ダンジョンに銃火器を持ち込むのは間違っているだろうか   作:遺物

3 / 6
「なぁベル~。お前は銃使う気無いの?」


「僕はナイフがあるから…」


「あ、そう?楽しいのに」





ほどほどなんか捨てようぜ

俺とベルは、相変わらずダンジョンに潜っていた。俺が雑兵を薙ぎ払い、彼が敵の主力を切り伏せる。このフォーメーションで、中々うまい具合にいっていた。

 

 

前回のステータス更新で、俺はかなりステータスが上がった。レベル2到達も、あと少しだそうだ。一定以上の偉業を成し遂げられればだけど。稀にダンジョンから何日も出て来ないことが増えてきた。飯も、医療キットも、武器も、寝床すら自在に出せるので、帰る意味はステータス更新しかないのだ。あ、あと孤独に耐えられなくなった時。

 

 

ベルも、新しいスキルが発現したらしい。ヘスティア様が隠そうとしていたが、俺が気付いた拍子にポロっと言ってしまったのだ。スキル効果は、『懇想(おもい)が続く限り、懸想の丈に従い、少年に著しい成長をもたらす』とかいう、俺には理解できない代物だった。神様曰く、要は成長速度が異常なほど早くなるらしい。ええもんもろたやんけ。

 

 

そんなある日、俺達は神様からある提案を受けた。

 

 

「怪物祭(モンスターフィリア)に行こうじゃないか!!」

 

 

「いいですね!」

 

 

「モンスターフィリア?ってなんなんです?」

 

 

「全く、無知なるエン君に教えてあげよう!怪物祭(モンスターフィリア)とは!ダンジョンで捕獲したモンスターを闘技場に連れてきて、冒険者や調教師が戦いや調教(テイム)する、オラリオを盛り上げるお祭りさ!」

 

 

「行くんですか?すっごく楽しみです!神様とエンと一緒に行けるなんて!」

 

 

ベルがそう言った瞬間、ヘスティア様の顔が露骨に残念そうな顔をした。

 

 

「あ~…そうだよね!うん!行こうか、三人で!」

 

 

あっあ~。この感じ、彼女はベルと二人きりで行きたかったやつだな。まぁ、俺は出来る男なのだ。ヘスティア様、人である我が身ですが、貴方を救って魅せましょう。

 

 

「ベル、俺はいいや!その~…あ、モンスターと戦う方に興味が湧いたからさ!祭りは二人で行ってきなよ!」

 

 

俺はヘスティア様に向かってウインクをする。彼女も胸の前で手を合わせ、俺を拝みだす。こんなに露骨にやっても、ベルは気付かないんだから、本当に鈍感な男だ。

 

 

その日の夜、俺は彼女に屋台飯を全て奢ってもらうという約束を取り付けたのだった。

 

 

ー祭り当日ー

 

 

「あ、あの~。エントリーってどうすればいいんですかね…あ、いえ、調教(テイム)部門ではなく…はい、戦闘部門で…だから調教(テイム)ではなくてですね……」

 

 

ふぅ。控室で、温かいお茶を飲みながら、俺は一息ついていた。圧倒的コミュニケーション能力により、無事エントリーすることが出来た。それにしても、皆かなり強そうだな。筋トレしていたり、極太い剣を振り回してる奴だったり、酒を飲んでいる奴らがいる。

 

 

まぁ?喋りかけてやってもいいけど、必要性を感じないからな。一人で瞑想し、集中力を高めておくのだ。

 

 

「ねぇ…ねぇ…ねぇったら!」

 

 

目を開けると、二人の褐色アマゾネスが俺のことを見ていた。なんだ?もし校舎裏に呼び出して、告白するというのなら、鉛球をぶち込んでやる。

 

 

「ん…あ、はい?何ですか?」

 

 

「君…あの子の友達だよね!あの……何て言ったっけ?」

 

 

「…ベル・クラネルのことですか?」

 

 

「そうそう!」

 

 

「きゃ~!」

 

 

な~にが「キャー?!」だ。二人で盛り上がってるんじゃない。こちとらヘスティア・ファミリア随一の狙撃手。玖蒸・炎サンやぞ?俺の貴重な独りの時間を邪魔するんじゃあないよ。

 

 

「あ、自己紹介が遅れたね!あたし、ロキ・ファミリアのティオナ・ヒリュテ!」

 

 

「私はこの子の双子の姉、ティオネ・ヒリュテ。よろしくね。」

 

 

ロキ・ファミリア……俺が思い切り発煙弾で喧嘩を売った奴ら…いや、逆に考えろ。あの時、酒場にコイツらは居たか?居なかっ……たよな?うん、居なかった!

 

 

「初めまして。俺の名前は玖蒸・炎。ヘスティア・ファミリアの……団員?になるのかな。うん、団員です。」

 

 

「あはは、自己紹介なんていいよ~。君のこと知ってるもん。だって…」

 

 

 

「ケムリ爆弾の人でしょ?」

 

 

 

あ~…気付いてる…てか、覚えてるか。そりゃそうだ。あんなことしておいて、無かった風にやり過ごそうなど、虫が良すぎるよな。あれは…まぁ、ほぼ俺が悪いことだしな。いや、言うほど俺悪いかな。あのクソオオカミのせいでもあるだろう。友達を馬鹿にされたのだから。5:5…いや、7:3くらいじゃないか?あ、7がオオカミね。

 

 

ノッていいのか?それが問題だ。もしノッていいならば、このままフレンドリーな雰囲気で突っ走り、普通に友達になりたい。だが、彼女らが滑り出しはいい子ちゃんの口調で、俺がケムリ爆弾であることを認めた瞬間にトイレに連れ込んでボコボコにする気ではないだろうか。その場合の俺の最善手は、即土下座。ジャパニーズ・トラディショナル・カルチャーを見せることで、どうにかお金で済ませてもらえないだろうか。

 

 

「あ…ど~も~…ケムリ爆弾君…で~…す~…」

 

 

ギュッと目をつぶり、相手のリアクションを必死に伺う。赤外線ゴーグルを着けているから、人に見せられない顔してることはバレないと思うが……怒られ…て…ない…よな?

 

 

「アハハハ!やっぱそうだよね!君おもしろ~い!」

 

 

「ベートまじでキレてたもんね~。あれは笑ったわ。」

 

 

っっっっぶねぇ~良かった~。あのオオカミとは大分リアクションが違うらしい。怒られなくて良かったという安堵感しかない。こういう系統の女子に嫌われるのが一番心に来るんだよ。モンスターより怖い。オオカミは滅茶苦茶怒っているらしいので、鉢合わせないように注意しよう。殺されかねない。冗談抜きで。

 

 

「じゃあねエン君!君の活躍、楽しみにしてるよ!」

 

 

「ま、頑張ってね~。」

 

 

「どうも…じゃ、さようなら。」

 

 

…緊張したな。それにしても、彼女たちもロキ・ファミリア幹部ということは、レベル5…少なくとも、レベル4はあるのかな。あのナリで俺のことなんか一捻りなのか…人は見かけによらない。これの最大値だな。いや、ヘスティア様がいたか。あの人もホントは俺ら全員敬語で話さなきゃいけないくらい、位の高い人なんだよな…俺とベル以外基本タメ口だけど。

 

 

「すいませ~ん!次の人~!フレイムバレットさ~ん!」

 

 

「あ、フレイムバレット。俺です、今行きます。」

 

 

女子に応援されてることだし、それじゃ、行きますか。フレイムバレットは、リングネームと本名が選べたから、一応こちらにしておいた。万が一負けた時本名は恥ずかしいし。

 

 

『始まりました怪物祭(モンスターフィリア)!!モンスターと戦い!調教し!俺達冒険者を楽しませてくれ〰〰〰〰〰〰〰〰!!今日の最初の挑戦者は〰〰〰〰!?フレイム〰〰〰〰〰バレット〰〰〰〰〰!!』

 

 

うるっさいな。俺はもっと厳かに戦いたいの。騒がしい歓声と、拍手で出来た通路を歩いて行く。闘技場の真ん中に立ち、俺の相手を待つことにする。

 

 

『なんとなんと!!彼は驚きのレベル1!にも拘わらず、この祭りに参加してくれた勇気ある参加者だ!』

 

 

失礼な。確かにレベル1だけど、俺は負けようと思ってここに立っているわけではない。にしても、あのうるさい司会者はガネーシャ・ファミリアの奴か。確かに、ダンジョンの中や町で見かけたら、大抵すごく騒いでいる連中だ。あんな大声を出して、モンスターに囲まれないのか、いつも勝手に心配している。

 

 

『そんな彼に対するは〰〰〰〰〰〰〰〰!このゴリラ!!シルバ〰〰〰〰〰〰〰バッグ〰〰〰〰!!』

 

 

ーグギャアアアアアァァァァ!!ー

 

 

シルバーバッグか。中々良いチョイスしているじゃないか。図体がデカく、見た目通りスピードが遅い。倒した後の仕事した感がたまらない。的として、ウォーミングアップとしても最適な相手だ。ベルには…まだアイツ一人では任せられないな。

 

 

『それでは〰〰〰〰〰〰レディ〰〰〰〰〰ファ〰〰〰〰イト!!!』

 

 

「『もう日が暮れる』 『プレゼント・デイ』」

 

 

足元から俺の胸元に散弾銃(ショットガン)が飛び出し、腕の中にストンと落ちる。相手が吠えるよりも早く構え、相手がそれに気づくよりも早く弾丸を撃ちこむ。

 

 

『え…?』

 

 

シルバーバッグの頭の右半分が吹き飛び、脳や眼球が地面に零れ落ちた。ちょっとだけ、ワンピースの白ひげみたいだと思ってしまった。あ、まだ動いてるな。間髪入れず二射目を撃ち、奴の首から上が完全になくなる。

 

 

『えぇ…!?』

 

 

シルバーバッグが前に向かって倒れ込み、地響きが起こる。吹き飛んだ首の傷口から血がドクドクと流れ出す。その少し後に、身体全体が灰と化して、魔石だけが残った。

 

 

『えぇ〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰!!??』

 

 

だからうるさいって。そんなに驚くほどのことでもないだろうに。レベル1でも、頑張ればソロでこのくらいのモンスターを倒すって話は聞いたことある。まぁ、俺はスキルのおかげで、実際の実力はレベル2くらいなんだろうけど。

 

「何あれ?!何の魔法?」

 

 

「いや魔法じゃないだろ。あれは…その…何をしたんだ?」

 

 

「あのシルバーバッグを…?」

 

 

「何かを飛ばしたように見えたけど…」

 

 

『こ!これは〰〰〰〰〰〰〰?!シルバーバッグが!レベル1に!一瞬で倒されてしまった〰〰〰〰〰〰!!!お前は何者なんだ?!フレイムバレット〰〰〰〰〰!!』

 

 

まぁまぁ落ち着きなさいな皆々様。こんな芸当、この俺様にとっては、お茶の子さいさいですわな。なんなら、もっと見せてあげましょうかぁ皆さん?

 

 

祭りのスタッフみたいな人が側にやってきて、俺にマイクらしき物を差し出す……にしても、これどういう構造してるんだ?

 

 

「フレイムバレットさん!今のお気持ちは?」

 

 

「いやーそうですね。まずは、えー皆さんに、俺のことを、えー聞いて欲しいと思います。俺の本名は玖蒸・炎、ヘスティア・ファミリアの団員です。」

 

 

そう言うと、周りがざわざわし始めた。大方、ヘスティア様にファミリアのメンバーがいたことが信じられないんだろう。

 

 

「俺達ヘスティア・ファミリアは、この先もっと上に行きます。いずれ、ロキ・ファミリアを超えるファミリアになりますんで…よろしくぅ!」

 

 

「ウオォォォ――――――――!!」

 

 

『フレイムバレット改め、玖蒸・炎さん!ありがとうございましたぁ〰〰〰〰〰〰!!』

 

 

 

こうして、無事に怪物祭(モンスターフィリア)を終えた俺は、景品を手に自宅へと帰った。屋台飯を確保してくれているであろうヘスティア様が帰ってくるのを、今か今かと待っている。な~に食べよっかな~。俺が手に入れた色とりどりの肉料理を、テーブルに並べておき、俺は自室で休んでおくことにした。

 

 

……後に、ベルとヘスティア様がシルバーバッグに襲われたのを知って、俺はしばらくゴリラ狩りに没頭するのであった。







玖蒸のどうでもいいメモ

【プレゼント・デイ】

・再現した物体は、基本的にエンしか使うことが出来ない

・人に渡すことも出来るが、すぐに消えてしまう

・使い切ってしまえば消えることは無い(二話でヘスティアがバーガーを食べた場合、栄養として吸収されるが、ベルが銃を使おうとした場合、弾丸を撃ち尽くしたり、放置していたら自然消滅する)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。