繁華街の端にあるラブホテル前。1人の高校生くらいの少女が悲しげに俯いていた。
清楚な白いワンピースに艶やかな黒い髪、儚げな顔が美しい少女である。しかし、なぜ少女に似つかわしくないこのラブホテル前にいるのだろうか。
side???
私はいじめられている。
夏休み、ようやく解放されると思っていたがそんな甘くはなかった。
いじめの罰ゲーム等で負債を作ってしまい、所謂売春で稼ぐ羽目になっていたのだ。
「ここは確か子供が来ていい場所ではないはずだが」
「!?」
声をかけられ、もしかして警察?補導される?と思って振り向くとそこにいたのは、赤髪の、鋭い目つきをした男性であった。
「……何か事情があるのか」
「え、ええと」
その時。小太りの中年が現れた。
「紗希ちゃん……だよね。その男は誰?」
「た、田中さん……ですか」
「そうだよ。ボクと彼のダブルブッキングか?連絡もらった時はビッチだなと思ってたけど、まさか本当にビッチだったとはね!」
「オレが話をつけてくる」
そして、路地裏に連れて行く。
「………オレの奢りでより良い女を紹介してやる。」
「ボクが紗希ちゃんと遊ぶ予定だったんだけど…?あの子より可愛い子じゃないと許さないよ」
「安心しろ,上玉中の上玉だ」
「むふ,期待してるよ」
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side out
とある喫茶店。緋翔と紗希は奥の席に座って話していた。
「……えと、緋翔さん、でしたっけ。ありがとうございました。本当は凄く不安で,怖かったです」
「しかし、なぜあんな事を」
「お金が必要で…。いじめを受けていて……来週パーティーするから稼いで来いって」
「キミも被害者だったのか。キミをいじめる人間の名前を教えてくれ。全員だ」
「出来ません……。あとで「チクったでしょ」とか言われてもっと酷い目に遭わされます」
紗希は恐怖に震えながら断るも
「………それなら問題ない。俺たちはイジメを許さない始末人だ」
「本当に、言って良いんですね」
「勿論」
紗希は自分をいじめてきた全員の名前を告げた。
2人は店を出る。会計は緋翔が支払った。そして、2人はとある旅館にたどり着いた。
緋翔は頭から胸までを濃い体毛に覆われ、背中にカラスの翼を持ち、ヒヒを思わせる赤い顔に嘴を持つのが特徴の怪物となり、門番に声をかけ、紗希も通してもらった。
そして,主人と思われる同じくらいの時の青年と会話する。
【…………というわけなんだ】
「多分ニュースになるだろうが、やるか」
「え、ええと、その姿は」
【オレは人間ではない、魔化魍だ。種族はテング】
「…魔化魍…。最近噂で聞きます。人を食う化け物なんだとか。……あの、私を食べてください。もう,生きるのが辛くて…」
【悪いがキミを食うことはできない。他の奴らにも渡さない】
「緋翔?」
【すみません主、オレ、この子ほっとけないです。一緒に住んで良いですか】
「わかった。他の奴らにも伝えておく。手出しは無用だって」
その後……
ある高校の新学期。某学園2年1組の生徒が全員行方不明になった。いや、正確には全く別人のようになった。
皆、やや青白い肌色をしている。1番変わったのは皆真面目な性格になっていたことであった。
【ショキショキショキ…活きのいい人間が収穫できましたなぁ】
【ケイムショからも、たくさん連れてきたぜ】
【職員を眠らせてカメラも塞いで、あとは囚人達を解放して1人ずつ保管庫に誘導して囚人に化けたミンツチに戻ってもらえば、脱獄だと騒がずに済むわね】
銃尾とジョロウグモの桃土等が刑務所から囚人を連れ去ってきたようだ。
「まさかミンツチに成り代わられているとは思うまい」
ちなみに例の小太りの男は緋翔が紹介した上玉…ロクロクビの鮫首が美味しくいただいたという。
「えと、櫻井紗希と申します。…みなさんに迷惑をかけないようにしますので…」
「大丈夫ですよ」
【ここに住むってことは家族!】
【安心して過ごして良いのよ】
魔化魍達が声をかける。本音かどうかは不明だが、少なくとも今の紗希にとっては家よりも安心できるのかもと感じていた。
紗希「あ、あの」
緋翔【ん?どうした?】
紗希「お手洗いってどこですか?」
緋翔【………ええと】
夜真「トイレなら、ロビーをまっすぐ行って、通り過ぎて左に行くとあるよ」
紗希「ありがとうございます…。行ってきます」
緋翔【主、大丈夫なのか?女性に言って良い話か?】
夜真「トイレの場所教えただけで訴えられるわけないでしょ」