仮面ライダー鎧武 アナザーストーリー   作:佐々木 空

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必殺!パインキック!

 

 

あれから一日が経った。

 

裕也に呼ばれて、まどかと一緒に変な森に行って、インベスに襲われて、そして俺は――――仮面ライダーになった

 

正直言って、俺はこの力をどうするべきか悩んでいる。

 

俺は以前、インベスはあんまり好きじゃないって言った。

 

別に怖いとか嫌っていう訳じゃない。

 

ただ……ああいうのを見ると思いだしちまうんだ。―――一年前のことを。

 

バダンとの戦い………そして――――仮面ライダーのことを。

 

俺のせいで大切な友達が傷付いた。

 

だから、俺は逃げた。みんなと居る資格はないって思って……。

 

 

 

 

まどかによると、あれから裕也は家にも帰っていないらしい。チームのガレージにも顔を出していないみたいだ。まぁ、裕也は時々誰にも何にも言わずにどっかに行くことがあるから心配ないだろうとは言っておいた。

けど…このチームが危ないって時にいなくなるのは少しおかしいとは思う。

まどかはもしかしたらまだあの森にいるのかもしれないって言っていた。もしかしたら本当にあの森に……。

ためしに二人でもう一度あの場所に行ってみたけど、あの森の入口も、植物も、何もかもが消えていた。まるで、初めから何も無かったみたいに(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)…………。

 

もしかして、全部夢だったんじゃないのかって思った。でも、俺はベルトを持っているから夢じゃない。

裕也については何も分からないままだ。

 

 

 

 

そして問題はこのベルト――――――戦極ドライバーだ。

 

 

裕也を見つけられないまま、俺たちはこのベルトについて錠前ディーラーに聞きに行った。このベルトがロックシードを使うってことはもしかしたら何か知っているんじゃないかって思ったんだ。

そしたら、案の定知っていた。

何でもこのベルトは最初に使った人以外は使えないらしい。

ためしにまどかの腰に当ててみたけどまったく反応しなかった。

つまり、このベルトを使えるのは俺だけ、ということになる――――――。

 

 

でも――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁ~~~……、どうしろってんだよぉぉ~~~~」

 

 

大の字になりながら青空に悩みをぶつけてみる。当然、返ってくる言葉はない。

 

シドからベルトの事を聞いてから将汰はずっとこの調子だった。

ベルトをどう使えばいいのか、どうすればいいのか、考えていることは全部一緒だった。

別に無理して使う必要はないのではないか? とも考えた。

 

だが、捨てようにも一体どこに捨てればいいのか。結局、自分で持っていたほうが安全かもしれないと思い持っているというわけだ。

 

その時、自分の携帯が鳴っていることに気付き、手に取る。画面には『呉島光実』と表示されていた。

 

「んっ? ミッチ? どうしたんだ急に……? はいもしもし―――――」

 

 

 

『将汰さん! 大変なんです!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チームのパスを賭けてインベスゲーム?」

 

「そうだ」

 

「ふざけないでよ!!」

 

「そうだよ! もしあれが無くなったら私たちステージで踊れなくなっちゃうじゃない!!」

 

「だったらお前たちはそこまでだったということだ。ただし、もしお前たちが勝ったらお前たちから奪ったステージは返してやる。そして、お前たちにこのクラスAのロックシードもくれてやる」

 

チーム鎧武のガレージにチームバロンのメンバー数人とチーム鎧武のメンバーが一触即発の空気を発していた。

ロックシードを見せながら自らの要求を伝えるチームバロンのリーダー、駆紋戒斗。

 

彼の要求にチーム鎧武のメンバーが抗議の声を上げる。

 

「でも…………私たちにはもうロックシードが…………」

 

「おいおい、じゃあどうすんだよ?」

 

「なんだったら、お前らの内の誰かがインベスと殴り合ってもいいんだぜ?」

 

「うっ…この……!」

 

 

 

 

「ちょっと待った!!!」

 

 

 

ガレージの扉が開き、声が響く。

 

その声の主は―――――

 

 

 

「将君!?」

 

「将汰!? あんたなんで……っ」

 

「僕が呼んだんです。すいません、勝手なことを……」

 

「ミッチ………」

 

 

「お前は……?」

 

「話は聞いたぞ。インベスゲームをするんだってな。だったら俺が相手をする」

 

そう言いながら将汰は森で手に入れたイチゴのロックシードを掲げる。それを見た戒斗は驚く。

 

「クラスAの錠前だと……!? お前は一体………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガレージを出て、広場へと移動する両チームのメンバーたち。

 

さすがにガレージではインベスゲームはできないと判断し、場所を移すということだった。周りにはインベスゲームを見ようとする見物人で溢れかえっていた。

上位チームと下位チームという組み合わせだ。今にも始まらないかとワクワクしていた。

 

 

「俺が勝ったらバロンはステージを鎧武に返してロックシードも渡す。そうだな」

 

「ああ。だが、もしお前が負けたらパスはもらう。チームは終わりだ」

 

ああ、と返事をし、二人はロックシードを解錠する。

 

戒斗は一度に三つのロックシードをつかい三体のインベスを呼び出す。

 

インベスゲームには使うインベスは一体だけというルールはない。だが、複数のインベスを同時に操るには相当な技術を要する。上位チームのリーダーの名は飾りではないということだ。

 

 

 

だが……………

 

 

 

 

 

「えっ!!?」

 

「なっ…!!?」

 

 

 

将汰の使ったロックシードから出てきたのは人間とほぼ変わらない大きさシカのインベスだった。

 

 

「くっ……上等だ!」

 

「お、おっしゃぁ! いくぜ!」

 

戒斗は三対のインベスを巧みに使い、攻撃を始める。

 

 

しかし、強大な力はどんな戦術をも叩き潰す。

 

 

息の合ったコンビネーションを見せる三体のインベスをシカインベスは自らの角を使い、一撃で倒した。

 

「やった! 勝った!!」

 

「馬鹿な……こんなことが………!」

 

インベスゲームに勝ち、喜ぶチーム鎧武のみんな。

 

 

 

……その時。

 

 

 

「っ、痛っ!」

 

将汰のロックシードを持つ手に痛みが奔り、ロックシードを手放してしまう。

その結果、フィールドにいたシカインベスに異常が起きる。

 

突然、ノイズが奔ったかと思ったらコントロールを失ったせいか、フィールドを破壊し、実体化した。

 

 

「うわぁ! こっちに来るぞ!」

 

「に、逃げろっ!!」

 

 

フィールドを破壊し、実体化したインベスは手当たり次第に人々に襲い掛かった。

 

突然の事態に周りの人々はパニックになり、逃げる者や恐怖する者で溢れかえった。

 

 

 

まずい、そう思いすぐにシカインベスをコントロールしていたロックシードを探すが、逃げ惑う人々のせいでロックシードを見失ってしまった。

 

だが、そんな状況でもはっきりと聞こえた声があった。

 

 

 

「何をしている、貴様っ!!!」

 

 

 

声を聞こえたほうに目を向けるとチームバロンの戒斗が同じチームのペコとザックを問い詰めていた。

よく見ると、戒斗の手には壊れたパチンコ球が握られていた。

 

まさか、そう思うがほぼ確信していた。

 

さやかが以前言っていた、ロックシードを落とした時に手に奔った痛み。そして今回の自分の状況。それらの出来事の犯人はチームバロンのザックとペコだったのだ。

他のメンバーがインベスゲームをしているときにザックがペコに合図を送り相手のロックシードを落とさせインベスを暴走させる。

 

だが、何故それを二人だけで行っていたのか?

 

 

 

答えは簡単だ。

 

リーダーの戒斗がそれらのような卑怯なことを良しとしない性格だったからだ。

 

現に今の戒斗から感じる雰囲気だけで彼の怒りが伝わってくるのが分かった。

 

 

 

 

「うわあぁぁ!!」

 

 

非帯との悲鳴で再びインベスに目を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

この光景を知っている。

 

 

 

そして、どうにかする方法も。

 

 

 

 

「でも…………俺は………っ!!」

 

 

自分にそんな資格があるのか?

 

自分に――――――――――誰かを守ることができるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『将汰はさ、どんな自分に変わりたいの?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――!!」

 

その時、考えて行動したのか。はたまた無意識だったのかは将汰自身もよく分からない。

 

気付けば戦極ドライバーとロックシードを握っていた。

 

 

「俺に資格があるのかどうかなんて分からない。…………でも、俺にしか出来ないっていうのなら――――」

 

 

 

――――やるしかない!!!

 

 

 

「変身!」

 

『オレンジ!』

 

頭上にオレンジ鎧が表れ、セットする。

 

『ロック・オン!』

 

『ソイヤッ! オレンジアームズ! 花道・オンステージ!!』

 

 

 

「はあぁぁぁっ!!!」

 

変身を終えると、すぐさま二刀でシカインベス目掛けて切りかかっていく。

 

 

「あれは………」

 

「将……君?」

 

 

 

 

戦いは有利に進んでいた。

 

 

最初は戸惑いと始めてのベルトということで少し使い勝手が分からなかったが今は違う。

今使える武器のこと。今使っているベルトのこと。だいたいだが分かってきた。

 

ならばやることはあまり変わらない。

 

それに、こんなのよりももっと強い奴だって知っている。それに比べればどうってことはない。

 

 

「よし! このまま押し切る!!」

 

 

このまま必殺の一撃を、と思ったところでインベスが意外な行動に出た。

 

「なっ!?」

 

 

インベスが落ちていたロックシードを拾い、食べたのだ。

果実を食べるのは見ていたので知っていたがまさかロックシードまで食べるというのは少し予想外だった。

 

 

 

直後、インベスに変化が現れた。

 

インベスの目が光ったかと思ったら、その体がみるみる大きくなっていき、背中から角のようなものが生え、拳が巨大化し、口から牙を生やしていく。

 

見て分かるほどに先ほどよりも凶暴になっていた。

 

「なんだ、あれ……」

 

「あれがインベスだと……!」

 

 

 

「まじかよ…………こいつ、イマジンやドーパントみたいにもなるのかよ…っ!」

 

巨大化したインベスが雄たけびを上げる。空気がピリピリしているのを感じる。

 

はたして本当に空気の振動なのか、それとも自分が圧倒されて震えているのか。

前者だと信じたい。

 

「や、やってやるよっ!! うおおおぉーーーーっ!」

 

自分に無理やり言い聞かせて立ち向かう。

 

 

 

 

「ぐ……っ!!」

 

 

インベスは見た目からは想像の出来ないほどの俊敏な動きで回し蹴りを繰り出してきた。

予想外の攻撃をくらい吹き飛ぶが、すかさずインベスが両拳にエネルギーを溜めて殴りかかってくる。

何とか体勢を立て直し武器を構えるが、強烈な連続パンチを受け、武器を手放してしまう。

 

「しまっ………くっ!?」

 

武器に気を向ける暇もなく、インベスの猛攻が続く。

 

このままじゃ、そう思った。

 

 

その時―――――

 

 

 

「はああああっ!!」

 

「なっ!!?」

 

 

 

―――――戒斗が無双セイバーを持って突っ込んできた。

 

そのまま無双セイバーをインベスに振るうが、生身ではインベスに十分なダメージは与えられず吹き飛ばされる。

 

だが、それでターゲットを変えたのかインバスが戒斗に向かって拳を振り下ろす。

 

「! まずい!」

 

『ソイヤ! オレンジスパーキング!!』

 

ドライバーに付いた刀、カッティングブレードを三回倒し、戒斗とインベスの間に割って入る。

インベスの巨大な拳がそのまま頭に直撃するかと思ったとき、鎧になっていたオレンジ鎧が元のオレンジの形に戻り将汰の頭を覆いインベスの拳を弾く。

 

「オラッ!!」

 

拳を弾かれ怯んだ隙にオレンジ鎧を両手で回転させ全力で頭を振るう。拳を弾かれ体勢が安定していなかったインベスはそのまま弾き飛ばされる。

 

「たくっ……大丈夫か?」

 

「くっ……余計なことを……」

 

「大丈夫みたいだな……とりあえず、ほら刀」

 

オレンジ鎧を元に戻しながら刀を投げ渡される。

そこでふと疑問に思った。

このベルトが使えるロックシードってもしかして一つだけじゃないんじゃ………。

 

「もしかして…おいロックシード!」

 

「何?」

 

「何? じゃねーよ!そいつで何とかなるかもしれないんだよ。それに勝負には勝ったんだからそいつはもう俺たちのものじゃねーのかよ!」

 

「っ、ほら!」

 

苦い顔をしながらも方法がないことを理解したらしく、ポケットからロックシードを出し渡す。

 

 

『パイン!』

 

開錠すると頭上からパイナップルを模した鎧が現れる。

 

『ロック・オン! ソイヤッ!』

 

 

『パインアームズ! 粉砕・デストロイ!!』

 

 

オレンジロックシードを外し、新たなロックシードをセットし切る。

オレンジ鎧が消え、新たに装着されたパイン鎧はオレンジ鎧よりも一回り大きく、金色の輝きを放ち、新たに現れたパイナップルの形をした鉄球型の武器『パインアイアン』を持つその姿はオレンジアームズとは違いパワータイプと呼ぶに相応しかった。

 

「なるほど………ロックシードが変わると武器も変わるのか。はぁっ!!」

 

パインアイアンを振り回し、遠心力をつけてインベスに叩きつける。

インベスの拳とパインアイアンが激突する。しかし、パインアイアンの破壊力がインベスのパワーを上回っており、インベスが押し負け拳が砕ける。

 

さらに叩きつけようとするがパインアイアンがインベスの首筋に引っかかり思いっきり引っ張られる。だが、とっさに無双セイバーとパインアイアンをくっつけ、引っ張られた反動を利用し切りつける。

 

「これすげーな! ……って、うおっ!!?」

 

パインアイアンの予想外のパワーに驚愕する。このまま決める、と思った直後、インベスが咆哮をあげる。突然のことで動きが止まった隙にインベスが移動を始める。

 

インベスの向かう先にいたのはチーム鎧武とチームバロンのメンバーや町の人々だった。

 

インベスが右手を振り上げ、人々に振り下ろそうとする。

 

 

 

しかし、その腕はパインアイアンにくっついた無双セイバーが縛り付き動きが止まる。

 

「やらせるわけ……ねえだろっ!!」

 

『ソイヤッ! パインスカッシュ!』

 

「はああっ!!」

 

将汰は高く飛び上がりパインアイアンをインベスに向けて蹴りつける。

 

すると、パインアイアンが徐々に大きくなりインベスの顔に突き刺さり視界を覆う。

 

 

「はああああっ………セイハーーーーーッ!!!」

 

 

右足にエネルギーを溜め、インベスを貫く。

直後、インベスの体は崩れていき爆散した。

 

 

 

「勝った………将汰さんが勝った!」

 

チーム鎧武のメンバーたちが将汰の勝利に喜び合い、集まってくる。

 

 

 

「将君……えっと、あの………」

 

「まどか。みんなのステージ………取り戻したぜ!」

 

「! うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今日は飛びっきりの大ニュースを持ってきたぜ!チーム鎧武とチームバロンの因縁の戦いに突如、謎の鎧武者が乱入! チーム鎧武のメンバーらしいこの男はチームバロンのインベスを倒し、チーム鎧武に勝利をもたらしたーーーーー!!!』

 

とある車の中。

 

一人の男がDJサガラの配信を見ていた。

 

 

『突如乱入したこの男、颯爽とインベスを倒したこいつを俺は『アーマードライダー鎧武』と呼ぶことにしたぜ!!』

 

 

「アーマードライダーか……。まずは一人、順調のようだな。しかし、この男………………」

 

男が自分の鞄から資料を出し、その中の一枚に目を留める。

 

 

「やはり……こいつか………」

 

 

 

 

 

 

そこには『創神館学園 1年 仮面ライダーリュウガ 桜庭 将汰』と書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アーマードライダーという名称が登場しました。今後は新しいライダーが出る度に正式名称を書いていきます。仮面ライダー鎧武 オレンジアームズ みたいに。

ナックルとデュークの外伝が決定しましたね。

貴虎の決意、戒斗の過去ときて次はどんなのは楽しみです。

あと劇場版仮面ライダードライブと手裏剣戦隊ニンニンジャーとアベンジャーズも。


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