隣に住む高嶺の花な同級生が気づいたら子持ちライバーになってた 作:Tmouris_
「ぐぬぬ!どうしたらいいのだ!」
公式配信のヤチヨカップの途中結果で、かぐやはトップ10にもはいれず、一位はブラックオニキスの独走状態だった。
「くっそー!帝出てこい!勝負しろ!」
いやぁ……俺と彩葉さんとかぐやで組んでブラックオニキスと対決……無理だ勝算0。
前にやった時は奇策で帝だけはやれたけど、相手も本気だったか分からないし、何より味方にヤチヨがいたからな。
「かぐやVS帝でゲーム対決ってのは?世紀の竹取合戦」
芦花さん余計なこと言わんでくださいよ……
あぁほら、かぐやもやる気満々になっちゃってるよ。
「マジでなし、相手はプロゲーマーだよ?格が違うでしょ」
本気で嫌そうにする彩葉さんの言う通りだ。
というか、そもそもブラックオニキスと面識ないし、相手もコラボする理由ないからな。
「なんでー!対決!」
「何としてもダメ!ダメダメダメダメダメ!」
そこで、かぐやがいつもの上目遣いで彩葉さんのことを落とそうとするが、カチンと固まった。
「いや、いやいや彩葉が倒れちゃったらやだし、でも?ゲームなら息抜きにも?」
「お前はちょっとは反省しろ」
「いったぁ!何すんのさ月夜!」
ほら、彩葉さんも怒ってソファーに横になっちゃったよ。
「このまま迎えが来てもいいの!」
そこからは二人の押し問答が始まったが、突然かぐやの前に誰かからのメッセージの巻物が届いた。
それを見たら、かぐやは目を輝かせて喜び、彩葉さんはFXで金を溶かしたかのように崩れ落ちてしまった。
「ま、まさか?」
「ブラックオニキスからの挑戦状!」
そんな堂々とVサインされても……まじでどうすんだよ、これ。
―――
ツクヨミからログアウトして、俺はすがりつくようにやちにメッセージを送った。
自称でも未来の歌姫を目指してるやちならヤチヨと面識があるかもしれない!
『やちはさ、ヤチヨと知り合いだったりしない?』
『どして?』
『今度ブラックオニキスとドンパチやることになったんだけど、俺が参加してたら勝てるもんも勝てん!ツクヨミを盛り上げると思って助っ人を申し込みたいけど、コネがないから連絡もとれないんだよ』
既読がついても連絡が返ってこない。さすがに図々しすぎたか?
『そういうことならおっけーだよ。ヤチヨとはやり取りしたことあるから』
よし!これでワンチャンブラックオニキスに勝てる。
そこでもし勝負に勝ちでもすればファン数荒稼ぎで十二分に一位が狙える!
『でもいいな〜そんな楽しいことしてて。私も月夜と一緒に戦いたいな〜』
『んな事言って、いつも誘っても断ってくるのそっちだろうが』
俺はやちと一緒にゲームしたいのに。
『ん〜そだね。オフ会のあとにまだやりたいって思えたならやってもいいかな』
俺はそのメッセージを見て固まった。
オフ会の後ならか……やちもなにか訳ありだったりするんだろうか。
『なんだ?実は美女でも8000歳でもないのがバレたら恥ずかしいから?』
俺はその気持ちを誤魔化すように返信を送る。
『えへへ〜。私が可愛すぎて、月夜緊張しちゃってゲームどころじゃなくなっちゃうからな〜』
『そんなことで、今更離れたりしないっつーの』
全く。こいつの煽りに付き合ってたら胃に穴でも開きそうだ。
……でも、可愛かったらいいなって思う俺がいるのも悔しい。
『てか、そこまでしても俺とゲームしたいとか俺の事好きすぎ』
『ま、一緒にいて楽しいからね』
はい?なんで否定しないの?なんでいつもみたいに『口説いてる?』って煽ってこないの?
『はい月夜どうせ照れてる〜月夜の負け〜』
こいつ、オフ会であったらげんこつのひとつでもくらわせてやろうかな。
『とりあえず!ヤチヨのことよろしく』
『任された〜』
―――
「どらぁ!帝勝負だ!」
勝負当日を迎えて、ついにブラックオニキスと対面。
「前傾姿勢可愛すぎ。俺が勝ったら結婚してくれんの?」
「んなわけねぇだろ!」
珍しく感情的に怒ってる彩葉さんが武器を思い切り帝に振り抜く。
「月夜くんだっけ?前はいっぱい食わされたけど今日はそうはいかないぜ」
おぉう。プロゲーマー。それもブラックオニキスの帝に名前を覚えていて貰えるとはゲーマー冥利に尽きる。
「残念ながら、今日は代役を呼んでいまして」
俺がそう言うと、空から玉手箱が降ってきて、中からヤチヨが飛び出てきた。
「じゃじゃ〜ん!呼んだ?」
「えー!?月夜が言ってた助っ人ってヤチヨのことだったの!?」
「いえい!」
俺は、ドヤ顔でVサインを彩葉さんに見せつけてやった。
―――
「てか、どうすんの?作戦とか」
「ガーッといってシュタタタター!そんでバァーン!」
「りょ〜」
前に組んだ時も思ったけど、ヤチヨも結構ノリでプレイするタイプなんだろうか……
あーでも、俺とやちも綿密に作戦組んでおきながら、結局土壇場ではアドリブ満載のノリと勢いだったりしたなぁ。
って。なんで今やちのこと思い出してんだ。
「そんじゃ、試合開始までもう少しだから、俺は観客席で見てるわ」
観客席に行ってしばらくすると、試合が始まった。
って……これ完全に舐めプされてんな。
多分ヤチヨのことは警戒してるんだろうけど、彩葉さんとかぐやのことは全くといっていいほど警戒してないっぽいな。
彩葉さんとかぐやが帝と接敵する。
「そのスキン当てやすくて助かるわ〜」
っく……ここで彩葉さんの顔出しを避けてたのが裏目に出た。
あの着ぐるみめちゃくちゃヒットボックス大きいんだよな
ただ、さすがの彩葉さんも本気でやらないと勝負にならないと思ったのか着ぐるみを脱いだ。
二人の間で言葉を交わして、帝の口から衝撃的な発言が飛び出てきた。
「お兄ちゃんも久々に会えてうれし〜よしよししてやろうか?」
え?帝って彩葉の兄貴なの?
何それ、美味しすぎる。ファン数稼ぎの話題には十分すぎ。
って……本人はそれどころじゃない。応援しないと。
「頑張れ!みんなー!」
が、応援も虚しく一戦目はブラックオニキスの完勝だった。
二戦目はミニマップが2D情報しかないのを逆手にとって上を取っての奇策で勝利を収めた。
ラスト三戦目。
彩葉さんとかぐやVS帝の二対一で最終盤面を迎えた。
そして、俺はその二人の戦い方を見て固まっていた。
似てる。
武器の入れ替え、フックワイヤーを使った奇襲攻撃。
俺とやちが普段からやってた連携攻撃に似ていた。
帝のマークは完全に天守閣を落とせるかぐやに向かってる。
――だったら、この勝負。
「「勝ったね」」
ん?今の声って。
「やややヤチヨ!?なんでこんなところに!?」
「むふふ〜せっかくのチームメイトなんだから交流をと思いまして。やちから話は聞いてるよ〜」
ちょっと近い!近い!。
「えと、どんなふうに聞いてるんです?」
「えーと、煽り耐性低くてからかいがいがあって――」
あいつめ……
「一緒にいるのが楽しいって」
そう微笑みかけてくるヤチヨに俺は魅入ってしまう。
ななな、なにを考えてんだ俺!これはあくまでやちが言ってたことであって、ヤチヨが俺に言ってるわけじゃない!
「からかわないでくださいよ……」
「えーでも、やっちょは月夜くんのこと――」
そこまで聞こえて、かぐやがトラップにかかった爆発音に声がかき消される。
「ちょ!かぐや!?」
……結局逆転敗北してしまった。
「それで、今なんて?。あれ?」
周囲を見渡すと、ヤチヨの姿は見えず、大きな鳥居の上に場所を移していた。
「いと、大義〜そして、たった今ヤチヨカップの優勝者が決まったよ〜」
やべ!ヤチヨと話してたせいで、全然ファンの反応を追えてなかった!
「やっちょっとコラボる人を発表!」
スクリーンにグラフが表示されて、ぐんぐんとブラックオニキスがグラフを伸ばしていく。
「まさかの〜ヤチヨカップ優勝者は〜かぐやいろP月夜〜!」
「はえ?」
「めでたしや〜」
優勝した?
「つーきーよー!」
「か、かぐや!?」
俺は思いっきり抱きつかれてかぐやに押し倒される。
「彩葉と月夜のおかげだよ!本当にありがとう!」
「わかった!わかったから離れて!」
そんなふうに俺とかぐやがじゃれついていると、空からヤチヨが降ってきて、それを三人で受け止める。
「彩葉、かぐや、月夜!よく頑張った!」
「でも、全然ダメだった。どうやったらヤチヨみたいに動けるの?」
「それはもう日々の努力の玉藻の前というか〜気まぐれアメンボロードというか」
「ヤチヨっていつも適当じゃない?」
……まぁ、結構ノリで話してるところあるよなヤチヨって。
でも、その話し方がどこか心地よくて、聞いてて安心するんだよな。
「ヤチヨはね優柔不断で悪いやつなのです〜」
こういう返しも……
「かぐやはかぐやだから強いんだなってヤチヨは思ったよ」
やっぱなんも考えてないだけなのかもしれない。
「さて、ここからはクライマックスに向けてハードな展開が待っているかも。このお話を最後まで見届けてね」
ここまで読んでくださりありがとうございます。
1万UA突破に感動しています。色々な人に見てもらえてうれしいです。
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