火の国から風の国へと続く広大な国境地帯。
第三次忍界大戦の開戦から、すでに約一年半という月日が流れていた。
その一年半は、まさに地獄のような泥沼の削り合いであった。
火猿仙人ソウマと三代目風影の痛み分けから一年、前線では木ノ葉と砂隠れの部隊同士が連日のように激突し、爆煙と血生臭い匂いが砂漠の風に混じって漂い続けている。
砂隠れの最高戦力――三代目風影、そしてチヨ婆。
木ノ葉の最高戦力――志村ソウマ、そして綱手。
この規格外の怪物たちが戦場に姿を現した時、相手側の部隊は抗う術もなく壊滅的な打撃を受ける。互いに相手の最高戦力を自軍のトップで押し留める以外に術はなく、一度激突が始まれば戦況は一進一退。双方の陣営には、日増しに無数の戦死者の報告と疲弊だけが積み重なっていった。
だが、その均衡は半年ほど前から徐々に崩れ始めていた。
防衛だけに頼っていては、兵力が摩耗し疲弊する一方だと判断した木ノ葉上層部は、ついに攻勢へと舵を切ったのだ。
ソウマの『飛雷神』と『口寄せ』を掛け合わせた超高効率の物流網と、綱手の卓越した陣形指揮。これらを駆使した木ノ葉軍は、前線を徐々に押し込み、ついに風の国の砂漠地帯内部にまで踏み込むことに成功する。
そして――砂漠の真ん中に、巨大な「物資集積拠点」を作り上げたのである。
「……ソウマ、今日の巡回はどうだった?」
集積拠点の天幕の中。地図を広げていた綱手が、飛雷神で転移して戻ってきたソウマに視線を向けた。
ソウマは肩に担いだ手裏剣袋を解きながら、どこか腑に落ちないといった表情で首を捻った。
「変なんですよ、綱手様。ここ最近……いや、この一ヶ月近く、砂の動きが妙に大人しすぎる」
「大人しい……?」
「ええ。俺たちが砂漠の真ん中にこんなデカい補給拠点を建てたんだ。本来なら、風影が真っ先に潰しに来るはずでしょう? なのに、風影の奴が一向に姿を見せない。砂の部隊も防衛陣を敷いているだけなんです」
ソウマの言葉に、傍らに控えていた日向トキマとうちはフガクも頷いた。
「僕の白眼で見ても、砂の防衛線の奥に高密度のチャクラ反応――つまり風影の気配が感じられません。ただ厳重に警戒しているだけで、あまりに防衛的です」
「ふむ……」
綱手は腕を組み、眉をひそめた。
「あの三代目風影が、自分たちの領土に拠点を作られて黙っているわけがない。重病か怪我で戦えないか、それとも何かの罠か……?」
何度も戦っているソウマは違和感をぬぐえない
「でも二ヶ月ぐらい前に最後に戦った時も相変わらずの強さでしたよ?決着もつきませんでしたし、長期間動けないほどの負傷も与えていないはずです、二ヶ月で戦えなくなるほどの重病だったなら俺でも分かりますし」
「わからんな…とにかく見ていても埒が明かない、少し仕掛けて様子を見よう」
木ノ葉陣営が首を傾げるのも無理はなかった。
なぜなら、砂隠れの内部で起きている「真実」は、木ノ葉の想像を遥かに絶する絶望的なものだったからだ。
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同時期――砂隠れ本陣の最奥。重苦しい沈黙が、極秘の会議室を包み込んでいた。
部屋に集まっているのは、チヨ婆、その弟である軍師エビゾウ、そして次代の砂隠れを担うと目される磁遁で砂金を操る羅砂をはじめとする、ごく一部の幹部のみであった。
「……風影様の行方は、未だ分からんのか」
チヨ婆の絞り出すような低い声が、部屋に響く。
「……は。暗部を総動員して探らせておりますが……足取り一つ、チャクラの痕跡一つ残されておりません。……突如として消えてしまわれました」
報告する暗部の声は震えていた。
砂隠れ史上最強と謳われた三代目風影が、ある日突然、何の前触れもなく行方不明になったのだ。
当初、砂の幹部たちは木ノ葉の暗殺部隊――それこそ『飛雷神の術』を使う志村ソウマの極秘襲撃を疑った。
だが、木ノ葉側は依然として慎重に前線基地を中心に地道な進軍を続けており、もし風影を討ち取ったのであれば、一気に進軍するなり、それをダシにして降伏勧告を突きつけてくる等するはずであった。
木ノ葉すら知らない、風影の完全なる失踪。
「姉ちゃんよ…」
静かに口を開いたのは、参謀のエビゾウであった。
「もう……限界だ。木ノ葉が進軍を開始してから遅れさせてはいるが着実に里に迫っておる、さらに風影様という絶対の柱を失い、木ノ葉には『火猿仙人』と『蛞蝓姫』がいる。このまま戦いを続ければ、我が砂隠れは全滅する」
「何を言うかエビゾウ! 風影様がいなくとも、ワシらで木ノ葉を食い止めねば里が失われるのだぞ!」
チヨが激昂して机を叩く。だが、エビゾウは静かに、そして悲痛な眼差しで姉を見つめ返した。
「里を守るために、これ以上若者たちの命を無駄に散らすというのか? すでに我が里の財政も、忍の数も底をついている! これ以上は……忍以外も死ぬことになるぞ! 和平……いや、降伏の話を木ノ葉に持ちかけるべきだ!」
「エビゾウ……っ!」
「チヨ婆」
静観していた羅砂が、一歩前に進み出た。
「エビゾウ様の仰る通りです。……私が風影の責を継ぎます。里の誇りを捨ててでも、民と子供たちの未来を残さねばなりません、それに志村ソウマとは私も何度も戦っております、あいつならこちらが降伏するといえば話は聞いてくれるはず……最悪は私か…ご姉弟の首が必要かもしれません、どうか、ご決断を」
「……っ……う、ぬぅ……っ……!」
チヨは深く握りしめた拳を震わせ、悔し涙を床に零しながら、ゆっくりと頭を下げた。
「……分かった。……降伏の使者を、木ノ葉の集積拠点へ送ろう……」
砂隠れはついに、戦旗を下ろす決意を固めたのだった。
だが――歴史の裏側で蠢く暗雲は、この不完全な和平すらも許しはしなかった。
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「マダラ~砂が木ノ葉に降伏するみたいだよ?赤砂のサソリが三代目風影を暗殺しちゃって戦力なくなっちゃった!抜けた里とは言え容赦ないね~!」
「フン…砂など所詮この程度か、ほとんど志村ソウマ一人にやられているではないか、柱間の力をろくに受け継いでいない弱い千手にも好き放題やられているし。
だがこの際だ、一尾を先に取ってしまおう、一尾から魔像に入れるのだから早い分には問題ない、魔像の力も増すしな、一尾の人柱力を幽閉している場所は把握しているな?」
「もちろん行けるよ、適当な奴を操って人柱力から一尾を引っ張り出してくるよ」
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砂隠れの里の遥か地下深く。
暗く冷たい石造りの牢獄に、一人の老僧が静かに座禅を組んでいた。
一尾の人柱力――分福である。
その手に嵌められた重い鉄鎖が、不意にカタリと音を立てた。
「……誰じゃな?」
分福が老いた目を開けた瞬間、影の中から数人の砂の衛兵たちがヌッと姿を現した。
だが、その目には光がなく、まるで傀儡のように焦座が定まっていない。
(操られている……!?)
分福が悟るのと同時に、衛兵たちの背後から、不気味な「黒い存在」がぬらりと滑り出してきた。
『ククク……よく保ったものだ老いぼれ。だが、お前の役割もここまでだ』
「お主は……まさか、守鶴を……!」
衛兵たちが一斉に分福へ飛びかかり、その身体を力任せに押さえつける。
黒い存在――ゼツの手が分福の胸に突き立てられ、身体に施されていた複雑な封印式が、高熱を発しながら強引にこじ開けられていった!
「ぐああああ!?(守鶴を奪う気か!守鶴は逃がさなければ!)」
分福の決死の抵抗で守鶴は黒いナニカに奪われずに守鶴は分福の封印から放たれた
分福の叫び声が牢獄に響き渡る。
命の灯火が消えゆく瞬間、分福の体内から膨大な量の砂と漆黒と黄金のチャクラが溢れ出し、牢獄の岩壁を粉々に吹き飛ばした
『どこいったさっきの黒い奴!自由にしてくれお礼をしてやろうと思ったのによォ!』
解き放たれた守鶴は周囲を見渡すが、先ほどの黒いナニカはもう見えなかった
守鶴は足元に転がる老人の死体を見つめる
『(分福…まさかオレを逃がしてくれるとはな、結局お前もオレもこうやって誰かに利用されるだけだったが…)』
守鶴は静かに分福を砂で埋めた、せめて死体は弄ばれないように地中深くへ沈める
『シャハハハハハアァ!全部ぶっ壊してやる!』
高笑いをあげる巨大な砂の狸――一尾・守鶴の咆哮が、風の国の天空を激震させた。
遠く離れた暗闇の洞窟で、外道魔像に繋がれた老いたマダラが満足そうに細い目を細めた。
「……くくく、失敗か、まあ良い、一尾よ木ノ葉と砂にさらなる憎しみの火種を撒いておけ。世界はまだ、平和など知る必要はない……」
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集積拠点の外縁から、警戒の警鐘が鳴り響いた。
「敵襲……いや、白い旗を入れています! 砂の使者です!!」
集積拠点の門前に現れたのは、白い旗を掲げた羅砂、エビゾウの二人であった。
傷つき、疲弊しきった様子の彼らは、木ノ葉の武器を構える忍たちに囲まれながらも、ゆっくりと手を挙げていた。
「争うつもりはない!」
羅砂が必死の声を張り上げる。
「我々は……砂隠れは、木ノ葉に無条件降伏の申し入れに来た! これ以上の戦闘をするつもりはない!」
その言葉に、木ノ葉の忍たちからどよめきが起こる。
綱手とソウマが前へ進み出た。
「降伏だと……? 三代目風影はどうした」
綱手が鋭い視線を向けると、羅砂が唇を噛み締めながら言った。
「……三代目風影様は失踪なされた……どこを探しても見つからん。当然我らは木ノ葉の仕業を疑ったがお前たちが暗殺した割には軍を動かさんからおかしい、お前たちの仕業ではないのだろう?」
木ノ葉側に激震が走る、誰もが驚愕の表情をしソウマですら驚きを隠せない表情をした、その反応で羅砂とエビゾウはやはり木ノ葉の仕業ではないと確信した
ソウマはさんざん三代目風影とは戦っておりその強さは嫌というほど分かっている、そんな男が行方不明など信じられなかった
「三代目風影が行方不明!?馬鹿な、あれだけの奴が跡形もなく連れ去られたと?信じられねえ…」
「そうだ、だからこそ我らも混乱した、戦況的にも、戦力的にもこれ以上の戦闘は無意味と判断し、風影を継ぐ者として木ノ葉に降伏を申し入れる」
一年以上の戦闘で砂の有力者とはほとんど顔なじみとなっているソウマは
「『砂金の羅砂』、あんたが四代目風影か…チヨ婆はどうした、反対しそうだが」
「姉ちゃんはそりゃもう反対したがの、若者の命、忍以外の一般人もこれ以上は巻き込まれると言って下がってもらった、ワシも敗戦の責を取ってもう隠居じゃ」
「いいのかエビゾウ爺さん、あんたとチヨ婆が表から引いたら砂は……、とにかく分かった一旦この戦線の指揮官として砂隠れの里の降伏申し入れを受け戦闘行為は停止する、二国間での条約は後程木ノ葉の上役と相談して決める、それでいいかな四代目風影殿」
「ああ、感謝する志村ソウマ殿、では──」
砂が木ノ葉に降伏した、これで砂との戦争は終わりだと全体の雰囲気が落ち着いた、その瞬間だった
『シャハハハハハアァ!全部ぶっ壊してやる!』
ゾワッ!
その場にいた全員が恐ろしく冷たいチャクラを感じ、思わずそのチャクラの現れた方向──砂隠れの里方面を向く
感知タイプの一人が思わず声を漏らす
「な……なんだ、このチャクラは!?」
ソウマは突如として全身の毛髪が逆立つような凄まじい悪寒を感じ、仙人モードの感知を全開にした。
砂漠の真ん中、遥か地平線の向こうから、天を突くほどの禍々しいチャクラの濁流が吹き荒れている。
「トキマ! 何が起きた!?」
ソウマが最も信頼する親友に状況を伺う
「巨大なチャクラの塊と砂で出来た化け物が突然現れた!こいつはまさか…!」
トキマが白眼を全開にして震え声で叫んだ。
「……なっ!? まさか守鶴……!?」
エビゾウが絶句した。
「バカな……分福の封印が破られたというのか!? 一体だれが……!?」
羅砂も驚きを隠せない
『ギャハハハハハハッ!! ぶっ壊してやる! 全て砂にしてやるぞおおお!!』
狂乱する守鶴の声が響き、爆発音が聞こえた
羅砂が大慌てで砂隠れの里に引き返そうとする
「すまない!志村殿!話は一旦待っていただきたい!アレを抑えなければ砂隠れの里がなくなる!」
「待て、協力する、先代風影亡き今アンタの砂金だけであいつの砂を抑えるのは無理だ」
「ありがたいが…しかしこれは里の内部の話…!他里の助けを得るわけには…」
「いやいやそんなことは無い、砂隠れが苦し紛れに最後の手段として暴走させた一尾を放ったからそれを撃退するだけだぞ?砂隠れも制御できず自分の里が攻撃を受けてしまったから結果的に同じ敵を攻撃するだけだ、そうだよなエビゾウ爺さん?それに俺は仙人モードで感知してるがチヨ婆がもう戦い始めてるぞ」
「ははは!そうだな!守鶴は最後の手段だったがやはり制御できんかったようだ、風影様!急いで姉ちゃんを援護しに行きますぞ!」
「すまない…!志村殿!」
羅砂とエビゾウは急いで砂隠れに引き返し、それを追おうとするソウマだったが綱手に肩をギリギリと捕まれる
「痛い!イタイです!すいません!でも見捨てるのは無理ですよ!あのままじゃマジで砂隠れの里全滅しますよ!いくらなんでもそれは惨いですって!五大国間のバランスも崩れて滅茶苦茶になります!」
「ハァ…こうなった以上は仕方ないがな…私だって他国とは言え尾獣に一国が潰されるのを目の前で見たくはない、だがついていくのは私とフガクとトキマだけだ、ハッキリ言って他の者は尾獣相手には足手まといだ。
それにどこの国にも馬鹿は居るものだこの隙に木ノ葉に入り込もうとしたり復讐しようとしたりする者が必ずいる、軍勢はここに残していく、良いな」
「ありがとうございます綱手様、聞いてたなフガク!トキマ!俺達は尾獣をどうにかする!
他の部隊はここで連絡を待て!」
「まさか尾獣とやりあうとは思いませんでしたよソウマさん…」
「前の大戦では遠目に見ただけで戦ってないからね、やってみようか」
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チヨ婆は白秘技を操り何とか守鶴の砂を捌いて砂隠れの民を避難させていた
「とにかく逃げるのじゃ!くっ範囲が広すぎる、とても守り切れん…!」
そこに羅砂とエビゾウが帰ってくる
「チヨ婆!」「姉ちゃん!」
羅砂の砂金が守鶴の砂を巻き込んで押さえつけ、エビゾウは風遁で瓦礫を切り裂いて住民を救助する
「お前達!木ノ葉との話し合いはどうなった!」
「木ノ葉は受け入れてくれたが今はそれどころではないでしょう!チヨ婆!」
「そうじゃ、それに心強い"援軍"も来ておる」
「援軍?もう砂に戦力は──」
「『仙猿火穿空』!」
ドガンッ!
ソウマが如意棒を携えて突撃、守鶴の動きを一瞬止めた
『ん?なんだァ?チクッとしたぞ』
「直撃したのにこれか……尾獣ってのはやばいな」
「志村ソウマ…!それに蛞蝓姫まで!?なぜおぬしらが砂を助ける!?」
「俺達は砂が最後の抵抗に暴走させた尾獣を迎撃してるだけだから気にしなくていいぜチヨ婆さん、傀儡はアレの相手には向かないだろ、住民の避難を優先してくれ」
「カツユは優しいからねえ、その辺に怪我人が転がってたら勝手に直しちまうかもしれないね」
「おぬしら…」
「よし! 綱手様、フガク、トキマ! 『一尾・守鶴』討伐戦を開始する!!」
「「「おう!!」」」
砂隠れとの泥沼の戦争は、予期せぬ形で終焉を迎え――
木ノ葉と砂の共同戦線による、暴走する尾獣との死闘という新たな局面へと突入するのであった
原作において一応木ノ葉と砂って元から同盟国なんだよね、だから中忍試験も一緒にやってるし
第三次忍界大戦の結果、もしくはその後貿易か何かで同盟国になったって考えるのが自然ですよね
ちなみにテマリはまだ生まれてないよ
分福は気合で頑張りました、オビトも最後気合でずっとやってるしそんな感じです
磁遁ってずっと風遁+雷遁だと思ってたけど羅砂の性質変化が水、風、土、陰だから多分風遁+土遁なんですね
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誤字修正も感謝