鬼を倒した夜真達。
「さて……この宿どうしよう」
「知り合いの魔化魍から聞いた、転移させる術式がありやす。」
「任せた」
夜真は、吹雪鬼が持っていた魔我魂を拾っており、それを眺めていた。
すると………
【ほーう、主が当代というわけか】
ツノの生えたチョウザメの顔に蛇の首、フクロウの翼、羆の身体にタコの触手、鯱の尾を持つ異形が、湖の真ん中に佇んでいた。
「あなたは………」
【ホヤウカムイ。】
ホヤウカムイ。
アイヌの伝承に伝わるカムイの一瞬。
異を持った大蛇や、魚またはに似た生き物と考えられており、体色は薄い色で目と口の周りが失く縁取られ、頭と尾が極端に細く胴体が太いなど、実在の動物ではイルカやチョウザメ、カジキやミツクリザメなどを思わせるシルエットになっている。
鼻先が鋭く刃物のように鋭利で魚のような感じもあり、その威力は大木を引き裂き、切り倒すほどと伝えられる。
一種の憑き神的な存在であり、巫女に憑依して託宣をもたらす事が多いが、その際巫女は必ず「寒い!火を焚け!」と叫んでしきりに寒さを訴えると言う。また、甚だしい悪臭を有するとも伝えられ、この体臭に触れれば草木は枯れ果て、人間がホヤウカムイの居場所の風下にいると体毛が抜け落ちて肉が腐れ焼け、死ぬ事すらあると言われている。
【北海道の主だった魔化魍だ。先の戦い見事であった。我も力を貸そうぞ】
【ありがたく】
会話を終えた夜真はベットで就寝することに。…いつの間にか燐と冷華と雪と壱嵐も入り込んでいた。
その後、宿ごと東京某所に転移した。
「久々の我が家だ……」
夜真の家隣に宿が建った。夜真の家はゆっくりしたい時や趣味部屋として使うことに。
「今日からみんなで新生活だ。基本は各々自由に!」
「「「はい!」」」
「それなら私一緒に寝ましょう!」
「私が/////」
「わたくしですわ」
やいのやいのと騒ぐ3人をスルーして壱嵐が夜真の服の裾を掴む。
「……一緒に寝るか?」
「うん……」
「「「ああーっ!?」」」
さりげなく夜真の隣に立つ壱嵐を3人は警戒するのだった…
side???
猛士長崎支部。蛭倉明彦が訪れていた。長崎支部支部長の澤村 和臣が話を聞いている。
「なに!?北海道支部が全滅した!?」
「ええ。ミンツチの大群に襲われ、北海道支部は健闘虚しく私を残して全滅してしまいました。和鬼、飛沫鬼、縁鬼が裏切りましたし、イッタンモメンや『蒼焔骸狼』『外道蝦蟇』『独鈷杵鋏』『鍛治猪』も現れて……優秀な鬼達を殺されてしまいました。それに、『石覇蛇王』ヤトノカミの力を宿す少年がいまして……」
「ヤトノカミだって!?」
「響鬼さんが満身創痍になって倒したあの!?」
「そうです。アレは放っておくとかなり危険な存在です。早急に始末した方が賢明かと。そのための兵器を私に開発させてくれませんか」
「いきのいい実験台はいくらでもいる。研究室を用意しておくから好きに使ってくれ」
蛭倉は妖しく笑った…
その頃総本部には北海道支部と,四国支部の全滅の報が届いていた。
「四国支部全滅です!」
「なん、だと……!?」
「まさか二ヶ所同時に全滅するとは……確か高知支部には四国最強と名高い「龍鬼」がいたはずだ…。」
「倒されました。「アマノムラクモ」なる刀を持つ剣士によって」
「天叢雲剣か…。まさか、オロチに関係しているのか?」
「かもしれません。調査を進めます」
「四国を襲った方は、ソラナキの魔我魂を持っている模様です。」
「ヤトノカミにソラナキ……おそらくホヤウカムイとアクルも取られたと思っていいだろう」
「厄介ですね……」