風の国国境、木ノ葉前線陣地。
志村ソウマが砂隠れの第一陣司令部を撃退してから、十日が経過していた。
あの圧倒的な惨禍と、前線指揮官の失滅。砂隠れの侵攻部隊は一時撤退を余儀なくされ、国境地帯には膠着という名の大風が吹き荒れていた。
木ノ葉側にはこの機に前進するべきではないか?という意見もでたがソウマが否定した
「砂の戦力を削るのは良いんだが風の国自体はは占領する旨味がほとんど無いからな、無理に進軍しなくていいと総司令部から命令を受けている。
国境から先を見ただろ?ただの岩と砂の砂漠だ、こんなとこを占領したって何にも良いことが無いどころかマイナスだ、砂隠れの里まで進軍するにしても食料も水分も確保が大変で補給で賄うには砂漠が邪魔。追撃するにしても食料を持ち運べる分…往復三日分程度の距離が限度だ、距離的には行けるが邪魔が入らなければの話だから現実的には三日で砂隠れに行くのは不可能だな」
そのため木ノ葉は国境の防衛陣地の修復及び要塞化を進め、風の国側にはみ出して警戒網を作り砂の動きを監視していた
防衛線の最前線、巨大な見張り台の上で、日向トキマが白眼を発動させながら周囲の岩場を監視していた。その隣には、静かに腕を組むうちはフガクの姿がある。
「……来たよ、フガク」
トキマが眉間にしわを寄せ、白眼の脈動を強めた。
「砂の気配ですか?」
「ああ。……精鋭の傀儡師たちだ通常部隊も。その中心に、濃厚なチャクラを感じる。……見覚えがあるから間違いない、砂のチヨ婆さんだ」
かつての大戦で第七班として砂隠れと戦っていたトキマは当然砂のチヨとは交戦経験があった
フガクの瞳が朱く染まり、三つの勾玉が静かに回転を開始した。
「息子夫婦の仇……か。ソウマさんに息子夫婦を殺された恨みを晴らしに来ましたか」
「まあ、前の大戦での出来事だしお互い様なんだけどね。でも、相手は忍界最高峰の傀儡師だ。半端な下忍や中忍をぶつければ、一瞬で毒の餌食になる」
トキマが振り向くと、落ち着いた様子で歩み寄ってくる志村ソウマの姿があった。
「チヨ婆さんが来たか?」
「うん、他にも大勢だ」
ソウマはフッと口元を緩め、見張り台から伸びる木の幹へと軽く飛び移った。
「トキマ、連れてきている日向で『回天』が使えるのは何人だ?」
「僕含め、三人ってとこだね」
「じゃあ悪いが日向には傀儡部隊と戦って盾をやってもらおう、まあ前の大戦でさんざんやった奴だ、盾役とそのフォロー役で小隊を組んでくれ、盾役以外の日向は白眼での感知に回ってもらう、チヨ婆が陽動ってこともありそうだしな」
「そう言うと思ってたからもう組んであるよ、了解知らせてくる」
「流石トキマは話が早い、フガクお前は他の部隊長と分担して傀儡部隊じゃない通常部隊相手だ」
「了解しました。無理は禁物ですよ、ソウマさん」
「ああ、任せとけ」
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荒涼とした岩場と鬱蒼とした木々が交錯する谷間。
そこに、一人の老婆がぽつりと立っていた。
深く刻まれた皺、灰色の髪、そして怨嗟に満ちた鋭い瞳。砂隠れの伝説的忍、チヨである。
「……来たか、志村の若造」
チヨのダミ声が、静まり返った谷間に響く。
ソウマは数十メートル離れた巨岩の上に降り立ち、腕を組んでチヨを見下ろした。
「久しぶりだなチヨ婆さん。砂は相変わらず人手不足みたいだな、あんたももう隠居する年だろ」
「白々しい口を叩くな……! 貴様が『フウガ』などという面を被って陰でコソコソしていようと、ワシの目は誤魔化せんぞ!ワシの息子夫婦を殺したあの風遁の冴え、忘れるはずもない!」
「やっぱ『フウガ』ってコードネームはバレバレだよなって常々思ってるよ」
チヨは背中から巻物を取り出し、巻物から十体の傀儡を召喚した、チヨの両手から、青白く光る高密度のチャクラ糸が十本伸びる。
白い衣を纏い、それぞれが刀、斧、鎖、大剣などの異形の武器を掲げる十体の傀儡。
「白秘技・十機近松の集、いきなり本気か、一城をも落とすと言われたチヨ婆さんの奥義」
ソウマの目がわずかに細くなる。
歴史に名を残すレベルの伝説の術。傀儡師一人が同時に操れる傀儡の限界は通常一体、熟練しても3体程度が限界である、理論上は指の数である十体だがそれはあくまで机上の空論、つなげるだけならともかくそれを一人の人間が完璧に同調させて動かすなど、神業以外の何物でもない。
「行くぞ『風刃』! 息子夫婦の無念、ここで晴らしてくれる!!」
「こっちも本気でやらせてもらう『口寄せ・猿空』」
口寄せされた猿空は素早く変化しソウマと融合、口寄せで呼ばれる前から自然エネルギーを取り込んで仙人モードになっており、素早くソウマにチャクラを渡すことでソウマも仙人モード入る
チヨの十指が素早く動いた。
「ゆけ!」
十体の傀儡が躍動してソウマに襲い掛かる、超高速で多角的にソウマの退路を塞ぐように肉薄。爪や刃からは、チヨ特製の致死性の紫の毒が滴っていた。
「少しでもかすれば命はないぞ! 死ねぇい!」
ソウマは如意棒を地面に突き立てて応戦
「『仙法・土遁針山』!」
周囲の地形を針山に変えて傀儡もろともチヨ婆を貫こうとする
「ハッ!」
傀儡の内数体が防御に周り、針山を破壊し、余波からチヨ婆を守る
その隙にも残りの傀儡はソウマに攻撃を仕掛けている
その四方からくる攻撃をソウマは如意棒で弾き、身を避けて躱し、飛び跳ねて躱し、更には一体には反撃を入れて武装を損傷させてみせた
「ずいぶん腕を上げたようじゃのう、以前は『白い牙』、お主、うちはの娘、日向の小僧の四人でやっとであったこの白秘技をこうもさばいてみせるとは…」
「五年もあったら若者は成長するもんなんだぜ婆さん(仙人モードで感知が高まっているとはいえ一発ももらっちゃいけないのは緊張感がやばいな…)」
「今度はこっちから行く!『仙法・風遁真空斬波』」
風遁を纏わせた如意棒を薙刀のように振り回し、巨大な真空の刃を放った
真空の刃は土遁で盛り上がった地形を切り裂いて進みチヨ婆に襲い掛かる
「くっ!」
チヨ婆は傀儡で自分を投げて躱しつつ追撃に備えて防御の傀儡と反撃の傀儡の準備をした
ズバン!
チヨ婆を投げた傀儡は上半身と下半身に切断された、傀儡は切断されても使えるがカラクリが故障したり関節部が破壊されると稼働できなくなるため戦力半減には違いない
「(これで一体破壊、だがまだまだ!)『手裏剣影分身の術』!」
仙術チャクラの減り具合とソウマの戦術を把握している長年のコンビである猿空はソウマが声掛けするまでもなく短く縮んでソウマの籠手に収まっていた
「(飛雷神マーキング付き手裏剣じゃな!)フン!」
ガガガガガ!
傀儡の何体かが手裏剣を迎撃した、傀儡に刺さるとそこに飛雷神で飛ばれてしまうため傀儡には刺さらないように弾き飛ばすように迎撃するチヨ婆、九体もの傀儡を操りながらも細かい操作は失われていないチヨ婆の神業だった
それでも
「『飛雷神斬り』」
手裏剣を弾き飛ばす直前の傀儡に最も手裏剣が接近した瞬間にその手裏剣に飛ぶと同時に風遁を纏った忍刀で傀儡の一体を切り裂いた
「(なんという早業!)だが逃がさん!」
チヨ婆は二体にソウマを攻撃させ、残りの六体で周囲のマーキング付き手裏剣をカバー、どこに飛んでも攻撃できる陣形を作る
「(流石チヨ婆は甘くないな)『仙法・土遁地動核』」
ソウマは地面に手を付いて足場を一気に持ち上げ自身を狙っていた二体もまとめて持ち上げた
傀儡が一気に持ち上がってしまったためチャクラ糸がチヨ婆の対応よりも早く伸びて傀儡の反応が遅れた上に視界からも外れたため傀儡の動きが一気に鈍る
ズガガッ!
その隙を見逃さずソウマが忍刀で一体を切り裂いた、その間にチヨ婆は一体を手元に戻す
「(くっ二体ともは間に合わんかったか)」
高く持ち上がった足場の上からソウマがチヨ婆を見下ろす
「(これで三体撃破…周囲のマーキング付き手裏剣は相変わらず警戒している、うかつに飛ぶのはしないほうが良いか)」
チヨ婆はソウマを見上げて睨む
「(こやつ…風遁だけでなく前回の戦いでは火遁で大量の傀儡を焼き払ったというしこのレベルの土遁まで…接近戦は如意棒の破壊力に風遁を纏った忍刀の切れ味…そしてトドメの飛雷神まであると来たか、はっきりいって影クラスじゃ、たった五年でここまで化けるとは何があった)」
「(さてどう攻めるか、流石にチヨ婆クラス相手では大技の溜めは許してもらえないしな)」
「(まだ残っているカラクリはある!)」
三体の傀儡が集まって口を開く
カシャ カシャ カシャ
「『三宝吸潰』!」
ズオォ!
「!?(吸い込まれる!)」 フッ
ソウマは傀儡が三体集まったことでできた陣形の隙間に飛雷神で飛ぶ
「そこに飛ぶのは分かっておる!」
グオオオオオと音を立てて吸込みの渦がソウマに襲い掛かる、吸い込まれた周囲の細かい石はすりつぶされていく
「『仙法・火遁豪炎』!」
ソウマの放った火遁は吸込みの渦に入って三体の傀儡の生み出した陣の中心に吸い込まれ、消滅した
「(流石にこの程度じゃ壊れないか!)」
飛雷神を使わず自分の脚で走り吸込みの渦から逃げ続けるソウマ
「(飛雷神無しでもあれだけ早いか、こちらの傀儡の速度が追いつけん、しかしやり方次第じゃ)」
吸い込みをしている3体以外の傀儡も仕込まれた刀や爪などの仕込まれた武装を展開してソウマに襲い掛かる
それらを吸い込みから逃げながら捌き、隙を伺うソウマ
「(やたら広範囲を吸い込んでると思ったら地面に突き刺さったマーキング付き手裏剣を吸い込んで押しつぶしてるのか、あれじゃマーキングが破壊されて使えない、やるなチヨ婆)だが全部は無理みたいだな!」
吸い込みに三体、ソウマへの直接攻撃に三体、防御に一体傀儡を使っているため周囲のマーキング付き手裏剣を警戒するための傀儡が足りなくなっていた、それを防ぐために『三宝吸潰』で手裏剣を破壊していたがマーキングの位置を自分の感覚で把握しているソウマと違い、チヨ婆は目視で見るしかないためすべては把握しきれない
フッとソウマが飛雷神で飛び、傀儡達の攻撃が地面に突き刺さる
「(くっ手裏剣を消しきれんかったか、流石に数が多い)」
ソウマは右手を吸い込みをしている傀儡の内の一体に向けて構え
「伸びろ猿空!」
「待ってたぜ!」
「「『仙猿伸天打』!」」
ソウマが忍刀で戦っている間チャクラを溜めていた猿空がチャクラを一気に使い、一瞬にして伸びた如意棒が傀儡を貫いた、チヨ婆も躱そうとしたため直撃は免れたが傀儡は半壊状態となる
「これでは『三宝吸潰』は使えんか…」
「これで吸い込みはできなくなったみたいだな」
再びにらみ合うソウマとチヨ婆、その瞬間
ピィーーーー!と笛の音が響いた
チヨ婆は
「時間か…」
とつぶやく
「今のは砂の撤退の合図の笛だな?どうやら無事に木ノ葉が勝ったらしいな」
チヨ婆は白秘技を回収しつつ
「フン、今回は戦力の把握をしに来たまでのこと、初めからある程度やったら下がるように言ってある」
「砂が攻めてこないなら木ノ葉は攻める理由が無いんだけどな?」
「砂は…風の国はそうも言ってられんのじゃ」
「まあ豊かな火の国と木ノ葉からしたら分からないのも仕方ない、戦争に来てる忍ですらこのまま攻めてしまえばいいとか言うやつがいるぐらいだ」
「分かったような口を…今日のところはここまでじゃ、さらば」
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引いていくチヨ婆を見送るソウマ、そこにトキマがやってくる
「無事にチヨ婆は撃退したみたいだね、こちらの相手は無理攻めしてくることなくちょこちょことぶつかって下がっていったよ、偵察だったみたいだね」
「ああ、今回は俺とこっちの軍勢の戦力把握だったみたいだな、白秘技を三体破壊したから割に合わない結果だったと思うけど」
「(白秘技を出されて単独で三体破壊!?すごいな)流石だね、じゃあ撤収かい?」
「一応追撃部隊は出す、血気盛んな奴は行きたがるだろうからな、そうだな…一日追撃して帰ってくる予定で頼む」
「了解、他の部隊長に知らせてくる」
トキマは一緒に来ていた山中一族の伝令役に内容を伝えて下がっていった
「あの感じだと次は…」
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砂隠れの里・会議室
三代目風影、チヨ婆、軍師のエビゾウが集まっていた
「無事でなによりだ姉ちゃん」
「まったくじゃ、はっきりってワシより強いぞ志村ソウマは」
「まさかチヨ婆が白秘技を使って三体破壊、一体半壊で帰ってくるとはな」
「ええ想像以上でした、事前に時間を決めておいて良かったですのう、木ノ葉も地理を考えるとなかなか砂には攻めにくいですし、それよりも白秘技を直さんといかんなあ…こんな時サソリが居れば…」
「抜けた奴の事を考えても仕方あるまい、とにかくチヨ婆は白秘技の修復を急げ、その間は俺がやるしかあるまい、志村ソウマの戦い方を教えてもらおう」
「そうですな、まず奴の主武器の──」
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第三次忍界大戦は始まったばかり…
猿空は縮んでるときはアサクリのアサシンブレードみたいになってます、伸縮自在って便利
押され気味とはいえ仙人モードとやりあえるチヨ婆と白秘技、めっちゃ強いですね、赤秘技・百機の操演とやりあえてんだからこれぐらいできるよ多分、まだ50歳ぐらいの想定だし
カカシ世代の年齢をミスっているのに気づいて過去の話を修正しました
10歳→7歳
ちょっと会話とか修正したけど内容は特に変わってないです
第三次忍界大戦勃発時
ソウマ 23歳
ミナト 20歳
カカシ 7歳
シスイ 2歳
こうしてみるとシスイってカカシとあんま離れてないなって感じしますね
シスイの年齢の公式情報ないんですけど描写からイタチの三つ上ってことにしてます
評価、お気に入り、しおり、感想ありがとうございます
誤字修正も感謝