隣に住む高嶺の花な同級生が気づいたら子持ちライバーになってた   作:Tmouris_

11 / 11
第十一話:無茶

今日は路上ライブじゃなくって、会場を使った初めてのライブだ。

そんな大規模なライブではないにしろ、こんな機会、今までなかったから緊張する。

 

「ねえ、本当に私も行くの?」

 

「来て!い・ろ・は」

 

二人は人差し指と中指を絡める。

 

「仲良しのやつ」

 

俺が隣でそれを眺めてると、かぐやは俺の方に拳を突き出した。

 

「もちろん、月夜も!」

 

俺も拳を突き出して、コツンと合わせる。

 

ファン数も十分で注目もそこそこされてる。このライブで上手くバズることが出来れば一気に流れを掴める気がする。

 

―――

 

ライブは大成功に終わった。ライブの日以来、ファン数の伸びも上がってきたし、配信の同接数も増えてる。

 

それと、芦花さんと真実さんとの神戦ゲームコラボ配信も結構受けが良かった。

元々かぐやはゲームセンス高かったけど、神戦の才能もあるとは……sengokuモード結構難しいんだけどな。

 

「最近、視聴者増えてきたから、俺と彩葉さんでモデレーターやろう」

 

「私、勉強で忙しいんだけど」

 

たしかに、かぐやの配信の度にモデレーターなんてやってたらいくら時間があっても足りない。

ていうか、俺も全部は付き合いきれない。

 

「最近、かぐやへの求婚コメント増えてきてるんだよな」

 

それを聞くと、彩葉さんがぴくりと反応した。

 

「ま、まあ?時間のある時くらいなら?」

 

ちょろ葉さん……

 

その日の夜のコメント欄は凄かった。俺はやじだと思ってスルーしてたけど、彩葉さんは辛抱ならないらしく、次々と求婚コメントを削除していく。

 

「頑張ってるなぁ」

 

ただ、さすがにスパチャまでは削除するまではいかなく、求婚の赤スパで配信は溢れていた。

 

「あのさ〜みんなかぐやに会ったことないじゃん。わがままですぐ暴れるし、ちょう面倒くさいよ」

 

こいつ自覚あったんか……

 

ていうか、その理論でいくと、声すら聞いたことないやちのことが気になっている俺はコメント欄のこいつらよりやばいやつなのでは?

 

「よし!彩Pか月夜に勝ったら結婚な!」

 

おい!俺は勢いよく彩葉さんの部屋に壁ドンする。

 

彩葉さんも同じく文句を言ってるのか、配信が一時中断された。

 

―――

 

「それで?どっかの誰かさんのせいで、対戦の申し込みが大量に来てるわけなんだけど?」

 

「あ、あれぇ?月夜怒ってる?守ってよ〜」

 

「無理!」

 

「なんでぇ!」

 

無理なもんは無理だ。そもそも、俺はフィジカルが強いわけじゃないからsetunaモード強くないし、kessenモードも彩葉さんと毎回毎回合わせるわけにもいかないし。

 

「無理なもんは無理!単純に俺じゃかぐやを守りきれない!」

 

悔しいけど、この役割をこなせるのは彩葉さんにしか出来ない。

 

「彩葉さん……こればっかりは彩葉さんにまかせるしかない。彩葉さんの強さなら並大抵の相手には負けないから!」

 

俺は額を床に擦り付けて、彩葉さんにお願いする。

 

「彩P守ってぇ?」

 

上目遣いしてる暇があったらお前も頭を下げろ。頼むから。

 

「もー!私の休憩時間がなくなっていく!」

 

そのうち彩葉さん過労でぶっ倒れるんじゃないかって最近心配になってきた。

 

「というか、スキンどうするの?たしか、俺とか彩葉さんがつけてるコスチュームってヒットボックスかなりでかくなかったっけ」

 

「そこは腕と気合いで」

 

あ、顔出しは意地でもしないつもりなんですね。

 

次の日から、かぐや防衛戦が始まり、彩葉さんが挑戦者をひたすらボコボコにする時間が始まった。

 

強い強いとは思ってたけど、まさか彩葉さんがここまで実力者だったなんて……

 

かぐや彩Pチームと俺とやちで戦ってみたいな〜。

 

そこからはもうかぐやの快進撃は止まらなかった。

ファン数も増えてスパチャも増えて、ふじゅもとんでもない量溜め込んでるのを前に見た。

 

正直、学生の俺とかには無縁の額で心臓が飛び出るかと思った。

 

「彩葉さん大丈夫?最近エナドリの量明らかに増えてるけど」

 

「大丈夫。エナドリ代はかぐやに出させてるから」

 

そういう問題じゃないんだけど……シンプルに心配だ。

 

「というか、もうさすがにこのボロアパートじゃ大分手狭じゃない?」

 

彩葉さんの部屋には、かぐやが買った色々な道具やらグッズが散らかってる。

 

「引っ越しかぁ」

 

何より、彩葉さんの夜の安眠のためにも部屋は分けた方がいい。

 

―――

 

「ねぇ、こことかは?」

 

かぐやが指を指したのは、家賃35万の3LDKのタワマンだった。

ややや家賃35万?そんだけあったら何ヶ月生活できるんだ……

 

「はぁ。こんなとこに住んでたら人間おかしくなるって」

 

「激しく同意」

 

まぁ……別に俺が住むわけではないんだけど。

かぐやはそのレベルの家に住めるくらいバシバシ稼いでるけど、俺は別にそうじゃないし、彩葉さんと違って同居してるわけじゃないので。

 

「それよりごめんね月夜くん。こんな事に付き合わせちゃって」

 

「いいよ別に。かぐや一人だとどんな物件選ぶか怖くてしょうがないし」

 

なんて軽口を叩いていると、彩葉さんがその場にしゃがみこんだ。

 

「彩葉さん?彩葉さん!」

 

明らかに様子がおかしかったのでおでこに手を当てる。

 

「やっば、熱あんじゃん!」

 

「だい、じょうぶ」

 

大丈夫なわけあるかい!顔色も明らかに悪くなってきてる。

 

「かぐや!彩葉さん運ぶの手伝って!」

 

「え、あ!了解!」

 

左右から肩を組むように彩葉さんを支えて、何とか家まで連れていって布団に寝かせる。

 

「かぐや、エアコンのリモコンどこ!?この部屋暑いけど、体も暖かくしなきゃだから!」

 

あー!普段からこの人が扇風機で妥協してるせいでリモコンが中々見つからない!

 

「あったよ!」

 

「ナイスかぐや!」

 

冷房をつけると冷たい風が部屋に流れる。

 

とりあえず一段落かと思って腰を下ろすと、彩葉さんのスマホのアラーム音が鳴り響く。

 

画面を覗き込むと、そこには『バイト』と表示されていた。

 

「ねえ!彩葉大丈夫!?死んじゃったりしないよね!」

 

「大丈夫だから静かに」

 

俺はメッセージを開いて『彩葉さんの友人です。彩葉さんが熱で寝込んでしまった為代わりに連絡させていただきました。出勤が難しいため病欠にしていただきたいです』

 

バイトの方はこれで大丈夫だろう。

すぐに、『承知しました。病欠で処理しておきますね。ゆっくり休ませてあげてください』と返信が来た。

 

「かぐやってお粥とか作れる?」

 

「ふふん。かぐやに任せとき!おっと、静かにしなきゃだね。栄養満点のお粥作るから」

 

―――

 

数時間後、彩葉さんが目を覚まして、慌ててスマホを確認する。

 

「やばいバイト!」

 

「彩葉!しんどい?」

 

「大丈夫、すぐ出るから」

 

俺は立ち上がろうとする彩葉さんの肩を掴んで、ゆっくりと布団に戻す。

 

「ちょ、月夜くん!」

 

「バイトは休みの連絡入れておいたから。今は休む方が先決です」

 

ほら、後ろでかぐやが心配過ぎて涙ダラダラ流してちゃってるから、起き上がらないでください。

 

「あ、ありがとう」

 

「そうだ!病院、一緒に行こ!」

 

まぁ、過労と寝不足による疲労とかだろうけど。これを機会に一回彩葉さんはゆっくり休んだ方がいいのかもしれない。

 

……忙しくさせてるの主にかぐやと俺だけど。

 

「全部ギリギリで予定組んでるから、何日も休んだら……もう追いつけないよ」

 

涙目になりながら弱音を吐く彩葉さん。

大分追い詰めてしまっていたのか……俺とかぐやが無茶ぶりしていたせいで。

 

俺はぎゅっと拳を握って、今までのことを反省する。

 

「なんで彩葉は一人はそんなに一人で頑張らなきゃいけないの?」

 

そう言って、かぐやはまた涙を流しながらギャンギャンと泣き始める。

 

「私もめっちゃ無理言っちゃったし……彩葉死んじゃったら嫌だー!」

 

「こんくらいで死にやしないよ。それに、月夜くんがかぐやの面倒見てくれてたから、その辺は楽できてたし」

 

かぐやの鳴き声だけが部屋に響いて、俺と彩葉さんの間に沈黙が流れる。

 

「なんで、彩葉さんはそこまでしてるの?学費ならまだしも生活費まで稼いで……」

 

彩葉さんは視線を逸らして、口を塞いでしまった。

けど、もう一度こっちを見るとゆっくりと事情を説明してくれた。

 

どうやら、母親との言い合いで生活費学費を自分でどうにかするって条件でこっちに飛び出して来たらしい。

 

……なんだその人生ハードモードは。

 

「えらい簡単に言ってるけど、みんなそんなことしてなくない?」

 

「お母さんも平気で同じくらいのことしてたし。私も譲らなかったから」

 

家族揃ってどんな人生歩んでんだよ。というか二人とも凄すぎだろ。

 

「それに、自分の力だけで生きていくんだって思ったらラッキーってめっちゃ力湧いてきた」

 

「今の話のどの辺がラッキーなの!?」

 

「宇宙人調べでもそのお母さん激ヤバおかしいって!おかしい〜!」

 

「かぐやには……」

 

彩葉さんはそこまで言って、続きは口にしなかった。

 

きっと『かぐやには分からない』って言いたかっただろうに。

家族の問題だし……色々あるんだろうな。

 

「はぁ〜いや、なんでこんな話してんだ。月夜くんもごめんねこんな話聞かせて」

 

「いや、大丈夫」

 

それ以上は何も言えなかったし、言っていいのかも俺には分からなかった。

 

「それじゃ、これ以上俺がいても迷惑だろうし帰るよ」

 

「あ、月夜くん。色々ありがとうね」

 

軽く手を振って俺はその場を後にした。

 




ここまで読んでくれてありがとうありがとうございます!
UAがついに1万を突破しました!
連日、日間ランキングに入ることもできてうれしいです。

お気に入り登録、評価、感想があると嬉しいので気に入って貰えたらポチってもらえるとうれしいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

飯炊きの翁(作者:調理チーフ)(原作:超かぐや姫!)

遅ればせながら4DXで視聴し、ワンアクション欲しいシーンにオリキャラをぶち込んだお話です▼割と過去の重い男オリ主が出ますので、苦手な方はブラウザバック願います


総合評価:468/評価:8.8/連載:4話/更新日時:2026年10月06日(火) 19:00 小説情報

ちょっ、ッッま...自分まで巻き込まれる必要なくないかぁ!!??(作者:大塩tune八郎)(原作:超かぐや姫!)

ツクヨミ。それはVR技術によって産まれた仮想世界。▼そこは、あまるほど楽しくて、あまりにも美しい、誰も争わないくていい皆んなが笑顔になれる素晴らしい非現実。▼これから話す物語は、そんな世界にのめり込むどころか埋まってしまうほど好きになってしまった男がとんでもねぇ理不尽に見舞われる話。▼感想・評価もらえるともの凄く承認欲求が満たされます。ありがとうございます。


総合評価:430/評価:7.75/連載:7話/更新日時:2026年08月05日(水) 18:53 小説情報

かぐや姫に会いに月に行く(作者:蛍もがな)(原作:超かぐや姫!)

かぐや姫にもう一度会いたい。▼ただそのために生きてきた男の物語。


総合評価:526/評価:8.86/短編:5話/更新日時:2026年10月13日(火) 22:00 小説情報

この生に、意味があるのなら(作者:生姜醤油)(原作:超かぐや姫!)

仮想世界ツクヨミ。そこには、とある1人のプレイヤーがいた。▼名を『影狼』、人呼んで【プロフェッサー】。▼ツクヨミ最強として君臨する彼の心は、いつも諦めと絶望に満ちていた。▼色褪せた日々を過ごす転生者――『影狼』こと景浦琥太郎。▼琥太郎の隣人にして苦学生――酒寄彩葉。▼そして、月からやってきたという謎の少女――かぐや。▼三者が出会った時、運命の歯車が動き出す。…


総合評価:570/評価:8.67/連載:10話/更新日時:2026年08月13日(木) 23:00 小説情報

生きたいと言わんかい!(作者:吾輩は猫であるか(願望))(原作:超かぐや姫!)

▼希死念慮が強い少年を重くて湿っぽい少女が分からせようと頑張る話。▼なお、少年はクソボケ野郎なので分からされて当然と言えば当然。▼話数のストック自体はあるので、反応を見つつ低定期でもいいので続けていきたい。▼内容は、クソボケが独占欲マシマシお化けに分からされて更生するよくある話です。


総合評価:2539/評価:8.94/連載:8話/更新日時:2026年10月08日(木) 04:45 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>