクも含めて同世代の子供では本家の姫という事を抜きにしても色々強かったですからねお姉様は」
ガキ大将だったのであるキキョウは、そんなキキョウを思い出してソウマは苦笑する
「第七班の三人でいるときもあいつはそんな感じだったがな」
「それからカエデちゃんと仲良くなってソウマさんともたまに話したりして、いつの間にかずっと目で追うようになっていたんですよ。
明確に意識したのはやはり戦争が本格的に始まり、ソウマさんが前線に出向くようになってからですね。私はまだ下忍でしたから里や周辺の安全確保ぐらいしかできなくて、帰りを待つのが辛かった時に自覚したんですよ、好きなんだって。
実は写輪眼その時に開眼したんですよね…恥ずかしいです」
「そうだったのか!?確かにいつの間にか写輪眼使えるようになってんなとは思ってたけど。お守りとかくれたよな、ちゃんと持ってるぞ」
「あ、ありがとうございます。
まあ経緯はそんなところです、どうです?ソウマさん私と結婚する気になりました?」
「はぁ…流石にさっきのあれの直後でそんな気にならないけど…
まあちょっと頭を冷やして考えるよ、父上と前向きに検討する」
「分かりました、お返事お待ちしてますね」
「あ!ところでさ、さっきこっちを見てたと思うんだけど、キキョウと俺ってその…触れてた?」
「ふふっどっちでしょうね?夢か現か…」
キョウカは笑いながら去っていった
「女は分からんな…」
ソウマにはやっぱり恋愛は難しかったようだ
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その晩志村家
「父上、キキョウの事は聞きました、それからキョウカとの話が出ていることも」
「うむ、うちはもだいぶ融和が進んできたとはいっても流石に本家の姫を外に出すようなことはなあ…お前達を知っている身としては応援していたのだがフゲン殿も親としての立場より一族当主として一族内の派閥の取りまとめに苦労なされたのだ」
「分かっています、昼間にキキョウとキョウカとも話しましたから本人同士で決着は付けました。俺としてはキョウカとの縁談は受けてもよいと思っています、いえ"受けます"」
ソウマの覚悟の決まった表情にダンゾウは
「そうか……覚悟を決めたか、分かった明日フゲン殿に話をつけに行く」
見守っていたユウリも
「ついにソウマにお嫁がねえ、明日からキョウカちゃんの母は私ですね」
ニコニコであった
これで良いのだ…
ちょっと書くの難しすぎたけど要はキキョウとは結ばれないけどキョウカと結ばれるよって事が分かればいいです
この時点でソウマの息子が誰か予想できると思います、オリキャラじゃないよ
ちなみにカガミが早死になのは原作通りです
この設定は志村ソウマと周辺のキャラとナルト世代との関係性を作っていったときに決まったもので、キキョウのポジションを最初からキョウカにしとけばいいんじゃないの?とも思ったけどソウマってあんま挫折とかないので、なんかこう、失恋とかそういう重すぎない悲劇がなんか欲しくてこうなった
あと設定を先に作ったのが同期のキキョウでソウマの息子世代にふさわしいキャラって何だろうと考えた時にキョウカの存在が湧いてきて、キキョウがもう好きになっていたので消したくなかった
評価、お気に入り、しおり、感想ありがとうございます
誤字修正も感謝