魔化魍を統べる存在になってしまった   作:北凍武人

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混乱の第一支部

 

side和鬼

 

第一支部に魔化魍が大量に出現したらしい。

 

廊下を出ると既にミンツチの大群が何かを探すかのように走り回っていた。

 

タイミングを見計らって変身音弦 和歌と音撃三味線 和鳴がある倉庫まで向かう。

 

私は和歌を没収されて鬼としての力を使えない状態なのだ。

 

 

倉庫の前に3人の人物がいるのを発見した。警戒しながら前に進むとその2人は研究員ではなかった。3人のうちの1人はそもそも人間ですらなかった。

 

「これが必要だと言っている方がいるそうですね

 

「ああ。だが魔化魍を倒す鬼なんだろ?渡して大丈夫なのか?

 

【問題ナイ。コノ研究所デ1番マトモダ。ノデッポウナンカハ天使ダト呼ンデイタ】

 

思わず足元のものを踏んでしまい彼らの注意を引いてしまった。襲われる!と思ったがそんなことはなく、1人の男性が私に和歌を手渡してきた。

 

「あなたがこの変身音弦の持ち主ですか?」

 

「え、は、はい…」

 

「あなたの力を必要としている者がいるようです。こちらのミンツチさんが案内してくれるようです」

 

「あ,ありがとうございます…?」

 

何故魔化魍の言葉がわかるのか等色々ツッコミたいが今はノデッポウ達の救出が最優先だ。

 

【案内シマス、沙雪サン】

 

「お願い」

 

ミンツチは、支笏湖や屈斜路湖、洞爺湖、街に近いところでは漁川に生息していたのだが、ある時大量に捕まえられ、研究施設で様々な実験の犠牲になった。私はミンツチの世話もさせられていたので、力を貸してくれることはすごく嬉しい。

 

sideノデッポウ

 

何やら騒がしくなった。どうやら魔化魍が襲いかかってきたらしい。

人間共の慌てふためくツラが滑稽でたまらない。笑っていると1人の研究員が近づいてきた。沙雪に日常的に暴言を浴びせているあいつだ。この檻とさえなければ真っ先にぶち殺してたところだが……

 

「何笑っている!ええい貴様は殺処分だ!」

 

その時、扉がノックされる。

 

「沢渡です,開けてください」

 

「ちょうどいい…。入れ和鬼。」

 

中に入った沙雪を見た研究員は

 

「貴様の手でこの下等生物を始末しろ」

 

ととんでもないことを言い出した。

 

「いいえ、始末されるのはあなたです」

 

変身した沙雪……今は和鬼はノデッポウではなく研究員を切り裂いた。

 

「き、貴様!裏切るのか!」

 

「これが私の辞表です」

 

ミンツチの吐く液体窒素粘液で凍りついた研究員を切り刻む。続いて檻を冷気で脆くさせて切り裂いた。他の研究員はいつの間にかいなくなっていた。一瞬、舌と獣人が見えたような気がするが……

 

「ノデッポウ、助けに来たよ」

 

沙雪が手をこちらに差し出す。その天使の微笑みは今の俺には眩しすぎる。

 

sideマンネンタケ

 

オンモラキとワニュウドウが危険な状態だ。しかし1人ではどうにもできない…

 

【ココダ】

 

【わたしがやる!】

 

何度か体当たりが行われ、扉が破られた。入ってきたのはイッタンモメンとミンツチ。この魔化魍が、研究所を襲撃したのだろう。

 

イッタンモメンとミンツチ達がオンモラキとワニュウドウを運びどこかに連れて行ってくれた。俺はやることがあると言い、彼らと一旦別れることにした。

 

sideナマハゲ&ユキオンナ&禍瘋(三人称視点)

 

霜鬼はツインテールで露出の多い格好をした少女と出くわしていた。

 

「なんだ?ガキ。施設見学はやってねーぞ?」

 

「いやー,すごい施設だよねー。」

 

「お、おう。まあな。ここは下等生物……魔化魍にとっては地獄だ。まあ俺にとっては天国だな。下等生物をぶち殺し放題だからな」

 

「そっかぁ。じゃ、地獄に落としたげる」

 

「は?」

 

【凍てつきなさい】

 

ヒュウウゥゥゥ、という鳴き声と共にキツネのような魔化魍が現れて吹雪を放ってきた。

 

「ぐおおわぁぁぁ!?ま、魔化魍!?」

 

さらに、先ほどの少女が魔化魍の姿を表し、霜鬼に猛毒の針を突き刺す。

 

「ふぐお!?」

 

毒に苦しみながら、凍っていく霜鬼。そこに、氷の刃を引き摺りながら鬼のような顔の羆の魔化魍……ナマハゲが近寄ってくる。

 

【オレがヤる】

 

【そのためのお膳立てです】

 

【下等生物に負ける気分はどう?雑魚雑魚下等生物以下さん?】

 

生意気なことをほざくイッタンモメンもどきもとい、禍瘋。ぶち殺そうと思ったが凍らされていて動けない。氷を砕かれ、霜鬼は絶命するのだった。

 

sideウミザトウ

 

ここはわたし専用の水槽。本来の大きさの10分の1に縮んだ私はここで水中で活躍する音撃や兵器の開発のための実験を受けていた。

 

何やら騒がしい。気配を辿ると、ミンツチの群れが押し寄せていた。助けに来てくれたらしい。

 

【見つけた】

 

【ココデス】

 

「待ちなさい!」

 

俺を監視していた鬼、沫鬼が音撃管を構えている。水槽越しでは聞こえないだろうが、危機を助けにきてくれた魔化魍達に告げる。

 

【逃げろ……!彼女は強い……!】

 

【問題ない】

 

顔が頭蓋骨の青白い狼の魔化魍は自信満々に言い放つと、なんと体当たりの一撃で沫鬼を倒してしまった。

 

【殺したいところだが、捕虜として連れて行けそうなら連れてこいと命令されたな……。ミンツチ、アズキハカリに連絡を】

 

【了解ダ】

 

【さて………】

 

狼の魔化魍が一度人間態になり、パネルを操作して私は解放された。

 

【我が主の元へ案内する】

 

主…どのような魔化魍なのだろうか。わたしは楽しみ半分、不安半分でついていくのだった。

 

side夜真

 

アズキハカリから連絡を受け、何名かの鬼を捕らえたと報告が入った。

グラニュート・ラゴーも研究員をヒトプレスとして確保したということを聞いた。

 

「足を洗ったはずのことをさせてしまいますが、よろしいですか?」と聞くと、「いえ……夜真さんに助けてもらったので、その恩を返したいのです」、と返答してくれたため、遠慮なくその力を使ってもらった。

 

そして、夜真は、傷だらけのオンモラキとワニュウドウを見てどうすればいいのかと思案していた。戻ってきたアズキハカリが治癒の術をかけているものの、少しずつひび割れが進行していた。

 

その時、ヤトノカミからアドバイスめいたことが聞こえてきた。

 

【当代よ、その音撃棒で音を奏でよ】

 

「待て待て待て!そんなことしたらこの2体は死んでしまう!」

 

【いいからやってみよ】

 

夜真は渋々音撃棒を取り出し、演奏を行う。

 

【なにしてるの主様!】

 

春風が止めようとするが、清めるどころか逆に治癒していっているのだ。

 

【待って、傷が癒えていっている!】

 

【すごい……】

 

やがて,2体の治療が終わった。

 

ガァァァァァァッ!

 

先の細い円柱状の長耳と稲妻模様の縞、電源ケーブルのような尻尾を持つトラの姿をした魔化魍が現れた。

 

「な、なんだこいつは!?」

 

【ライジュウです。私たちの仲間では最も幼い子でした。……ですが、成体になっている!?】

 

 

ボサボサ髪でメガネの痩せぎすの陰険そうな男が現れた。

 

「驚いたかな?魔化魍の主くん」

 

「テメェが親玉だな。待ってろ。今すぐズタズタに引き裂いてやる」

 

「君を捕らえ人体実験にかける。そうすればわたしの研究は遥かに加速する!さあ、人類の未来の礎となりたまえ!」

 

ガァァァァァァ!!とまるで雷が轟くかのような大声で吠えるライジュウを見て夜真は「鬼斬り」と名付けた刀を構える。

 

すると、ユキオンナ、ナマハゲ、先程回復させたオンモラキ、ワニュウドウがライジュウの前に立った。

 

【ライジュウ!】

 

【なんてことしやがる!】

 

【あの子を使った実験というのはおそらく……】

 

【必ず助けるぞ、ライジュウ…】

 

「俺たちもぜひ協力したい」

 

夜真達と北海道の魔化魍がタッグを組んだ…!

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