風の国国境、地平線を埋め尽くすほどの砂塵が巻き上がっていた。
「来たぞーッ!! 砂の大軍勢だ!!」
「全員、迎撃体制!! 陣地を死守しろ!!」
見張り台からの絶叫とともに、木ノ葉の防衛要塞に警報の鐘が鳴り響く。
三代目風影自らが率いる砂隠れの大軍勢が、ついに総力を挙げた全面攻勢へと打って出たのだ。
「フン……ようやくお出ましか。トキマ、医療部隊と前衛のフォローは任せたよ!」
「了解です、綱手様! 白眼でチヨ婆の糸と傀儡の動きを全て捕捉します!」
陣頭に立った綱手と日向トキマが、無数の傀儡を率いて襲い来るチヨ婆の部隊へと向けて飛び出していく。
また木ノ葉側はうちはフガク等が率いる通常部隊と砂の部隊も激突し、爆発音と怒号が荒野全体に響き渡った。
そして――その大混戦の中心、周囲の兵が近づくことすらできない異常なチャクラが渦巻く一角があった。
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漆黒の忍装束を纏い、背後に巨大な翼のごとく黒い粒子を従えて浮遊する男――砂隠れ史上最強の頭領、三代目風影である。
その直下に降り立ったのは、猿空と融合し、目元に隈取を浮かべた仙人モードの志村ソウマ
「……お前が『風刃』、いや……今や『火猿仙人』と呼ばれる志村ソウマか」
風影の低い声が、戦場の喧騒を圧して響く。
「初めましてだな三代目風影殿。だが、ここから先は一歩も通さない」
「お前一人にここまで苦戦するとはな……故に、ここで俺が直々に息の根を止める!」
風影が右手をかざした。
「『砂鉄時雨』!!」
ズババババババッ!!
背後の黒い砂鉄が一瞬にして拡散し、細かな砂鉄の散弾となって、高速でソウマへ向かって放たれた
空を埋め尽くす漆黒の豪雨。
一粒一粒が高密度のチャクラと磁力を帯び、岩山すら一瞬で蜂の巣に変える技である。
ソウマは如意棒を高速で回転させ盾とした
「『仙猿風金剛旋回盾』!」
ズガガガガガッ!
ソウマを襲った砂鉄の豪雨はすべて弾かれた
「その防ぎ方…俺の術は知っているか」
「磁遁は普通に防いでも武器や体に磁力が付着する、しかもアンタの場合は砂鉄を潜り込ませて操ることもできる、だからただ盾のようにして防ぐだけじゃなくて風遁も加えて直接触れない上に遠くへ弾いた」
「やるではないか」
再び構える両者、次の瞬間ソウマは、飛雷神の術式が刻まれた手裏剣を懐から抜き放ち、砂鉄の隙間を縫って風影へ向けて投擲しようとした、だが――
ガチィンッ!!
投げ放った瞬間に手裏剣がおかしな軌道を描き、風影へ届く前に黒い砂鉄の塊へと吸い寄せられて叩き落とされた。
「やっぱ無理か」
「無駄だ」
風影が言い放つ。
「俺のチャクラは高密度の磁力を帯びている。クナイであれ手裏剣であれ、金属の武具はすべて俺の磁界に捕らわれ、軌道を狂わされる。……お前の得意な『飛雷神の手裏剣』など、俺の前ではただの鉄くずに過ぎん」
風影は反撃に磁力を操作して砂鉄を集約させた。
「ハッ!!」
空中を漂う砂鉄が瞬く間に高密度圧縮され、数本の巨大な黒い「槍」へと形状を変形。音を立ててソウマの着地点へと突き刺さるように飛来する
ドスッ! ドスドスッ!!
「(やっぱ飛雷神マーキング付き手裏剣はそうそう使えない、手裏剣どころかクナイも忍刀もダメだ、だけど…)」
ソウマは襲い来る砂鉄の槍を身を捻って回避。即座に作戦を切り替えた。
金属の武器に頼れないなら、自らの拳と、あの武器でいくまで。
ソウマは先ほど攻撃を防いだ後すぐに右手の籠手に如意棒を収めて温存していた、何故なら今回はほとんど如意棒で戦わなければいけないことは分かっていたからだ、理由は──
「素早いな…単純な攻撃は当たらんか、ならばもっと広範囲をやる!」
風影は砂鉄の形状を千本のような針の形状にしてソウマをを貫こうと放つ
「猿空、伸ばすぞ!」
「おうよ! ぶちかませソウマ!」
ズドォンッ!!
ソウマがしならせた如意棒が爆発的に伸長。風影が追加で放った無数の砂鉄の針の弾幕を正面から真っ向から叩き伏せ、豪快に粉砕してみせた
「俺の砂鉄に触れたな、その武器はもう──何!?」
風影が驚愕に目を見張る
「俺の磁力を受けない素材!?」
ソウマは如意棒を肩に担ぎ、ニヤリと不敵に笑ってみせた。
「猿空はもともと『口寄せの生き物』だ。それにこの金剛如意棒は文字通り金剛石(ダイヤモンド)、つまり金属じゃない、傀儡と違って中に砂鉄を入れ込むことも出来ないぞ、ただの棒だから関節なんて無いしな」
「なるほど……生物であり、かつ非金属の絶対硬度か! 素晴らしい適応力だ、火猿仙人!」
風影の瞳に、本気の殺意が宿った。
「だが……武器が使える程度で、この俺に勝てると思うな!!」
風影が両手を激しく交差させ、体内のチャクラを極限まで練り上げた。
周囲の地表から無数の黒い砂鉄が吹き上がり、空中で高密度に密集・結晶化していく。
そして巨大な砂鉄で出来た三角錐と直方体を作り上げ、それを変形させて攻撃を始めた
「貫け!」
三角錐の頂点が一気に伸びてソウマに襲い掛かかる
ソウマは土遁で迎撃する
「『仙法・土遁螺旋槍』!」
ガガガガッ!とソウマが土遁で生み出した槍は風影の砂鉄の槍とぶつかると、砂鉄に削られていく
「(ちっ!やっぱ砂鉄は土遁じゃ迎撃できない、勢いを多少減らせる程度か)」
砂鉄の槍の勢いが落ちたことで出来た時間でソウマは槍を回避し、戦略を練る
「(風影と戦うには仙人モードは途切れさせられない、そしてあいつに通じる武器は猿空の変化した如意棒しかない、普段は如意棒を縮めて猿空がチャクラを練っている間は忍刀とかで繋ぐが今回はそれは無理だ、あの術の出番か…)」
「まだまだ行くぞ!」
風影が地面に突き刺さった砂鉄の槍をさらに操作し、複数の槍に分解して流動的にソウマを襲う
「『仙猿連撃』!」
ドドドドド!
流れるような連撃で砂鉄の槍を迎撃するソウマ、如意棒に多少の砂鉄が付くが金属ではない如意棒にはくっつきにくく、振り回すとすぐに砂鉄は地面に落ちる
「(見事な棒捌きよ、二十そこらの若者がこの動きとはな、これ程の才は砂にはおらん…)」
「(さてそろそろ仙術チャクラがやばいか…)縮め猿空」
「大丈夫かよ?あいつに対抗できる武器はオレ以外ないぞ」
「"武器は"だろ?ちゃんとこういうときも想定してるだろ?俺達は」
「そうだな!」シュン!
猿空は縮んでソウマの籠手に収まり、チャクラ収集モードに入る
「棒を収めた?(何故だ他に俺の磁遁とやりあえる武器があるとは思えん、それに…)
わざわざその棒を収める理由は無いはず、やはり仙人モードというのは時間制限があるな?」
「これまでの戦争でさんざん見せてるから少しバレ始めたか、ちょっと違うがまあそんなもんだ、猿空はしばらくお休みだ」
「その間俺の砂鉄から逃げられるかな?」
「逃げる必要はない!猿空が使えないだけで仙人モードは継続中だ!『仙法・風遁風纏の術』」
ソウマの両手が渦巻く風遁のチャクラを纏った、それはかつて第七班としてともに戦った
うちはキキョウの『火遁 火纏の術』と同じ術だ
「(キキョウは妊娠したって聞いたな、あいつが平和に子育て出来るように里を守る!)」
「風遁を纏ったか、だが風遁では砂鉄の相手は出来ん! ハッ!」
風影は浮かべていた砂鉄の立方体から大量の砂鉄の弾丸を飛ばした
「(棒が無ければ広範囲の攻撃は防げまい!)」
「『風纏・疾風閃』」
ブォン!
砂をまき散らしてソウマの姿が掻き消えた
「(消えた!?飛雷神─ではない!飛雷神ならあんな風に砂は舞わない、はっ!?)」
風影の側面から高速でソウマが襲い掛かる
「『風纏・風掌刃』!」
風影はとっさに砂鉄を盾にして防ごうとする
「くっ!」
「ハァーー!切り裂け!」
ズバァン!
「(砂鉄の盾を…切り裂いただと!なんという風遁!しかも…)」
風影は肩から少し血を流していた、ソウマの放った風掌刃は砂鉄の盾を切り裂いただけではなく風影の纏っている砂鉄の鎧とも言えるコートを少し切っていた
「流石に盾ごと一刀両断とはいかないか…」
「風遁で砂鉄の盾を切り裂いただけでも偉業だというのに鎧まで少し斬るとはな…敵ながら見事」
「ありがとよ!だがまだまだ行くぞ!『風掌打』!」
「フンッ!」
ソウマが放った風遁の掌底を風影は砂鉄で防ぐ
そのままソウマは連撃で風遁を纏った拳や手刀を放って風影に接近戦を仕掛け、風影は砂鉄を変形させてそれを防ぐ
「(流石に先ほどの斬撃ほどの威力は無いが気は抜けん威力だ)」
「(やっぱりな、風影は中遠距離タイプ、懐に入られると大規模な砂鉄の技は使えない!)」
「風影が近距離に寄られた程度で戦えないなどと思うな!『砂鉄花火』!」
風影は握り拳程の砂鉄を放ちそれを爆破、周囲に砂鉄の弾丸をばら撒く、自身に飛んでくる砂鉄は磁力でからめとって鎧を構成する砂鉄に吸収してしまう、近距離の敵にだけ砂鉄をぶつける凶悪な技だ
「『風纏・風陣断界』!」
ソウマは両手にまとった風遁チャクラを解き放って風の防壁を作り砂鉄を防ぐ、それでも重い砂鉄の弾丸は数発防壁を潜り抜けてソウマの頬や足にかすり傷を着けた
「(流石にそんな甘くないか…しかもまた距離が離れた、『疾風閃』で不意打ちするのはさっきやってしまったしな)」
「(密着状態の『砂鉄花火』をかすり傷で済むとは、とてつもない感知と反応速度だ)」
ソウマが相棒に話しかける
「準備は良いか猿空」
「ああ!行くぜ!」
ソウマの合図で猿空は攻撃用の長さに戻りソウマが如意棒を地面に突き立てると同時に──
「(どうやら棒は再び使える状態になったか……何!?)」
「『手裏剣影分身の術』!」
「(今さら手裏剣だと!?俺の磁力で全て逸らして……逸れない!?まずい!)『砂鉄界法』!」
ドドドドドドドドンッ!!
広範囲に展開された巨大な砂鉄の塊が爆発的に膨張、一気に枝分かれして縦横無尽に突き刺さり、ソウマの放った大量の手裏剣を迎撃した、そして手裏剣がいとも簡単に"割れる"それは
「(石で出来た手裏剣!土遁で固めたものか、いつの間に……)」
その間にも幾重もの黒い棘が、空間全体を網目のように覆い尽くし、逃げ場のない超広範囲の「黒い処刑室」を作り上げた、棘の一本一本が凄まじい威力を秘め、絶望的な広範囲攻撃である。
砂鉄に包まれることで少し高い所を浮遊することのできる風影は上からソウマを見下ろし
「(石手裏剣の迎撃はもう良い、奴に砂鉄を集中する!)ハァ…ハァ…逃げ場などどこにもない! この高密度の空間で刺し貫かれ、細切れになれ!」
「突き破る!『仙猿風火金剛大砲』!」
砂隠れとの初戦で相手司令部を壊滅させた大技を放つソウマ
ドン!
ガガガガガガガガッ!
大気が震え、砂鉄の棘を吹き飛ばしながら進む如意棒、それを風影は砂鉄を分厚い盾にして受け止める
ドゴオオオオオオン!!
如意棒と砂鉄の盾がぶつかりその凄まじい衝撃で砂塵が舞い上がり、風影もソウマもその場に踏ん張る
「(防ぎ切った、今奴は棒を投げて持っておらずチャクラも大量に使用した、今が攻め時!)」
風影が一気に攻め切ろうとした瞬間
ボン
砂鉄の盾に激突した如意棒が煙とともに消える
「(影分身だと!?棒が!?ならば本体は!)」
風影がソウマに視線を向けた瞬間
フッとソウマが消えた
「(飛雷神!マーキング付き手裏剣は何処にもないはず!)」
周囲を警戒して気配を探った瞬間、背後から気配を感じ、脊髄反射で鎧として身にまとっている砂鉄にチャクラ込めてさらに硬化しながら背後を振り返った風影の眼に映ったのは──
手に持った石手裏剣が如意棒に変化し、こちらに突きを放つソウマだった
「『仙猿風火穿空』!」
風影もとっさに鎧を硬化させるだけでなく砂鉄の槍を生み出し迎撃する
「ハアアアアアアアアア!」
「風影を舐めるなアアア!」
二人の攻撃が交差した
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「ハア…ハア…まさか棒が影分身出来るだけでなく石手裏剣に変化してそこに飛雷神で飛ぶとは…口寄せの猿だから出来る芸当か…」
「グッ…ふぅ…完璧なタイミングだったのにカウンターを食らうとは流石風影ってとこか…」
風影はソウマの一撃で砂鉄の鎧が破壊されて肩に大怪我を負い
ソウマは風影のカウンターで脇腹に小さな穴が出来ている、また仙術チャクラを一気に使ったため仙人モードが解除されていた
「俺にここまで傷を負わせた忍は、お前が初めてだ。……だがまだまだっ」
「長期戦ならこっちの方が有利だぜ…仙人を舐めるなよ…(猿空早く自然エネルギー集めてくれ!)」「(やってんだから急かすな!)」
ソウマが再び如意棒を籠手にしまい風纏を発動する構えを見せ、風影が両手に巨大な砂鉄の槍を凝縮させた――その時であった。
「ソウマッ!!」「風影様っ!!」
激戦の音と気配を察知し、双方の陣営から激突を中断した精鋭たちが雪崩れ込んできた。
木ノ葉側からは、チヨ婆の傀儡部隊を押し返した綱手と日向トキマ、うちはフガク。
そして砂隠れ側からは、傀儡を回収したチヨ婆と軍師のエビゾウ率いる精鋭部隊。
「そこまでだソウマ! 無茶しやがって!」
綱手がソウマの前に飛び出し、豪快に拳を握りしめる。
「風影様! ご無事ですか!」
チヨ婆とエビゾウが風影の左右に降り立ち、警戒の陣を取った。
広大な荒野に、両軍の最高戦力が一堂に会したのだ。
一触即発の沈黙。
綱手の圧倒的な怪力、フガクの写輪眼、チヨ婆の傀儡、そして三代目風影と火猿仙人ソウマ。
ここで全面衝突を継続すれば、どちらが勝つにせよ、両国の軍勢は壊滅的な被害を受けることは明白であった。
両軍の参謀、日向トキマとエビゾウが出した結論は
「「撤退せよ!」」
風影は静かにソウマへと言葉を投げかけた。
「志村ソウマ。今日のところは痛み分けとしておこう。……だが、我が砂隠れは滅びん。次は里の全てを賭けてお前を破る」
「勘弁してくれ、あんた強すぎる…」
三代目風影率いる砂隠れの大軍勢は、砂嵐とともに静かに退いて行った。
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撤退し、ある程度距離が離れ砂の気配が完全に遠のいたことを確認し、ソウマは「ふぅーっ」と大きなため息を吐いた
その場にドサリと座り込みそうになるソウマを、綱手がガシッと肩で受け止めた。
「ったく、無茶しやがって! あの三代目風影と一対一でやり合って、五分で生還してくるとはね!」
「……綱手様、痛いですって。腹の傷に響きます……」
「黙りな! カツユ、速攻で治療しておやり!」
『承知いたしました、綱手様』
綱手の手から現れた小さなカツユがソウマの腹に貼り付き、心地よい緑色の医療チャクラが傷口を癒やしていく。
駆け寄ってきたトキマとフガクが、心底感服した様子でソウマを見つめていた。
「すごいよソウマ……あの『最強の風影』と五分なんて」
「ええ。風影自らが出陣して引き分けたとなれば、砂隠れの士気は底をつきます。これで砂前線は完全に膠着状態ですね…」
フガクの言葉通りであった。
砂隠れの大軍勢と三代目風影という絶対のカードを切り、それでも木ノ葉の防衛線を破れなかった砂隠れは、これ以上大規模な侵攻を行う体力を失ったのだ。
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第三次忍界大戦はまだまだ終わらない…
ソウマはがっつり仙人として戦っているので二つ名が変わっていってる、『風刃』も使ってるけどね
火纏があるなら風纏(かぜまとい)もあるよね~
ソウマは鍛えるのは好きだし強くなるのも楽しい、戦いとなれば遠慮はしないけど、別に命を懸けた戦いが楽しい!っていうマダラみたいな性格じゃないので戦わなくていいなら戦わないよ?みたいな感じ
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