何とは言いませんが、2人のうちもう片方は↑の人です。
動画を投稿してから、早くも1週間が過ぎた。
世界が変わった気がしたものの、相変わらずバイト、勉強、学校に忙しい日々。ちょっと休める隙間時間に、次はなんの曲を投稿しようか考えるくらいしか、出来なかった。
因みに、芦花と真実は既に見てくれていた。何回、 か、二人の前では披露していた筈だったけど、それとこれでは話が違うらしかった。
「ねぇ、彩葉。次なんの曲弾くの?」
学校の昼休み。お弁当を3人で囲っている中、芦花が聞いてきた。
手元には鶏のささみとブロッコリー、ゆで卵とトマト。白米が入ったピンク色の弁当箱が置かれている。美容系インフルエンサーらしい、低脂質高タンパクのお弁当だった。
「やっぱり、この前弾いてた"Tell your World"とか?」
そう話しながらも、食べる手を止めないのは真実。
真実のお弁当は、豚の生姜焼きと豚野菜炒めが盛大に入った1段と、鶏そぼろ、卵、ほうれん草の3色ご飯の2段目で構成された弁当だった。沢山食べる真実らしく、男子高校生並の弁当箱の大きさだ。
「うーん。既存の曲もいいけど、次は自分で作った曲もあげてみたいんだよね」
前回投稿してから、密かに決めていたことだった。
弾いてみたもそうだけど、自分の曲を世界に公開するのは、また違った感覚になると思う。
自分の考えていることや、感情などが流れ出して曲になる。楽しかったり、悲しかったり、誰かを想う気持ちだったりが自分の曲になる。それらを世界に共有するのだ。届けたい何かを誰かに届ける、その為の1歩。そうなればいいかなと、私はここ数日思っている。
……尚、私の弁当は昨日の
スパイシーさと共に新鮮さが売りのそれだが、昨日の夜貰ったものの為、野菜がしんなりしてしまっていた。まぁ節約の為だ、贅沢言っていられない。
そんな昼食を、私はもくもくと食べ進める。午後も活発に行動する為の栄養補給、
「いいじゃん、いいじゃん!」
「彩葉の自作曲、気になる~」
二人とも、身を乗り出す勢いでそんなことを言ってくれた。まだ聞いてもらってもないのに、もう評価をしてくれたみたいで気分が良かった。
「なら聴いてみる? 一応、ボーカルある想定で作ったやつがあるんだけど……」
そう言って、私はスマホを取りだした。
次の投稿は自作曲と決めてから、ノートパソコンから1部の楽曲を移していたのだった。こうしておけば、バイトとか学校の休憩時間に曲を聞き直して、編曲し直したり、ビートを足したりする助けになるからね。沢山時間も取れないし、こういうのは大事だ。
スマホの音楽アプリを起動して、ワイヤレスイヤホンと接続する。あとは流すだけ……だったのだが、2人からの断られてしまった。
「私達、"iro"のファンだし?」
「ファンは、推しに対して度が過ぎたことをしないのです」
そんな、適度に距離感を保つファンの鏡のようなことを言う二人だった。
……ん? ファンと言ってるってことは……。
「もちろん、チャンネル登録は済んでるよ~」
「"iro"先生、次の投稿も期待してます!」
そう言って、私にスマホの画面を見せてきた。
まだひとつしかない動画、丸いアイコンはデフォルトの人型のまま。"iro"というアカウントの名前と、「よろしくお願いします」と一言書かれたチャンネルの説明文。二人の画面には、ベルのマークと"チャンネル登録済"という表示がされていた。
……ほんと。二人には、とことん頭が上がらないな。
──ありがとう。
精一杯の感謝を、一言だけど伝える。そう言って画面から目を離そうとした……その時だった。
「……ん???」
思わず2度見してしまう状況があった。
アカウント名の下。"@Nihohe1616"というハンドルの横。そこには、"TukuyomiTube"におけるチャンネル登録者数が表示されている。
そのチャンネル登録者数、最後に見た投稿直後だと2人ほどしかいなかった筈だったが……。
「……300人?」
なんか、1週間のうちに爆増していた。
ヤ?ヨ「よし! チャンネル登録一番乗り~♪ これで最古参を名乗れるね♪」