ダンゾウの息子、志村ソウマ   作:へたれん

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配置ミスったなって思いました


37.続・砂隠れ戦線と援軍

チヨ婆との激闘から数か月。

 

風の国国境に築かれた木ノ葉の防衛陣地は、かつての急ごしらえの陣地から、強固な砦へと変貌を遂げていた。

 

志村ソウマの指示のもと、木ノ葉は無理な侵攻を行わず、国境線を強固に固める防衛の姿勢を崩していなかった。風の国への無謀な侵攻を避け、補給線を安定させるこの作戦は功を奏し、砂隠れの正面からの突破口を完全に塞いでいた。

 

だが、砂隠れも手ぶらで指をくわえているわけではなかった。

 

正面衝突で勝てないと踏んだ砂は、暗部や精鋭の傀儡師からなる小規模な奇襲部隊を幾重にも繰り出し、猛毒を塗った千本やトラップによる陰湿なゲリラ戦を展開。木ノ葉の防衛陣地では、毒による負傷者が連日のように運び込まれていた。

 

「ぐぁっ……! 頼む、解毒剤を……!」

「落ち着け! 体内チャクラの循環を緩めろ! 今、トキマ様が薬を調合している!」

 

野戦病院と化した巨大なテント内では、日向トキマ率いる医療部隊が不眠不休で対応にあたっていた。

 

「砂は完全にゲリラ戦法に切り替えたみたいだね…毎日のように新しい毒を使われるから対処が間に合わない」

 

トキマは額の汗を拭いながら、白眼で患者の経絡系を透視し、毒の侵食速度を計算していた。

 

「分析が追いつかないわけじゃないが……このペースで重傷者が運ばれてくると、医療忍者の手も解毒薬の精製もパンクしてしまうよ」

 

その時であった。

 

テントの入口を遮っていた布が、豪快に押し開かれた。

 

「――何をしけた面してんだい、トキマ!」

 

凛とした、腹の底に響くような女の声。

 

野戦病院の中にいた医療忍者たちが一斉に振り返り、その人物の姿を目にして息をのんだ。

 

金髪を揺らして圧倒的な存在感と威厳を纏った女性――木ノ葉が誇る「伝説の三忍」の一人、綱手であった。

 

「つ……綱手様!?」

 

トキマが驚きに目を丸くする。

 

「綱手様、なぜここに……!? 確か、霧隠れと対峙している波の国前線におられたはずでは……」

 

「あー、あの前線かい?」

 

綱手は面倒くさそうに首を叩くと、呆れたように吐き捨てた。

 

「大蛇丸の野郎がさ、『海からの侵攻なんて口寄せと罠だけで充分よ』とか生意気抜かしやがってね。あいつ一人で戦局を完封しちまって、アタシの出番がまるで無かったのよ!」

 

綱手はハハッと豪快に笑うと、腰に手を当ててテント内を見渡した。

 

「で、毒の対処で大変だろうこっちに三代目が割り振ったのさ、感謝しなよお前達」

 

「綱手様……!」

 

現場の医療忍者たちから、どっと歓声が上がった。

忍界最高峰の医療忍者であり、第二次大戦で砂隠れのチヨが作った毒をすべて解毒してみせた伝説の存在。彼女の到着は、連日の不眠不休で疲弊していた医療部隊にとって、何よりも頼もしい援軍であった。

 

「さあ、グズグズしてる暇はないよ! 毒のサンプルと患部の状態を全部見せな! アタシが速攻で解毒処置の決定版を作ってやるからね!」

 

「はいっ!!」

 

トキマをはじめとする医療部隊の瞳に、力強い輝きが戻った。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

その頃、防衛陣地の本陣。

 

地図を広げて他前線の報告を確認していたソウマのもとへ、ドタドタと豪快な足音が近づいてきた。

 

「ソウマ! 息災にしてたかい!」

 

「綱手様!」

 

ソウマが振り返ると、ニカッと笑う綱手が立っていた。

 

「噂は聞いてるよ。チヨ婆の白秘技を返り討ちにして、砂の第一陣を一人で粉砕したそうじゃないか。大したもんだねぇ」

 

「お褒めに預かり光栄です、綱手様。来てくれて本当に助かりました、トキマが過労死しそうでしたよ…仙術チャクラは他人に渡せないから俺はひたすら前線に飛んで傀儡を壊してましたよ」

 

「言ったろ、大蛇丸の野郎が一人でやってんだよ。あいつの蛇どもが海を埋め尽くしてるおかげで、霧の工作員も身動きが取れてないのさ。アタシがいるより、毒で重傷者が出てるこっちの方が百倍役に立てる!」

 

綱手はソウマの肩をバシィ!と叩いた。

 

「(か、肩が外れるかと思った)」

 

「アタシが来たからには、砂の毒なんぞ一週間で完封してみせる。カツユの遠隔治療も展開するから、前線の犠牲者は激減するはずだ。……これでアンタも、後ろを気にせず前に集中できるだろ?」

 

「ええ…、綱手様が毒を抑えてくだされば、砂隠れに残された手札はもう限られてきます」

 

ソウマの目が鋭く光った。

 

「チヨ婆さんを撃退し、毒も効かないとなれば……いよいよ出てきますよ。砂隠れ最強の男――『三代目風影』が」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

綱手の宣言通り、彼女の着任による影響は絶大であった。

 

綱手は持ち前の圧倒的な知識と試薬調合術により、砂隠れが繰り出す複雑な複合毒を次々と解明。すぐさま万能の解毒薬を量産し、さらに口寄せ動物であるカツユを前線へ配置した。

 

「カツユ様! 三号陣地で毒針を受けた患者です!」

『承知いたしました。即座に解毒とチャクラ補給を行います』

 

傷を負った忍の体表に分裂したカツユが張り付き、瞬時に毒を中和し、傷口を塞いでいく。しかもカツユは分裂している個体同士で瞬時に情報のやり取りができるため木ノ葉の監視網はさらに万全になった。

 

かつて第二次忍界大戦で砂隠れを絶望に叩き落とした「綱手の医療体制」が、完璧な形で復活したのだ。

 

これにより、砂隠れのゲリラ部隊による毒の被害は激減。木ノ葉の負傷者死亡率はほぼゼロとなり、防衛陣地の士気は跳ね上がった。

 

一方――砂隠れの本陣は大激震に見舞われていた。

 

「ば、バカな……! 我らが誇る特製毒が、ことごとく解毒されているだと!?」

「木ノ葉の陣地に『三忍』の綱手が到着した模様です!」

 

前線からの悲鳴のような報告を受け、司令部の空気は凍りついた。

 

チヨが歯噛みする。

 

「蛞蝓姫が来てしまったか、またしてもワシの毒を破るか……」

 

「うーむこれは厳しい…、これではゲリラ戦も意味をなさん。正面突破は志村ソウマに阻まれ、毒工作は綱手姫に完封された……我が軍の打つ手が無くなってきた、残るは…」

 

軍師のエビゾウが重苦しい口調で語る。

 

その時、参謀席の最奥で静かに腕を組んでいた男が、ゆっくりと立ち上がった。

 

青黒い忍装束を纏い、背後に凄まじい密度のチャクラを漂わせる男――砂隠れ史上最強と謳われる頭領、三代目風影である。

 

「……もはや、小細工の段階は過ぎたようだな」

 

三代目風影の低い声が、部屋全体に響き渡る。

 

「志村ソウマ……飛雷神と仙術を操る木ノ葉の怪物か。奴を叩き潰さねば、我が砂隠れに勝機はない」

 

「やはり、風影様が出陣なさるしかありませんか…」

 

「ああ。これ以上の消耗は里の存続に関わる。……俺が直々に前線へ赴き、志村ソウマの息の根を止める」

 

三代目風影の周囲の空間が、極微細な鉄の粒――「砂鉄」の軋みとともに、黒く歪んだ。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

その夜。木ノ葉防衛陣地の巨大な物見櫓の屋根の上。

 

澄み切った夜空には満月が浮かび、静かな風が二人の忍の髪を揺らしていた。

 

ソウマと綱手が、屋根の上に腰掛けていた。

 

「ふぅ……久しぶりに現場で腕を振るったら、肩が凝ったよ、でもトキマの奴、いい医療忍者に育ってるじゃないか。アンタの部下は優秀なのが揃ってるねぇ」

 

「トキマもフガクも、頼りになる仲間ですよ。……綱手様が来てくださったおかげで、みんな本当に救われました」

 

綱手はソウマの横顔をじっと見つめ、ふと真面目なトーンで作問した。

 

「ソウマ。アンタ……本当によくやってるよ。暗部の裏仕事から表の前線指揮官まで引き受けて……体力がいくらあっても足りないだろ」

 

「仙人モードの恩恵ですよ、猿空と融合できるから単純にチャクラが二倍になるうえに仙術チャクラは疲れにくいですから飛雷神で飛び回るだけならいくらでもできます、綱手様だって自来也さんが仙人モードで暴れてるのは見たことあるでしょ」

 

「(縄樹が生きてたらこれぐらい頼りになる忍になったかな…)」

 

綱手の弟縄樹は前の大戦で12歳になった時に初陣で死亡していた、生きていたら20歳だ。綱手の瞳に、少しだけ寂しげな光が宿った。

 

「そういえば婚約おめでとうございます、いや~遅かったですね、自来也さんが泣いて喜んでましたよ?加藤ダンさんといえば『霊化の術』で有名な人ですよね、今や有力な千手は綱手様だけなんですからお願いしますよ!」

 

「自分はうちはの嫁をもらったからって生意気だね!千手は元からいろんな一族と同盟してたんだから里の他の一族と同化していけば千手の名前なんてどうでもいいんだよ!おじい様の規格外の性質は子や孫には受け継がれなかったしね、大叔父様はお家騒動を嫌って死ぬまで子供を作らなかったし」

 

「木遁ですよね、柱間様は俺は面識ないですが扉間先生や三代目が常々『兄者(初代様)はすべてが桁違い』と言っていましたから本当にすごかったんでしょうね、綱手様は超一流の忍ですが桁違いというモノでもないですし、木遁はご子息や綱手様…あと縄樹も…受け継がれなかったですし」

 

「生意気言うようになったねユウリ姐さんのとこのちびっ子だったアンタがねえ…

だが、受け継がれるのは性質だけかい?それとも血継限界?術?そんなものよりも大事なもんはアタシは受け継いでる、アンタは大叔父様から、そうだろ?」

 

「そうですね、…そろそろ、相手の『本命』が動き出す気配がします」

 

「気をつけなよ、ソウマ。あの男の『砂鉄』は、どんな物理攻撃も術も跳ね返す絶対の兵器だ。おまけに磁力を帯びた砂鉄は、金属の武器を狂わせる」

 

「大丈夫です。俺には……猿空と練り上げた仙術がありますから」

 

ソウマの腰で、手裏剣の術式が月光を受けてかすかに光った。

 

第三次忍界大戦、対砂隠れ前線。

伝説の医療忍・綱手の参戦によって毒を攻略した木ノ葉軍と、追い詰められた砂隠れ最強の頭領・三代目風影。

 

二つの強大な存在が、いよいよ直接激突する刻が迫っていた。





綱手出しておきたいなってだけの回
まだダンは死んでないのでトラウマもないし、やさぐれてもない(そもそも原作でも死亡時期謎)

対砂隠れ戦を描くにあたって風影奪還編を何度も読み返しています、やっぱチヨ婆強すぎん?サソリが心の底では肉親への情があったとはいえなんでこんなやれてんのこの人、死者蘇生とか輪廻眼にしか許されんだろ…、そしてこの時のサクラは良いキャラしてる

評価、お気に入り、しおり、感想ありがとうございます
誤字修正も感謝
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