ウォォォォン!
「出たぞ!『蒼焔骸狼』だ!」
「今度こそ浄化してやる!」
ウォォォォン!
蒼焔骸狼と呼ばれた魔化魍なやってみろとでもいうように高らかに吠える。
********
「遠吠えだ。狼って今どきいるのかな」
「狼の姿をした魔化魍ならいくらかいますよ。サトリ、ヤマイヌ、ヤドウカイなどです」
「ヤドウカイ、かぁ……。」
夜真、雪、墨は出会いの湖にて元気に飛び回る三体を眺めていた。
「やっぱこの近くに住んだほうがいいよなぁ」
「この子達の生育には最適ですからね。…ヌリカベはここでの生活は大丈夫そうですか?」
「この近くの森の木に擬態して姿を隠したりできますし、問題はないかと思います」
その時、茂みがガサッとなり、フラフラした足取りで顔が頭蓋骨となっている、青白い体毛の狼の姿をした魔化魍が姿を表した。
「あれは、キョウコツ……」
「狂骨って確か、井戸に捨てられた怨念が妖怪になったもの、だったよな」
「魔化魍キョウコツはヤドウカイの近縁種とされています。正確には異常種と呼ぶべきでしょうか。ヤドウカイ種は影を踏むことで相手の動きを止める力がありますが、キョウコツはその能力を持たずに生まれた個体です」
「じゃあどうするんだ…?」
「触れたものをまるで凍ったように動きを止めさせる青い炎を吐き、相手の動きを止めその先に捕食します」
その時、キョウコツがギロリと妖姫達を睨む。
【なぜ人間と行動を共にしているッ!!】
「このお方は魔化魍を統べる者なのです」
「無礼は許しません」
【無礼も礼もないッ!】
………ガルルと牙を向くキョウコツを、夜真は優しく撫でる。
【な、なにを……】
「猛士に…人間に…追われてずっと苦しかったんだよな。人間が信用できないんだよな」
【分かったような口を……でも、その通りだ。ヤドウカイ種の出来損ないと同胞からも蔑まれ、人間からは討伐対象……私に居場所はない……】
「作るよ。俺が」
「!?」
「俺が居場所を作る。だから,一緒に来てくれないか、燐」
【燐……それが私の名前……うっ、うう……】
キョウコツ,改め燐は夜真の優しさに涙を見せた。
「よしよし……-」
「む……」
「まだよしよししてもらってない…」
ピィィィィ
ピュリィィィ
ギピィィィィィィ
妖姫とイッタンモメン三姉妹は羨ましそうにこちらを見ていた。が。
ピュリィィ!
突然イチモクレンが警戒を促す。そこに現れたのは、光沢を放つ異形の肉体に、音撃の種類に因んだ装飾を胸部・手首・足首に纏い、顔には目鼻がなく隈取りのような物が眼と思しき形状を縁取っている、額には「鬼面」という変身道具と同じ鬼の顔の紋章が出現し、頭頂部に角が生えている…人型だ。
「やっと追いついた!蒼焔骸狼!」
「イッタンモメンにツジガミ、イチモクレンがいる!ついてるなぁ」
「あの人間、蒼焔骸狼の頭を撫でてないか?」
「魔化魍に洗脳されているのかもしれない。解放してやろう」
自分たちを見て何かを話している者達を見て夜真は雪に訪ねる。
「あれが,鬼?」
「そうです。我ら魔化魍にとって不倶戴天の敵」
ピィィィィ!!
ピュリィィィ!!
風凛、壱嵐も憤るように叫んでいた。
ギピィィィ!!!
禍瘋に至ってはいきなり尻尾に毒を滴らせ鬼の方に飛んでいった。
「イッタンモメンじゃなくてカモだな。死ね!」
鬼はラッパのような武器を取り出して禍瘋に吹く。
ギピィ!?
魔化魍にとっては致命傷になり得る危険のある清めの音だ。禍瘋はなんとか回避するも、死の危険を感じ取ったようで一旦夜真の元に戻って来た。
「その魔化魍達を全員渡してくれたら見逃すよ。報酬も弾む」
「そりゃありがたい話だ。だが断る。こいつらに酷いことするんだろ、どうせ」
「交渉決裂ってことだな」
夜真は静かに鬼達を睨みつけていた。