ハーマイオニーと結婚だ!!……え?誰この金髪デコロリツンデレヒロイン?? 作:さくらいJAN
ポッターのことは入学前から気に留めていた。
「ハリーポッターとは友好な関係を築いておけ。
将来お前の為になるはずだ」
父上がそうおっしゃったからだ。
ハリーポッター。
赤子の時に例のあの人を返り討ちにした英雄。
両親が例のあの人に殺されたから、哀れにもマグルの家で育っていると父上は言っていた。
どんな奴なんだろう。
英雄らしく父上のように堂々としているのか。
マグルの家で育ったからか魔法使いとしての矜持がないのか。
歴戦の闇払いのような狂人か。
色々と想像しながら探していたら、
列車のコンポーメントでそいつを発見した。
そこにいたのは以前見た不健康そうな小僧だった。
ダイアゴン横丁で服を仕立てていた時だ。
両親ともに魔法使いの家系だと言っていたが……、まあ間違ってはないか。
誰かと一緒に座っていたが、私はそれを無視した。
今年の新入生にマルフォイ家より家柄が良い者はいない。
ならば『英雄』は私の友人にこそ相応しい。
そう思い、手を差し伸べたのに……断られた。
ましてやあの血を裏切る者、ウィーズリーを友とした。
しかもそいつは生意気にも私に言葉を奪う魔法を使った。
父上も間違えることはあるようだ。
ハリーポッターは純血の味方じゃない。
ましてや馬鹿の集まりであるグリフィンドールになった。
ならば奴は敵だ。
私はハリーポッターをそう定めた。
そしてハリーポッターは授業でも目立つことはなかった。
座学でも実技でも。
英雄は普通の人間だった。
例のあの人を倒したのも偶然だったのだ。
当然全ての授業で私のほうが点を稼いでいた(というか奴は減点しかされてない)
弟……サーペントに魔法を教えていたおかげもある。
これが魔法使いの家に生まれるということだ。
やはりマグル生まれがホグワーツに入学するのは間違っていると実感する。
まあグリフィンドールの穢れた血が鬱陶しいが。
ああいうガリ勉はどうせ実技で落ちる。
私が抜かれることはないだろう。
そう思っていた。
だが想定外のことが起きた。
飛行訓練の授業でポッターが偶然箒を乗りこなしたからという理由でシーカーに抜擢されたのだ。
くそったれマクゴナガルのエコ贔屓だ。
し、しかもポッターはその時私の胸を……!
サーペントですらそこに触れることはないのに!
あまりの衝撃に声を上げることもできなかった。
この私が!
だがマルフォイ家の長女である私が、
そこらの小娘のように手が胸に触れただのと騒ぎまわるのはプライドが許さない。
父上に言えば問題にしてくださるかもしれないが、
それではこの屈辱を自分で拭ったとはいえないだろう。
サーペントにもよく言っている。
勝つためには何でも使うべきだが、勝負から逃げるべきではない。
臆病者にはなるな。
勝者であれ、と。
よって決闘を挑む。
魔法使いなら気に食わないやつは決闘で打ちのめすべきだ。
早速ポッターに決闘を申し込んだ。
そしたらポッターはウィーズリーとグレンジャーを連れてきた。
血を裏切る者と穢れた血だ。
お前に相応しい仲間だよポッター。
決闘は一瞬で決まった。
私の武装解除呪文がポッターの杖を吹き飛ばしたからだ。
だが奴は姑息にも杖を持たずに襲い掛かってきたのだ(女の私に!)
そこからはクラップとゴイルも参加しての乱戦。
ウィーズリーが何やら言っていたが、関係ない。
というか消耗しすぎて覚えてない。
だがまあ、私の勝ちだ。
もはや序列は決まった。
勉強でも決闘でも私が上。
選ばれた男の子を下したのだ。
後は箒の屈辱を返すのみ。
スネイプ先生に頼めばすぐにでも選手に選ばれるだろう。
設備投資をちらつかせれば選手も反対はしまい。
だがそれは止めておく。
今はまだ早い。
一通り訓練してからだ。
確実に勝ちを拾うために。
そのように考え、飛行場の一角を借りて飛行訓練をしていると、
ポッターがグリフィンドールの選手と一緒に練習を始めた。
……悔しいけれど、ポッターの箒の腕は本物だ。
練習は当然として作戦も考えるべきか。
色々と考えながら練習をしていたら遅れてしまった。
ハロウィンのことを忘れてた。
急いで寮に戻らないと。
私がいないとクラップとゴイルは食堂へ行けないはずだ。
幼少期からの付き合いだからよく知っている。
あの二人が数か月で道を覚えられるとは思えない。
急ぎ足で校舎を駆け、階段を降りようとすると、
目の前にポッターがいた。
あいつも練習で遅れたのか。
いやそもそもなんで地下へ向かう?
そのまま食堂へ行けばいいのに。
そう思った私はポッターの奥の景色を覗き込んだ。
「きゃっ……!?」
思わず声がでた。
急いで押し殺したが、遅かった。
見つかってしまった。
トロールに。
トロールは頭が悪いことで有名な魔法生物だが、
戦いを専門とする魔法使い以外には脅威だ。
ましてや私は一年生。
勝てるはずがない。
震える足を抑えて逃げようとするも、
トロールは棍棒を手にこちらへ走ってくる。
速い!
いや、大きいのだ。
一歩一歩が。
逃げ切れるか?私の体躯で。
絶望しかけたその時、
ポッターが私を抱きかかえて箒で飛び上がった。
「……なにをっ!」
「ぼくは箒で手がふさがってる!
君があいつを倒してくれ!マルフォイ!」
「なんで私を助ける!?
敵同士のはずでしょう!?」
「確かに君は嫌いだ!
なにかと嫌味なことを言うし、パパとママを侮辱したから!
でも、だからって死ぬかもしれないのを放置するわけにはいかないだろ!?」
「……っ!」
私は言葉を失った。
敵である私を助けようとする精神に。
箒に乗ってるんだから逃げればいいのに、それでも難敵に立ち向かおうとする無謀さに。
なるほどこれがグリフィンドール。
これが例のあの人を倒した英雄か。
「ウィンガーディアムレビオーサ!」
気づけば、私は浮遊呪文でトロールの棍棒を浮かび上がらせ、脳天へとぶつけていた。
トロールは失神したようだ。
「やった!」
ポッターが喜んでいる。
無邪気なものだ。
だが、私も考えを改めた。
昔父上が言っていたことを思い出した。
必要とあらば、マグルとだって友好関係を築く。
優先するべきはマルフォイ家ひいては家族なのだと。
そうだ。
ポッターは魔法界の英雄であり、
いがみ合っている私でも何かがあったら身を挺して助ける男だ。
父上の言うとおり、友好関係を築くべきだ。
だから、ポッターと仲良くなりたいという私の感情は合理的であり、間違っていない。
さっきから心臓が高鳴っているのも。
耳が熱いのも。
思わずポッターにしがみついてしまっているのも。
マルフォイ家として正しい行動なのだ。
それに、わざわざトロールに立ち向かう無謀さは危険だ。
私が見張っていてないとぽっくり死にかねない。
それはダメだ。
スリザリンは友を見捨てないのだから。
「いったん降りましょうポッター。
天井に頭をぶつけそうよ」
「おっと、そうだね」
私とポッターは箒から降りた。
そして、私から握手を求めた。
「ありがとうポッター。
あなたのおかげで助かったわ」
「ああ、うん」
「あなたのことを勘違いしていたわ。
とても勇敢で優しい性格なのね。
あなたの両親もきっとそんな方々だったんでしょうね。
今までの言動は謝罪するわ」
「……え」
驚いた顔をするポッター。
ポッターは先ほど両親を侮辱されたことを怒っていた。
ならば真っ先にそこを謝罪をするべきだと判断した。
「だから改めて列車でのお誘いをやり直させてちょうだい。
家柄とか選ばれた男の子だとか、そういうのは置いておいて、
私と、友達になってくれないかしら?」
「……!
もちろんだよ!」
こうして私とポッターは友達になった。
その後、先生たちが現れて倒れたトロールの事情を説明した。
無謀だと怒られたが、私が避けられない状況だったと力説することで納得はしてくれた。
結果、2人とも10点を貰って解放された。
それから、私とポッターの友人関係はなるべく秘匿すると伝えた。
グリフィンドールとスリザリンは犬猿の仲だ。
寮の仲間から裏切り者扱いされる危険性がある。
秘密の関係というやつだ。
ふふ。
そしてそれからはポッターと手紙のやり取りや、
父上に教えてもらった隠し部屋で決闘の練習をして過ごした。
クラップとゴイルには悪いが、宿題は見てやれない。
どうしても無理なら助けるが、まずは自分でやってみることも大事だからな。
そしてとうとうクィディッチでスリザリン対グリフィンドールの試合が始まった。
当然スリザリンを応援する。
だが、ポッターがスニッチをつかむ所も見たい。
そんな気持ちで楽しく試合を観戦していると、
途中から明らかにポッターの箒の様子がおかしいことに気づいた。
恐らく、妨害の呪いだ。
私は辺りを観察した。
すると怪しい二人を発見した。
スネイプ先生とクィレル先生が呪文を唱えている。
スネイプ先生は父上が信用できると言っていた教師。
そんな男が公衆の面前で英雄相手に妨害魔法を使うだろうか。
ダンブルドアにバレるかもしれないのに。
例えポッターを狙っていたとして、こんな状況で実行するとは思えない。
彼なら罰則で呼び出せば簡単に始末できるはずだ。
クィレルに関しては、父上から概要を教えてもらった教員リストにいなかった。
闇の魔術に対する防衛術の教師は1年もたないから、と。
怪しい。
他の教師に伝えて対処してもらおうとすると、
グレンジャーが走ってきてクィレルに突撃し、スネイプ先生に火をつけた。
む、むちゃくちゃだ。
先日のポッターといい、ウィーズリーの双子といい、グリフィンドールは考えなしばっかりか?
だが結果としてポッターの箒の不調は治った。
恐らくグレンジャーはスネイプ先生を疑っているな。
ポッターはスネイプ先生と犬猿の仲だから、それに賛同するだろう。
このままだと警戒する相手を誤認したまま過ごすことになる。
念のためポッターに警告しておくか。
手紙でもよかったのだが、
事が事だけに早めに伝えようと、ポッターを探していると、
図書館で発見した。
グレンジャーと仲良く調べものをしている。
あいつに頼るなら私を頼ればいいのに。
というか近くないか?
いや私とポッターの方が近い距離にいたか。
共に箒に乗ったし、決闘でお互いを高めあったしな。
だが今のポッターには話す気にはなれない。
ウィーズリーにでも伝えておこう。
こいつはグリフィンドールにしては冷静で口も回るしな。
この娘は弟がいるので原作マルフォイより「甘え」が少ないです
故にちゃんと決闘しました。