隣に住む高嶺の花な同級生が気づいたら子持ちライバーになってた   作:Tmouris_

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第八話:kessen

かぐやのライバー活動が始まって数日。

今日は初めての路上ライブ当日なんだけど、それまでかなり時間が空いてしまった。

 

最近はかぐやのことで忙しくてゲームをする時間が少なかったし、ちょっとだけやるか。

 

俺は神戦のkessenモードを選択してマッチングをかける。

 

kessenモードは三対三の陣取りのsengokuとは違いsetunaの対人ルールが採用されてる二対二の対戦モードだ。

 

俺が使う武器は両端に穂先を備えた双頭槍。

中央で着脱可能で、二つに分けられるようになっている。

 

ついでに、小賢しい作戦をやちとしょっちゅうやっていた影響かテクニカルな戦いができるようにフックワイヤーが仕込んである。

 

「って……まじかよ」

 

マッチング画面に映ったのはブラックオニキスの帝アキラとノイのペア。

 

まさか、こんな時にプロゲーマーとマッチングするなんて思わなかった。

ただ、俺の相方は即切断したみたいで、名前が表示されていない。

 

――もし、やちと一緒に組んでたらどうやって一矢報いるかウキウキで考えてたのになぁ。

 

このままマッチング終了か……と思ったら、俺の真横に誰かがスポーンした。

スポーンの煙が消えて、姿が見えたと思ったら、そこにはヤチヨが立っていた。

 

「ヤチヨお助けシステム……初めてだ」

 

何かしらのマッチング不備の時、稀にヤチヨが乱入参加してサポートしてくれるシステム。

 

たしか、相手との実力差を加味して強さが変わるとかなんとか。

 

「あ、えと。よろしくお願いします」

 

「あはは、そんなにかしこまらなくてもいいよ。それにしても帝様のお相手とはね〜」

 

ブラックオニキスの対戦はよく動画で見かける。

帝は棍棒と刀を使う近距離型でノイはその真逆の弓を使った遠距離の狙撃を得意としてる。

 

「足引っ張らないように頑張ります……」

 

「ややや、随分弱気だね。作戦とか考えようよ」

 

そりゃ、プロゲーマー……その中でもトップクラスの相手だ萎縮もする。

それでも、作戦を考えるのなら。

 

「「ノイの狙撃を受ける前に帝への二人での速攻」」

 

ぼそっと俺が作戦を呟くと、それに被せるようにヤチヨがぐいっと顔を寄せてくる。

 

「ふ、普通にやったら勝算は限りなくゼロに近いから。様子見は完全に無しで強気で攻めるしかないかなって」

 

セオリーで行くなら、一人が接近役と上手く見合って、その間にもう片方が遠距離を潰すだろうけど……帝相手に一対一をするのは実力的に無理だ。

 

「ヤチヨって帝のこと一人で抑え込めたりって……」

 

「う〜ん。さすがに厳しいかにゃ〜。ノイくんなら相性的に一対一ならなんとかなるけど、月夜くんは帝様を抑えられる?」

 

「無理っすね……」

 

もう少し作戦会議をしたかったけど、戦闘開始のカウントダウンが始まる。

 

「それじゃあ、あとは」

 

「「ノリで」」

 

勝負が始まった。

 

開幕から何も考えずに全力ダッシュ。そうしたら、案の定帝と普通より早く接敵することができた。

 

流石に相手も一瞬だけ驚いていたけど、すぐに気持ちを切り替えたのか、すぐに棍棒をこっちに振るってくる。

 

「ヤチヨ!勝負はここから数十秒!ノイの狙撃が来たら挟み撃ちは出来ない!」

 

「分かりもうした〜」

 

俺は槍を半分に分けて、その片方を帝に向けて全力で投擲した。

 

「よっと、お前。面白い戦い方するな」

 

軽口を叩かれながら余裕で躱してくるの、避けられるって分かってても腹立つな。

 

帝も俺が片槍だけになって体勢を崩したのをみて、棍棒で殴りかかってくる。

 

「さすがにそれはなめすぎ!」

 

地面に刺さった槍から伸びるフックワイヤーを使って、何とかその棍棒を受け止める。

 

そして、槍を引き戻して、ワイヤーを棍棒に絡ませる。

 

「ヤチヨ!チャンス!」

 

「はいな〜」

 

後ろからヤチヨが傘型の武器を叩き込もうとしたところで、俺の体が宙に浮く。

 

武器ごと体を振り回されて、そのままヤチヨに叩きつけられる。

 

「ご、ごめん。抑えきれなかった」

 

「いてて、大丈夫大丈夫」

 

そこからは、こちら側が一方的に帝に攻撃をすることが出来た……でも、決定打は一発も入れられずに時間だけが過ぎていく。

 

「おっと、時間切れだ」

 

背後から、矢が飛んで来る音がする。

まずいまずいまずい。このままじゃ後ろの矢を弾いても、帝に殴り倒される。

 

すると、帝の真横をヤチヨが通り抜けて、俺の目の前で俺の背中に傘を展開して矢を防ぐ。

ただ、そんな背中を向けた隙を帝が見逃すはずもない。

 

「なんちゅう無茶な!」

 

俺が無理やりカバーする形で棍棒を受ける。

けど、体勢が悪かったせいで、思いっきり横に吹き飛ばされた。

 

あーめちゃくちゃだ!やちじゃないんだからそんな即興プレイ無茶ぶりにも程がある!

 

だけど、俺が帝の攻撃を受けたおかげでヤチヨも体勢を立て直した。

 

ここから普通にやったら勝つなんて無理だ……万策尽きたか。

 

「月夜!諦めないで!」

 

そう言われましても、そんなの無茶ぶりすることになるし……

いや、さっき無茶ぶりされたからお互い様か!

 

「ヤチヨー!ラストチャンス!」

 

ヤチヨがノイの矢を弾いたのを見て思いっきり槍をヤチヨの方に投げつける。

 

「おっと、やけくそか?」

 

「そんなこと言って、俺ばっかり見てていいの?」

 

「さすがに警戒済み」

 

俺の槍を受け取って、ヤチヨが帝に投げつけた槍をギリギリのところで避けられる。

 

が、俺は帝のことを無視して、そのまま飛んでくる槍をキャッチした。

 

「これでどうだ!」

 

ワイヤーを急速に回収して、一周分だけ帝にワイヤーが巻きついて一瞬だけ動きを止める。

 

「はは、まじかよ」

 

「やち!頼む!」

 

あ、やべ名前間違えた。

だけど、なんでだろ。初めて一緒に戦うはずなのに、ヤチヨとのめちゃくちゃな連携は楽しくてしかたなかった。

 

「はいな〜」

 

ヤチヨの攻撃が帝に届くのと同時に、ヤチヨはノイに撃破された。

 

だけど、これで遠距離と近距離の一対一。

戦況はこっちが有利……このままやれば――

 

勝てるわけないんですよね……

 

そのあとは、結局ノイの元にたどり着くことすら出来ずに撃ち抜かれて終わった。

 

「はっはっは、久しぶりにやられたわ。やるじゃんお前」

 

「いや、これはヤチヨが凄かったからで、俺なんて結局そのあとすぐやられたわけだし」

 

ヤチヨカップでかぐやの最大のライバルになると分かってても、あのブラックオニキスの帝とノイが目の前にいて褒められると緊張する。

 

「帝まじでダサかったなー」

 

「うるせーそんじゃまた機会あったらその時はリベンジ待ってるぜ」

 

なるほど、かっこいい。ブラックオニキスにファンが多いのも納得だわ。

 

「ヤチヨごめん。無茶ぶりの連携させといて、結局やられちゃった」

 

「まあまあ、負けちゃったけど一泡吹かせられたと思うよ?帝様がやられるなんてそうある事じゃないし」

 

それもそうか……相手は連携を取れるプロゲーマー二人。

それに対してこっちは即興で組んだチームだったし、いくらヤチヨが強いとはいえど俺の実力じゃ勝つのは難しかった。

 

「ナイスファイトだよ、月夜くん」

 

「ありがとう。ヤチヨもナイスファイト」

 

お互いにこつんと拳を合わせる。

なんか、こうやってるとやちと一緒にゲームで暴れ回ってた時のことを思い出すな。

たとえ格上に負けたとしても、一泡吹かせて驚かせてやった時には――

 

「「ざまぁみろって言ってやりたいね」」

 

俺がハモったのに驚いている中で、ヤチヨは「ふふふ」と笑っている。

 

「それでは~やっちょはこの辺で!またね~」

 

「ちょ、待って!ヤチヨ!」

 

俺の制止の声も届かずにヤチヨは淡い光になって消えてしまった。

だけど、去り際に見せたあの楽しそうな笑顔が頭から離れない。

 




戦闘シーンを書くのマジで大変でした。
グダグダしてる所もあったかもしれませんが読んでくれてありがとうございます。
昨日のUAが一日で1000超えてて驚きました。色々な人に見て貰えたんだって思うと嬉しいです。

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