仮面ライダー鎧武 アナザーストーリー   作:佐々木 空

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バナナなライバルと謎の森

アーマードライダー鎧武

 

 

 

 

 

ロックシードを使いインベスを呼び出すのではなく、ロックシードとドライバーを使い鎧を身に纏いインベスゲームに参加するその異色のゲームスタイルは瞬く間に街の人々の間で人気となった。

 

インベスを難なく撃退できる戦闘力、インベスと言う怪物に立ち向かう人間、様々な要素を持ったそれをもはや知らない者はいなくなっていた。

 

 

 

 

負け続けているランキング最下位のチームに突如現れたそれを、まるでヒーローだ、と呼ぶ者も少なくはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「な~にがアーマードライダーだよ。あんなベルトを使っているんだから勝つのは当たり前だろ! つーか、そもそもインベスゲームに人間が参加すること自体反則だっつーのっ!!」

 

「でも、確かにあのベルトはすげぇよな………」

 

 

チームバロンが集まる拠点。

 

 

毎日のようにテレビに取り上げられるアーマードライダー鎧武にペコが文句を言う。その隣ではベルトの強さを認めているのかザックが驚きに満ちた言葉を漏らす。

 

 

チーム鎧武とチームバロンのインベスゲーム以来、ランキング下位の鎧武が注目を集めてきている。今まで負けてきたチームとは思えないほどの追い上げを見せてきているのだ。

 

今でもバロンはランキングトップのままだが、それも時間の問題だろう。

 

 

 

 

 

 

「下らん」

 

サクッ!!

 

「「っ!??」」

 

 

 

突如、声が響いたかと思ったら一枚のトランプがテレビに突き刺さり画面が消える。

 

二人が振り向くと戒斗が不機嫌そうな顔で画面の消えたテレビと見つめていた。

 

 

今まで黙っていたので特に気にしていないのかと思っていた二人だったがそれが間違いだったことに気付く。少なくとも戒斗は自分たちよりも遥かに今の状況に怒りを感じているのだ。

 

 

「あいつはあのベルトの使い方がなっちゃいない。あれでは力を持ってはしゃいでいるだけのガキとそう変わらない」

 

 

 

そう。間違っている。

 

 

本当の力を使い方とは―――――――

 

 

 

 

 

「そ、そうですよね!いや~さすが戒斗さん!」

 

「はぁ、どうでもいいけどよ。どうすんだよ戒斗。このままじゃ立場ないぜ俺たち?」

 

ペコが戒斗の考えに賛成する一方でザックが不満を漏らす。バロンは確かにランキング1位だが、みんなの注目は今や鎧武だ。ランキングトップというのもただの看板だと思われるかもしれない。

 

 

「あの、リーダー? 錠前ディーラーからです。」

 

その時、バロンのメンバーの一人が電話を持ちながら近づいてくる。

 

「シドからだと? ………何の用だ…」

 

『よぉ。最近、景気が悪いみたいだな?』

 

電話を取ると聞こえてきたのは人をおちょくるようなむかつく声。

 

この状況を仕組んだのは貴様だろうに、戒斗は心の中でそうつぶやいた。あのベルトはロックシードを使うもの。ならば錠前ディーラーであるシドが知らないはずがない。大方、チーム鎧武にあのベルトを渡したのはシドあたりだろう。そうなんとなくだが理解していた。

 

 

「冷やかしなら他所でやれ」

 

『まぁまぁ、落ち着けって』

 

イライラして電話を切ろうとする戒斗だがシドが引き止める。

 

「用件は何だ…………」

 

『な~に、最近ゲームは一方的すぎて面白味に欠けると思ってな?』

 

 

そう言うシドの目の前には戦極ドライバーとロックシードが置かれていた。

 

 

 

-------

 

 

 

 

 

「はぁ~~~~~鬱だ………」

 

ドルーパーズにやって来たアーマードライダー鎧武、桜庭将汰は深いため息と共に机の上にうつ伏せになっていた。かれこれもう10分はこの状態だ。

 

 

何故こんな状態なのかというと、時間は少し遡る。

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりだな……ここに来るの」

 

「きっとみんな喜んでくれますって」

 

チーム鎧武のガレージの前に現れたのは将汰と光実だった。

 

「それにしても嬉しいです! まだその服を持ってくれていた事もそうだし、何よりまたチームに戻ってきてくれるなんて…!」

 

「今日からまたみんなと一緒にいるわけだしな。虫に食われてないかちょっと心配だったけど……。それに戻るって言っても用心棒として来たわけだから、ちゃんと戻ってきたとは少し違わないか?」

 

そう言いながら自らが着ている服を見る将汰。

 

今着ているのは、以前チームにいた時に着ていたチームのイメージカラーである青で背中には鎧武者が描かれたパーカーだった。

 

 

チームの代わりにインベスゲームを代行する用心棒として戻ってきたが、果たして本当の意味で戻ってきたと言えるのだろうかと悩む将汰に光実が声を掛ける。

 

「それでもですよ! それにあんなすごいベルトまで手に入れて、インベスにまで立ち向かうだなんて……僕だったら怖くてとても……。本当に、将汰さんがいればもう怖いものなしです!!」

 

「たまたま手に入れただけだけどな」

 

 

まぁ、あまり目立たないように自重するかと思い、光実と供にガレージに入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果―――――――自重出来ませんでした。

 

 

 

 

 

ステージに行き、チームのダンスを見守っていた時に『チームレイドワイルド』のリーダー”初瀬亮二”とそのメンバーたちがインベスゲームを仕掛けてきたので用心棒の出番と思い、変身して勝負。

 

観客の応援で気分が高まり、派手に撃退。しまいには観客に向かって「ありがとぉぉぉおおーーーーーッ!!」という始末。

 

これではダンスとアーマードライダー、どちらが主役か分かったものじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことが何回かあり、現在軽い鬱状態になっている。

 

「おう、どうしたんだよ。そんなにネガティブになっちまって?」

 

「ちょっと色々あったんですよ………」

 

「ふぅ~ん……ま、とりあえず。ほら、これ」

 

「? イチゴパフェ? 俺何も頼んでないんですけど……」

 

「そりゃ、俺の奢りだからな」

 

え?と疑問に思う将汰にさも当然のように阪東が言う。

 

「チームの事情とかはよく分かんねぇけどさ、みんなお前のこと頼りにしてるんだろ? だったらさ、お前がそんな顔してたらみんなの気も滅入っちまうって。とりあえずこれでも食って元気出せよ」

 

「阪東さん………」

 

 

 

 

「ここに居たか。桜庭将汰」

 

 

 

 

突然、自身を呼ぶ声が店内に声が響く。

 

振り向くと店の入口にバロンのリーダー、駆紋戒斗が立っていた。

 

 

「お前は………」

 

「おい戒斗。ここでインベスゲームはご法度だぞ…」

 

「戦いに来たのではない。話をしに来ただけだ」

 

阪東の忠告を聞きながら、そう言い将汰に近づいてくる。

 

 

「アーマードライダー鎧武、桜庭将汰。貴様に聞きたいことがある。」

 

「………何だよ?」

 

「貴様がアーマードライダーになってからチーム鎧武はどんどんランキングが上がっている。それは紛れもない事実だ。だが、なぜ貴様は他のチームのステージに攻めようとしない?」

 

インベスゲームに勝てばランキングは上がる。それは自分のステージを防衛しようが、他のチームのステージを奪おうがどちらでも適用するルールだ。現にチーム鎧武は挑戦してきたチームをすべてインベスゲームで撃退し、ステージを守りながらランキングを上げている。

 

 

そう、すべて挑戦してきた者を倒して、だ。

 

 

戒斗の言葉通り、他のチームのステージにはまだ一回もインベスゲームを仕掛けに行っていない。

 

「そりゃ必要ないからに決まっているからだろ」

 

「必要ない……だと……?」

 

「ああ。俺は俺たちのステージを守るために用心棒をしてるんだ。それにランキングも上がっている。別に俺たちのステージがあるんだから他のチームのステージを奪う必要がないってこと」

 

「成るほど………やはりな」

 

「……何だよ」

 

将汰の話を聞き、戒斗は将汰をどこか馬鹿にしたような笑みを浮かべる。

 

「分かっただけだ――――貴様はただの臆病者だということがな!」

 

「! 何だと! それ、どういう意味だよッ!」

 

「貴様は必要ないからしないのではない。ただ他の連中の恨みを買うのを怖がっているだけだッ!! 自分たちがステージを奪い、他のチームを目の敵になることを恐れてな!!」

 

「お前………!!」

 

「全ての敵を打ち倒し、奪い、踏みにじる。それが力持つ者の権利! 貴様に足りないのはその覚悟だッ!!」

 

「分かった……勝負なら受けてたってやる…!」

 

「ふん……臨むところだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でもその前に―――――」

 

「………?」

 

「このイチゴパフェ食ってからな」

 

「…………………早くしろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい! バロンのリーダーがアーマードライダーに勝負を挑むってよ!!」

「まじかよ!? 早く行こうぜ!」

 

 

チームバロンのリーダー対アーマードライダー鎧武。

 

 

この二人の勝負を観るために広場にはすでに多くの人々が集まっていた。一度負けているとはいえ、チームバロンはランキングトップのチーム。そのリーダーとアーマードライダーとのインベスゲームはたくさんの人々が注目していた。

 

当然、その中にはチーム鎧武やチームバロンのメンバーも含まれている。

 

 

「っ! まどかさん! さやかさん!」

 

「光実君! これって一体……」

 

「何やってんのよあいつ等! ステージも関係ないのにインベスゲームなんて……」

 

 

「そんな甘っちょろいのだったらまだ良かったんだけどなぁ~~」

 

 

さやかの隣から声がしたので振り返るとそこには杏子がいつの間にかいた。

 

「って、杏子!? あんたもいたの!? それにそれってどういう意味?」

 

「これはゲームじゃなくて決闘に近いってことだよ」

 

そう言いながら、二人をポッキーで指差す。

 

そこでは二人が周りは関係ないとばかりに睨み合っていた。

 

 

 

 

 

「お前が何体インベスを使おうと無駄だ。俺が勝つ!」

 

それはある種の自信だった。この前のようなロックシードを食べ、巨大化したインベスならともかく普通のロックシードから出てきたインベスならば100%勝てる自信がある。

 

事実、レイドワイルドや他のチームが複数のインベスを使うこともあったがその全てを難なく撃退してきた。普通のインベスだったらもはや敵なしだった。

 

 

そう、普通(・・)のインベスだったら――――。

 

 

「ふん……そんなお遊びはもう終わりだ」

 

不敵な笑みを浮かべ、戒斗が取り出したのは―――――

 

 

「なっ………それは―――!」

 

 

―――――戦極ドライバーだった。

 

 

「! あれって……」

 

「もしかして……」

 

戒斗がベルトを腰に当てるとベルトが装着される。同時にファンファーレのような音と共にプレート、ライダーインジケータに騎士のような顔が浮かび上がる。

 

 

「―――――変身」

 

『バナナ!』

 

音声と共に戒斗の頭上からバナナを模した鎧が現れ、静止する。

 

『ロック・オン!』

 

ロックシードを手元で回転させ、ベルトにセットする。それと同時にファンファーレのような音が辺りを包み込むかのように鳴り響く。

 

 

「バロンのリーダーも変身するの!?」

「じゃあ、アーマードライダー――――”バロン”ってことか!?」

 

『カモン! バナナアームズ!』

 

ロックシードを切るとバナナを模した鎧が戒斗の頭に突き刺さる。

 

「えっ、バナナ!? バナ…バナナ?!」

 

 

「バロンだッ!!」

 

『ナイト オブ スピアー!』

 

戒斗の怒声と共にバナナの鎧が展開される。

 

そこに立っていたのは二本の角を持ち、右手にはバナナを模した槍『バナスピアー』を握り締めた赤い姿に黄色い鎧を身に纏った騎士だった。

 

――――アーマードライダーバロン

 

今ここにアーマードライダー鎧武に続く二人目のアーマードライダーが沢芽市にて誕生した。

 

 

「お前もベルトを……」

 

「ふん、まさか自分一人だけ、とでも思っていたのか? ―――今から俺が、本当の強さを見せてやる」

 

「ッ! 変身!」

 

『オレンジ!』『ロック・オン! ソイヤッ!』

 

『オレンジアームズ! 花道・オンステージ!!』

 

バロンから感じたことのあるものを感じ取る。かつて何度も感じたことのある……戦うものが発する独特の雰囲気だ。

 

それを感じ取るとすぐさま自信もロックシードを取り出し、アーマードライダーへと変身する。

 

 

アーマードライダー鎧武とアーマードライダーバロン

 

 

今ここに、二人のアーマードライダーが揃った。

 

 

二人はそれぞれの武器を構える。従来のインベスゲームでは実現しなかった初のアーマードライダー同士の戦いが始まろうとしていた―――――その時。

 

 

「ちょっと待ったぁっ!!」

 

 

「っ…何だ?」

 

「………何故ここに居る。水を差すつもりか―――シド」

 

突如、広場に男の大声が響き渡る。

戒斗がその男、錠前ディーラーのシドに怒りを伴った声で自分たちをを止めた理由を問う。だが、それをものともせずシドは二人に向かって話を続ける。

 

「アーマードライダー同士の闘いとなっては、それはもうインベスゲームとはいえない。新しいルールが必要だ」

 

そう言いながらシドは懐から二つのロックシードを取り出し、二人に投げ渡す。

将汰と戒斗はそれぞれ渡された桜の模様とバラの模様が入ったロックシードを見る。

 

「お二人さん、そいつを開けてみな」

 

言われるがままロックシードを開錠する二人。

 

すると普通はインベスを呼び出すはずのロックシードが空中に浮かび上がりながら徐々に大きくなり、バイクに変形した。

 

「すげぇ…」

 

「何だ、これは……」

 

「新開発のロックビークルだ。まだ試作品だが…ま、お前らになら乗りこなせるだろ」

 

「なるほど…こいつで勝負というわけか」

 

「いいぜ。やってやろうじゃねえか!」

 

 

 

 

「あいつ等…勝手に話を進めて……」

 

「さ、さやかちゃん…顔がすごいことになってるよ。と、とりあえず二人とも止めないと……」

 

「いやいや、もう無理だろこれ」

 

「うん。これ……もう収集つかないよ…」

 

 

 

-------

 

 

 

町のはずれにあるコンテナ群。

 

広場にいるチーム鎧武とチームバロンのメンバーは二人の邪魔にならないよう、タブレットのモニターを介してスタートラインにスタンバイしている二人を見守る。

鎧武とバロンはそれぞれのバイク、サクラハリケーンとローズアタッカーに跨りながらスタートの合図を待っていた。

ハンドルを握り締め、エンジンを吹かす。

 

永遠のような時間の中――――――

 

 

ピーーーーーーーッ!!

 

 

開始の合図が鳴った。

 

「「っ!!」」

 

合図と同時にバイクで走り出す。タイミングはほぼ同時。目の前に現れる障害物を避けながらなるべくスピードを落とさずに走り続ける。カーブに差し掛かり、前に躍り出たのは――――

 

 

「先行はバロンだぁっ!!」

 

 

――バロンだった。

 

二人とも同じスピードで走っていた。だが、バロンが先に前に出た理由は実にシンプルだ。それは、バロンはあらかじめカーブの内側を走っていたからだ。たとえ同じスピードで走っていてもカーブの内側を取るのと取らないのとでは天と地の差が出てしまう。

戒斗は心の内で勝利を確信する。最初のカーブだけでも勝負の結末に大きな影響を出す。同じスピードで走っている以上、追いつくことは不可能…………だが。

 

 

「うおおぉぉおっ!!」

 

「っ、何っ!?」

 

突如、鎧武が隣に現れる。それにより二人は並び、再び展開は最初に戻った。

 

「(ばかな!? こいつ、どうやって追いついた!? ………まさかこいつ…)」

 

ほぼ同じスピードでも相手より早く走る方法が存在する。

 

 

スリップストリームという言葉をご存知だろうか。

 

人に限らず物などは移動するときには必ず風の抵抗を受けることになる。もし、全力で走っていても風の抵抗を受け思っている以上の速度は出せないだろう。

ならばどうやって風の抵抗を受けないようにするのか? 答えは簡単だ。前を別の人物が走ればいい。前の人物が風の抵抗を受け、自分がその後ろをぴったり走れば風の抵抗は少なく、同じ速度であっても疲労は少なく速く走ることが出来る。

 

 

「なるほど……ただ力を持っているだけではないということか」

 

「このまま一気に………ん? 何だこれ? スピードメーカー……じゃない?」

 

さらに速度を上げようとする二人だったが、画面にスピードメーカーではない数字が表示される。980、990、どんどんメーターが上がっていき、数字が999に到達した時、それは起きた。

 

「え、何これ!? 桜?!」

 

「何っ!?」

 

モニターが赤くなり警告音を発した後、二人の周りを桜とバラの花びらが舞い始める。それと同時に二人の乗っているバイクが何もしていないにもかかわらず浮き始めそのまま回転を始める。

 

徐々にスピードを上げながら回転し、二人の目の前に見たことのある入口が表れ――――二人はそれに突っ込んで行き姿を消した。

 

「今のって……」

 

「お、おい! 二人ともどこに行っちまったんだよっ!?」

 

 

 

 

 

 

-------

 

 

チーム鎧武とチームバロンのアーマードライダー同士の戦いから突如姿を消した二人。

それぞれのメンバーが安否を心配する一方、その二人はというと…………

 

 

「うおおおぉぉ……ぉ…って、ここは……」

 

「なんだ……ここは……」

 

それぞれ桜の形、バラの形の入口を通り抜けると二人の目に映った景色はあのインベスが住んでいるであろう森だった。

以前はたまたま迷い込んだだけだった将汰だったが、今度は違った。そして気付く。このバイク、ロックビークルは自分たちのいた場所とこの森とを行き来するためのものだということに。それと共に疑問も湧いた。

 

何故、ユグドラシルはこの森のことを町の人々に黙っているのか。

 

ロックシードを作ったのは他でもないユグドラシルだ。そして、このロックビークルを渡してきたシドもユグドラシルの人間だ。当然、この森の存在も知っているはずだ。ならば何故、何も公表しないのか。

 

様々な疑問が頭の中をよぎるが、背後から聞こえるインベスの声で現実に引き戻される。

 

「キイィィッ!」

 

「! インベス……って、なんで飛んでんの?!」

 

近づいてきたのは普通のインベスだった。ただし、背中に生えている虫のような羽を除けば、だが。

なおもバイクを走らせる将汰だが、反対に戒斗はバイクを止めインベスに向き直った。

 

「お前、何してんだよ!」

 

「何を、だと? 戦うに決まっている!」

 

将汰の静止を無視し、バナスピアーを構えるとそのまま飛んでいるインベスに向かって行く。その戒斗を見てほっとくわけにもいかず、ああもう! 、と言いながらバイクを降り、戒斗の後を追うようにインベスに向かう。

 

 

 

「おらぁ!」

 

慣れた手つきで無双セイバーを振るうが、相手は普通のインベスに羽付きときている。何度も何度も剣を振るってもすぐさま空中に逃げられ空を切る。

対するインベスはというと、縦横無尽に空を飛び回りながら確実に鎧武をダメージを与えていく。

 

「ちょこまかちょこまかと……ハエかお前はッ!!」

 

そんな状況が何度も続き、若干イラついたのか、無双セイバーのレバーを引き弾丸を放つ。その弾丸は見事にインベスの羽を打ち抜き、インベスを地に叩き落とした。

対するバロンもインベスの動きのパターンを読み、バナスピアーでインベスを地面に叩きつける。

 

「所詮はこの程度か…」

 

『カモンッ! バナナスカッシュ!』

 

「これで終わりだ。はあああぁぁっ!!!」

 

戦極ドライバーを操作し、ロックシードを切る。すると、徐々にバナスピアーが黄色いエネルギーが溜まっていく。バナスピアーを左手に乗せるように構えると、そのまま目の前のインベスを貫き、そのまま背後にいたインベスも貫く。

 

「セイィィッ!!」

 

「キイイィィアァァッッ!!」

 

バナナ状のエネルギーに貫かれ動きの止まったインベスをそのまま横一閃に切りつけ、二体のインベスは爆発し跡形もなく倒された。

 

「これが、俺の力…………!!」

 

「お前……」

 

喜びのような、驚きのような声を出す戒斗に少し警戒しながら近づき声を掛けるが、戒斗は変身を解く。その様子に警戒を解き、将汰も変身を解きながら先程のことについて言う。

 

「お前、何無茶してんだよ! ここのインベスは普通のやつより危険なんだぞ!」

 

「知ってるのか。この場所を……?」

 

「ああ。前に一度だけこの場所に来たことがある。そのときにこの錠前を手に入れたんだ」

 

周りの見渡し、自分の戦極ドライバーにセットされているオレンジロックシードを指差す。

 

「錠前を?!」

 

「ああ。そこらじゅうの木に生ってるんだ。こう……木の実みたいな形で」

 

「果実……で、町に帰るにはどうすればいい?」

 

「ああ、そのことなんだけど。前は出入り口が分かってたからすんなり帰れたんだ。今回とは少し訳が違う。けど心当たりはある。たぶんだけど……」

 

「恐らく、バイクが鍵だろう。ある程度のスピードで走り続けると二つの世界を行き来できるのかもしれない」

 

「やっぱり、お前もそう思うか……にしても一体どうするか……って、おい! 何処行くつもりだよ!?」

 

「貴様と一緒にいても埒が明かない。俺はこの世界を探索する。」

 

「一人でうろついたら危ないって!」

 

「知ったことか! それとも貴様が一人になるのが怖いのか?」

 

「あ? んなわけねえだろ」

 

「ならば俺は好きに動く。貴様とはここまでだ」

 

「~~~! ああそうかよッ!!」

 

最終的に喧嘩のようになりながら、二人は反対の方向にそれぞれ向かって行った。間違ってもまた会うようなことにはならないために。

 

「俺も裕也を探しに行かないと。たく、何なんだよ一体……てゆうか本当に何処なんだよここはああああぁぁぁぁあああっ!!!!」

 

 

一人になった将汰の叫びに答える者はなく、空しく森に響き渡るのだった。

 

 

 

 




遅くなってすいませんでしたぁッ!!

大学の勉強と考えている新しい小説の原作を調べていました。いや、他のよりも今書いている奴をきちんとしろよという話なんですけど…………。


完結だけはきちんとさせるので何卒! 何卒! 長い目で見守っててくれるとありがたいです。


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