千手扉間がこの世を去ってから半年。
秋の澄んだ空気は瞬く間に冷え込み、忍界全土に血と鉄の匂いが立ち込めていた。
裏で糸を引くマダラと白ゼツの謀略により、各大国の不信感は決定的な殺意へと変貌していた。霧隠れの暗部による国境侵犯と補給線の破壊を発端とし、土の国の岩隠れ、雷の国の雲隠れ、そして風の国の砂隠れが一斉に動いたのである。
第二次大戦の休戦からわずか五年。
癒えきっていない傷口を抉り出すように、五大国すべてを巻き込んだ戦禍の嵐――『第三次忍界大戦』が開戦した。
火影邸の軍事参謀室。
巨大な忍界地図を囲むのは、三代目火影・猿飛ヒルゼンをはじめとする木ノ葉の最高幹部たちであった。
「……各方面からの報せをまとめる」
ヒルゼンが険しい表情で地図上に赤いコマを配置していく。
「土の国国境、草の国方面には岩隠れの大部隊が進軍を開始。数を頼みに木ノ葉の防衛線を力押しで突破する構えだ」
「雷の国国境、湯の国方面には雲隠れの精鋭部隊。三代目雷影の息子、エーと八尾の人柱力ビーが率いている模様」
「波の国沿岸部では、霧隠れの潜入工作部隊が海路からの本土急襲を狙っている。すでに小規模な戦闘が発生中だ」
「そして……風の国国境には、砂隠れの傀儡部隊を中核とした侵攻部隊が展開。木ノ葉の防衛線を食い破る気だ」
四方すべてが敵。まさに前代未聞の四面楚歌であった。
だが、木ノ葉の将たちに焦りの色はなかった。この半年の間、最悪の事態を想定して万全の戦力配置を整えていたからである。
水戸門ホムラが眼鏡の奥の目を光らせ、指を立てた。
「各前線への最高戦力の配置を確認する。……まず、最大の兵数を誇る岩隠れ方面」
「岩隠れには、はたけサクモを総指揮官として投入する」
ヒルゼンが重厚な声で答える。
「“木ノ葉の白い牙”の威名と圧倒的な剣技で、岩の力押しを真正面から食い止めてもらう。サクモならあの前線を支え切れる」
「霧隠れの海路工作に対しては?」
うたたねコハルが問う。
「大蛇丸と綱手の二人を向かわせた。大蛇丸の口寄せは海での活動もできるから海からの侵攻を海上で撃破させる綱手はサポートだ」
「雲隠れの強襲部隊には、波風ミナトと自来也の師弟だ」
ダンゾウが低く呟いた。
「自来也の仙術とミナトの機動性があれば、雷影の息子の突進力も封殺できよう」
そして、参謀室の視線が一人の青年に注がれた。
部屋の壁際に静かに佇んでいた、志村ソウマである。
「そして……砂隠れの主力が押し寄せる風の国前線」
ダンゾウが息子であるソウマをまっすぐに見つめた。その瞳には、親としての情ではなく、志村一族の当主として、そして木ノ葉の幹部としての厳しい光が宿っていた。
「ソウマ。お前には複数大隊を統括する総指揮官として、砂隠れの正面突破を担当してもらう」
「……了解しました」
「本日をもって、お前は仮面を脱げ。暗部としてではなく……かつて第二次大戦で『不可視の風刃』と恐れられた『志村ソウマ』として前線に立て」
ダンゾウは静かに机を叩いた。
「飛雷神と仙術を併せ持つお前の圧倒的な武威を、忍界に見せつけてやれ。砂の鼻柱を折り、木ノ葉に志村ありと知らしめるのだ」
「はっ」
ソウマは胸に手を当て、深く頭を下げた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
出陣の刻。
志村家の屋敷の静かな庭先で、ソウマは支度を整えていた。
漆黒の暗部装束ではなく、志村一族の紋様が刻まれた濃紺の忍装束。その上に木ノ葉の上忍ベストを羽織る。腰には飛雷神の術式が刻まれた特殊手裏剣。
そしてテーブルの上には、長年愛用してきた狐の仮面が静かに置かれていた。
「……しばらく、これとはお別れだな」
そっと指先で仮面を撫でる。
陰から里を守る『影』の時代は終わった。これからは、圧倒的な『光』として前線に立ち、敵を惹きつけ、味方の士気を高める存在にならなければならない。
「ソウマさん……」
背後から、柔らかい声が聞こえた。
妻のキョウカが、二歳になったばかりの長男・シスイを抱っこして立っていた。
シスイは父親のいつもと違う凛々しい姿に目を丸くし、ちいさな手を伸ばしてくる。
「…おーとー……」
「シスイ、父さんだよ」
ソウマは歩み寄り、シスイの頭を優しく撫でた。シスイの瞳には、うちはの血と志村の血が混ざり合った、吸い込まれそうな漆黒の輝きがあった。
「キョウカ、いってくる」
「はい……。どうか、無茶だけはなさらないでくださいね。あなたには、帰ってくる場所があるのですから」
キョウカはソウマの手を両手で包み込み、自分の額をソウマの胸にそっと押し当てた。その手は少し震えていたが、忍の妻としての覚悟が込められていた。
「ああ、分かっている。この里も、キョウカも、シスイも……俺が必ず守り抜く」
ソウマはキョウカの額にそっと唇を寄せ、シスイの小さな手にもう一度触れると、意を決して踵を返した。
「いってきます」
「いってらっしゃいませ、ソウマさん」
朝靄の混じる木ノ葉の街並みを抜け、ソウマは演習場へと向かった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
第三演習場には、出陣を待つ第一陣・約千名の木ノ葉の忍が集結していた。
下忍から上忍まで、そして前線補給部隊。誰もが緊張で口数を少なくし、硬い表情で整列している。
その中には日向トキマがいた、彼は指揮官のソウマの参謀及び医療部隊の取りまとめだ
うちはフガクもいた、うちはの次期当主として砂隠れ方面に参加するうちは一族の取りまとめである
演習場の壇上に、ソウマが静かに姿を現した。
「あれが『不可視の風刃』志村ソウマか」
「二代目火影様の直弟子で、あの『白い牙』と並ぶという……!」
「あの若さで指揮官か…」
「前の大戦で同じ戦線に居たから知ってるが、アイツはとんでもないぞ」
ざわめく隊員たちを見渡し、ソウマは腹の底から響く声で静かに宣言した。
「全軍、注目」
一瞬で演習場が静まり返る。
「志村ソウマだ、お前たちの総指揮を執る」
ソウマの視線が、一人ひとりの忍の顔を射抜く。
「敵は砂隠れ。傀儡と毒を使い、我が木ノ葉の領土を脅かそうとしている。……だが、恐れるな。俺たちの背後には、大切な家族が、子供たちが、守るべき日常がある!」
ソウマは腰の忍刀を引き抜き、高く掲げた。
「俺が最前線に立ち、全ての毒と刃を弾き返す! お前たちは俺の背中についてこい! 木ノ葉の底力、砂の奴らに見せてやるぞ!!」
『おおおおおおおおっ――!!!!』
「前線へ向けて出陣! 」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
風の国、鬱蒼と茂る原生林と岩場が交錯する国境地帯。
そこはすでに、地獄と化していた。
「ぐわぁぁぁっ! 毒だ! 砂の忍の針に毒が――!」
「本隊がここに向かっているはずだ!遅滞戦術で時間を稼げ!」
木ノ葉の防衛陣地は、砂隠れの襲撃部隊によって破られかけていた。
空中を滑空する巨大な傀儡人形から撒き散らされる黒い毒煙。岩の陰から無数に放たれる毒針と、風遁の刃。
砂隠れの上忍指揮官が、高台から高笑いしていた。
「ハハハ! くだらんぞ木ノ葉の忍ども! ここまでだ、木ノ葉! この戦線は我ら砂がいただく!」
押し寄せる大量の傀儡。木ノ葉の防衛線が決壊しかけた、その瞬間――。
「『仙法・豪炎大旋風』」
木ノ葉の忍を襲おうと殺到していた傀儡たちは原形をとどめないほどに焼かれ、金属は溶けて変形し、カラクリは破壊された、強力な術によってチャクラ糸も切断されもはやただのガラクタの山であった
「……なに!?」
炎が消え、木ノ葉の忍の最前列に立っていたのは目の周りに隈取を浮かべた青年と同じような体格の猿──ソウマと猿空だった
砂忍の何人かは気付く
「アイツはまさか…前の大戦で精鋭の傀儡部隊を破った『不可視の風刃』!?」
ソウマは防衛陣地の隊長に声をかけた
「よく今まで耐えてくれた、ここからは俺が引き受けよう、トキマ!頼む」
「志村ソウマ…本隊は間に合ったか…」
満身創痍の隊長はトキマが担いで後方に下げた
隣に控えるフガクが話かける
「本当にお一人でやるつもりですか?」
「ああ、まだ俺の戦い方を知らない木ノ葉の忍もいるし、この歳で指揮官かって思うやつもいるだろう、だからここで暴れて敵も減らせるし味方も自分達の指揮官の実力を見れる、一石二鳥ってやつだよ。
フガクは部隊を左右に展開して半包囲、うち漏らしを仕留めてくれ、居たらだけどな」
「了解しました」
ザッとフガクが離れる
「さて──やるか猿空、金剛如意だ」
「オレ達の仙人モード、お披露目と行こうじゃねえか!」
ソウマの右手の籠手の内側に短く変化した如意棒が収まった
それを見た砂忍は
「なぜ他の奴を下げた?」
「さっきの火遁は木ノ葉の忍達の合体技だろう?」
警戒した砂忍もいる
「気を付けろ、奴は前の大戦で精鋭の傀儡部隊を壊滅させた『不可視の風刃』だぞ」
ソウマは目にもとまらぬ速度で印を結んで仕掛けた
「『手裏剣影分身の術』続けて『仙法・烈風掌』」
手裏剣影分身によって大量に増殖した手裏剣が烈風によってとてつもない速度となって砂忍を襲う
「ぐあああああ!」「なんだこの手裏剣の数と風遁の威力は!?」
「奴は風遁使いだ!壁を作って防げ!」「『土遁・土流壁』!」
フッ
だが次の瞬間土流壁の内側にソウマは居た
「え?」「いつのまにっ──」
ソウマは火を纏った如意棒で周囲を薙ぎ払った
「『飛雷神・仙猿火一閃』」
ゴオオオオオオン!
直撃した者は消し飛び、薙ぎ払いと同時に放たれた火炎に触れた者は焼かれて消し炭になり、土流壁が内側から粉々に破壊された、余波だけで離れた位置の砂忍も吹き飛ばされる。一撃で数十人の砂忍が死んだのだ
少し離れた後方から戦況を見ていた砂忍の指揮官は
「な、なんだアレは?化け物ではないか!」
左右に展開中の木ノ葉の忍も
「あ、あれが志村ソウマかよ」
「全然『不可視の風刃』って感じじゃないな?最初の攻撃も火遁だったし」
「前の大戦で見た時と全然違うな…」
トキマは
「(仙術を使うソウマは見たことが無かったけどあんな事になっていたとはね、確かにレベルが違う)」
フガクも写輪眼で様子を確認し
「(とんでもないチャクラだ、流石ソウマさん…)」
周囲の敵を薙ぎ払ったソウマは仙人モードの感知力で敵陣の配置を把握した
「(敵の配置は無難な長方形、まあ圧倒的有利な数で攻めるから変なことをする理由もないか、俺がちょうど真ん中の前衛を吹っ飛ばしたから周辺だけ綺麗に敵がいない状態、やはり狙うなら……)」
砂忍の指揮官も馬鹿ではなかった
「(アイツはヤバい、風影様かチヨ様をお呼びしなくては)伝令だ!急げ!砂隠れに!」
ソウマはこちらを警戒して攻撃してこないうちに感知に集中し、敵陣の陣容をさらに把握していた
「(動きの速い小隊が後方からもっと下がっていく、伝令だな、という事は指揮官はあの辺)よし猿空、飛ばすぞ」
如意棒から声が帰ってくる
「任せろ」
ソウマが動いたのを見て砂忍も対応する
「とにかく散開して術を放て!密集するとまとめてやられる!近接型の武装のある傀儡は次々に仕掛けよ!休ませる隙を作るな!」
ソウマは如意棒を掲げ仙術で強化された身体能力を一気に使って猿空を投擲した
「『仙猿風火金剛大砲』」
投擲された如意棒は先端が土遁によって鋭利な槍のような形状になっており、風遁にって気流が操作され空気抵抗が極限まで抑えられて回転し、後部から火遁を爆発させる様に放つことで一気に加速、仙人の全力で投げつけられた如意棒はもはや棒投げ槍投げの域を超え、通り抜けた場所とその周りすべてを消し飛ばす"大砲"であった。そのあまりの速度に大気が震えた
ドン!
「む?」
伝令を出した砂忍の指揮官が前方から爆音が聞こえ前を見ようとした瞬間
ドゴオオオオオオン!!
如意棒が司令部に"着弾"し、周囲には何も残らなかった
感知で狙った場所に"着弾"したのを確認したソウマは
「ハァ…ハァ…これで頭をつぶした、まあ基本だな、流石に伝令はもう射程外か」
幸運にもソウマと司令部を繋いだ直線上にいなかった部隊は事態の把握に努めた
「な、なにが起きた?奴が棒を投げた直後に後方から大きな音…まさか!おい!司令部はどうなった!」
「反応ありません!これは…先ほどの攻撃で司令部が消し飛んだ模様です…」
「それだけじゃありません、棒の"通り道"に居た部隊もほとんど吹き飛びました…」
「くっ戦闘続行は不可能だ!奴もチャクラが減っている!司令部が吹き飛んだという事はほとんど指揮権上位は死亡したものとみなして部隊単位で撤退する!周囲にも伝令せよ!追撃は傀儡に対応させろ!」
「了解!周囲と連携します!」
その様子を見たソウマは
「ふぅ…撤退するか…流石に実戦慣れしているな判断が早い──戻れ猿空」
投げた猿空を口寄せで手元に回収した
「ぶちかましてやったな!ソウマ、俺は縮んでおくぜ」
猿空はまた小さくなりソウマの籠手に収まる
「さて…トキマ!」
「呼んだかい指揮官」
サッとトキマが隣に現れる
「追撃戦に入る、だが追いすぎなくていい、あれだけのモノを見せたんだ、影クラスが出てくる可能性がある。
それに相手も馬鹿じゃない、接近戦のしにくい傀儡をきっちり殿においてやがる、こんなところで毒を受けて死ぬのは無駄死にだ、遠距離から丁寧に削っていけばいい、傀儡だってそんなホイホイ作れるもんじゃないんだ」
「了解、各部隊に通達する、ソウマは休んでなよ」
「ああ、まあ仙人モードならすぐ回復するしそんな疲れてないんだけどな」
「えっあれだけ大規模な術を使ったのに?」
「それが仙人モードのすごいところだからな、ただやりすぎて相手が玉砕覚悟や徹底抗戦に入られると嫌なんでな、あれぐらいにして攻めにくい状態を作ったほうが良い」
「考えてるね、了解したよ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
数時間の後の砂隠れの里
前線からの伝令を聞くために三代目風影、傀儡部隊の長チヨ、チヨの弟で軍師のエビゾウが集まっていた
「風影様か姉ちゃんに援軍要請だと?何が起きた?あそこの陣地を落とすには十分すぎる戦力だったはずだ、そのまま前進する戦力もあった」
「ハッ!木ノ葉の防衛陣地陥落寸前に敵の増援が到着!おそらく木ノ葉が砂隠れ方面に割り振った本隊の1000人規模です!指揮官と思われる『不可視の風刃』志村ソウマが火遁の一撃で数十人を吹き飛ばし、指揮官が即座に伝令を派遣しました、私たちが"見た"のはそこまでですが。」
風影が促す
「まだ続きがあるのか」
「ハッ!私たち小隊がが伝令として出発した直後、戦闘場所からとてつもない轟音が聞こえました、爆発型の傀儡や術でもあのような轟音を響かせるものは存在していないと思われますので敵の攻撃だと判断いたします」
「成程了解した、お前たちは下がって休め」
「失礼いたします!」
伝令の小隊長が下がった
「さて……」
風影がチヨとエビゾウに向き直るとチヨは
「おのれ…!『不可視の風刃』!息子の嫁の仇!」
今にも飛び出していきそうな剣幕だった
しかし軍師の弟エビゾウは冷静だった
「待てよ姉ちゃん『不可視の風刃』は前の大戦でさんざんやっておるが明らかにやり口が違う、情報を集めなければ」
「チッそうだね、ただその戦闘力が本当なら風影様かワシじゃなければ相手にもなるまい」
「そのようだな、俺も準備をしておく」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
硝煙と砂塵が残る対砂隠れの防衛陣地。
ソウマは木々の上に立ち、遠く風の国の方角、そしてさらには忍界全土を見渡していた。
(これで、砂の出鼻はくじいた。防衛線は当分保つだろう……)
だが、ソウマの表情に油断は一切なかった。
頭の中に、各前線の情勢が駆け巡る。
対岩隠れでは、サクモが岩隠れを相手に鬼神の如き戦いを繰り広げているはずだ。
対霧隠れでは、大蛇丸と綱手が霧の陰湿な工作と戦っている。
対雲隠れでは、ミナトと自来也が雲隠れの最強師弟と激突しているだろう。
第三次忍界大戦は始まったばかりであった、さらに深く、激しく忍界全体を呑み込んでいく。
久しぶりの戦闘回、そして今のソウマの本気でした
仙人モードを本気で運用したらこうなるかなって
原作においては自来也もナルトも相手がペイン六道とかいうチート級に強い奴らなので負けてるし、カブトもうちは兄弟…というよりイタチに負けた(サスケ単独だったら多分勝ってる)からめっちゃ強いはずなのになんかいまいちなんだけどシカクの言う通り一般忍からしたらもうレベルが違うはず
柱間は元からバケモノなので参考外
原作は三代目風影が暗殺(サソリが犯人)されたことが第三次忍界大戦勃発の理由なんだけど、本作においては変わっています