第一支部に近い洞窟。
ふたりの妖姫と甲冑を着用した何者かが鬼に見つからないようにように隠れていたのだが、そこにシロナガスクジラの獣人が慌てて駆け込んでくる。
「魔化魍をわんさか連れた人間がこっちにくるぞ!」
「「「!?」」」
その頃、夜真たちはユキオンナの仲間と合流すべく洞窟を訪ねていた。
【私の仲間がこちらに潜伏しています】
「ここかぁ」
「何者だ」
甲冑を着た謎の人物が夜真達に剣を向ける。
「俺は……」
夜真が自己紹介しようとしたが、ユキオンナが咄嗟に前に出る。
【甲冑眼魔!私です、ユキオンナです。助っ人を連れてきました】
「わたしはウミザトウの妖姫です」
「ライジュウの妖姫です。お願いします,我が子を助けてください!」
「我は甲冑眼魔。先程は失礼しました」
「白流須鯨怪人だ。俺はこことは別の世界から来た。色々あってな……」
甲冑眼魔と白長須鯨怪人と名乗った怪人は、それぞれ別の種族のようだ。
彼らも合流してユキオンナが逃げてきたという、北海道第1支部にたどり着いた夜真たち。
白い髪の前髪を姫カットに、後ろ髪をストレートロングにした透き通った青い瞳が特徴の美少女な人間態を会得したユキオンナ……冷華が注意を促す。
「気をつけてください。ここには番人の魔化魍がいます」
「番人?」
【その魔化魍は氷の刃で叩き斬り、僅かな物音にも敏感に反応し、巨体からは想像し難いほどの運動能力で以て襲い掛かる、とても獰猛な魔化魍です。】
聞き返した夜真に、ミンツチのリーダー「北河」が答えた。
「ただし、彼も無理やり連れてこられ、そして無理やり万人の役目を与えられた被害者です」
ゴガオォォォォ……
鬼のような顔つきのヒグマのような姿の魔化魍がこちらを知覚したようで唸り声を上げた。
「な、なんだ!?」
【まずいでやんすねぇ……アレは魔化魍ナマハゲ。雪原ではほぼ敵なしの強豪でやんす。本来は北陸地方に住んでいたはずなんでやんすが……】
アズキハカリは魔化魍のことを知っていたらしく注意を促す。
「一旦落ち着かせよう。ミンツチ!」
ミンツチ達が一斉に液体窒素粘液を発射する。
ゴガ、オオ……
ナマハゲの体が凍りついていく。
「俺たちはナマハゲや魔化魍達を助けにきたんだ」
夜真が説得しようとするが、なぜかナマハゲは介錯に来たのだと勘違いしていた。
【オレを……オレを殺してくれ……楽にしてくれ……】
「!?」
「死にたいなら俺たちの元で死んでくれ。まずは助ける!」
【ユキオンナが言っていた助っ人というのは】
「俺たちだ」
ナマハゲは落ち着いたらしい。そして夜真はナマハゲに「氷刃」という名を与える。
【氷刃……か。いい名を貰った!魔化魍の主よ。オレはこの命、貴方の為に捧げる!】
「そんな大仰な……。まあいいや。氷刃、早速命じる。北海道第一支部をブッ壊せ。」
【了解だ!】
なぜか戻ってきたナマハゲに罵倒混じりの声をかける傭兵。
「なにやってんだ下等生物」
「見張りすらできないのか」
ゴガオオオオオオオオッ!!!
返事は振り下ろされた氷の刃と咆哮であった。
「うわぁぁぁぁ!?」
「チクショウ!獣の癖に!」
更に3匹のイッタンモメン、左鋏が変形したバゲガニ、ヌリカベ、顔が頭蓋骨のオオカミ、鉢巻を巻いたイノシシ、赤い作務衣を着たガマガエル、そして大量の青白い肌のカッパ…ミンツチが雪崩れ込む。
「叩き潰せ!今まで犠牲になった魔化魍達の為に!」
そして、彼らを率いる青年は力強く、この施設内の人間にとって絶望を与えるひと言を放った。