雲隠れとの同盟条約締結のため、木ノ葉隠れの里には雲隠れの上忍の頭領率いる使節団が訪れていた。
長かった第三次忍界大戦の真の終結を象徴する行事として、街には華やかな彩りが添えられ、表向きは祝賀ムード一色に包まれていた。だが、火影邸の地下に位置する『根』の作戦本部では、重苦しい緊迫感が漂っていた。
「ソウマさん、例の区画感知結界の精度はどうですか?」
事務机の上で山積みになった書類に素早く判を押しつつ、四代目火影・波風ミナトが尋ねる。
対面に座る『根』の長官・志村ソウマは、配備された結界班からの定期報告書をめくりながら答えた。
「バッチリだ。里を細かくいくつかのブロックに区切ってな、登録されていない外部チャクラの侵入や、深夜の不自然な移動は『根』の監視班がリアルタイムで補足できるようにしてある、雲隠れが何するか分からんからな。俺もすぐに動けるようにしてる」
「そうですね……同盟調印とはいえ里の中に他里の忍が入っているわけですから油断するわけにはいきません。カカシ率いる直属の暗部と『根』の合同班で、使節団の滞在先周辺に二重に警戒網を敷かせてあります」
「ああ、万が一の時は俺が飛雷神で直接跳ぶ。あの悪夢のような九尾事件の夜を経験したんだ、里の中で二度も好き勝手させはしないさ」
その夜、日向宗家の屋敷では、当主・日向ヒアシの娘であるヒナタの三歳の誕生日を祝うささやかな宴が開かれていた。
長引く戦争で摩耗しきっていた日向一族にとっても、こうした祝い事は久々の安らぎだった。宴には分家のヒザシと妻のカエデ、そして息子のネジ、さらにソウマの同期であるトキマも顔を出しており、宗家と分家の隔たりを越えた穏やかな時間が流れていた。
「ヒナタ様、おめでとうございます。ネジもほら、お祝いを言いなさい」
「ヒナタ様、お誕生日おめでとうございます」
三歳になったばかりのヒナタは照れくさそうに笑い、幼いネジもどこか誇らしげに叔父のヒアシを見上げていた。カエデが夫であるヒザシの腕にそっと手を添え、微笑みかける。
「いいわね、こういう平和な時間って。大戦の渦中にいた頃は、こんな日が来るなんて想像もできなかったわ」
「ああ……そうだな、カエデ。我々やソウマ義兄上やミナトが命がけで勝ち取った平和だ。大切に守らねばならん」
トキマも杯を傾けながら、軽く肩をすくめた。
「まったくだ。僕たちの世代で泥水をすすり尽くしたんだ、この子たちにはそんな思いはさせたくないからね」
宴が終わり、夜が更けて――
静まり返った日向の屋敷を覆う暗闇の中で、一筋の不審な影が音もなく蠢いた。
雲隠れの使節団を率いていた頭領である。
彼は高度な隠蔽術で気配を完全に遮断し、熟練した身のこなしで幼いヒナタの寝室へと忍び込んだ。ベッドで安らかな寝息を立てるヒナタを見下ろすと、特製の術式符を口元に貼りつけ、素早くその小さな体を抱きかかえて脱出を図った。
(ふん……成功だ。木ノ葉の連中め、平和ですっかり鈍っていやがる。日向の『白眼』、雲隠れが確かにいただいた!)
頭領がニヤリと惨酷な笑みを浮かべ、屋敷の屋根へと跳躍したその一瞬――。
キィン! キィン! キィン!
夜の静寂を切り裂くように、甲高いアラーム音が日向の広大な敷地内全体に響き渡った。
ソウマが里の主要区画に張り巡らせていた『区画感知結界』が、事前に登録されていない異質なチャクラの不自然な高速移動を即座に感知し、全自動で警告の結界音を打ち鳴らしたのだ。
「何奴!?」
即座に『白眼』を展開した日向ヒアシ、ヒザシ、トキマが、異変を察知して廊下へ飛び出した。
「しまっ……ちッ、何の術だ!?」
頭領は舌打ちを漏らし、ヒナタを抱えたまま着地速度を殺して庭園へと降り立った。だが、その着地点にはすでに八卦の構えをとったヒザシとトキマが、殺気を孕んだ白眼を光らせて立ちふさがっていた
「我が娘になんの真似だ!」
「ヒナタ様!」
「問答無用! 『八卦空掌』!」
ヒアシとヒザシの容赦ない連撃が襲いかかる。ヒナタを抱えているため回避動作が制限された頭領は、咄嗟にヒナタを投げ捨て、懐から毒仕込みの大型クナイを抜き放った
「邪魔をするな、木ノ葉どもが!」
頭領の刃が、狂暴なチャクラを帯びてヒザシの首元へ閃く
――次の瞬間。
ズバッ!
「グガアアアッ!?」
絶叫が夜空に木霊した。
一瞬にして志村ソウマとカカシ率いる暗部部隊が現場へ出現していた。ソウマの『飛雷神の術』である
ソウマは空中に放り出されたヒナタを左腕で優しく受け止めると同時に、右手に握った如意棒を一閃させていた。風遁の鋭利なチャクラを纏った如意棒の刃が、頭領のクナイを持つ右腕を肘上から鮮やかに切断し、さらに間髪入れずみぞおちへ強烈な打撃を叩き込んだ。
ガッ!
「ガハッ……! こ、この……『火猿仙人』……!」
頭領は激痛に顔を歪ませ、血を吐きながら地面をのたうち回った。暗部たちが即座に群がり、彼の四肢を組み伏せる。
「自決させるな! 毒薬を吐き出させろ!」
カカシの冷徹な命令のもと、暗部が頭領の顎を力ずくで外して口腔内の仕込み毒をかき出そうとした。
しかし――使節団頭領は凄惨な笑みを浮かべ、残された左手で衣服の裏に隠された特殊な符を摩擦発火させた。
「……雲隠れに……栄光……あれ……っ!」
「しまっ――! 離れろ!」
バツンッ!
鈍い破裂音が響き、頭領の体内から直に仕込まれていた強烈な自爆用チャクラが弾けた。内臓と心臓を肉体ごと不可逆的に破壊する、工作員専用の極秘自決術式。頭領は目と鼻から大量の滑血を噴き出し、その場でビクビクと痙攣したのち、完全に物言わぬ肉塊へと変わった。
ソウマは即座にヒナタを背後にかばい、風遁の壁で血液の飛び散りを防いだ。
「自爆の術式か、流石に準備は入念だったようだな…」
ソウマは不快そうに舌打ちを鳴らし、腕の中で恐怖に身を震わせるヒナタの頭を優しく撫でた。
「大丈夫だ、ヒナタちゃん。もう怖くないぞ」
遅れて騒ぎを聞きつけたカエデとヒナタの母が廊下から飛び出してきた。
ヒナタの母は走ってきて、ソウマから受け取ったヒナタを力いっぱい抱きしめ、涙を流した。
「よかった……ああ、本当によかった……!」
ソウマはカカシに視線を向け、静かな声で指示を出す。
「カカシ、現場の検分を完璧にやれ。頭領の指紋、持ち物の封印札、現場のチャクラ残留物、そして何よりこの男の体内に仕組まれていた自爆術式の解析だ。……明日の朝一番で、雲隠れの使節団を火影邸へ呼び出す」
「ハッ!」
翌朝。火影邸の応接室。
外の陽光が差し込む室内には、凍りつくような沈黙と重苦しい圧迫感が満ちていた。
四代目火影・波風ミナトと『根』の長官・志村ソウマの対面には、雲隠れの副使をはじめとする使節団幹部たちが座っていた。彼らは昨夜の頭領の死亡報告を受け、最初こそ狼狽していたものの、じわじわと強硬な表情へと変え、机を激しく叩いた。
「四代目火影! これはどういうことだ! 我が使節団の頭領が貴殿らの屋敷内で殺害されたなど、断じて納得がいかん!」
副使は盗人猛々しく怒声を上げ、鼻息を荒くした。
「理由はどうあれ、平和同盟の条約締結のために訪れた使節団の長を死に至らしめたのは、明白な条約違反だ! 責任者である日向の当主の身柄、あるいはそれに準ずる白眼の秘密を秘めた死体を差し出さねば、直ちにこの条約は破棄! 木ノ葉との再戦も辞さぬぞ!」
しかし――ミナトとソウマの表情には、焦りも動揺も一切なかった。ただ冷ややかな、蔑むような視線が副使たちに注がれているだけだった。
「再戦……ですか」
ミナトが静かに呟き、手元にあった分厚い調査ファイルをとんとんと机の上で整えた。
「貴殿らの頭領が昨夜命を落としたのは事実です。ですが、それは我が里の暗部が拘束した直後、口割りを恐れて自ら体内の暗殺用自爆術式を発動させた結果です」
「な、何を言いがかりを! 証拠もないのに我が頭領に濡れ衣を着せる気か!」
「証拠、ですか。……ここに揃っていますよ」
ソウマがファイルから一連の現場写真を抜き出し、バン! と豪快に机の上に放り投げた。
「写真1。頭領が日向ヒナタちゃんを抱えて屋敷を脱出しようとした瞬間の、区画結界の自動チャクラ記録映像を術式紙に転写したもの」
「写真2。頭領が持ち込んでいた、幼子の口を封じる雲隠れ特製の麻酔封印札」
「写真3。頭領の遺体解剖結果。体内から検出された自爆用術式の残骸と、雲隠れ暗部固有の毒物」
「さらに写真4。現場に残された頭領の右腕切断面から採取されたチャクラと、現場にいた日向ヒナタちゃんの衣類に付着していた頭領の指紋だ」
「な……ッ!?そんなものはでっち上げだ!」
副使たちの顔から、一瞬で血の気が引いていった。
あまりにも完璧すぎる、付け入る隙のない物証の山。これらは単なる防犯記録ではなく、事件の発生から頭領の自爆に至るまでの時系列がコンマ数秒単位で証明されていた。
ミナトが青ざめる副使たちを冷たい眼差しで見つめ、言葉を重ねる。
「まあそう言ってもらっても構いませんがね、平和条約調印という歴史的行事の裏で、他国の血継限界を持つ三歳の幼子を拐おうとした明らかな侵略・不法行為。……これを五大国の忍里、そして各大名家に公開します、分かりますね? 雲隠れ及び雷の国の国際的信用は完全に地に落ちる。……それとも、これでもまだ『再戦』とおっしゃいますか?」
ソウマが肘を突き、両手を組んで身を乗り出した。
ドズン……!
ソウマの全身から、仙術を帯びた圧倒的な威圧感が放たれた。空気が物理的な質量を持ったかのように重くなり、応接室のガラス窓がカタカタと震え出す。
「まあアンタじゃ判断できまい、雲隠れに帰って雷影に作戦は失敗したから戦争するかそれなりの賠償金を払うか決めてもらってこい、それぐらいは待ってやる」
その瞬間ソウマの姿がフッと消えて副使の後ろに現れた
「今アンタに飛雷神のマーキング付けたから逃げても無駄だぞ、死んでも取れないからな?答えを持ってきたときに消してやるよ、まあそん時はアンタ首だけかもしれないけど?」
「くっ……う、うう……!」
副使は呼吸すら困難になるほどのプレッシャーに押し潰され、冷や汗を滝のように流した。
勝てるわけがないのだ。黄色い閃光と火猿仙人――大戦で各国を絶望の淵に叩き落とした二大怪物が目の前に並び立ち、しかも完全にこちら側の悪事の尻尾を掴んでいる。雲隠れのハッタリは、最初から破綻していた。
「同盟条約も当然白紙、白紙どころか紙も無くなった」
ミナトが冷徹に通告した。
「……ひ、ひいいっ!」
副使たちは青ざめた顔を激しく上下させ、絞り出すような声を出して退出した
残された木ノ葉側、ソウマがミナトに話しかける
「雷影はどうするかな?まあもし今回の奴らの計画を雷影が知らなくて過激派な奴らの計画だったらブチギレるか……それともそういう"シナリオ"にするってとこかな?」
「そうでしょうね、どっちにしろ雲隠れも戦争したくないでしょう、国力的には唯一木ノ葉と争える規模ですがそれでも木ノ葉とは1対1で戦うのは無理です。
岩と同盟を組めば分かりませんが今回の事は既にに各国に通達しましたから雲隠れと同盟組むような国は無いでしょう」
「だろうな、いくらあの土影の爺さんでも今やらかした雲隠れと組むのはありえんな、雲隠れは金はあるし、しばらくしたらアイツの首と金が送られてきて終わりかな。
むしろブチギレてるヒアシ達日向をなだめるのが大変だろうよ」
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数日後。日向本家の屋敷。
初夏の心地よい風が吹き抜ける庭園で、日向ヒアシと日向ヒザシの二人は、静かに佇んでいた。
庭の向こうでは、四歳になったネジが、トキマや母のカエデに見守られながら、元気に基本の足さばきを練習している。ヒナタもすっかり元気を取り戻し、母に甘えながらネジの練習をキャッキャと喜んで眺めていた。
「ヒザシ。私は決めたぞ。これから時間をかけて、日向の仕組みを根本から変えていく。宗家と分家の隔たりを失くし、額の呪印のような悲しい制度も、私たちの代で終わらせる」
「……兄上……!」
ヒザシの白眼から、ぽろぽろと大きな涙がこぼれ落ちた。
ずっと胸の奥底で渦巻いていた「分家の宿命」という暗い諦念。それが、兄の温かい言葉と、守られた家族の笑顔によって、綺麗に溶けて消えていくのを感じていた。
「父上! ヒアシ様! 見てください、うまくできました!」
遠くでネジが弾んだ声を上げ、小さな手で綺麗な八卦の構えを披露してみせた。
「ああ、見ているぞネジ! 見事だ!」
ヒザシは涙を拭い、息子の元へと力強く歩み寄った。
原作はなんで明らかに条約締結を隠れ蓑に木ノ葉に侵入して日向の娘をさらった奴を殺したのに逆ギレされて黙って身代わりを差出してんですかね?原作ではミナトも死んで九尾事件で里がガタガタだってので戦力なかったとか?それにしても舐められすぎですよね
原作ヒルゼンまじで無能すぎる、しかも結局雲隠れとは同盟してないし
四代目雷影は終盤のメインキャラになってしまったビーの身内なのでなんか良い奴みたいなポジションに収まってますが普通にカスですよ
ヒナタの母親はなんで出てこないんだろうな、BORUTOにも出てこないという事は死んでるんだろうか
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