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ナナホシをラノア魔法大学まで送った。
ここからは、また二人旅の始まりだ。
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うーん疲れた。
ナナホシがいなくなったから、旅の速度がスピードアップしてしまった。
もう数十年も入っていない自宅のお風呂が恋しい。
…とっくに腐ってるだろうけど。
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オルステッドには、休みという概念があまりないらしい。
龍族の身体なのだから多少無理をしても構わない、とでも言わんばかりの態度には少々腹が立つ。
いつか文句を言ってやりたいが、一応命を握られている側の俺に、そんなことを言う権利はないだろう。
……俺だって、研究を進めたいんだけどな。
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風の噂で、ミリス大聖堂に泥棒が入ったと聞いた。
あそこの警備はかなり厳重なはずだ。
とんだ馬鹿者もいたものだ。
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魔石病という珍しい病気で、死者が出たらしい。
流行したりしないといいな。
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アスラ王国で第一王子が王になった。
オルステッドは、どうやら第二王女に王になってほしかったらしい。
この知らせを聞いたオルステッドは、「失敗した」と言った。
何もかも諦めたような顔をしていた。
何だか、嫌な予感がする。
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アスラの件から、俺の仕事はどんどん増えていった。
そして、その多くの仕事で失敗するようになった。
オルステッドの機嫌が悪くなっていくのを感じる。
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寝不足と体力不足の状態で研究を進めるのは難しい。
ラプラス復活の時期はまだ先だが、ピリピリしているオルステッドが業を煮やす前に、何か大きな進展が欲しい。
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オルステッドが持っているコンパスを、偶然目にした。
ナナホシから連絡が来る、あれだ。
コンパスは、ナナホシから連絡が来ていることを示していた。
オルステッドはそれを知っていながら、他にやらなければならないことがあるからと放置していたらしい。
俺は烈火のごとく怒り、明日ナナホシの元へ向かうと約束させた。
俺は多少雑に扱ってもいいよ。
でも、静香ちゃんは違うだろ。
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どうして……
全部、オルステッドが悪い。
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コンパスが指し示す空中要塞へ行ったら、ナナホシは自殺したと言われた。
研究が行き詰まり、心を病んでしまったらしい。
コンパスには、確かに連絡が来ていた。
ナナホシは、俺たちに助けを求めていたのだ。
だけど、そんな僅かな助けを俺たちは無視した。
そして、静香ちゃんは死んでしまった。
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俺が日本人だったと明かしていたら違ったのだろうか。
前世のことを黙っていたのがバレたら、ナナホシに嫌われると思って、どうしても言えなかった。
それでも、嫌われても、静香ちゃんの心の支えになってあげるべきだったんだ。
一人じゃないって、伝えるべきだった。
俺のせいだ。
俺が、恩人で何よりも大切だった静香ちゃんを殺したんだ。
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空中要塞に引きこもっていたら、無理やりオルステッドに連れ出された。
「こんなところでグズグズしている暇はない」だそうだ。
誰のせいでナナホシが死んだと思っているんだ。
……いや、俺のせいでもあるか……
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研究は進まない。
オルステッドが休みなく俺を働かせるせいだ。
戦って、人を殺して。
元々、俺は戦いが好きじゃないのに。
人なんか殺したくないのに。
人を殺す度に静香ちゃんの顔がちらつく。
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分からない。
どうやったら無の世界へ行けるのか。
仮説は、すべて外れてしまった。
どうしよう。
もう、あまり時間はないのに。
俺は殺されてしまう。
俺だけじゃない、同じ五龍将のペルギウスだって。
どうしよう。どうしよう。
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珍しくオルステッドと別行動をしていた夜。
夢にヒトガミが現れた。
初めて見たが、モザイクがかかったような姿をしている。
「ようやく君と会えたよ。ずっと
そう言ったヒトガミは、俺に同情しているようだった。
そして、俺が死なないように力を貸すと言ってくれた。
俺は、なんだか泣きそうになりながら、その手を取った。
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そもそも俺は、自分の命惜しさにオルステッドについているだけだった。
先祖の因縁なんて、心底どうでもいい。
それなら、ヒトガミに従ってオルステッドを殺せばいい。
どうして、こんな簡単なことに気が付かなかったんだろう。
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バーディガーディから闘神鎧をもらった。
リングス海から取ってきたらしい。
流石は不死魔族といったところか。
これで、準備は整った。
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俺は、オルステッドの前に立って剣を向けた。
いつものように、震えるほど怖い顔で睨んでこいよ。
殺しにくくなるから。
頼むから。
そんな顔、しないでくれ
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俺は負けた。
自分の出せる物をすべて出した。
今まで作った魔道具も全て。
オルステッドをそれなりに消耗させた自信はある。
それでも、歯が立たなかった。
もうすぐ、俺は死ぬだろう。
視界がだんだん暗くなる中、頬に水が当たる感覚がし、無理矢理目をこじ開けた。
「なんだ、お前、そんな顔できたんだな」
考えたことがそのまま、声に出ていたらしい。
オルステッドは、息を呑んだ。
それが何だかおかしくて、少し笑ってしまった。
オルステッドを憎んでいた気持ちは、嘘のように消えていた。
オルステッドが何事か言っている。
けれど、遠ざかっていく意識に従うように、俺は目を瞑った。
願わくば、彼が幸せな未来に辿り着きますように。
そう、祈りながら。