ピーポーピーポー
サイレンの音が鳴り響く。
事故現場に、救急車と消防車、警察車両、近くにいたヒーローが集まる。
事故現場は悲惨も悲惨、そもそも、どうしてこうなっているのかすらわからない。十字路の中心に一台の軽自動車。そして、四方の道から、軽自動車を押しつぶすためと言うかのように、大型車両が四代突っ込んでいた。
後ろから木材をたっぷり積んだ十トントラック、
前からタンクローリー、
左からミキサー車、
右から就学児童がのったスクールバス、
これみよがしに、人為的、殺意的、そして怪奇的。
タンクローリーから漏れた油が事故の拍子に引火して、燃え盛り、木材が薪木となって、さらにはミキサー車から溢れたコンクリートが救助を難航して。就学児童の悲鳴が響いている。
■■■■年■■月■■日
静岡にて、大規模な交通事故が発生。
原因は不明。
事故に巻き込まれた37名のうち、生存者1名。
軽自動車、タンクローリー、トラック、ミキサー車、バスの正面衝突事故。現場は炎に巻かれ救出が困難だったことが分かっており、偶然が重なったにしては出来過ぎているという結果が出た。
原因はいずれも真偽不明である。
現場の声には、「軽自動車を潰すために起こったとしか思えない」、「何をすればこんな事故になるか見当もつかない」という、いずれも不明なことばかりである。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ん……」
「目を覚ましました!」
「急げ!外傷はなくとも、内臓が傷ついているかもしれない!」
「はい!」
「唯一息があった、
◇◆◇◆◇◆◇◆
Side余正木
目が覚めると病院のベッドの上だった。
体に異常はない。
いつも通り、龍の角を思わせる、枝のような角が額に二本。白毛の狐耳が頭に生えて、 腰からは白い龍の尾と白毛の九尾、 背中からは三対六翼の黒い羽根がちゃんとある。
何も問題はない。
「事故にあった当時のことは覚えていますか?」
「いえ、全く」
びっくりもびっくり、まさか交通事故、それも自動車事故で、四面楚歌になるとは思いもしなかった。まぁそんな事故の中心にいたというのに、生きていた人間があるんですが、その人数の名前こそが、余正木忍接臥です。そう、僕です。
全くはた迷惑な事故でした。なにせ、構図的には、少なくとも四人以上から恨まれていたような見方になるわけですから。たとえ、そのような、恨まれるような事をしていなかったとしても、人為的、殺意的な事故現場を見れば、誰しもがそうなります。
とは言え、事情聴取も程々にしてほしいんですがね、何せ、僕には恨まれるような行動も理由もないはずなんですから。まぁ誤解させてしまったということもあるかもせれませんが、厄介ですね。
この事件の渦中にいた人間が、当時中学一年生の、僕人一人しか生き残らなかったんですからね。
坂野さん、誤字報告ありがとうございます