どうも、社畜から無職へです。

 今回はガンダムMk-II です。

 例によって無職とAIの妄想と主観、自己満足のお話です。

 設定や解釈に食い違いや勘違いがあるかも知れません。

 そんなのダメだ!な人はプラウザバック推奨。

 笑って許せる、懐の広い方は読んでやって下さい。


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MS達の愚痴、或いは妄想 ~ガンダムMk-II 編~

 

 宇宙の片隅、サイド7の場末にある居酒屋『グリーン・ノア』。

 

 そこは、戦場を退いた、あるいは日々の任務に疲れ果てたモビルスーツたちが、夜な夜な潤滑オイルや冷却液を酌み交わし、愚痴をこぼし合う社交場だった。

 

 カウンターの奥、ひときわ暗い席で、白い装甲に群青と赤のトリコロールをあしらった機体が、ジョッキに入った高純度潤滑油をあおっていた。

 

 エゥーゴ仕様のガンダムMk-IIである。

 

 すでにメインカメラは切れ掛けの電球のように点滅し、排熱スリットからはハァ、ハァと熱い排気が漏れている。

 

 その隣には、良き相談相手であり、かつて共に戦ったリック・ディアス(クワトロ機仕様の赤)と、後輩にあたる量産機ネモが、困ったような顔で座っていた。

 

 「おい、ネモ! ディアス! お前ら聞いてんのかよ!」

 

 Mk-IIはバン!とカウンターのテーブルを叩いた。チタン・セラミック複合装甲の手首が、鈍い音を立てる。

 

 「聞いてますよ、先輩。もうその話、今夜で15回目ですって」

 

 ネモが緑色のゴーグルを曇らせながら、手元の低コスト冷却水をすする。

 

「うるせえ! てめえ、一々数えてんのか?! 15回だろうが15億回だろうが、言い足りねえんだよ! いいか、俺の何が『ガンダムの正統なる後継者』だ! 笑わせるな!  ティターンズの奴ら、大層な名前を付けて俺を3機も作りやがって、蓋を開けてみれば何だ!? ロールアウトした直後の時点で、現行機どころか旧式機にさえ、一部の性能で劣ってたんだぞ!」

 

 Mk-IIはジョッキをひったくるように持ち上げ、一気に流し込んだ。

 

 「まぁまぁ、Mk-IIさん。そう熱くなりなさんな」

 

 リック・ディアスが、どっしりとした体躯を揺らしながら、なだめるように言った。

 

「君はあのカミーユ・ビダンを乗せて、ティターンズの最新鋭機と渡り合ってきたじゃないか。誇りを持っていいはずだ」

 

 「いや! ディアス、お前だよ、お前!」

 

 Mk-IIの指が、リック・ディアスのモノアイを指差した。

 

 「お前が一番の元凶なんだよ! お前、俺より先に実戦投入されてただろ!? なのに、なんで装甲が『ガンダリウムγ(ガンマ)』なんだよ! おかしいだろ! 俺の装甲を見てみろ! 『チタン合金セラミック複合材』だぞ!? ただの合金チタンだ、チタン! 一年戦争の時の、俺の親父……RX-78-2でさえ『ルナ・チタニウム(ガンダリウムα)』を使ってたんだぞ! なんで俺の代になって、装甲の材質が退化してんだよ!」

 

 「それは……ティターンズが……バスク・オムが敵視するジオン系技術者を排除して先輩を設計したからで。 エウーゴの様に技術供与(ガンダリウムγ)を受けられなかったし、ジオン側も交渉しようとも思わんからで……どう考ても当たり前じゃあ……」

 

 ネモがフォローしようとするが、Mk-IIの怒りは止まらない。

 

 「そんな大人の事情、俺の知ったことか! おかげで俺は、ちょっとビームがかすっただけで装甲がドロドロに溶けるんだよ! おい、ディアス、お前なんか、デブのくせに早いんだよお前は! 設定資料でも脚部裾の積層装甲のイラスト出てただろ! 先行機、しかも量産型のお前に装甲や関節の強度、ありとあらゆる所で負けてるガンダムの気持ちが、お前にわかるか!? 親父(RX-78-2)の強さはな、ビーム兵器の強さだけじゃないんだ! 撃たれようが蹴られようが平気な装甲と関節の強度、それと高い機動力で一般人だったアムロが成長するまで機体性能で他を圧倒してたからなんだ!」

 

 「デブって言うな。これは推進剤のタンクの容積だ。 それに元になった設計はGP-02、れっきとしたガンダムだからな? 脚とかのデザインラインとか、肩のスラスターが俺の背中のバインダーの(後付けの)元ネタなんだぜ」

 

 リック・ディアスはため息をついた。

 

 「それだけじゃない!」

 

 Mk-IIはさらにヒートアップし、ジェネレーターの回転数を上げた。

 

 「出力だよ、ジェネレーター出力! 俺の出力は1930キロワットだ。これ、パッと見は強そうに思えるだろ? だがな、一年戦争の終盤に出たジオンの旧式機……そう、ゲルググ先輩な! あの人の出力、いくら知ってる? 1440キロワットだ。……いや、それは勝ってるよ? 勝ってるけど、攻撃力で劇的な差じゃないだろ! さらに言えば、同時期に使用されてたガルバルディβ! あいつ、連邦で量産されてる現行機だけど、出力1507キロワットで、機動性に関しては俺と大差ないんだぞ! ガンダムというブランドを背負わされて、性能的に量産機とドッコイドッコイの戦闘性能って、何の冗談だ!?」

 

 「でも、Mk-II先輩には、あの画期的な技術があるじゃないですか」

 

 ネモが気を使って、Mk-IIの最大のアイデンティティに触れた。

 

 「ほら、全身を構築する、あの……」

 

 「あ、それな」

 

  Mk-IIは急にトーンを落とし、自嘲気味な笑いを漏らした。

 

 「ムーバブル・フレーム、な。……ハハッ、自分で言うのも何だけどさ。俺の体で優秀なのは、本当にフレームの設計だけなんだよ。」

 

 Mk-IIはジョッキの縁を指でなぞりながら、恨めしそうにつぶやいた。

 

 「フレームデザインだけが超一流で、フレーム強度、装甲、その他諸々が総合的に三流。それが俺、ガンダムMk-IIというモビルスーツの正体さ。ティターンズの技術者どもは、骨組みの形状設計に全精力を注ぎ込みすぎて、予算が尽きたのか、あるいは技術が追いつかなかったのか、外側をケチりやがった。 結果として、どうなったか知ってるか?」

 

 ネモとリック・ディアスは顔を見合わせた。

 

 「エゥーゴに3機とも盗まれた後さ。 俺は徹底的に解体されて、研究し尽くされた。『うわー、このフレームすげえ!』『連邦の技術すげえ!』って、アナハイムの技術者どもが群がってきてさ。俺の骨組みのデータを、これでもかってくらいコピーしていったんだ。……おい、ディアス。お前の後輩として作られた、あの百式。あいつのスマートな脚部や運動性、どこから来たと思う? 俺のムーバブル・フレームだよ!」

 

 「まぁ、確かに百式はMk-IIのデータを参考にして再開発されたが……」

 

 「参考どころか、丸パクリだろ!」

 

 Mk-IIは再び怒声を上げた。

 

 「百式だけじゃない! ネモ、お前だってそうだろ! お前のその、ちょっと安っぽいけど量産機としては破格の運動性を持つフレーム、誰のデータをダウングレードした結晶だと思ってんだ!」

 

 「は、はい……Mk-II先輩のフレーム構造を全面的にダウングレードして採用させていただきました……」

 

 ネモは恐縮して頭を下げた。

 

「そうだよ! みんな俺の骨をしゃぶり尽くして、おいしいところだけ持って行きやがった! なのに、当の俺はどうだ? 『フレームは良いけど、総合性能はちょっとね……』って、前線のパイロットたちからは微妙な目で見られる。結局、俺は『Zガンダムが出るまでの間の合わせにして、Zの強さを演出するための踏み台』に過ぎなかったんだよ!」

 

 Mk-IIのメインカメラから、一筋の冷却水(涙)が流れ落ちた。

 

 「踏み台……そんなこと……」

 

 リック・ディアスが慰めようとするが、Mk-IIの言葉は、宇宙世紀の歴史が証明する冷酷な事実そのものだった。

 

 「そんなことあるんだよ! 思い出してみろよ、グリプス戦役の中盤を! ガブスレイに翻弄され、俺とカミーユがZガンダムに助けられた瞬間の、あの周囲の空気の変わりようを! 『おお、これこそ本物の新型ガンダムだ!』『変形するぞ!』『戦闘性能が違いすぎる!』って、全員が手のひらを返しやがった! それまで俺に乗り続けたカミーユの野郎も、Zが来た瞬間から、俺のことなんか目もくれなくなったんだ!」

 

 Mk-IIは、かつての主役機の座を奪われた痛みを思い出し、胸のハッチを叩いた。

 

 「Zガンダムがどれだけ化け物か、お前らも知ってるだろ!? 出力2020キロワット、装甲は当然ガンダリウムγ、おまけに単独で大気圏突入ができて、ウェブライダーに変形する! さらに、バイオセンサーとかいうオカルトシステムまで積んでやがる! あいつが戦場で、ビーム・サーベルを巨大化させて敵を真っ二つにしてる後ろで、俺が何をしてたか覚えてるか!?」

 

 「ええと……確か、エマ・シーン中尉を乗せて、後方を支援していたような……」

 

  ネモが記憶をたどる。

 

 「支援(笑)だよ! 実質、お荷物扱いさ! 火力不足、推力不足、装甲薄すぎ! ティターンズの新型機がどんどんバケモノじみていく中で、俺だけが取り残されたんだ! 一人じゃ戦えないからって、カツの乗るGディフェンサーと合体させられてさぁ! 『スーパーガンダム』なんて派手な名前を付けられたけど、要するに何だ!? 『旧式化したから、介護ユニット(戦闘機)を背負わせて、無理やり現役に留まらせる』ってことだろ! あんなの、ガンダムとしてのプライドがズタズタだよ!」

 

 「でも、ロング・ライフルは強力でしたよ。ティターンズの最新MSを何機も落としたじゃないか」

 

  リック・ディアスがフォローする。

 

 「あれはライフルが強いだけで、俺の性能じゃない! 使えるのは俺だけじゃないんだ! しかも、合体している間は、背中が重くてしょうがないんだよ! Gディフェンサーが撃墜されたら、ただの防御力の低いMk-IIに戻るんだぞ? 毎日が綱渡りだったんだよ! Zの奴は、単体でバイオ・センサーだの、ハイパー・メガ・ランチャーだの、派手な技を連発して主役オーラを撒き散らしてやがった。俺はいつも、その引き立て役さ。Zが『新型の圧倒的な強さ』をアピールするためには、俺という『ちょっと頼りない前代のガンダム』が必死に苦戦して、バトンタッチする必要があったんだ。最初から、踏み台としてシステムに組み込まれてたんだよ、俺は!」

 

 Mk-IIはジョッキを空にし、カウンターに突っ伏した。

 

 その時、居酒屋の自動ドアが開き、新たな客が入ってきた。

 

  独特なモノアイ、そしてあまりにも特徴的な、股間が突き出たような腰部構造……。

 

 ティターンズで開発された量産機、バーザムだった。

 

 バーザムは、カウンターで泥酔しているMk-IIを見るなり、その単眼を輝かせた。

 

 「おっ、Mk-II先輩じゃないですか! ちーっす!」

 

 バーザムは軽い足取りで、Mk-IIの反対側の隣の席に腰掛けた。

 

 「げっ……バーザム……」

 

 ネモが嫌そうな顔をする。

 

 グリプス戦役では敵同士だった間柄だ。

 

 Mk-IIはノロノロと頭を上げ、バーザムを見た。

 

  「あぁ? お前は……ティターンズの……。お前、俺の何だっけ? 俺のデータを使って作られた、簡易量産機だっけか……?」

 

 「簡易なんて言わないでくださいよ、先輩!」

 

 バーザムは、自分の二重の胸部装甲を自慢げに叩いた。

 

  「俺は先輩の優秀なムーバブル・フレームを簡略化して、生産性を極限まで高めた、ティターンズの良心ですよ! 先輩の骨組み(フレーム)があったからこそ、俺はこの世に生を受けることができたんです。マジでリスペクトしてます!」

 

 Mk-IIは、バーザムの姿をじっと見つめた。

 

 頭部から生えた大きなトサカ、奇妙な胴体バランス、そして何より、ガンダムの面影がひとかけらもないそのデザイン。

 

 「……バーザムよ」

 

 「はい、先輩!」

 

 「お前……本当に俺の後継機(量産型)か……?」

 

  「ええっ!? 設定上はバッチリ、先輩の直系の子孫ってことになってますよぉ!」

 

 「だったら、なんで……なんでそんな姿になっちゃったんだよぉおおおおお!!!!!」

 

 Mk-IIは再び大泣きし始めた。

 

 「俺の美しいプロポーションは!? ガンダムの象徴たるツインアイは!? V字アンテナはどこへ行ったんだよ! お前、どっちかっていうとジオン系だろ! あるいは、どっかの作業用重機だろ! 俺の遺伝子(ムーバブルフレーム)をどう弄くり回したら、そんなアクの強い見た目になるんだよ! アナハイムもティターンズも、俺のフレームを便利なおもちゃにしやがって! Z系列機を見ろ! Zプラス何んか全身を各種目的に合わせてリファインした美しい機能美の塊じゃないか!」

 

 「いやいや、先輩! 見た目はアレですけど、俺、プラモデル(ガンプラ)の世界じゃ、カルト的な人気があるんですよ!? 『バーザムがついにHGUCでキット化!』ってなった時、宇宙世紀のモデラーたちがどれだけお祭り騒ぎになったか知ってますか!?」

 

 「うるせえ! プラモの話をするな! プラモと言えばなぁ!」

 

 Mk-IIはバーザムの胸ぐら(のような装甲)を掴んで揺さぶった。

 

  「俺のプラモのバリエーションを見てみろ! 『ティターンズ仕様(黒)』と『エゥーゴ仕様(白)』で、必ず2種類出されるんだよ! 成型色を変えただけで、実質同じキットを2回買わせるための商法に使われてるんだよ! しかもな、RG(リアルグレード)とかマスターグレード(Ver.2.0)とか、新しい技術が出るたびに、俺は『実験台』として真っ先にキット化されるんだ!」

 

 「それって、人気がある証拠じゃないか。それに色違いのキットを出されるのは俺も同じだぜ」

 

 リック・ディアスが宥める。

 

 「違うね! お前は量産機が最初は黒で後半には赤色が一般パイロットに人気で、クワトロがキンキラ金に乗り換えたって理由(諸説有)で量産機まで赤色になったからだろ! 俺は『構造がシンプルで、ムーバブル・フレームの再現がしやすいから』だよ! ここでもフレームだよ! プラモの設計者にとっても、俺は『ガンダムタイプの中で、一番フレーム構造を説明しやすい都合のいい存在』なんだ! そして俺で培った技術を使って、後から『Zガンダム(Ver.2.0)』とか『ダブルゼータ』とか、本命の派手な奴らが出されるんだ! ホビーの世界でも、俺は踏み台なんだよ!!」

 

 Mk-IIは叫び、そのままカウンターに突っ伏してピクリとも動かなくなった。 強制冷却モードに入ったようで、排熱ファンが「ウィーーーン」と虚しい音を立てて回り始める。

 

 居酒屋『グリーン・ノア』に、静寂が訪れた。

 

 「……寝ちゃいましたね、Mk-II先輩」

 

 ネモが、呆れたように、しかし少し同情を込めた声で言った。

 

 「まぁ、彼の言うことも一理ある」

 

 リック・ディアスが、自分の大きな肩をすくめた。

 

 「ガンダムという、偉大すぎる祖先(RX-78-2)と、天才的な後輩(Zガンダム)の狭間に立たされた機体だ。そのプレッシャーと、技術の過渡期ゆえの歪みと派閥争いを、すべて一身に背負わされたんだからな。愚痴の一つや二つ、6445文字分くらい吐き出したくもなるさ」

 

 「でもさ」

 

  バーザムが、注文した高精製オイルのグラスを飲み干しながら言った。

 

 「俺たち後輩から見れば、Mk-II先輩はやっぱり特別な存在っすよ。あの人が未完成の、欠陥だらけの技術だったからこそ、みんなそれを補おうとして、宇宙世紀の術者も、必死になったんですから。Zガンダムのあの美しい変形も、俺のこの……ちょっと個性的なフォルムも、全部先輩の『ムーバブル・フレーム』っていう偉大な一歩がなければ、存在しなかったわけですし」

 

 「そうだな」

 

  ネモも頷いた。

 

 「俺もお前も陣営は違えどMk-IIさんの量産機だものな」

 

 二人の言葉に、リック・ディアスも静かにモノアイを発光させた。

 

 「機械としての完成度やスペックだけが、名機の条件ではない、ということだな。……よし、ネモ、バーザム。Mk-IIを俺の背中に乗せて、ハンガーまで運ぶぞ。これ以上、ここで醜態を晒させるわけにはいかん」

 

 「うっす。手伝います」

 

 「先輩、少し揺れます。運びますよ~」

 

 3機のモビルスーツは、泥酔して完全にシステムダウンしたガンダムMk-IIを抱え上げた。

 

  その白い装甲は、居酒屋のネオンサインを浴びて、少しだけ寂しげに、しかし確かな存在感を放ちながら輝いていた。

 

 夢の中のMk-IIは、きっと今頃、カミーユに向かって「おい、たまには俺にも乗れよ!」と、終わらない愚痴を叩きつけているに違いない。

 

  宇宙世紀の歴史の『踏み台』となった、しかし、誰よりも愛された、不器用なガンダムの夜は、そうして更けていくのだった。

 

 

 

          (おしまい)

 

 

 

 





 どうも、社畜から無職へです。

 昔、Mk-II のプラモを買って作ったんですが、当時としては非常に出来の良いキットでしたが、足のサイズがデッカかったのにビックリしたのを覚えています。

 逆にνガンダム買った時は腕とかヒョロガリで、ナラティブ見た時に劇中で痩せっぽっちと言われて居たので、自分だけじゃなかったんだと妙な共感を覚えました。

 ではまた、機会があれば。

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